「ね……、ラグナス」  
「なに?」  
食事の合間に、ドラコはテーブルの向かいにいるラグナスに問い掛けた。  
「誕生日のプレゼント、なにがいい?」  
「へ」  
「なんでもいいから、物じゃなくてもいいから、なんか欲しいものない?」  
「ああ……。う〜……ん。なんでもいいよ。なんでも嬉しい」  
「それじゃあ分かんないよう。あなたが欲しいって思ってるもの、あげたいの」  
もうすぐ四月一日。二人で迎える初めての彼の誕生日。張り切って祝いたい。  
 
本当は秘密でプレゼントを選びたかったけど何を贈ればいいかさっぱり分からなかったので  
ドラコはシェゾに、男の子ってどんなものが欲しいのかなと相談したことがあった。  
「…………ほお。なるほどな。あいつは四月バカなのか」  
「がおーっ!」  
「うおおッ!熱ッ!危ないな!バカ!」  
「バカじゃなーい!真面目に聞いてよヘンタイ!」  
「くう。だったら真面目に答えてやるがな。俺にあいつの欲しい物など分かる筈なかろう。  
 大体男の欲しい物ってなんだ。だったら逆に女が共通して欲しがる物があるか?」  
「え。それはえーっと。花とか……」  
「なに言ってる。世の中花が嫌いな女もいれば、花が好きな男もいる。  
 違うだろう。そもそも贈り物を”男が欲しがる物”で選ぶという基準が間違っている。  
 贈り物なら相手の欲しがる物を考えろよ」  
「……それが分かんないのよ……」  
「なら本人に聞け」  
「それじゃつまんないよ」  
「……お前サプライズプレゼントにこだわり過ぎていないか?  
 贈り物というのは、相手がなにを欲しがっているか、相手の喜びが最も重要だろう。  
 それを自分と相手の二人でともに考えるということも、そう悪くないと思うがな」  
「……………………あんた、もしかして、いい奴?」  
なんてやりとりがあって、彼女はなにをプレゼントにするかラグナスと一緒に考えることにした。  
 
「その、なんでもいいのよ。現実的に可能なものなら、なんでもいいし、なんでもするよ」  
なんでもするなんてセリフ、よっぽど特別な相手にしか言わない。  
そう言ってからドラコはシェゾの言葉をなんとなく理解して、秘かに彼に感謝した。  
それに、なんでもするって言葉、なんだかすごくエッチな響きもあって、  
ものすごく卑猥な要求をされるかもしれないようで、ぞくっとした。  
……って、エッチなら誕生日じゃなくても普段からたくさんしてるんだけど。  
でも特別な日に思いきりロマンチックに愛し合いたいとも、ちょっと思う。  
 
そのうちに、ラグナスはなにか思い当たったような表情をした。  
「…………ほんとに、なんでもいいの?」  
「うん。あたしにできることなら」  
彼は異様に真剣になってゆく。  
「じゃあ、当日になったら、俺がして欲しいこと言う。それでもいいかな」  
「え……。うん、いいけど、なに?」  
「それも、そのとき、言うよ。嫌だったら、断わってもいいから」  
意味深。  
 
なんだろう。物じゃないみたいだけど、断わりたくなるようなことを要求されるのだろうか。  
ドラコはたとえ一方的で無茶なセックスを要求されても彼が求めるなら応じる気持ちがある。  
もしかして、そんなことよりもっとひどいことなのだろうか。  
でも彼がそんなひどいことを望む人じゃないことは自分が誰よりも理解してる。  
 
結局彼女は、普通誕生日が近付くと、本人が何を貰えるんだろうってどきどきする筈なのに、  
逆に自分が何を求められるんだろうってどきどきするっていう気持ちで過ごしてしまった。  
 
で、当日。  
ドラコはこのために今日明日とバイトを休んだ。  
そしてラグナスのお誕生会第一部、友人達が集まっての簡単なパーティー。  
「はらら〜♪ハッピバァスデ〜、トゥ〜、ユウウウ〜♪」  
景気よく始まった!  
 
