翌朝。ベッドの中のラグナスは深い眠りから目を覚ます。  
とはいったもののなかなかまぶたを開ける気にならない。  
一晩中淫夢を見ていた余韻があったからだ。  
自分がよく知っている少女、ドラコを何度も犯す夢だった。  
鎖で吊るして処女を奪ったあと、風呂場に連れてフェラチオを教えたり、  
全身の性感帯を徹底的に検査したり、寝室ではさまざまな体位で抱いた。  
その記憶はあまりに鮮明で、童貞の彼にはかなり強烈だ。  
夢とはいえ勇者にあるまじき行動で、ドラコへの罪悪感が高まる。  
そして、しばらくしてやっと目を開いたら…………すぐ正面に本人のドラコがいた。  
「………………あ、えっと、ラグナス、えっと、お、おはよ…………」  
ラグナスの隣にドラコがいて、彼女が自分の寝顔を見つめていたのだが、  
寝起きの彼は状況が理解できない。あわてて飛び起きて見たら彼女は全裸だった。  
夢と思っていた記憶が、頭の中で一気に整然化した。  
「………ゆ、ゆ、夢じゃ、ない……?」  
「?………………ラグナス?」  
今まではにかんでいたドラコが慌てふためくラグナスを見てきょとんとする。  
「俺、もしかして、ほんとに………」  
「どうしたの、え、えっと、ラグナス………………もしかして、元に、戻った、の?」  
「ド、ドラコッ!ごめん!」  
反対方法に寝返りをうってドラコの裸身にうろたえるラグナス。  
ドラコもあわててシーツを体にまとって再び問い掛ける。  
「ラグナス、昨日はどうしたの?昨日のこと、覚えてる?」  
「………………うん。ゆ、夢だと思って…」  
「……夢なんかじゃないよ。ラグナス、昨日、あたしの、こと…………」  
背後から聞こえるドラコの声が尻つぼみになる。  
 
「………やっぱり、昨日のラグナスはどうかしてたんだね……どうして……?」  
「え………あ…俺、昨日……昨日じゃない、一昨日、ウィッチに会ったんだ…」  
「ウィッチ………」  
そのひとことでドラコもなにか見当がついたように反芻する。  
「実験は失敗だって言われて、その日はなんともなかったんだけど、その次の日に、  
ドラコに会って、顔を見たとたん、自分が自分じゃなくなったような…………」  
「そう………………。昨日のことは、薬のせいで、あなたの意志じゃなかったんだね」  
「………………」  
今。ラグナスはドラコの言葉に違和感を覚えた。彼女に『あなた』と呼ばれたことだ。  
ラグナスは思わず、首を持ち上げてドラコのほうを向いて見た。  
ドラコは、シーツと、窓から差しこむ朝の輝きを、その裸身にまとい、  
ベッドの上にちょこんと正座して、彼の瞳をまっすぐに見つめていた。  
「……あ、えっと。ドラコ、服は…」  
「服はあなたに全部破られちゃったよ………」  
「ご、ごめん…ッ!じゃ、じゃあ、代わりに俺の服」  
「男の子の服着て帰るの、はずかしい……」  
「じゃあ…、どうしよう………」  
「あのね、ラグナスにあたしの家に着替え、取りにいって欲しい…。いい?」  
「え、あ、うん!い、いいの?」  
「うん…。それじゃあ、服…あたしの部屋の、赤いタンスにあるから、  
 どれでもいいから、取ってきて…。誰にも見つからないでね。あ……そ、それとね…。  
 し、下着は引き出しにあるけど、は、恥ずかしいから、絶対じろじろ見ないでね…」  
「……う…………わ、わかった。じゃ、じゃあ、すぐ取ってくるよ」  
「うん…。あ、その間は、あなたの服、着ててもいい…?」  
「あ……うん。そこにあるの、ど、どれでもいいから。じゃ行ってくる!」  
ラグナスはばたばたと服を着て、部屋を飛び出していった。  
「………………ふぅ」  
 
ラグナスの部屋に一人残ったドラコは、彼の洗濯物を取り込んだカゴを物色した。  
そこにある服を一つ一つ手に取る。そこから白いワイシャツを選んだ。  
(ラグナスってこんなシャツも着るんだ……)  
袖を通す。ドラコには羽があるので襟を首までは掛けられないが、  
かまわずにボタンを下から留めていく。乳房の上で第2ボタンまでが留まった。  
「ぶかぶか…」  
10センチ近くあまった袖をぷらぷら振って、ラグナスの服の大きさを実感する。  
羽を出すために肩と背中が大きくはだけている。  
裾はしっぽをあんまり大きく振らなければお尻はちゃんと隠せそう。  
ラグナスが帰ってくるまでは、この格好でいいだろうと思った。  
再びベッドに腰掛けて、足をぱたぱたさせてしばらく待つ。  
(そうだ。待ってる間、ラグナスの家の中、ちょっと見ちゃおう。  
ラグナスだって、あたしの部屋とか、服とか、見るんだから…)  
そこでドラコは、ラグナスの剣をいじったり本棚の本をぱらぱらと読んで回った。  
あちこちを歩いてキッチンに目がいったとき、足が止まった。  
「おなか、すいたな……」  
そこで、ラグナスが出ている間に、朝食を作れたらな、と、ふと思った。  
でもドラコは料理は全然苦手。ましてや他人のキッチンなんてとても使えそうにない。  
(ラグナスは料理が上手だったな。あたしは全然できない……)  
そこまで思って我に返った。一線は超えたからって、彼とはそんな間柄じゃない。  
自分が有無を言わされず犯されたのと同じように、彼も自分の意志じゃなかったから……。  
「あたし、なに考えてんだろ………………」  
そう呟いたときラグナスが帰ってきた。思ったよりも早い。  
 
「あ、ドラコ………」  
ラグナスは往復を走ってきたようで、軽く息を切らしているが、  
なぜかそのままこっちにじっと見とれていた。  
「……ん?あ、この服、借りたよ………」  
「う、うん…………。あ、これ。あ、あの、ドラコッ」  
「なぁに?」  
「俺、君の部屋、他のところは全然見てないから。ほんとにごめん」  
「うん、分かってるよ…」  
(本当のあなたはそんなことする人じゃないもんね…)  
「じゃあ、着替えるね………」  
再びラグナスの部屋に入って、ラグナスから受け取った紙袋を開ける。  
黒のワンピースと真っ白のパンツが入っていた。  
いつもの普段着だけどラグナスがこれを選んできたと思うと特別な新品のような気がした。  
ドラコはのろのろと着替えて、ワイシャツをベッドに置いた。  
「ラグナス、じゃあ、あたし、帰るね」  
「……あの、ドラコ!俺、取り返しのつかないことしてしまって、どう償ったら……」  
「ラグナスは……あたしのことを犯そうと思って、したんじゃないんだよね?」  
「!………………ち、違う。そんなこと決して……ごめん」  
「うん、ウィッチの悪戯のせいだよ。あなたは薬でおかしくなってただけ。それだけ…」  
そう言って、ドアの外に出る。  
「あ…!ドラコ!………………えっと、あの、俺、どんな償いでもするから」  
「…じゃあ」  
振り返らずにドアを閉めて、とぼとぼと家路を歩く。  
(あれは全部ウソ。ひどいことされたのも、それなのに気持ち良くされたのも、  
全部本当のラグナスじゃなかったんだ。だから昨日のことも、全部、ウソ)  
ドラコは駆け出した。走ると股間に少し痛みがあったけど、がむしゃらに家まで走った。  
 
