あいつがわからない。  
何から何までわからない。  
「む〜……」  
あたしの視線の先。ずいぶんすました男が一人。  
「…どしたのユリ?セリオスを呪わんがばかりに凝視して…」  
「…あっ、ルキア。あのね…セリオスって何なの?」  
「……はい?」  
質問が抽象的すぎてわからなかったらしい。  
「だからさ、なんか…ね、セリオスってどんな奴なのかな…って。」  
「見ての通りでしょ。ナルシストの無愛想。ツンデレでも目指してるんじゃない?」  
流石にそれはないと思うけど。  
「ま、あんま気にしなくてもいいんじゃない?あいつに何かされたわけじゃないし。」  
「そ…だよね。」  
でも気になる。どうして?あいつの事がもっと知りたい…  
 
「ぎゃぼー……どうしよ…」  
あたしは部屋で一人途方に暮れていた。課題を忘れていたから。しかも明日提出の。  
「ヤバいよ…驚きの白さ。」  
洗剤なしでこの白さは反則。  
「誰かに見せて…………ううん、たまには自力で解決だ!」  
堕落した学生になるのも嫌だから図書館に行ってすることにした。静かだし、うん、ぴったり。  
「おーし、やるぞ〜っ!」  
課題セットを手にいざ出陣!  
 
図書室はすごく広い。所狭しと本の壁。ここあまり好きじゃないんだけど…。  
「よいしょ…さて、気合いだーっ!」  
参考書を探すにも実は苦労する。この量ありえない…  
 
「えと、化学の基礎…と、これだっ。」  
本棚のジャングルから出ようとした時、声が聞こえた。  
「ね、ねぇ…ほんとにここでするの?」  
「この時間帯は意外と人がいないんですよ?リディア先生も寮ですからかえってこっちの方がバレません。」  
聞き覚えがある。クララとカイルだ。でも何するのかな…?  
「こうして……よいしょ。」  
本をずらして本棚越しに二人を見る。クララが背伸びしてカイルの顔に顔を近づけ…って、え!?  
「嘘っ!こんなとこでキス!?」  
しかも時間からして…その、舌を絡ませてするキス。  
「んっ……んふっ、むっ……」  
「ん……ちゅ…はぁ…」  
二人ともすごい…エロい。普段が普段なだけに凄くエッチ。  
「…やっぱ二人もエッチするんだよね。」  
「まぁ眼鏡を外した方がキスしやすいと僕は思うな。」  
「それはどうか……へ?」  
突如後ろから声。この声…あいつだ。  
「それと恋人たちの秘め事を覗くのは感心できない。」  
いつの間にかセリオスがあたしの後ろにいた。  
 
「ひゃっ!?いつの間に!?」  
「しっ静かに。馬に蹴られても知らないぞ。」  
「あっ…うん。」  
確かに…邪魔したくないよね。  
「で…何でいるの?」  
「どうも寝付けなくてね…本を借りにきた。けどこの状況じゃ部屋には戻れないな…。」  
「あたしも…あれじゃ課題できないよぉ。」  
本棚の向こうではキスはもう終わりカイルがクララの胸をいじってた。すごい…クララの顔、あんなに…。  
「んっ…。」  
アソコが湿り気を帯びてくる…。セリオスにバレて…ないよね?  
「恋人同士の愛の営み…か。なるほど。」  
こいつもやっぱり欲情してるのかな…?  
「…飽きてきた。」  
えぇっ!?マジで?ありえない!  
「セリオス…あんたホモ?」  
「そんな事あるはずがない。」  
「…ほっ。」  
何故か安心。  
「ふむ…何かいい暇つぶしはないものか。」  
セリオスは一人首を傾げ始める。あたしは二人の営みに見入ってた。  
「きゃふっ……か、カイルくん…」  
クララの声…すごく可愛い。あたしも…もう…。  
「…そうだ。」  
「んっ…んん……」  
もじもじと脚を擦り合わせると気持ちいい…  
「ユリ」  
「ひゃっ!?なな…何?」  
「しっ。今いい暇つぶしを思いついた。」  
「え…何々?」  
 
こいつの暇つぶしって何があるのかわからない。けど興味があるからとりあえず聞いてみる。  
「恋人ごっこだ。」  
「へぇ〜…は?」  
コイビトゴッコ?  
「あの二人の真似事をしてればじきにあっちも終わるだろう。いい案だと思うが…どうだい?」  
二人の真似事…って、つまり…えーっ!?  
「ちょ…あんたと…?マジ!?ありえない!」  
「まぁ…決してファーストキスや処女までは取らない。所詮真似事だからね。安心してくれ。」  
「で…でも……」  
セリオスに…されるってこと…だよね?  
「…少なくともさっきから君の身体はしたがっているみたいだけど。」  
「っ……!?」  
バレてた!?意外とめざとい…!  
「どうする?君が自分でするよりも気持ちよくさせるつもりはある。」  
「うっ…うぅぅ…」  
………イきたい。  
したいよぉ………。  
「お、お願い……」  
「わかった。じゃあ…」  
いきなり後ろから抱きつかれる。アンドロイドって噂もあるけど…すごくあったかい。  
「ユリ…好きだ。」  
「………!!」  
その言葉だけで頭がクラクラする。麻酔を打たれたような変な気分。好きって言われた…。ごっこなのにドキドキする。  
 
