真夜中。アルルの寝室。
その夜もアルルはシェゾとお楽しみだった。
「あ、だめ……。このままじゃ、もういっちゃうよう……お願い、もう、入れてぇ……」
「なにを?どこに?」
「ああ、いじわる言わないでえ……シェゾ、おねがい……」
「ふふ、分かったよ……」
ふとんの中でアルルの上に重なるシェゾ。
とろとろになるまでじらされたアルルの中に、いきり立ったシェゾが入っていく。
「あ、ああ、あ……」
そしてぎゅっと抱き合う二人。
その時、寝室のドアが、がちゃ、きい…と開いた。
「え!」
びくんとなるアルル。あわや膣痙攣。
「うわあ!」
「ぐう~……」
となりのダイニングキッチンで籠のベッドの中で眠ってた筈のカーバンクルだった。
長い舌でドアを開けて、小さな手で目をこすりながら入ってきた。
熟睡したら大抵は眠りっぱなしのカーバンクルが、珍しく夜中に起きてしまったようだった。
繋がったままの姿勢で慌てる二人。
「カ、カーくん、あの、えっと」
「あ、こら」
「ぐー」
カーバンクルはのろのろと近寄ってきて、もぞもぞとベッドによじ登ってくる。
そして、裸の二人が入っているふとんの中に、自分も潜り込んできた。
「きゃ」
唖然とする二人に全く構わず、当然のようにそのままあっという間に眠りに落ちた。
「ぐぁ~」
甘く切なく燃え上がっていたシェゾとアルルは、思いっきりクールダウンしてしまった。
「……なんだこれは」
「あ、これは、たぶん、カーくん、寝惚けるのかも……」
「はあ?」
「だって、キミとこーゆー関係になる前は、カーくんはここでボクといっしょに寝てたのよ。
だから、寝惚けて間違えてこっちに来ちゃったんじゃないかなあ」
「どうすんだよ」
「こうなったら仕方ないよ…………ちょっと、もう抜いてよ……」
にゅるんっ
そしてカーバンクルが起きないように、そーっと、かつちゃっちゃと身繕ろいをするアルル。
「お、おい……」
「残念だけど、もうおやすみだね」
「お、お、お前はそれでいいのかよ」
ヒソヒソ声でごねるシェゾ。
「だって仕方ないじゃん……。カーくんがいるのに、もうそんな気分になれないよう……」
で、アルルも寝てしまった。
「なぜだ……」
そして、シェゾはその夜、泣きながら眠りについたという。
そして夜が明けて、朝。
同じベッドで眠ってた二人と一匹で最初に起きたのはカーバンクルだった。
「ぐっぐ~!」
「……ぐぁ。なんだ…………」
たたき起こされるシェゾ。
カーバンクルは二人とも起こそうとして、シェゾだけが目が覚めたのだった。
「んぁ~や……すぴー」
アルルはむにゃむにゃして、目覚める気配ゼロ。
「お前……ッ」
「ぐ~!」
「お前のせいで昨日は……!」
シェゾが恨み事を言っても、カーバンクルは気にせず騒ぎ立てる。
「ぐーぐー!」
「……んなもん知るか!」
「ぐぐーぐー!」
ぼんぼんぼんっ
シェゾの上で飛び跳ねるカーバンクル。
「くうぅ……。ああもう……」
完全に目が覚めてしまって、仕方なく朝食作りに行くシェゾ。
シェゾは最近、今みたいに「朝ごはん!」とか、カーバンクルが何を言っているのか、
なんとなく分かるようになってきてることに、自分で気付いていない。
数分後、アルルもようやく目が覚めた。
朝食の匂いで目が覚めたのである。
ベッドにもうシェゾもカーバンクルがいないのも確認して、ダイニングキッチンに向かった。
「んあ~、おはよ~……」
シェゾの深い嘆きをよそに、呑気に朝の挨拶をするアルル。
「ぐ~!」
「(ちっ)……ああ」
「なによう。感じ悪い」
「……当然だろう」
「仕方ないじゃーん!」
そんなやり取りをする二人だが、当のカーバンクルはなんのことか分からない。
「ぐ~?」
しきりに聞いてくる。
「ああうるさい」
「ま、そりゃ、言えないよねえ……」
「ぐ~う?」
なんだか分からなかったカーバンクルだけど、朝食ができたらもうどうでもいいみたいで、
ご機嫌でかぶりついた。
「全くよ……。お前らには振り回されっぱなしだよ」
「そう?」
「ぐ~♪」
「でもシェゾ、かなり馴染んできてるよ。カーくんもすいぶん懐いてきたし」
「馴染みたくねえよ」
「いやいや、すっかりカーくんの面倒見るのも上手になったし、さながら親子って感じ」
「やだよそんなの!」
「ぐぐぐー!」
シェゾとカーバンクルは揃って反発した。
「あははっ。息ぴったりじゃん。もうパパと息子だよ!」
「好き勝手に言いやがって」
「キミ達が仲良しで、ママは嬉しいよ♪」
やたらと嬉しそうなアルル。
そしてカーバンクルも食べることに専念しだしてすぐご機嫌に戻ったけど、
シェゾだけはずっと憮然としていた。
二人と一匹のそんな朝食だった。
おわりぃ。
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