 
あの日から三日過ぎたが、ドラコは家に閉じこもったまんまだ。ベッドに寝転がってる。  
友達のアルルやハーピー達がいっしょに遊ぼうと誘ってきたが、全部遠慮した。  
アルルに、どうしたの、なんか変だよと尋ねられたが、大丈夫だからとあしらった。  
ウィッチの店にはまだ行ってもいない。  
ラグナスとも、会っていない。……会いに来てくれない。  
三日間ずっとラグナスが来るのを待ってような気がするけど、彼はもう来るわけない。  
ましてや、元に戻った彼がまた自分を犯しに来ることなどもう決してない。  
ずきん。  
胸が苦しくなった。ベッドの上でぎゅっと丸くなる。目尻に涙が浮かぶ。  
(やだ…あの日のことがウソになるのは、やだよう)  
決して望んだ初体験ではなかった。でも、それでも自分の大切な初体験だ。  
セックスがあんなにすごいとは思わなかった。その相手はラグナスなのだ。  
あの日、処女を失った後も、ベッドの中で何度も抱き合ったことを思い出す。  
(あのとき、ラグナスは、あたしを四つんばいにさせて……)  
あの日あの時と同じように四つんばいになると、彼の感触も蘇るような気がした。  
(ラグナスはあたしのお尻を掴んで、あたしの…お尻の穴にキスしたの。  
あたしははずかしいって言っても、ラグナスはお尻の穴もかわいいよって言って、  
舌でぺろぺろって舐めたの。それであそこの中とクリトリスもいっしょにいじってきて。  
あたし、はずかしくって気持ちよくって、あんあんってまたエッチな声出しちゃった)  
ドラコはパジャマとパンツをひざまでずらして、枕に顔をおしつける。  
 
そして自分のそこに触れてみたら、もう濡れていた。ちょっと思い出しただけなのに。  
膣の中に指を入れて、ラグナスのやった通りに中を擦ってみる。  
自分の指を入れてみたのは生まれて初めてだ。処女だったときは怖くて出来なかった。  
左手でクリトリスもいっしょに擦りながら、回想を続ける。  
(…それで、ラグナスは途中でやめちゃって。やめちゃやだって言ったら、  
焦らなくていいよって言って、あたしの腰を掴んで、あれをくっつけてきた。  
それで、ずぶずぶって、あたしの中にラグナス、入ってきた…………)  
ラグナスのペニスを想って膣内を指でかき回すが、ぜんぜん物足りない。  
彼のペニスは中がいっぱいになるくらい大きくて、奥まで届いてた。  
(違う…あたしの指じゃ全然だめ。ラグナスは、あのとき、あのとき……。  
ラグナスは、あたしのあそこをずんずんってしながら、しっぽをぎゅって掴んできたんだ。  
それで、ドラコはしっぽもかわいいねって褒めてくれて、先っぽにキスしてくれた……)  
ドラコは四つんばいの姿勢からこてんと倒れて、腰をひねり自分のしっぽを掴んだ。  
(しっぽもあそこも両方、気持ち良かった……)  
ドラコはしっぽの先端を握り、尾ヒレも丸くたたむ。それを、膣口にあてがった…。  
無意識の行動で、彼が触ってくれたところを思い出すとそうなっただけだった。  
「ラグナス、ラグナス……」  
ドラコはしっぽの先端を膣に挿入した。  
「んあああッ!」  
 
そのまましっぽを握りしめてぐちゅぐちゅとペニスのように出し入れさせる。  
「ふああぁ、だめ、んぁッ」  
そのとき、ベッドのそばで脱ぎ散らかしている服の中に1枚のパンツが目に入った。  
それはこの間ラグナスが選んで取ってきてくれた真っ白のパンツだった。  
ドラコはそれに手を伸ばして、顔に押し付けて口にくわえた。  
(こ、これも、ラグナスが触ってくれたやつだ…)  
自分の下着と自分のしっぽでの異常なオナニーに夢中になるドラコ。  
「んふうぅッ!」  
ドラコはそのままであっけなく、いってしまった。  
「はあ、はあっ…」  
絶頂は迎えたはずなのに、ドラコは全く満足を得ることは出来なかった。  
それどころか自己嫌悪さえ感じていた。  
(こんなの、全然、だめだよ。ラグナスじゃなきゃ、全然、うれしく、ないよ)  
ドラコはもう自分はラグナスのものになってしまったと思った。  
でもあのときのラグナスは本当のラグナスじゃない。どうしたらいいかわからない。  
「助けて…ラグナス…」  
誰かになんとかして欲しかった、自分ではだめだ。他の誰でもだめだ。  
やっぱり、ラグナスの代わりは、きっと、ラグナスじゃなきゃだめだ。  
ラグナスに…会いに行かなきゃ……。  
 
あの日以来ラグナスも家にこもってばかりだった。食事も喉を通らない。  
ドラコのことが頭から離れない。錯乱して彼女の純潔を汚してしまった。  
ウィッチから試作品の回復薬ですわと受け取った薬が原因だが、悪いのは全て自分だ。  
強烈な自己嫌悪で、ラグナスは俺は勇者どころか人間としても最低だと思っていた。  
そんなとき、こんこんと玄関をノックする音が聞こえた。でも応対する気になれない。  
無視していると扉の向こうから小さな声が聞こえてきた。  
「あの…………ラグナス…………?」  
ドラコだ!きっと自分を断罪しに来たんだ。彼女は激しく恨んでるに違いない。  
裁かれる罪人のようなおもむきでドアを開けた。  
「う。あ、こ、こんちは、ラグナス………。……あの、ラグナス、あたし、えっと………」  
「………………ドラ、コ………………」  
「あの……あたし、あの、えっと、えっとね……あの、うぅ…………」  
ドラコが何か言い淀んでいる。何を言われるか恐ろしい。決まってる。罵詈雑言だ。  
顔が真っ青になるのがわかる。とても彼女の顔を見れない。眉間に皺をよせ目を伏せる。  
「………………………………ラ…グナ、ス…………」  
ドラコの声が急に変わって思わず顔をあげると、彼女は目に涙をためて震え出していた。  
「………………やっぱり、ラグナス、もうあたしのこと、いやになったかな……?」  
「………………え?」  
 
