アカデミーの購買部にて、リエルは片付けを済ませ、大きく背伸びをする。
今日も何人かの生徒にセクハラされた。
特にタイガは毎日現れては、胸を触って帰る。
今日に限っては、五日前からの胸防衛記録を破られた。
「ふーっ、今日も疲れました…まったく、タイガさんは私の胸を博物館のボタン扱いし」
「ち ょ っ と」
不意に耳元で囁かれ、リエルは飛び跳ねて、しゃがみこんだ。
目線は仕掛人の脚を捕えた。
紺色のソックスから上に目線を上げる。
すると、紫色が悩ましい他校の制服を纏ったマラリヤが立っていた。
「ひゃっ!……マッ、マラリヤさんじゃありませんかー。
後ろからドッキリ仕掛けないで下さい!…購買部なら、店仕舞いです」
リエルは膝をはたいて、立ち上がる。
「店仕舞いしてから悪いけど、予約をお願いしたいの」
マラリヤは決まって、夕方頃に購買部に来る。
それが、今日は閉店時間を過ぎて、やって来た。
一体、何の予約だろうか。
「よ、予約ですか?またへn…あわわ!────で、何を予約しますか?」
マラリヤは制服のポケットからメモを取り出し、リエルの手に落とし、握らせた。
「コレをお願い。明後日取りに行くわ」
「あ、はい!確かに承りましたー………って、マラリヤさん!伝票…ぉ」
時、既に遅し。
伝票を貰うことなく、マラリヤは寮の道を辿っていた。
姿なんて、購買部からは見えませんよ。
「…何でしょう?わざわざ紙に書いて渡して…
まさか、人に言えない物なのかもしれませんねぇ!」
ぴらっ
「!!?」
戦慄が走ります。
このコードに見覚えがあったから。
(この商品コードは……まさか…電 マ じ ゃ な い で す か !!!)
説明しよう。
電マとは、電気マッサージ機のこと。
通常価格は野口さんが三人は消える健康器具。
しかし、最近の電マの使い方は自慰目的に使われたり、桃色なお遊戯の小道具として有名。
(そして最近、とあるカップルが一台お買い上げしました。それはまた、別の話なのだが。)
と、言うことは………
(電マは自慰!?それとも、セックス!?)
「有り得ない!」
リエルはささくれた心と疲れた脳で計算します。
三十秒後、分岐にぶつかりました。
(やっぱり自慰なのでしょうか?
…あの方にはいて、マラリヤさんにいないのも……うーん……
…あれ?ここのところ、マラリヤさんはサンダースさんとよく話していたような…
……あ゛ー!でもでも、セリオスさんとそのペットぐるみで、仲がいいような…)
マラリヤさんが電マを予約した理由は何だったのか?
答えと訳は………405、君に任せた。
あとのことはくまきゅーが何とかしてくれる。
end