制服の上をめくりあげられる。もう乳首が硬い。  
「ちっちゃい方…好き?」  
「…愚問だね。」  
乳首を軽く摘まれる。ピリッと刺激が走って気持ちいい…  
「んっ…」  
「僕が胸だけで女性を見ると思うかい?」  
それもそうだ。あまりそういうの気にしなさそう…。  
「まぁ…あればあるで嬉しいかな?」  
「あっ……んんぅ…」  
後ろから胸を鷲掴み。適度な力加減で安心できる。  
「ふ…ここはどうかな?」  
「え…ひっ…やんっ…!?」  
乳首を重点的にいじられて思わず声があがる。セリオス…すごくうまい。  
「やっ……んふぅっ……!だめぇ……セリオスぅっ!」  
「しっ、静かにするんだ。バレるだろう。」  
横目でかろうじて向こうを見る。二人は行為に没頭している。まるで鏡を見てるみたい…  
「いい…いいよぉ…、ちくび……きもちいいよぉ…!」  
「………そうだ。」  
その声と同時にセリオスの手があたしの口を押さえる。  
「んむっ…んっ…むーっ…!?」  
「これで少しは静かになるだろう?」  
「むーっ!むーっ!む…ん…んふっ…」  
必死に反抗しても乳首を転がされて感じてしまう。口を押さえられてるせいで…すごく興奮してきちゃった。  
 
「んっ…んむっ…、むぅ…」  
だめ…もう、我慢できない…  
「…?胸だけじゃ嫌なのかい?」  
「んっ…むっ!」  
スカートの中に手を入れられてパンツを触られ…思わず身悶えしてしまう。  
「ずいぶん濡らしてたみたいだね…気持ちよかったのかい?」  
「んーっ……んっ、む…」  
パンツの上から指で愛撫される。グチュグチュといやらしい音が聞こえる…あたし、感じちゃってる…  
「んっ!んふっ…ん…」  
「…左手が疲れてきたな。」  
「んん…ぷはっ!」  
口を押さえていた右手が離れ下に向かう。代わりにあたしので濡れた左手が顔の前に…  
「んむっ…!?」  
「自分の味…確かめてみるかい?」  
「んっ……?ん…ちゅ……」  
セリオスの指が口の中に入ってくる。思わずしゃぶってしまう。  
「ちゅぷ…んむ……ん……」  
あたし…何だか変だよぉ……  
「じゃ、再開しよう。」  
「れろ…ん…ふむっ…んっ…!?」  
パンツをずらされて直に触られてる…すごく…気持ちいい。  
「んふぅっ…んっ…ふぁ…!」  
指が入ってきた…!あたしの中でセリオスの指が動いて気持ちいいところをグリグリする。もう…もうだめ…!  
「ちゅ…んっ…!んむぅぅぅぅぅっ!!」  
…イっちゃった。凄くよかった…。  
 
「んっ…んふっ…ふぅ…」  
脚に力が入らない。セリオスに完全に身体を任せてしまっている…  
「…イったようだね。」  
口がセリオスの手から解放される。  
「ぷはぁ…気持ち…よかったぁ……」  
「じゃあ………ん?」  
私に手をかけようとしたセリオスの動きが止まった。  
「…終わったみたいだ。」  
「…へ?」  
「ほら、あれ。」  
本棚の向こう。気恥ずかしそうに顔を赤くする二人。制服を着てる。もうエッチ終わったんだ…  
「さて…そろそろ僕も帰るかな。」  
「えっ……?」  
帰るって…じゃあ…  
「続きは…?」  
イったばかりで敏感になったあたしのはもっと欲しがってる。そんなあたしを後目にセリオスは言った。  
「ごっこ…はもうおしまいだ。楽しかったろう?」  
「も…もっと…」  
「後は好きに自慰にふければいいさ。僕はもう寝る。じゃあ、また明日。」  
セリオスは部屋に帰ってしまい、性欲を持て余してしまったあたしはもう課題どころではなく…  
「んぅっ…はぁ……」  
図書室で一人言われた通り自慰にふけるしかなかった…  
 
その翌日、あたしは課題ができなくてロマノフ先生にこってり絞られた…ぎゃぼー  
 
あいつがわからない。  
やっぱり全然わからない。  
「む〜……」  
あたしの視線の先。ずいぶんすました男が一人。  
「…また?セリオスに恨みでもあるの?」  
「…あっ、ルキア。ねぇ…ホントセリオスって何なの?」  
「……はぁ。」  
とうとう呆れられた。  
「なんか…ね、セリオスがどんなやつかわからなくなっちゃって。」  
「だからぁ…ナルシストの無愛想。それでいいじゃん?」  
そうかもだけど…  
「意外と色好みな青年かもしれないね。」  
「えっ…?」  
セリオスがいつの間にかいた。  
「まぁ…好きなように見てくれて構わないさ。あの時みたいに。」  
「っ………」  
図書室でのことを思い出す。ちょっと…恥ずかしいかも。  
「うん…わかった。」  
「…?」  
ルキアだけ状況を飲めないで首を傾げる。  
「じゃ。僕はもう帰るから。…また後で。」  
「……やっぱなんかあったの?」  
「へへ…秘密。」  
 
夜の図書室。あの場所にセリオスがいた。  
「やっぱり来たね。」  
「う…うん。」  
「じゃ、始めようか。」  
二人はただのクラスメート。でも夜だけ恋人ごっこをする。いつか本物の恋人になれるのかなぁ?  
「くぅ…ん…」  
夜はまだまだ長い…  
 

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