「だ、だって、あたしの顔、いやそうに見た。あたしの顔、見るのもいやになった…?」  
いきなり堰を切ったように喋りだすドラコ。だがラグナスには言葉の意味がわからない。  
「あたし、こんなになっちゃったのに、もうラグナスじゃなきゃだめなのに、  
ラグナスがあたしのこといやになったら、あたし、どうなっちゃうのぉ…」  
(お、俺じゃなきゃ、だめ……?)  
涙をぼろぼろと流して段々声を荒立てるドラコ。  
「ひんッ……だって、あたし、あ、ラグナスの、ものに、なったのに……  
ほ、本当のラグナスは、もう、こんな、あた、あたしはッ、いやなのぉ…?」  
嗚咽が大きくなって、本格的に泣き出すドラコに、ラグナスはただ狼狽する。  
「ラグナス、あたしのこお、いやになあないでぇ……ううっ、うぅ〜」  
ラグナスは、ドラコは自分のことを憎んでも当然だと思っているのに  
なぜ嫌にならないでと懇願して泣き出すのか、彼女の心理が全く理解できなかったが  
言わずにはいられなかった。  
「ドラコ、よくわからないけど、俺が君のこと嫌になることなんて絶対にないよ……」  
「ひッく……うそ…」  
「うそじゃない、うそじゃないから、泣かないで、ドラコ……。  
俺、ドラコが悲しんでるところを見るほうがよっぽど嫌だよ。だから泣かないで」  
「う、うゎあぁーんっ」  
ラグナスはドラコを抱き締めてなだめた。  
自分にそんなことをする資格はないけど、抱き締めずにはいられなかった。  
「ひっく…ん、ぐしゅ…うぅ」  
ドラコはラグナスの胸板にすがってしばらくぐずり続けた。  
 
ようやくドラコが落ち着くとラグナスは彼女を家の中に招き入れた。  
ドラコもラグナスの袖をぎゅっと掴んで、大人しくついてきた。  
適当なソファーに座らせる。自分は距離を置いて他に座ろうと思ったが  
ドラコが袖を掴んで離してくれないので、そばに寄って座った。  
そして重い空気のなか、なんとか口を開く。  
「………あの、ドラコ………」  
「…………うん。迷惑かけて、ごめんなさい」  
「ドラコのこと迷惑だなんて思わないよ。でも、どうしてあんなこと言ったの?」  
「だ…だって。ラグナス、さっきドアを開けたときから、すごくいやな顔してたよ?  
あたし、あなたのあんな顔…初めて、見た。………こわかった。  
や、やっぱり、あたしがいやになって、顔も見たくなくなったからじゃ、ないの?」  
「違うよ!なんでそんな風に思うの!?ドラコのほうこそ、俺のこと許せないだろ!  
憎まれたって当然だよ!だ、だからドラコが来たとき、そうしに来たと思ったんだ。  
さっきはそれが辛くて………。でも、俺はどんな罰でも受けなきゃいけないから」  
そう言い放ったら、ドラコの緊張が少し解けた。  
「そ、そうなの?…そうだったんだ……でもあたし、ラグナスのこと憎んでなんかないよ」  
「なんで……?俺、君のことレイプしたんだよ!」  
「あ、うん…。でも、あれは、レイプだけど、レイプじゃないよ。  
だって、あたし……嬉しかったもん。じ、自分でも…おかしいって、分かってるよ。  
…おかしいよね。あたし、前からあなたに恋してたってわけじゃないのに、  
初めてがあなたで、今は、嬉しかったって思ってる…。あたし、いやらしい子だ」  
「そ、そんなこと…」  
「初めてだったのに、すごく…よ、良かったし、かわいいって言ってくれて嬉しかった…。  
ドラコを俺のものにしたいって言ってくれて、嬉しかったの。  
でも、あのときのラグナスは本当のラグナスじゃないんだよね…………。  
うそのラグナスはいやらしいあたしがかわいいって言ってくれたけど、  
それは本当のラグナスが言ってくれたことじゃないんだよね。勘違いなんだよね」  
ドラコの声が再び涙声になる。でもさっきとは少し違う。自分をこらえる必死の涙だ。  
 
「でも、でも、うそのラグナスはもういなくて、本当のラグナスは、こんな、  
いやらしい子は、い、いやでしょ?だ、だから…だから、う、うぅ。  
でも、も…もうだめだよ。今さらもう、他の男の子の、も、ものにもなれないよ…。  
ラグナスじゃなきゃだめなの。だ、だから…どうか、あたしのこといやにならないで」  
ドラコはどういう訳か、犯されたことを積極的に受け入れてようとしている。  
でもラグナスは、彼女のそんな誤解は解かないといけないと思った。  
「違う!全然違うよ!それに嘘なんかじゃないよ!」  
「う?…………ラグ、ナス?」  
「本当の俺って言うけど、本当の俺のほうが、最低なんだよ!  
俺、元から、ドラコのこと、よ、欲望の対象に見たことがあったんだ…。  
ドラコの、きれいな姿を見て、ひどいこと想像したこと、ある……。  
ずっとやましい欲望ばかりあったのに、普段は、なんでもないような顔でさ、  
勇者だとかいっても、ちょっと錯乱しただけで、本当にひどいこと、実行して……」  
ラグナスは胸がつまってうまく言葉が出せない。  
「それ、ほんとう?」  
「……そ、そうだよ」  
なんとかそう答えたら、ドラコはおもむろにラグナスの頭を胸にぎゅっと抱き寄せた。  
「…じゃあ、あのときのラグナスはうそのラグナスじゃなくて、本当のラグナスなの…?」  
ドラコのぬくもりを感じたとたん、ラグナスの体のこわばりがじんわりと解けてきた。  
彼女はあの日の事実を否定されることが嫌で泣いていたんだと分かった。  
ラグナスもあの日の事実を真正面から受け入れられるようになったような気がした。  
抱き締められたままで呟くように答える。  
「…うん。全部、俺……」  
「…………そっか。じゃあ、あたしはまだ、ラグナスのもの?」  
「………………うん。俺、そうしたいって思ってる……」  
「ラグナスがそう思ってくれるなら、あたしはずっとラグナスのものだよ」  
 