パーティーはなんとかつつがなく進行した。  
ラグナスへのプレゼントは元々渡す気のない人は持ってきてなくて、持って来てる人は渡した。  
「お誕生日おめでと〜。これね、シェゾとお金出し合って買ったんだよ」  
アルルも紙袋の包みを彼に贈った。シェゾは来てない。男の誕生日を祝う趣味はないとか。  
「ありがとう、アルル」  
「ドラコがね、キミは白が好きだって言ってたから白にしといたよ。リボンはしっぽに結ぶの」  
「え、俺、白が好きだなんて言ったっけ。なんだい?」  
「しっぽ…?ってのはあたしの?」  
「うん。開けたら分かるよ。でも開けてるのはみんなが帰ってからにしてね。あはは」  
「???」  
そんなこんなでパーティーはみんなで適当に喋って遊んで終わった。みんなも帰宅する。  
 
そしてお誕生会第二部、ラグナスとドラコの二人きりで祝う時間が始まった。  
料理はみんなに振る舞ったものの余りとかの簡単なものだけど、  
彼女が一生懸命焼いた小さなケーキがそこに加わった。  
…………で。彼がして欲しいことをしてあげるプレゼントをすることになったんだけど。  
その前に二人はアルルがくれた包みの中が気になったので、それを開封した。  
「…………うゎ」  
中には下着のセットが入ってた。  
純白のブラ、パンツ、ガーターベルト、ストッキング。それと同じレースの巨大なリボン。  
つまりアルルはラグナスに、これをドラコにつけさせろという意味で渡したわけだ。  
ドラコは以前確かにアルルに、彼ってば白い下着が好きなのよってのろけたような記憶がある。  
そういうわけだから彼女は白をたくさん持ってるんだけど、  
これは、その中のどれよりもきわどくて、いやらしい…………。  
布地はどこも極薄の超スケスケで、パンツはほとんど紐。ブラもきっと乳首が透けてしまう。  
彼女は真っ赤っかになってうろたえてしまった。  
「こ、こんなの、着れない……」  
「はは……。これは、冗談、きついね……」  
ラグナスが笑ってごまかして、いそいそとそれをしまった。  
 
「もうッ!……ね、ねえラグナス。こんなのより、あたしはどんなプレゼントしたらいいの?」  
あまりに恥ずかしすぎるので、さっさと話題をすすめるドラコ。  
「あ、ああ……」  
すると、ラグナスは、とたんに神妙な顔付きになった。一瞬で空気が変わったような感じ…。  
「ちょ、ちょっと待ってて」  
ラグナスはいったん奥の部屋に引っ込んだ。  
一人しんとした部屋で待つ。なんだか、意味も分からず緊張してきた。  
そして彼も彼女に負けないくらい緊張した顔で戻ってきた。  
 
「俺も、18歳になったよ」  
なにか持ってる。彼が奥に行って取ってきたものは、小さな指輪ケースだった。  
 
「それでってわけじゃないけど……それで、今すぐじゃなくてもいいから。  
 俺がもっと一人前になってからで、いつか将来で、いい…から」  
 
「ドラコ……。将来、俺と…結婚してくれないか……」  
 
「ラ…グ…ナス……」  
「そのッ!…今日、言いたかったんだ。こ、こんな…いきなりで、ごめん。  
 でもその、誕生日プレゼントとしてYESって言ってくれってわけじゃなくて。  
 今すぐ結婚しようってわけじゃなくて。いやになったらいつでも取り消してくれていいし。  
 あ、いや、いやなら、こ…こ…断わられても、仕方…ないし……。  
 こ、これは、ただの普通の指輪なんだけど、受け取って、くれる、かな…?」  
「…………る」  
「え」  
「する。結婚する!あた、あたし結婚したいっ……」  
「ほ、ほんと?」  
「ほんと!絶対する…!」  
思わず彼に飛びついてしまう。  
まさか、彼の誕生日に、自分が心の片隅で求めていたものを贈られるとは思わなかった。  
 
