「良かったら僕のをお分けしましょうか?」
―――ヤンヤンは錬金術の授業の為のマンドラゴラをただ一人用意できていなかった。
賢者への昇格が近いこともあり、授業が忙しかった関係で内職が出来なかったのである。
彼女の家は貧乏で、まだ幼い弟もいる。家族に援助を求めることは出来るはずもない。
ラスクはそんな彼女を見透かすように取引を求めたのだった。
「断るアル。 アナタ胡散臭いね。」
「いいのかなー? 今日の授業は単位取得に大きく関わってくるはずなんだけど……。」
「うっ、それは……。」
ラスクはヤンヤンの耳元に口を寄せ、呟く。
「そうですね、今日は胸を触らせてくれたら……コレ、差しあげますよ。」
目の前にマンドラゴラをぶら下げ、挑発したような目つきでヤンヤンを見据える。
ヤンヤンが考え込んでいるようなうちに、背後に回りこんでわき腹に手を触れてきた。
「ひんっ! 何するネ!」
敏感な部分を触られ、ようやく我に返ったヤンヤンはラスクの手を振り解いた。
「ふふ、可愛いですよ。 でも、コレだけじゃ渡せませんよねえ……。」
「下郎!」
ヤンヤンはラスクの顔に唾を吐きかけた。
「気が強いんですね。 ……それでこそ堕としがいがあるというものです。」
ラスクは吐きかけられた唾を指で拭うと、そのまま舐めた。
「な、何するヨー!!」
ヤンヤンは背筋に這い上がってくる悪寒に震えた。
「今日はこのくらいで良いでしょう。 取引は成立です。 これは差し上げますよ。」
「厭アル! 誰が、こんなもの……。」
「では、ここに置いときますから、ご自由に使ってくださいね。」
ラスクはにやりと笑うと、教室へ消えていった。
ヤンヤンはしばらく右往左往していたが、予鈴が鳴ったことに気付き、
忌まわしいそれを拾い上げ、教室へと向かった。
もともと勉強は得意でない彼女であったが、寝る間も惜んで内職と勉強に打ち込んだ結果、
賢者に昇格することが出来た。
「これで故郷の??(パーパ)の手助けが出来るね。皆の為に頑張るヨ…。」
皆の役に立ち、そして収入も上がる。 彼女は目の前の未来を確かに感じていた。
……しかし、残酷な現実が彼女を待っていた。
「昇格おめでとう、だが、お主は真の賢者ではない……。」
ロマノフは残酷な現実をヤンヤンに突きつけたのだった。
アカデミーのさらに上にいく為には、多額の費用が必要だった。
「そんな……そんな額出せないアル。だけど……。」
「僕が面倒を見てあげますよ。 ただ、その金額だと君自身を捧げていただかないと……。」
「!?」
聖堂の真ん中でへたり込んでいるヤンヤンを、影で見つめている人物がいた。
―――ラスク
「こ……断るアル。 また努力すればきっと……。??にも体だけは売るなと言われてるネ。」
「努力だけではどうしようもないことはあるんですよ。……例えばあなたの家とか。」
「!? な、何アルか? 答えるネ!」
ラスクはヤンヤンのアゴを人差し指で持ち上げる。
「今現在、君の家は借金で首が回らない状況にあります。 でね、なんと言ったかなあ、君の弟。
彼は今、口減らしの為に売られようとしています。」
「そ、そんな……!」
「全てはあなた次第ですよ。」
「誰がオマエなんかに! 心も体もやらないアル!」
ラスクは震えている彼女を見つめ、微笑んだ。
「パーパ……。 私頑張るネ、だから……弟は。」
「僕が全て出しますよ。」
「私がもっと頑張れば…何とか出来るネ!」
ラスクは思わせぶりな表情を浮かべた。
「例えばあなたを売った人物がいたとしたら?」
「そ、そんなのいないヨ!」
「出てきてください……。」
柱の影から現れた人物……。 それはヤンヤンの父であった。
貧乏でありながらも威厳を失わなかった父……今やその面影はなく、只の小さな男が居た。
「そん……な……。」
ヤンヤンは地面にへたり込み、呆然としていた。
「さあ、僕の部屋に行きましょうか。お父さんは全部見ていてくださいね。」
ラスクはヤンヤンの手を引いて自室へと向かった。
ベッドに腰掛けたラスクはヤンヤンの腰を引き寄せ、唇を合わせるだけのキスをした。
ヤンヤンは黙ったまま大粒の涙を零す。
ラスクは、肩―脇、腰。 そして太腿へと手を滑らせる。
その微妙なタッチにヤンヤンは身震いをした。
「感じやすいんですね。」
「大したことないアル。」
ヤンヤンは勝ち誇ったような顔でラスクを見つめる。
その視線を受けると、ラスクは乱暴にヤンヤンの胸を揉みしだいた。
「…っ! ふっ…うっ……ああッ!」
「もっと声を出してもいいんですよ。」
ヤンヤンは答えなかった。
ラスクは自分の上にヤンヤンを跨らせ、腰に手を廻して尻を弄る。
「……! くっ! ん」
ラスクはヤンヤンの下着をずらすと、彼女の陰部を攻め立てた。
しかし、彼女は声を押し殺したまま、ラスクの背中に手を回して抱きつき、耐えていた。
「強情ですね。 もうちょっと気をやってくれても良いのに。」
耳元で囁く声に、体が反応してしまう。
「このままだと僕が持ちません。 もうそろそろ行きますよ。」
ラスクは張り詰めたそれを、ヤンヤンの中に埋めていった。
「……!!」
ヤンヤンは大粒の涙をたたえつつ、唇を締め、ラスクを見つめた。
「……美しいです。 汚されてなお、その色を失わない。それでこそ僕の妻にふさわしい。」
瞬間、ヤンヤンの膣がうねり、ラスクは溜まっていた全てをそこに吐き出した。
……
ラスクは寝息を立てているヤンヤンを優しく抱きしめていた。
彼女の股間には破瓜の為か、血が一筋垂れた跡がある。
「僕は、ずっとあなたを見ていました。 そしてこれからも。」
「じゃあもっとまともな方法でアプローチするアル。」
「起きていたんですか……。 でも、それって…?」
「これからはずっと私のターンね。」
ヤンヤンはそういうと微笑んだ。