「………………あのね、ドラコ」  
「なぁに?」  
「俺、君のこと好きになってもいいのかな…」  
「こんなあたしでも好きになってくれるの…?」  
「うん。すごく好きだ……。ドラコじゃなきゃいやだ」  
「…じゃあ、あたしもあなたのこと好きになってもいい?」  
「うん……。好きになって……」  
「うん。ラグナス、大好き」  
「ごめんねドラコ。俺こんなひどい男なのに。こんな俺、もう勇者でも何でもない」  
「ひどくてもいいの。勇者じゃなくてもいい。ラグナスだからいいの」  
「そんな……ありがとう。ドラコでよかった」  
「あたしもだよ……」  
そして二人は手を握り合ってキスをした。  
二人が初めて交わす、舌を入れないキスだった。  
 
ラグナスはドラコを抱っこしてベッドに運んで、そっと座らせた。  
その間二人とも無言だったが、ドラコは大人しくラグナスに身を任せていた。  
ラグナスもドラコと向き合って座り、手を握った。  
「ドラコ、いい…?……今度は、ちゃんと…」  
「うん…。ちゃんと、ラグナスのものになりたい…」  
再びキスを交わす。  
ちゅ、ぴちゅ  
ラグナスは舌の先端だけをドラコの唇に差し込み、お互いの舌先を舐め合った。  
次に舌を唇から出し入れする。ドラコも唇でラグナスの舌をしごいて応える。  
しばらくそうしたあと自然と交代して、今度はドラコの舌がラグナスの唇を抜き差しする。  
キスを続けたまま、ラグナスはドラコをゆっくりと押し倒した。  
彼女の背中の羽としっぽを痛めないように仰向きに寝かせ、自分もそっと覆い被さる。  
ラグナスはドラコに体重の負担をかけないようにしたかったが、  
すでに勃起しているペニスを服の上からでも彼女の下半身に押し付けたくて仕方なかった。  
「んぅッ…!」  
ドラコにペニスをぐりぐりと押し付けると彼女もぴくんと反応した。  
そこでやっと唇と離す。ラグナスも一旦体を浮かせてドラコの全身を眺めた。  
ドラコはきれいな黒のチャイナを着ている。ラグナスが初めて見る服だ。  
スパッツやタイツは履いてなく、すらりとした素肌の足を伸ばしている。  
チャイナのスリットが少しめくれて純白のパンツがちらりと見えていた。  
「ドラコ、きれいだ…。ほ、ほんとにきれいだよ」  
「そ、そんな真顔で言われたら…はずかしいよ」  
でも本心から言ってることは伝わったようで、ドラコは嬉しそうに微笑んでくれた。  
 
ラグナスはドラコの体を探るように触れていく。  
「ん……」  
痴漢のように服の上から胸の膨らみをやわやわと揉んで、太もももそっと撫でる。  
「はっ…………はぁん」  
ドラコはしばらくの間うっとりと彼の愛撫に身を任せていたが、  
やがて彼女のほうからもラグナスの体をさわってきた。  
腰から胸、折り返してラグナスの股間もズボンの上から撫でる。  
「ふっ……」  
ドラコはラグナスのズボンの間に手を差し込んで睾丸の辺りで指をうごめかす。  
そこからすっと撫で上げて彼の勃起したペニスを手におさめてすりすりとさすった。  
「………う」  
ラグナスも痴女にいたぶられているような羞恥心と快感に吐息を漏らす。  
「ドラコ……」  
「ラグナスゥ……」  
ドラコは手付きは淫靡にラグナスの体をまさぐっているのに、  
表情は純情な乙女のように恥じらいと快感に真っ赤になって必死に耐えていて  
そのギャップがラグナスをいっそう興奮させた。  
(こんなに可憐な女の子を俺がこの手で淫らな女にしてるんだ……)  
そう思うと一瞬気が狂いそうになったが、ぐっとこらえる。  
でももう服のうえからの愛撫では満足できそうにない。  
ラグナスはドラコの服を無性に脱がしたくなったが、  
緊張してしまってどう切り出したらいいか詰まってしまった。  
「あ…………っと」  
愛撫を中断して迷っているとドラコのほうからそれを察してくれたようだった。  
「あ、うん………いいよ」  
「じゃ、じゃあ……えっと、いくよ」  
「…うん。この服とっておきなんだから、………や、やさしく、して、ね。  
今度は破っちゃ、いやだよ」  
 
ドラコはラグナスの手で脱がせて欲しいらしく、上半身を起こしてじっと待っている。  
ラグナスは女の服を脱がした経験はなく、当然チャイナドレスの造りも知らない。  
あからさまに不器用な手付きで、彼女の襟のチャイナボタンに恐る恐る触れる。  
もたつきながら右脇までひとつひとつ確かめるようにボタンを外す。  
ドラコはその間、安心した様子で彼の不器用な手付きを見つめていた。  
彼女の服は羽としっぽのために背中が開いていたりスリットがある。  
この黒のチャイナもそんな彼女のためだけに存在している服だ。  
ラグナスは、特別な服だということを意識しながらボタンを外していった。  
右脇が開いてブラのサイドがそっと見える。スリットまでのボタンを全て外す。  
「ド、ドラコ…いい?」  
チャイナの合わせをめくって前を全部はだけさせる。  
「………うん」  
ドラコはたくさんの上品なレースがあしらわれた白の上下揃いの下着を身につけていた。  
そのあまりに可憐な光景にくらくらしながら、チャイナを両肩から落としていく。  
背中が大きく開いているのでチャイナは簡単にお尻の上まで落ちた。  
「お尻…浮かせて」  
ドラコは無言でこくんと頷いて、腰をややひねりながら浮かす。  
しっぽのためのスリットから、やっとチャイナを全て抜きとった。  
真っ白な下着姿になったドラコ。  
花の刺繍もレースも、ブラとパンツのフロント部分の大きなリボンも全て純白だ。  
眩しいくらい真っ白で、なんだか、ウェディングドレスが下着になったようだった。  
「ドラコ、これ、まっさらだね。きれいだ…。新品だ」  
「あ、あ、うん…。あたしには、こんなの似合わないかもしれないけど」  
「そんなことない。ほんとに似合ってる。かわいい」  
「あ、あ…ありがとう。よ、よかった」  
黒の艶やかなチャイナドレスも、バージンホワイトのランジェリーも、  
ドラコがいつか出会う愛しい男を夢見て用意していたものだ。  
 