小さな赤い宝石の指輪だった。ルビーらしい。  
「あなたの、誕生日なのに…あたしがこんなの貰っちゃって……変だよ……」  
抱き合ったまま、二人ともカーペットにぺたりと座った。  
「でも、俺が…ほ、欲しいものは、君が…いつか、お嫁さんになってくれること、だから…」  
「お、およめさん……」  
「……うん…」  
「…………ねえ、ウソじゃないんだよね。ほんとにお嫁さんにしてくれるの?  
 あたしでいいの?人間同士じゃないんだよ?」  
「……本気だよ。ずっと君と一緒にいたいんだ。好きだよ、ドラコ…………」  
彼が真剣な目で見つけてくる。  
「ああ、ラグナス……。あたしも、好きよ……」  
 
ゆっくりと顔を近付けて、キスをした。  
 
舌と唾液をずっと絡ませ合って、ゆっくり唇を離した。  
「ドラコ……。いい…?」  
「うん……。じゃあ、シャワー、浴びてくるね…」  
 
シャワーを浴びる。  
ラグナスを待たせないようにするのと、体を丹念に綺麗にするのを、両方優先する。  
急いであがって、いつもはバスタオルだけで彼の待つ寝室に行くけど、今日はふと思った。  
さっきのアルルから贈られたあの下着をつけてみようかなって。  
死ぬほど恥ずかしいけど、彼が喜んでくれるかもしれない。  
お嫁さんにしてくれるって言った彼に、自分をラッピングして捧げたいと思った。  
 
ガーターベルトはバイトでもつけることがあるから慣れてるけど、  
パンツはサイドがほんとに紐だけのスキャンティで、こういうのをはくのは初めて。  
ブラはカップが少ししかなくて、レースは透けてるうえに乳房を半分も覆っていない。  
改めて男の目を喜ばすための下着だと実感して、また真っ赤になった。  
でも、結局着てしまった。大きなリボンもしっぽの先端にきゅっと結んだ。  
 
下着姿にラグナスのワイシャツを、背中の羽から上ははだけさせて着て、彼の元へ向かった。  
いつもより、羞恥心も、欲情も、彼への愛しさも全部倍くらい高まった。  
「あの、お待たせ……」  
「……あ、ドラコ、それ……」  
「……うん。その、よろ…喜んで、くれるかな、って、思って……」  
「…すごい……」  
ラグナスはドラコの姿を心奪われたって感じで見つめた。  
「はっ……はずかしい……」  
ドラコはセックスの時は少しでも感じ始めたらすぐに完全に没頭してしまうんだけど、  
それまでの裸を見られる瞬間とかはやっぱり恥ずかしくてたまらなかった。  
なのに、彼のためと思ったとはいえ、こんな格好ができてしまう自分に少し驚いた。  
婚約してくれたのが嬉しくて嬉しくて、幸せだからできるんだと思う。  
 
「すごい、きれいだ……」  
ラグナスがドラコの手を取って引き寄せる。そしてワイシャツをするりと落とした。  
ほんの少しの布地しかまとってない体に、彼の視線をじんじんと感じた。  
彼の手が肩を撫でただけで、ぞくぞくと快感が走った。  
普段でも感度抜群な(彼女にその自覚はないが)彼女はいつもよりさらに過敏になっていた。  
「ドラコ、じゃあ……」  
「ああ…。ラグナス……。うん……。あ、あたしを、もらって……」  
唇を奪われる。  
そして彼の手が背中や脇腹や尻を撫で回した。  
「ちゅ…ん、んくぅ……」  
ぎゅっと抱き締め合って、ベッドに腰掛ける。  
「んんぅ、んはぁ……」  
彼のためにつけた下着を、ゆっくりひとつひとつ剥がされる。  
片手で胸を揉まれながら、もう片方の手が背中のホックをスムーズに外す。  
ドラコがラグナス以外の男を知らないように、彼も最初は童貞だったらしいけど、  
彼の脱がす手付きも、初めての頃に比べて慣れたものになっていった。  
 
