ばしゃり、と水の音が耳を打つ。
フランシアは空気を求めて喘ぐ自分自身の音を聞きながら、水に濡れたまぶたを上げた。
腹筋が痛くなるほど、起き上がるのを繰り返し、それでもまだ責め苦は終わらない。
両手は後ろに回され縄できつく縛られ、いくらあがこうと、ほどけそうにない。
衣服は濡れて重い。それでも息をするためには、重い体をバスタブの中から引き上げ、
起き上がらなければならない。
なにせ、足首は固く縛られ、吊り下げられているのだから――。
『釣鐘と、言ったわ……』
自身が捕らえられた瞬間に放たれた言葉だ。
それを聞いた瞬間、フランシアの体が恐怖にすくんだ。その隙をついて男たちは
彼女を縛り、吊り下げ、バスタブに水を満たした。
フランシアはズボンを穿いていなかった。その状況で吊り下げられるのだから、
当然全体重は足首にかかる。縄の荒い目がフランシアの体に刻まれる。
足首に体重がかかっても起き上がらなければ息ができない。
万が一縄がほどけ逃げられたとしても、足首の傷が対象者を苛み逃亡を阻む。
『よくできた、拷問……』
フランシアの顔に笑みが浮かんだ。
そうだ。私は逃げなければならない。たとえ体中がだるくても、逃げて、知らさねばならない。
そう考えるフランシアの目前に男の顔が迫る。情報をよこせと恫喝する。
フランシアは強い色の瞳で男を睨んだ。
反抗の意思があるとみると、男はフランシアの体の上をするりと手を滑らせ、腿の間に差し込んだ。
下着を付けたままなのは男たちの憐れみか、と考えていたフランシアは、自身の考えが勘違い
だったと知る。
男の野卑な視線がフランシアを射抜く。男の指が、下着を割り、秘所に忍び込んだ。
フランシアは唇を噛む。
ぱちゃん、と水が揺れた。