下着だけになったドラコはじっと大人しくラグナスの視線を全身に浴びている。  
ラグナスは、彼女は自分に見てもらうこと触ってもらうことを喜んでいるのだと  
確信し始めていて、その自信が彼を次第に積極的にさせていった。  
ドラコを再び押し倒して横にさせる。自分も彼女の右側に添い寝した。  
右手でドラコの顎を撫でながら、彼女に寄りかかって軽いキスを繰り返す。  
「んっ…ん、ちゅ」  
ドラコも嬉しそうにキスを受け入れて、ラグナスの手に手を添える。  
ラグナスは唇だけでなく顔のあちこちにもキスをする。  
ドラコの頬は温かくてすべすべで柔らかくて、耳たぶも舌触りが最高だった。  
ぴちゃん、ぴちゃ、ちゅる  
彼女のとがった耳にも舌を這わせ、わざと大きな音を立てて舐める。  
「ふぁ、ふう…ラグナス…」  
キスは次第に顎、首筋、鎖骨へと降りていく。  
そこからラグナスはブラに顔を埋めて甘い匂いをかぎながら頬擦りする。  
「んあっ」  
ドラコの既に勃起している乳首がブラの裏地で擦れる。  
「ドラコ、外すよ…」  
ラグナスは左手をドラコの背中に回してブラのホックを探る。  
そしてさほど手間取りもせずにホックを外してしまった。  
さっきチャイナを脱がすときと比べるとずいぶんスマートな手付きだった。  
もちろんラグナスは女のブラを脱がすことも生まれて初めてだったが  
沸き上がる自信が彼を器用な男に少しずつ変身させていった。  
「ドラコ、腕あげて」  
ラグナスの囁く言葉にも命令のニュアンスが強くなってきた。  
ドラコは彼の言葉に従うことを喜ぶように頷いた。ブラを抜き取る。  
「手で隠しちゃだめだからね」  
「うん…」  
 
ドラコの上気して熱っぽい肌を首筋からへそまでつーっと撫でる。  
「ふぁッ!」  
ラグナスの指にぴくんぴくんと反応するドラコ。  
乳房もそっと掴んでふにゅふにゅと感触を楽しむ。もう片方は舌で愛撫する。  
アンダーバストからトップまで舌で舐めあげて、乳首をつつく。  
「やぁ、ふぁあ」  
たまに攻め方を左右で交代しながら、かなり執拗に乳房への愛撫を続ける。  
「うぁっ、ラ、ラグナス、だめ…」  
ピンクの乳首は勃起しきっていて堅い弾力をラグナスの唇に与えていた。  
唇に力を加えて歯を立てないように強く甘噛みしてみる。  
「んあぁッ!」  
「…ドラコ、今の痛かった?」  
「ふぇ?」  
「痛かった?」  
「い、痛くはないけど、なんだか…」  
「じゃあ、これは痛い?」  
もう少し力を入れて噛む。  
「ああぁ!」  
「どう?これくらいでも大丈夫?」  
「ふあぁ…な、なんか」  
「なんか?」  
「え…なんかジンジンするの…ラグナス、あんまりいじわるしちゃ…やだよう」  
「あ、ご、ごめんねドラコ。俺、加減がまだよく分からないから」  
「うそだ…」  
「え?なにが?」  
「ラグナス、ほんとは、たくさん…経験があるんでしょ。だって、すごいもん」  
たくみに快感を与えてくるラグナスをドラコは経験豊富だと思っていたようだ。  
「ち、違うよ。俺だって、ドラコが…は、初めてだった、し」  
「……ほんと?」  
「こ、こんなこと、嘘で言わないよ。それにドラコに嘘は、つきたくないよ」  
「ラグナス…」  
 
ラグナスはもともとセックスの才能があったのかもしれない。  
それも相手を適度にいじめて感じさせる技術が潜在していたようで、  
ドラコへの愛しさのために自分の欲望より彼女を優先したい性格も加えて  
ここへきて自分の才能を開花させていった。  
ドラコも彼に攻められることの喜びに目覚めつつあったようだ。  
「あ、あうぅ、ラグナス…やあぁ」  
ラグナスの指と舌がようやく乳房から離れてドラコのからだを降りていく。  
へその窪みに舌を埋めてみる。  
「うあッ、ラグナス、おへそ…だめ、あッ、あ!」  
ドラコはラグナスがどこに触れてもそこが性感帯のように甘い悲鳴をあげる。  
ラグナスの右手がドラコの股間に伸びた。  
「あ…」  
花の模様のレースの手触りをさわさわと楽しみながら、鼠径部を撫でる。  
じゅく…  
「うわ、もう、こんなに…」  
薄い生地が愛液で透けて下着越しに陰唇の形が分かる。  
「やだっ、ラグナス、見ちゃだめぇ…」  
ドラコは膝を閉じてそこを隠そうとしたけど、ラグナスが手で征す。  
「ド、ドラコ、暴れないで。膝、もっと開いて…」  
「で、でもっ」  
「ね」  
「………………」  
しばらく葛藤したあと、ドラコはおずおずと膝を割った。  
ラグナスはドラコの膝の間に入り、彼女のそこに顔を寄せてパンツの上からキスをした。  
「ふああぁあッ!」  
一番の性感帯に触れられて首をのけ反らせるドラコ。  
ラグナスは下着越しのクンニリングスを続ける。  
クリトリスの膨らみを舌でつつき、陰唇のラインを上下になぞる。  
下着に染み出る愛液を音をたててすする。  
「やぁあ、ふああぁ!」  
 
ドラコは敏感な部分を濡れた布地で擦られる感覚に喘いでいる。  
「ラ、ラグナスゥ…こんなの、変だよお!」  
ドラコの純白のパンツは2人の唾液と愛液でぐちょぐちょに濡れきっていた。  
「ドラコ、脱がすよ…」  
ラグナスはここまで濡らすことができて満足して、ようやく最後の一枚を脱がすことにした。  
布地の中に舌を滑り込ませて、ドラコの肉や恥毛を噛まないようにクロッチを噛む。  
そしてそのまま口で彼女のパンツをずらし始めた。  
「え!そんな…口で!?」  
口で脱がす行為にドラコが戸惑う。でもラグナスは噛んだままで器用に命令する。  
「暴れちゃだめだって。お尻あげて、じっとして」  
「…!」  
ドラコは真っ赤な顔で目をうるうるさせてラグナスの命令に従う。  
ラグナスは絶妙な力加減でパンツを破りもせずゴムも切らず、ずり降ろしてゆく。  
「あぁ……ラグナス、こんなの、はずかしい…」  
「ドラコ、かわいい」  
ラグナスにはドラコが羞恥に耐える姿が愛しくて仕方がなかった。  
普段大ざっぱな性格なように見える彼女だが、本当は誰よりもかわいい少女なのだ。  
パンツを膝までずらしたら、そこからは手を使って、足から抜き取った。  
時間をかけて愛撫されながらようやく全裸になったドラコ。  
全身の肌を桜色に染めて恥じらいながらも、ラグナスの命令を守って  
手でからだを隠さずに彼の前に健気にさらけだしている。  
ラグナスはそんな彼女をもっともっと感じさせて恥ずかしがらせたいと思った。  
ドラコの膝の裏を掴んで思いきり持ち上げて開いた。  
「やああぁんッ!」  
ドラコは嫌がったが、彼女のからだはとても柔かく、なんなく開脚させられる。  
「ドラコ、きれいだ…大好きだよ」  
彼女のそこは、たっぷり味わされた愛撫で失禁したように濡れている。  
 