ブラを外されて、処女を失ってから急速に豊かになった乳房が、ぷるんと揺れた。  
よく体を鍛えているドラコの乳房は豊かに膨らんでもつんとかわいく上を向いている。  
ラグナスはそのまま彼女を押し倒して、下のランジェリーも脱がす。  
すでに湿ってるスキャンティはサイドの紐をほどかれて外された。  
ガーターベルトもストッキングも全部脱がされて、しっぽのリボンを残して全裸になった。  
「あぁ……」  
恥ずかしくて気持ちよくて嬉しくて、思わず吐息が漏れる。  
「ドラコ、きれいだよ……。生まれたまんまのドラコが、いちばんきれいだ」  
「そんな、恥ずかしいよ……」  
「ううん。ほんとう。かわいいドラコ、大好きだよ……」  
「んちゅ…、ん、んん」  
何度もキスをする。  
そして乳房を優しく揉まれて、乳首も両方丹念に吸われた。  
乳房が大きくなるにつれて、ますます敏感になってきたような気がする。  
胸を愛撫されながら、彼の手が足の間にも差し込まれる。  
「んやぁっ、ああん!」  
さっそくくちゅくちゅと指でいじられて、快感の度合いが高まっていく。  
 
今日のラグナスの愛撫の仕方は、なんだか遊びの雰囲気がなくて、すごく真剣に感じた。  
何度もキスして、全身を優しく撫でられて、胸や性器を指と舌でいじられる。  
ドラコは彼に支配されて彼の所有物のように扱われるようなセックスだとより感じるんだけど、  
こんな風なのも、純粋に一つになるための行為みたいで、幸せを感じた。  
「んあぁ……、あっ、ふあぁ……!」  
大きく脚を開けられて、舌でクリトリスをいじられた。  
全身がのたうって、しっぽがぴくんぴくんと震えて、膣口から愛液が溢れてくる。  
ラグナスはそれをおいしそうに口にすする。  
ぴちゅ…ちゅ、ちゅる…ちゅく…  
でもすぐに彼はクンニリングスをやめてしまった。  
「あ…………」  
思わず名残惜しそうな声をあげてしまった。  
 
「ドラコ……、いくよ……」  
「あ、あ…、うん……。き、きて……」  
ラグナスも自分の服を全て脱ぎ去って、大きく勃起してるペニスをドラコの膣口に擦り付ける。  
いつもよりも前戯が短いけど、元々感じやすいドラコの体は充分に準備ができていた。  
「あぁ、あっ」  
熱く柔らかい膣口に、ペニスの先端がゆっくりと埋まっていく。  
内部の愛液をぷちゅりと押し出しながら、少しずつ彼のペニスが中に入ってきた。  
「ふあぁ…ラグ、ナスゥ、あ、あッ」  
腰ががくがくと震えそうな快感が湧いてくる。  
膣内の粘膜をにゅるにゅると擦って、彼のペニスがゆっくりと一番奥まで到達した。  
「はぁー、はああ、はーっ」  
なんだか挿入の仕方もいつもよりずっと優しい。処女が初めて挿入される時みたいな感じ。  
そんな風に思ったら、お互いまだセックスに不慣れなまま愛し合ってた頃を思い出して、  
肉体的快感とは違う、心の充足感が強く湧いてきて胸がきゅうんと詰まってきた。  
「ドラコ……、愛してるよ。俺だけの、ものになって…」  
ラグナスは激しい運動をほとんどしてこない。ぎゅっと抱き締めてゆるゆる動くだけ。  
いつもなら物足りないくらいの刺激なのに、どうしてかたまらなく気持ちいい。  
彼女も下から彼の体に手足をぎゅっと絡ませて、リボンを飾ったしっぽをぱたぱた振った。  
「ううぅ……、うんっ。なる…。あなただけの、ものになるよう……」  
ドラコは、たったこれだけの動きでいきそうになってきた。  
涙がぽろぽろこぼれて、だんだん感極まってくる。  
「ああ、やあぁ、ラグナスゥ…もう……いきそうッ!」  
「いって…。ドラコ……。俺も、いっしょに……」  
ラグナスはほとんど何もしてないのに、全身ががくがくと震えて絶頂が近付く。  
「ふあぁ……、あッ!うあぁ…、もう!いッ!」  
「…………ッ」  
「い…くッ、うぁあああ!ああぁあーッ!!」  
びゅく!びゅくん!びくん!  
ドラコがいった瞬間にラグナスも膣奥で射精した。  
子宮の中にどくどくと大量の精液が注ぎ込まれていく。  
 
