「あ、シャロンだ。おっはよー!」  
「おはようルキアさん。今日もお元気ね」  
 
「あ、おはようございますシャロンさん。今日もいいお天気ですね〜」  
「おはようクララ。本当、今日はいいお天気ね」  
 
「みんなおっはー! シャロンおっはー! と、ギリギリセーフ!」  
「おはようユリさん。僭越ながら、もう少し早く登校したほうがよろしいわよ?」  
 
「・・・おはようシャロン・・・まだ・・・この前の薬の効果は出ていないようね・・・」  
「お、おはようですわマラリヤさん。  
 ・・・そ、その話はどうか人前ではご内密にして下さるかしら?」  
「了承・・・したわ・・・」  
「え? なになに?」「どったの?」  
「・・・ルキアとユリには必要がない薬の話よ・・・」  
「あ、あぁマラリヤさんその話はもぅよろしいですわ・・・っ」  
「?」「?」  
 
「みんなおはようアル! ・・・あーシャろん、済まないアルがこの前の返済は  
もう少し待つヨロシね! ついでではアルけど今日のお昼ゴハンの分をちょっと  
借してくれると助かるヨー」  
「・・・おはようございますヤンヤンさん# なるべく早くお願い致しますわ・・・  
 と、昨日も同じことを仰っていたのではないかしら?」  
「多分明日も明後日も明後日も頼むヨー! よろしくアルね!」  
「・・・わたくし、シャイロック家に嫁入りするのは御免こうむりたいのですけれども」  
「シャ、シャロンは鬼アル!」  
 
「あっシャロンちゃん、おはよ〜」  
「お、おはようございますアロエさん・・・っ」  
「うんおはよ〜。今日もいい天気だよね〜、シャロンちゃん」  
「そ、そうですわね、アロエさん・・・#」  
 
 と、そこでシャロンはアロエの元に歩み寄った。  
「? な〜に?」  
「わたくし、前々から思っていたのですが」  
「ほぇ?」  
「何故貴方はわたくしのことをシャロン”ちゃん”と呼ぶのですの?」  
「え〜、だってシャロンちゃんはシャロンちゃんだよ〜」  
 アロエは無垢な笑顔で答える。一部男子生徒には「天使の笑顔」と呼ばれる  
その笑顔に、シャロンは一瞬躊躇ったが、すぐにいつもの−いや、いつもよりも  
少しだけ剣呑な態度を滲ませて−調子でアロエに迫った。  
「その件について今日こそははっきりさせておきたいと思いますの。  
 いくら貴方がこのアカデミーに学校始まって以来と言われる成績で飛び級で  
入学したとはいえ、貴方はわたくしよりもずいぶん年下なのではなくて?  
 例え今は同級生であっても、貴方に”ちゃん”付けで呼ばれる憶えはございませんわ」  
「えぇ・・・でも、シャロンちゃんはシャロンちゃんだから・・・」  
「ですから! そのシャロン”ちゃん”というのはお止めなさいと」  
「だ、だってぇ・・・シャロンちゃんは・・・シャロンちゃん、だもん・・・」  
 いつも居丈高ライクな態度のシャロンではあるが、いつになく強い調子で迫るシャロンに  
アロエは涙を浮かべながら答える。  
「シャロンちゃんは・・・シャロンちゃん、なんだもん・・・」  
「ですから!」  
 
