あたしはお兄ちゃんのこと、知っているよ。
お兄ちゃんは外から来たんんだよね?
でも、お兄ちゃんがどんな人なのか知らない。
内緒にしないでよ、お兄ちゃん。
アロエ、お兄ちゃんのことタイプかも。
えへへ〜。
なんか、アロエたちのこと知りたいの?
これって……すぽーつかー?
あ、ストーカーなんだね。
え?これ、くれるの?
わーい!アロエの好きなお菓子だ〜!
お兄ちゃんありがとう。
それじゃあ……アロエのおはなし、聞かせてあげる。
あのね、あたしはお姉ちゃんになりたいの。
だけどね、あたしには妹も弟もいない。
だから、あたしは……弟を作ったんだー。
誰?
同じクラスの子を弟にしちゃったの。
えへへ〜、すごいでしょ?
本当はお兄ちゃんをあたしの弟にしたかったけど、
みんなアロエより年が上なんだもん。
大きいお兄ちゃんとか、優しいお兄ちゃんとか、
マテウスなお兄ちゃんとか……出て行っちゃったお兄ちゃんとか。
だから、あたしと近い二人を弟にしたの。
お兄ちゃん、今うらやましいって思ったよね?
え?違うの?…むう。
なあに、お兄ちゃん。
どうやって弟にしたの…?
それはね………えへへ。
まず一人、ユウ君をおびきだしちゃうこと。
最近ユウ君は一人で、どこかに行っちゃうの。
それでね…ユウ君の後をあたし、こっそり追いかけたの。
中庭を素通りして、ユウ君は奥へ行き、ひとりでしゃべっていたんだ。
誰としゃべっているのかな?
女の子かなぁ?
アロエ以外の女の子に話しかけないでよ!
こういうとき、
「くたばっちまえ、ざーめん」って言うの?
あー、めん────あ、そうなんだ。
でね、物陰から覗いたけど、何もないの?
だから、あたしは出たよ。
だって、ユウ君の秘密を握って、
アロエがさでぃすてぃっくに攻めるもん。
ユウ君のお姉ちゃんは私なんだから!
誰もとらないでよ。
何しているの?って、声をかけたの。
Y君はすっごくびっくりしたよ。
すごく慌てて、「何でもないよ!」って言ったの。
一体、誰と話しているのか分らなくて、困っちゃった。
アロエより先にお姉ちゃんがいたら、絶対やだもん!
そうしたら、ユウ君の制服のお腹のあたりから猫が一匹出てきたの。
みゃーって、かわいいなぁ〜。
その猫、可愛い野良猫だったんだよ。
アロエ、猫大好き!
──────そうじゃなくて!
ユウ君のズルにのせられちゃダメだもん。
寮で犬とか猫は飼っちゃいけないのに──ユウ君は悪い子。
ユウ君のお願いを聞いてあげたいけど、
あたしのためにも、ユウ君を手なずけるチャンスだと思うんだ。
だからね……おどしちゃった。
「あれれ?──あたし、ユウ君の秘密握っちゃったんだー。誰かに言いふらしちゃおうかな〜?」
「えええ!アロエちゃん!?待って、この子は野良猫で…」
「言い訳はしちゃダメだよ。約束守れないユウ君なんか、アロエ嫌い!」
「え?ええ!?アロエちゃん!…ぼ…僕は…」
「ばらされたくないよね?ねぇ、あたしの云う事聞いて。お願い」
「そんな………わ、分ったよ。アロエちゃんの云う事聞くよ!
だから、ニャミの事を誰にも言わないで!」
「うん!絶対云う事聞いてね」
「…あ!…じゃあ、僕はこれで…」
「あたしの部屋に行こう!」
「そう、アロエちゃんの部屋…
───ええっ!?」
嬉しくなっちゃった。
だって、こんなに上手く出来ちゃったんだもん。
これで、あたしの弟としてY君を躾ければ……。
いつかのタイガお兄ちゃんが言っていた。
本気と書いて、マジと読むん────って。
「アロエちゃん…それ、本気?」
「うん」
「アロエちゃん、からかわないでよー。アロエちゃんにそんなの見せられないよ…それに、汚いし‥
」
「ねえ、ユウ君はあたしの……えっとー、なんだったっけ?」
「お……おねぇ……ちゃん、です」
「はい、正解でーす!!!」
ユウ君のオ〇ンポが見たいって言ったら、ユウ君迷っちゃった。
あたしはユウ君、ラスク君の全部を見たいんだもん。
なのに…ユウ君はいくじなし。
ユウ君はお姉ちゃんの云う事を聞かないの。
どんなに言っても、ユウ君はあたしの言葉を聞いてくれない。
ユウ君のバカ。
「どうしてアロエお姉ちゃんの言うことが聞けないの?」
「アロエちゃん…出来ないよ。だって、汚いし…恥ずかしいし…」
ああ、恥ずかしがるユウ君は本当に可愛いの。
女の子に見えちゃうよ…。
ああっ、ダメ!
ユウ君を甘やかしたら、お姉ちゃん失格だよぅ。
でも、お姉ちゃんは厳しくも優しいの。
リボンが曲がっていてよ?って直してあげるの。
マロン先生の授業で見たことあるよ。
「ダメっ!ユウ君はお姉ちゃんの云うこと聞かなきゃダメだよ!」
「あのね……アロエちゃん、僕にはちゃんとしたおねえちゃ…」
「何があっても、ユウ君のお姉ちゃんはあ・た・しっ!」
でも、ユウ君が暴れるから、なかなか出来なくて…。
アロエはキョーコーシュダンに出たの。
なんと、チャックを下げてあげたの。
慌てて、隠されて、焦っちゃった。
だから、だと思うの
ちょーっとユウ君より…力が弱くて…ふえーん。
床に頭の後ろをぶつけちゃったー。
撫でてよ、お兄ちゃーん。
弟が…ユウ君があたしを払い飛ばしたの。
その時、「おーあーるぜっと」なキブンだったんだよ。
そうしたら、弟はあたしがケガをし、慌てて抱き起こすの。
大丈夫!?
ごめんね?ごめんね、アロエちゃんって。
あたしの弟は優しい子なんだ。
こんな弟を持つことが出来て…アロエ、嬉しいなぁ。
幸せ者なぁって、すごく思った。
兄弟って、こんなに温かいものなんだーって。
心配そうなユウ君に大丈夫って言って、あたしキスしたの。
パパもママも、あたしが転んじゃったときに、
大丈夫?ケガしてない?
膝っこぞう、痛くない
もう大丈夫って。
大丈夫。
アロエは言いたかったの。
「お姉ちゃんは泣かないよ」
でも、涙が出てきちゃった──────だって、女の子だもん。
泣いちゃう時があるもん。
「ユウ君──────大好きだよ。ずっと」
…と、いう話なの。
それでね……──────え?
お兄ちゃん、もうテープが終わりそう?
それに、替えのテープがないの?
えー。
お兄ちゃんのせいで、聞く人にわるいよ〜。
お兄ちゃんなんか…
マロン先生に代わって、お仕置きだー!
で、どうしよっか?
お兄ちゃん、ここでおしまいにする?
それとも、次スレ(六回戦)にする?
どっちにする〜?
じゃあね、ばいばーい。
────────────そういえば、クララお姉ちゃん。
今日、全部の授業でお仕置き受けちゃって、かわいそう………。
あのお兄ちゃんが学校辞めちゃったからかなぁ?