勃起したクリトリス、前の記憶よりやや開いたような陰唇、ピンクの膣口に可憐な肛門。  
自分が処女を奪って、自分だけが知っている彼女の一番大事なところ。  
見るのは二度目になるけど、今初めて本当の自分が本当の彼女の全てを見たような気がした。  
ラグナスはもうじらすのはやめてダイレクトにドラコを愛したくなった。  
「あ!あ!あああぁッ!」  
おもむろにそこにキスした。膣口に舌を埋めて、できるだけ奥に差し込む。  
処女膜の跡と、ぐにぐにした熱い粘膜と塩っぽいのに甘く感じる濃い愛液を感じた。  
「あ!あッ、あ!ラグナス、ラグナス!ふああぁあッ」  
ラグナスがそこを思いきり吸ったらドラコは一際高い悲鳴をあげて一瞬激しく痙攣した。  
「えッ!?」  
「あ、あぁー。あ…はぁ、はあ」  
徹底的に昂らされていたドラコはクンニリングスを始めたばかりでいってしまったらしい。  
クリトリスが一番の性感帯だと思っていたラグナスはそこへはまだ愛撫も始めていないのに  
膣への愛撫だけでドラコがいってしまうとは思っていなかった。  
「も、もう…いっちゃったの?」  
「はあぁ、だ、だって……」  
一瞬呆気にとられたが、ラグナスは愛しい女を愛撫でいかせられたことに気をよくした。  
「もう、こんなすぐいったらだめだろ」  
「ご、ごめんなさぁい…」  
「ドラコはほんとにエッチなおまんこしてるんだね」  
思い切って卑猥な言葉を口にしてみる。  
「いやぁ…ち、違うもん!」  
「そう?」  
ラグナスは、とろとろと愛液を垂らすドラコのいったばかりの”おまんこ”を再び吸う。  
「きゃあぁ!だめええ」  
そして膝を解放して、ラグナスはその口でドラコに顔を寄せ口にキスをした。  
くちゅ、ぱ…  
口に含んだ愛液を彼女の腔内に押し込んで飲み込ませた。  
「ほら、エッチな味だろ」  
「うぅ………………」  
 
ドラコは荒い息をついて全身をくてっと虚脱させてしまった。  
(ちょ、ちょっと攻めすぎたかな………………)  
快感に過敏になりすぎているようなので、少し話しながら休ませてあげたくなった。  
彼女のためにも、あとあと自分がじっくり楽しむためにも。  
「ちょっと休もうか……ごめんね、いじわるしすぎたかな……」  
「…………う、うん。ラ、ラグナスって、ほんとはいじわるなんだね…」  
「そうかもしれない」  
「………………うふふ」  
ドラコが微笑んで、空気が落ち着く。その間、ラグナスは自分の服をゆっくり脱いだ。  
全てを脱ぎさった彼は横たわる彼女に自分のペニスを見せつけるように膝立ちになった。  
「あ、あ、えっと………ラ、ラグナス……………」  
ラグナスのペニスは気力も体力も充実して力強く勃起していた。  
それを見てはっとしたドラコはかすれた声を漏らしながら凝視した。  
「どう?まだ、こわい…?」  
「え………えっと、ううん…。でも、やっぱりその、大きいな、って」  
ドラコは彼のペニスにもう恐怖感は感じなくなったが、まだ見慣れてはいないようだった。  
心を奪われた様子で、素直な感想を口にする。  
「よく、こんなのが、あ、あたしの、な、中に入ったよね…」  
「そう、かな。でも女の人って子ども産むから、これくらい……」  
「え…………。あ、そっか。子ども…赤ちゃん…産む、から」  
「うん。赤ちゃん」  
一瞬ふたりの間に沈黙が入る。  
「ねえ、ラグナス………」  
「ん?」  
「ラ、ラグナスは、やっぱり人間の女の子がよくないの?あ、あたしは………………」  
「ばかっ」  
「え」  
「俺は、ドラコケンタウロスのドラコが大好きなの」  
「………………あ、ありがとう」  
ふたりは生まれたままの姿でぎゅっと抱き合った。  
 
裸で抱き合うのは本当に心地よくて、セックスとはまた違う幸福感がある気がする。  
ドラコもそう思っていたらしく、体を離したとき、一瞬名残惜しそうな顔をした。  
でも、続きを再開する。今度はラグナスの番。  
「ドラコ、俺のにも触って…………」  
「あ………………」  
ラグナスはドラコの手を導いて自分のペニスに触れさせた。  
ドラコは体を起こして、そっと感触を確かめながらそれを両手で握る。  
「えっと………」  
ラグナスが何を言わなくてもドラコはすりすりとさすり始める。  
じわじわと快感が沸き上がり、ドラコも愛撫の調子を少しずつ強くしていく。  
以前にも彼女にペニスを愛撫させたことがあるのでよく覚えているようだ。  
「じゃ、じゃあ、えと、ラグナス……いい?」  
「うん」  
ドラコはひざまずくような姿勢に変えて、膝立ちのままのラグナスに近寄る。  
そして亀頭に唇を寄せて一瞬間をおいたあとキスをした。  
「ん、ちゅ………」  
何度かついばんだあと、舌を出してちろちろとなめる。  
「ん、んっ……んふぅ」  
ペニスを根元で握って、舌でペニス全体を上下させる。  
「ラグナス、だいすき………」  
舌で茎を何度か往復したあと彼女の舌は亀頭に戻って、そこを集中的に愛撫する。  
ドラコはフェラチオに慣れない抵抗感をみるみるなくしていき愛撫に夢中になる。  
ぴちゃ、ぴちゅ、ちゅ…れろ…………  
ラグナスは彼女にフェラチオをさせながら、ゆっくり膝を落とし、座りこむ。  
ドラコも彼の両足の間に入って、ペニスに覆い被さるような姿勢になる。  
くぱ……ちゅ  
ドラコは唇を開いて亀頭を口に含む。そして唇の中で亀頭への舌の奉仕を始める。  
亀頭と茎の境目の部分を、特に裏側を舌でぴちゃぴちゃと強くこする。  
尿道口には舌の先端を硬くして、つんつんと舌をほじるようにうごめかす。  
ドラコはつい数日前まで処女だったとは思えない舌技を覚え始めていた。  
 