「・・・ちょっとやめなってシャロン、アロエちゃんが泣いちゃうよ? ってか泣きそうじゃん」  
「そうですよシャロンさん、かわいそうですよ」   
 いつにないやり取りを始めた二人を見て、すかさずルキアとクララが止めに入る。  
「シャロン感じ悪ー」  
「・・・薬の効果が出ないからといって・・・小さい子にあたるのは・・・よくないわ・・・」  
 ユリとマラリアも止めの輪に入る。ヤンヤンも  
「シャロンは小さい子にも容赦ないアル! さすが金の鬼アルね!」  
 止めに入った。多分。  
「わ、わたくしは別にそのような・・・」  
 シャロンはうろたえつつ抗弁するが、  
「う、うぇぇっ・・・」  
「はぃよしよし・・・シャロンはヒドいねー。アロエちゃんは悪くないよー」  
 アロエは既にルキアの、シャロンにはおそらく一生縁がない部分に顔を埋めて泣き始めていた。  
 これではどう見てもシャロンに分はありそうにもない。  
「・・・泣いちゃいましたね、アロエさん」  
「・・・じー」  
「・・・フッ」  
「まったくシャロンは極悪人アル! お詫びにワタシの借金をチャラにするヨロシ!」  
 残る3人と1人の冷たい(例外あり)視線を浴びて、さすがのシャロンも引き下がる。  
「・・・わ、わたくしが悪かったですわよ・・・。  
 で、でも、やはりというかしらさすがにというかしら、”ちゃん”はやめて頂きたいですわ」  
「じゃあ、アロエちゃんにシャロンはなんて呼んで欲しい訳?」  
 アロエの頭を撫でながら、ルキアが訊く。  
「そ、それは・・・ふ、普通に、シャロンさん、で・・・」  
「それもヘンじゃない?」  
 ユリが即座にツッコむ。  
「アロエちゃんが「おはようございます、シャロンさん」とか言ってたらヘンだよー絶対。  
 そしたらあたしも「おはようございます、ユリさん」とか呼ばれんの? うっわー、違和感  
ばりばりー」  
「・・・そうね・・・わたしも・・・「ぉはよぅござぃます、マラリァさん」なんてアロエに  
呼ばれたら・・・変」  
(いやそれ違う。絶対違う)  
 いつものボソボソ口調でアロエの真似(にもなにもなっていないが)をするマラリヤに  
思わずその場にいる全員が心の中でツッコむ。  
「で、では、わたくしはどうすればよろしいのですの・・・?」  
 自分の希望を全力で否定されてしまい、シャロンは困り顔で呟いた。  
 と、  
「あ、そうだ! こうすればいいんだよ! うん、これで完璧っ!」  
 ルキアがいきなり叫ぶ。ルキアの頭上に電球が光ったのが彼女以外の全員には何故か見えた。  
 
「あのね、アロエちゃん・・・ごにょごにょ・・・」  
「そ、それで・・・いいの・・・」  
「完璧だって」  
 ルキアはアロエに何かを小声で囁いている。  
「ルキアさん・・・?」  
「じゃあ、アロエちゃん、あらためて、ほら」  
「う、うんなの・・・」  
「? ? ?」  
 何をどう反応すればいいのか解らずに戸惑うシャロンに、アロエは今だ涙の残る瞳で上目遣いに  
見上げて、言った。  
「お、おはようなの・・・です、シャロンお姉さま・・・」  
「・・・!」  
「あぁ・・・」  
「おおー」  
「・・・ハッ」  
「最凶アルね。・・・オトコなら即殺アル」  
 その最終兵器とも言える呼び方に、全員が深くうなづいた。完璧である。   
「・・・ほらね、これで問題ないでしょでしょ? ん、なに、これでもダメ?」  
「・・・ま、まぁこれなら問題ありませんわ・・っ。ア、アロエさんはわたくしの妹のような  
も、ものですしかしら」  
 笑顔で問いかけてくるルキアに答えるシャロンの顔は、何故かとても紅かったとか。  
 
 その後、二人は  
「シャロンお姉さま〜、一緒にお昼ごはん食べよぅなの〜」  
「よろしくてよ」  
「シャロンお姉さま〜、一緒に帰りましょうなの〜」  
「えぇ、よろしくてよ」  
 と、周囲の人々を大いに萌えさせた、とマジックアカデミー史第573編第9のMa節は記するという。  
 

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