これから私の体験を話せばいいのね。  
くれぐれも、他言無用。  
誰かに言ったら、毒呑ますわよ。  
それにしても───  
恥ずかしい、きゃー…。  
 
 
───実験こそ私の趣味。  
たまに、薬目当てで訪ねる人がいるわ。  
今まで出した薬は星の数位あるの。  
風邪薬から滋養強壮剤、精神安定剤。  
ホルモン剤、興奮剤に避妊薬───あと、媚薬ね。  
それらは実験無しに誰かに渡すことはないわ。  
あの薬はある程度の実験をしてからなの。  
まぁ…実験をしても、何が起こるか分からないのよ。  
 
 
まさか、私が実験体になったら、後始末や改良が出来ないでしょう?  
 
あなたはこの話を知っている?  
製薬会社の新薬実験の被験者はマウスじゃないの、人よ。  
リスクは多い分、高額アルバイトなの。  
だから、私も…被験者を立ててみたわ。  
 
 
初めて、人体での実験をしたのは媚薬だった。  
錬金術の産物──マジックペットで実験したところ、効果適面。  
そこで、次のステップに進んでみようと思ったの。  
そこで、最初で最後の同性被験者・ヤンヤンで試して見たわ。  
───よく相手が許したね?  
…それは、さっきも言ったように、新薬実験のアルバイトは高額だと言ったじゃない。  
無害な新薬の実験体になってほしいって頼み込んだ私はお金で釣ったのよ。  
 
彼女の家庭事情は私も知っているわ。  
ヤンヤンには悪いとは思っているの……本当よ。  
実験段階の薬を正常な人間に服用させるのは危険な事。  
けれど、彼女はお金で飛び付いてきた。  
………単純、なのかしら?  
私は休日に実行すると彼女に告げた。  
実験開始日前夜から、ヤンヤンは私の部屋に上がり、実験を開始したの。  
 
 
依頼人から強めに、というリクエストがあり、調合の時点で、誘発成分の量をこれでもか…って位、配合したわ。  
あと自白剤。  
ああいうのは、快楽によって、理性が隠している本能を引き出さなければ意味がない。  
つまりは、自己の欲望のいいなりになること。  
相手はその望みのままに、相手を支配するのよ。  
 
…話が脱線したわね…。  
内職しているヤンヤンに薬を混ぜた水を飲ませたの。  
ヤンヤンはぽっと頬を赤らめて、礼を述べたわ。  
水が飲みたかったそうよ。  
それから、二分もしないうちに、ヤンヤンは制服を脱ぎ出したの。  
暑いアルヨ…って。  
…ヤンヤンに言ったのよ。  
暖房のスイッチは入れてないって。  
あと…あの子、脱ぐと凄いの。  
小さい頃から働いていたようね。  
少しばかり、筋肉がついていたわ。  
ああ、でも…彼女は力仕事より、手先を使う仕事が似合うわ。  
 
 
 
………また話が逸れたわね。  
ヤンヤンは下着だけを着けたまま、研究書を読んでいる私にやたらと絡み、耳に息を吹きかけたの。  
タチの悪い酔っ払いのする芸当ね。  
ヤンヤンの悪戯は次第にエスカレートしたわ。  
いきなり胸を鷲掴みにし、揉みしだいたの。  
ヤンヤンはニヤニヤしながら、紫は怪しい色だとかぼやき、また耳に息を吹いたわ。  
困ったことに…私…  
…感じちゃったの。  
きゃー…。  
手慣れていたのよ…揉み方といい、その後の施し方だって…。  
いいえ、あれは媚薬のせいだわ。  
そうやって、自分に言い聞かせたの。  
そのときばかりは、ケープを外していて、ヤンヤンったら、胸元のシースルーを破き、私の胸を直に掴んだわ。  
迂濶だった。  
外気に晒されたからとは思うけど、私はたじろぎ、ヤンヤンに止めなさいって言ったのよ。  
それから、ヤンヤンは乳房を舌で一舐めし、赤子が母乳を飲むのと同じ様に、私にくっついたの。  
ヤンヤンに抑え付けられて、私はよがってしまったわ。  
だらしない。  
 
私があらがえないのをいいことに、ヤンヤンはさらなるテクニックを仕掛けたの。  
──ところで…  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私、 は い て な い の 。  
 
 
───守る盾がないのは痛手ね…。  
あなたみたいな人は転機が訪れたと思うだろうけど、私からしてみれば、誤算。  
興奮状態のヤンヤンは私のスカートを捲り、オ〇メコをいじったのよ。  
指、舌、それから水、氷。  
 
言葉で執拗に、卑猥に、淫らに攻められた私はイったわ。  
 
。  
指、舌、それから水、氷。  
 
言葉で執拗に、卑猥に、淫らに攻められた私はイったわ。  
 
………悪いけれど、私が覚えているのはここまで。  
 
 
 
朝になり、私は目を覚ますと、ヤンヤンはまだ寝ていたわ。  
紫の制服は皺だらけで、私の腹部でくしゃくしゃになっていたの。  
ヤンヤンは潰れたカエルのまま眠っていたのよ。  
寝相が悪いのか、何なのか…。  
そのとき、彼女は寝言でこう言ったわ。  
 
私……マラリヤ…好きアル。  
 
──正直、デマカセと思った。  
ヤンヤンはまだ言うの。  
 
もと、私を頼る‥ヨローシ…‥。  
 
なんてね。  
人と接するのは苦手だけど、彼女なら…………。  
 
その一件によって?  
…分からないけど、私はヤンヤンと仲良くなって、人体実験はそれっきり。  
お泊まりする時は、とても仲良くなるわ。  
昼よりも夜が仲良しになるのよ。  
 
 
 
──それと、毒呑ますわよは脅し文句よ。  
 
 
 
 
私の話はこれで終わるけれど…つまらなかったでしょう?  
あなたにとって、良い体験談だったら、話す意味はあったかもしれない……。  
 
それじゃあ…私はおいとまするわ。  
…彼女が待っているの。  
 
 
 
 
 
───────あ、ちょっと。  
注文に答えたから、逆にこちら側の注文に答えるべきじゃない?  
…ひとつお願いがあるの。  
 
 
先日、アカデミーを退学した男子生徒がいたわ。  
その退学理由が曖昧で、一身上の都合だとか。  
アカデミー内では、根も葉もない噂が絶えなくて…  
その退学騒動に胸を痛めている子がいるの。  
彼女は彼を好きでいたけど、何も言えないまま、彼は出ていったのよ。  
私はその子から優しくしてもらったの。  
恩を返す時が来たわ。  
彼女を救いたいの。  
…あんな悲しい彼女を見過ごせないから…  
──彼女の為にも、調べてほしい。  
 
 
退学する本当の理由は何なのか。  
退学して、今は何処にいるのか。  
この二つを調べて欲しいの。  
 
勿論、お礼はするわよ。  
 
 
 
───退学した生徒の名前?  
……名前は  
(テープはそこで終っていた)  
 

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