「うっ………く、ドラコ、すごい」  
ラグナスはドラコの熱のこもったフェラチオに悶えて耐える。  
彼女の唾液がペニスを垂れて陰のうまで濡らしていった。  
「んっ、ん…んちゅぅ………んくっ」  
舌を動かしながら亀頭をちゅぷちゅぷと唇から出し入れさせる。  
ドラコはどうすればラグナスが喜ぶのか自然と学んでいるようだ。  
今度は口を大きく開けてペニスをできるだけ深く飲み込む。  
そして唇をぎゅっとすぼめて、ゆっくりと引き抜きながらしごく。  
「ふうぅっ、うあッ!」  
ラグナスは思わず女のような悲鳴をあげてしまった。  
経験が浅くともかなり持ちこたえている彼だが、さすがに限界が近付く。  
ラグナスの喘ぎ声を聞いてドラコは一瞬上を向く。ふたりの目が合う。  
「ド、ドラコ…、もう、俺、げんかい………」  
「………………ん」  
「ねえ、このまま出してもいい………?」  
ドラコは返事はするかわりに、小さく頷いてフェラチオを再開した。  
「ん、ん〜、んッ!ん!」  
可憐な唇に精一杯力を込めて吸い付くドラコ。  
ときおり彼女の小さな牙がペニスにあたる感触ですらラグナスには強烈な快感になる。  
「あ、うあッ!ドラコッ、いくよ!う、ふううぅッ!!」  
びく!びくんッ!びくん!  
「ん………んんう」  
ラグナスは腔内に思いきり射精する。ドラコは懸命にこぼさずに受け止めた。  
そして、迷わずに彼の精液を、飲み込んだ。  
「んく、ん………う」  
ドラコはゆっくりと彼のペニスから口を離す。液体の糸が短く延びて切れた。  
「はあ、はぁ………ドラコ、すごい。ありがとう………」  
「…………んぅ。ラグナスのも、すごかったよ……………」  
激しい射精の余韻にしばし浸るラグナス。  
でも、彼のペニスはまだ全く衰える様子はなかった。  
 
たった今射精したばかりなのに興奮がおさまらない。  
ドラコも彼のペニスに戯れている間にまた体が火照ってきたようだった。  
「ドラコ、おれ、もう、君のこと、全部欲しい………」  
「うん…あたしも欲しいよ…。あなたに全部、貰って欲しい」  
ラグナスはドラコをぎゅっと抱き締めながらゆっくり横たわる。  
ドラコの唇にまたキスをする。さっき口内射精した精液は全く気にならなかった。  
そのままで腰を浮かせて、ペニスで彼女の体のあちこちをつつく。  
体を起こしてドラコの胸にもペニスを擦り付ける。乳首を亀頭の窪みで挟んでみる。  
「んぅ…………」  
ドラコはペニスを擦り付けられることが挿入前の儀式であるかのように大人しく受け入れる。  
ペニスはそのままドラコの体を下に、胸の谷間、へそ、恥毛、クリトリスとなぞっていき  
膣口にあてがわれて、再び滲み出ている愛液を塗りたくる。  
「あ…ああぁ、ラグナス…………」  
ドラコは足を大きく開いた姿勢のままもじもじを腰を動かす。  
ラグナスはドラコの片膝と自分のペニスを掴んで、彼女の中に照準を定めた。  
「ドラコ、ドラコ……、今度こそ、君の全部、ちゃんと貰うよ………」  
「うん、あたしの全部あげる。体もあげる。こころも、あげるよ………」  
「ああ、ドラコ…」  
「おねがい…はやく…、いれて…」  
そしてラグナスは彼女の膣にゆっくりとペニスを突き立てていく。  
にちゅ、にゅ…………  
「はあぁあ………ああ…あっ!」  
まだふたりともセックスは数回しか経験がないのにスムーズに挿入させられた。  
とくにドラコは破瓜の痛みをもう全く感じていない様子で、  
しかも挿入時の抵抗感をさほどラグナスに感じさせずに彼を中に受け入れた。  
しかし、ラグナスのペニスが最奥まで到達して挿入が完了したとたん、  
彼女の膣壁はペニスを引きちぎるように強烈に締め付けてきた。  
「あああぁッ!!」  
ふたりはいっしょに声をあげた。  
 
「ああぁあーッ!ラグナス!はあぁ………」  
ラグナスに貫かれたドラコは彼の体に触れようと両手を宙に泳がせてのたうつ。  
強烈な締め付けにどうにか耐えたラグナスはドラコの求めに応じて体を合わせる。  
ゆっくりと覆い被さってできるだけ密着して、自分の体重も適度に彼女に味あわせる。  
ドラコも下から彼の背中に抱き着き、足も彼の腰に絡ませた。  
「んんぅ、んー、んぁああん」  
ドラコの膣壁はぐにぐにとうごめいて、中の感触を鮮明にラグナスに伝えた。  
「ドラコ、すごい、気持ちいいよ…」  
ラグナスは彼女がいったん落ち着くまで、じっと静止しているのだが、  
ドラコの中はいっこうに落ち着かずに、彼女自身もせわしなく喘ぎ続ける。  
「ああぁーッ!ラグナス!ラグナス!だめッ」  
「ドラコ、だいじょうぶ?つらいの?」  
ラグナスはいったん引き抜こうかとほんの少しだけペニスを動かす。  
でもドラコはその動きだけでもさらに激しく鳴いた。  
「ああああぁー!だめ、だめ!いく………!」  
「え……?うぁッ!?」  
びくん、びく、びぎゅうぅ………  
膣内がさらに締め付けを増した瞬間にドラコは痙攣してラグナスを強く抱き締める。  
まだ挿入して一分もたってないのにドラコはもういってしまったようだ。  
「あああ、はあーっ、はあー、ラグナスゥ…」  
処女を失ったばかりとは思えないくらい過敏な感度に、つくづく驚かされるラグナス。  
彼も当然ドラコ以外の女を抱いたこともないから、彼女が特別に多感だからなのか、  
それとも自分に特にセックステクニックがあるからなのかは分からない。  
「はあ、はぁ、どうして、こんなに…すごいのぉ?ラグナス…ラグナスゥ…」  
ドラコも自分の感度に自分自身でとまどっているようだ。  
ラグナスはそんな彼女を見て、「愛してるから」と自惚れてもいいんじゃないかと思った。  
本当に愛しくて愛しくて、それが確実に届いているような気がした。  
しかし、それはおいても、本当だったら彼女はこのまま休ませてあげたかったが、  
自分のほうのペニスの昂りはこのままで到底おさめられそうにもなかった。  
 