「あ…………あ、あぁ……」  
涙が後から後から溢れてくる。ドラコにとってこんなセックスは初めてだった。  
肉体の刺激じゃなく、心の幸福感とラグナスと愛し合ってる感覚だけでいったような気がした。  
「ふう、ふー…、ドラコ、愛してる……」  
「あ、あ…あたしも、あいして、る、よ……」  
彼のペニスは激しい射精を迎えても全く衰えることなく、ずっと挿入されたままだ。  
彼はそのままでしばらく休むと、お互いの体液でぐちょぐちょの膣内でまたやわやわと動き出した。  
「あっ!あ……!?」  
「ドラコ、ドラコ……」  
「あ、ふぁ……ん、んむぅ、んちゅ」  
彼がキスしてきて、ドラコにも再び快感の波が押し寄せてきた……。  
 
その夜は、二人は一度も抜かずに、ほとんど動かずそのままセックスを繰り返した。  
ラグナスはドラコの子宮を満たすまで何度も射精して、  
ドラコも泣きながら彼に何度も何度も、失神するまでいかされ続けた。  
 
翌朝は、目が覚めてもずっと夜の余韻が続いてるような気がした。  
ドラコは隣でまだ眠っているラグナスを彼が目覚めるまで嬉しそうに眺めていた。  
「ん、うぅ……」  
「あ。ラグナス。おはよう」  
「んうぅ…ん、あ……おはよ、ドラコ……」  
「えへへ…………」  
「……はは」  
昨日の夜のことが、恥ずかしくて嬉しくて、二人で照れ笑いした。  
でもこれからは二人でずっとこんな風に過ごせると思うと、幸せを感じた。  
いや、二人じゃなくて、いつかは彼との間に子どもを産んで、その子どもとも一緒に。  
ドラコは内心に秘めてた妊娠願望も確実な希望になったみたいで、それも嬉しかった。  
だから、エッチってそのためのことだから、あんなに気持ちいいのかなあ、って思った。  
 
後日。日々はすっかり暖かくなって寒いのが苦手なドラコには嬉しい季節になってきた。  
足取りも軽く、彼女は街角をうきうきと、バイトの時間まで散歩を楽しんだ。  
 
そんな時、アルルに声をかけられた。  
「ドーラコッ。なんか楽しそうだね」  
「よっ。……あんたは暇そうね。学生は春休みがあっていいわね」  
「フリーターに言われたくないよ」  
減らず口を叩き合うのも楽しい。  
二人で無駄話をしてると、アルルがいたずらっぽく、こそっと言ってきた。  
「ところでさ。こないだボクがラグナスにあげたプレゼント、役に立った?」  
「…………あー…、あのエロ下着ね……」  
「どう?着た?あれ着て彼とえっちした?」  
「……あんたはさ、ああいうの着てあいつと、し、したりするの?」  
「まさか。ボクあんなの着たこともないよ。あはは!」  
「…………!!」  
「……あっ。あっ。もしかして”がおーっ”ですか?」  
「…………まあ……。今回はやめといてあげるわ」  
「お。ずいぶん優しいねえ」  
なんだかアルルの態度が生意気なので、ちょっと優越感を示したくなってきた。  
「……最初の質問に答えると、まあ、多少は役には立ったわ、あれ。ほら」  
左手を出して、きらんと光る指輪を見せびらかしてやった。  
「え、え!なんで!なにそれ!彼からなの!?」  
「へっへーんだ」  
アルルが羨ましがってる。  
 
「いいなあ……。ああいうの着たら、そんな効果があるのかなあ……」  
アルルがなんか短絡的に勘違いして、妙なことを考え出したみたいだけど、  
ドラコは彼女がどんなことをするのか面白そうなのでそのままほっとくことにした。  
 
おわり  
 

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