ドラコはラグナスの腕の中でぴくんぴくんと体を揺すって余韻に浸っている。  
しかしラグナスは構わずにじっくりとペニスを動かし始めた。  
「ひゃッ!え!きゃあ!」  
ドラコが高い悲鳴をあげた。動くたびに潤んだ瞳を見開いて鳴く。  
「ラ、ラグナス!だめ!びんかん…すぎる、の!」  
「ごめん、ドラコ…とまらないよ」  
「そんなぁッ!あ!あっ…!」  
「でも、俺……いきたい」  
「あう…………はあァッ!」  
ラグナスはペニスでドラコの膣内を様々な角度で擦る。  
一番奥まで突き入れたときや入口付近を擦るときに、彼女はとくに強く反応した。  
「あ……………あ……………あぁ」  
ドラコは焦点の合わない目で、口を大きく開いて、舌をぷるぷると震わせていた。  
惚けた表情だが、ラグナスの目にはそんな彼女の姿が可憐で美しいと思った。  
ぐちゅ!ぎちゅぅ!ぴちゅ!  
狂ったように腰を振る。  
「ラグナス!ラグナス!だめッ……だめぇ…ああああぁ!」  
ラグナスはがくがくと痙攣する彼女の体を挿入したまま抱えて持ち上げた。  
彼女にまたがらせた姿勢で座って、下から突きあげる。  
「あうぅ、またいく!らめ、しんじゃうッ!」  
座位で繋がるとお互いの頭がちょうど同じ高さの目線になって、唇をまた奪う。  
口付けでふたりとも酸欠気味になって、ラグナスも射精感が限界に近付く。  
「んーッ!んふううぅぅ!らぐ…」  
「もうだめだ!ドラコ!好きだ!愛してるッ!ドラコ愛してる!」  
「あ、ら………ひ!…も…………、あ………………」  
ラグナスは全てでドラコを感じながら、自分を爆発させた。  
びゅ!びゅぐうぅ!どくん!  
「うああぁッ!ドラコォ!!」  
「ひ………………ぁ……………………………」  
同時にドラコは声にならない悲鳴をあげて、抱き締められたまま弓なりにのけ反った。  
 
びくん…びく、どく、どぐん………………  
射精はまだ続いていた。ラグナスにとってもこれほど射精し続けるのも初めてだった。  
のけ反っているドラコの胸に頭を押し付けて、腰が砕けそうな快感を味わう。  
「ドラ、コ…………ドラコ、ドラコォ……………」  
「は……………………………」  
ラグナスはかなりの間ドラコを抱き抱えた姿勢のままでいたが、  
ようやく徐々に正気を取り戻していって、抱く力を少し緩める。  
「あぁ、ドラコ…、ごめんね…………こんな」  
「………………」  
しかしドラコは返事をしない。  
不審に思ったラグナスが体を離して見ると、彼女はよだれを垂らして目を閉じて、  
上半身は解放されたと同時に力なくぽすんとベッドに倒れ込んだ。  
「ドラコ………?」  
彼女は失神しているようだった。  
「え、あ……っと」  
ラグナスは腰に絡み付いたままの彼女の足を解いて、ペニスを引き抜く。  
ちゅぽんと音がしたような気がした。そしてそこからふたりの体液がとろりとこぼれる。  
ラグナスはいったんベッドを降りて、急いでタオルを持ってきて、  
彼女の顔を優しく拭いてきれいにし、彼女の秘部も拭いて清める。  
「………………えぁ?」  
ようやくドラコが反応した。  
 
「…………あ、あたし……………どうしたの…………?」  
「ああ、ドラコ…………えっと、気を失ってたみたいだよ」  
「……そう、なの…そうかぁ。ラグナス、ちゃんと……もらって、くれたんだね」  
「うん。すごかった、最高だった。でも、ごめんね。無茶してしまって」  
「………ううん、うれしいよ。……あいしてるって、ゆってくれたの、きこえたよ」  
「う、うん。俺、君のこと、愛してるよ」  
「あたしも………あいしてるよ………」  
「ドラコ………………」  
「………ねえ、ラグナス……このまま、ねてもいい?ねむくなって、きちゃったの」  
「え、うん。いいよ。ゆっくり休んで」  
ラグナスはドラコにからだにシーツをかけてあげて、髪をそっとなでる。  
ドラコは嬉しそうに微笑んで再び目を閉じる。すうすうと呼吸が徐々に緩やかになっていく。  
「………………あのね………」  
そして、彼女はぼんやりと呟いた。  
「え…………?」  
「あたしね………おりょうりの、べんきょうするの………」  
睡眠しようとする無意識の、いわば寝言に近い言葉なのだろう。ラグナスは黙って聞く。  
「それで………ラグナスに、いつか…あさごはん、つくってあげるんだ………」  
「ドラコ……」  
「…………よろこんで、くれるかな…………」  
おそらくドラコは今言っている言葉はこの後覚えてはいないだろうと思いつつも  
ラグナスは返事をせずにはいられない。そっと囁き返す。  
「ああ…………ドラコ、うん、うれしいよ」  
「…………えへへ………、ないしょだよ……………」  
「………………………………」  
そしてドラコの呼吸が完全に寝息になった。  
ラグナスは、彼女の穏やかな寝顔を見たら、なぜか涙が出そうになった。  
たぶん嬉しいのだと思う。嬉しくて泣くのは初めてかもしれない。  
彼女のことをなによりも大切にしようと改めて自分に誓いなおした。  
 
 
 
数日後。アルル達友だち同士ががよく集まるカフェ。  
その日もいつものようにアルルやルルー達いつものメンバーが集まって談笑している。  
そこへドラコが久しぶりに顔を出した。  
「どもー、みんなちょっとだけ久しぶりー」  
「あ、ドラコ」  
「おいっす」  
みんなが振り向く、そこに元気に微笑む彼女の姿があった。  
「どうしてたのー?最近元気がないって心配してたよ」  
「あ、うん。もうぜんぜん平気。今はもう超絶好調だよ」  
「まあ、そうみたいね」  
アルル達には確かにドラコが元気そうに見えた。  
でも溌溂とかいうのではなく、穏やかに内面から輝いてるような感じだ。  
「あれ、ドラコなんかかわいくなった?」  
「何言ってんのよ。あたしはいつだってかわいいわよ」  
「ふーん………?」  
理由は分からないけどなぜかちょっときれいなドラコ。そんな彼女がウィッチに声をかけた。  
「ねえ、ウィッチ、ちょっとちょっと」  
「な、なんですの」  
「一週間くらいまえにさ、あんた、ラグナスに変な薬飲ませていたずらしたでしょ」  
「なッ、いたずらじゃありませんわ。れっきとした研究ですわッ」  
「飲ませたんだね」  
「はうッ………!そ、それがどうかしまして?」  
「うん、それね……………ウィッチ、ありがとね」  
「……………は?な、なんでそれでお礼を、あなたが言うんですの??」  
「ううん、別に。ちょっと言いたかっただけ。じゃああたし早く買い物しなきゃ。  
今日はちょっと顔を出しだけなの。じゃあね。みんなもばいばーい」  
そして颯爽と去っていくドラコであった。  
「い、いったいなんなんですの………????」  
ウィッチにはラグナスの薬とドラコとなんの関係あるのか到底理解できない。  
アルルやルルー達もどうしてドラコがきれいになったのかまだ彼女達には理解できない。  
 

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