「ぅ……ぐ、お姉……ちゃ……」  
ユウくんの唇から、かすかに漏れた声。  
ユウくんが呼んだのは、サツキさんのこと。―――私のことじゃない!  
私は頬を打たれたような衝撃を受け、目が醒めた。  
 
首を絞める私の手に抵抗しないのは、サツキさんの所に行きたいから。  
―――ユウくんは、私と一緒には死んでくれないんだ。  
このまま続けたら、ユウくんはサツキさんの所へ行くんだろう。  
そして、私はひとりぼっちで……。  
 
私の手から力が抜け、ユウくんの首から離れていく。  
そして、ユウくんの胸に顔をうずめる。  
「う、う、う……」  
嗚咽が止まらない。  
「クララ、ちゃん……」  
ユウくんが両手で私を抱きしめる。  
そう。  
このままずっと、私だけを抱きしめてくれたらいい。  
それが叶わないのならば、せめて……。  
「……ごめんなさい、もういいの」  
ユウくんの胸から頭を離し、体を起こす。  
「返して。眼鏡」  
「あ、うん」  
それが私の一つ目のお願い。  
ユウくんの掌に握られていた眼鏡が、私に差し出される。  
私はそれを掛けながら。  
「ユウくん、一度話してくれたよね……サツキさんとのこと」  
「えっ」  
「ほら、サツキさんと一緒にお風呂に入って、それで……」  
「うん……」  
躊躇いがちなユウくんの相槌を待ち、私は続けた。  
「私にもして」  
それが二つ目のお願い。  
「ユウくんがサツキさんにしたことを、私もして欲しい……」  
 
もし、二つ目のお願いが叶ったら。  
三つ目のお願いもユウくんに叶えて欲しい。  
 
私は、ユウくんの腕の中で、壊されたい。  
 
―――私がこの世でする、最後のお願い。  
 
 
 
「はぁっ、はぁっ……あはああぁっ……ユウくぅん……ユウくぅんううぅっ」  
私は、本で読んだことしかなかった事を、ユウくんと一緒にしていた。  
クラスメイトから見たら、子供にしか見えないって言われそうな二人。  
私から見ても、幼い子供だと思っていた、ユウくんは。  
 
彼は、今、私を犯している。  
 
初めてはつらい、って聞いてたけど、そんなにつらくなかった。  
ユウくんが精一杯やさしくしてくれたから。  
ユウくんが、私のきたない所を一生懸命ほぐしてくれたから。  
だから、ユウくんが入ってきた時も、痛かったけど平気だった。  
 
「はぁっ、はぁっ、クララ……ちゃん、お腹がピクピクしてる……」  
「んっ……だってっ、ユウくんのがっ、ふああっ」  
ユウくんの先端が、私のおなかの中にコツコツと当たる。  
その度に、私は思わず腰をよじる。  
ユウくんは言った。お姉ちゃんの時は奥まで届かなかったけど、クララちゃんなら届くよ、って。  
なんだか、うれしかった。  
 
と、ユウくんの動きが急に早くなる。  
「クララちゃんっ、僕、僕もう……!」  
そう言うと、ユウくんは女の子みたいな可愛い声を上げて、体を震わせた。  
直後に、私の内側にユウくんの暖かい精液が流れ込んでくる。  
ユウくんはそのままへたり込んでしまった。  
 
私はちょっと不満だった。  
イク、って感覚がよくわからないけど、多分まだイッてない。気持ちはよかったけど。  
だから、うつぶせになって、肩で息をするユウくんの脚の間に入り込み、私の愛液でぬめっている―――そう、ユウくんのおちんちんを咥えてみた。  
 
「えっ、ちょっとクララちゃん!?」  
慌てふためくユウくんに構わずに、私はユウくんの可愛らしいのを舐め、啜った。  
ねばねばしてたり、なんだかよくわからないいろんなものが混ざった味がする。  
「駄目だよクララちゃん、そんなの汚いよっ」  
口とは裏腹に、ユウくんのおちんちんはすぐに硬くなり、私の中に入っていたさっきまでくらいの大きさに戻っていた。  
 
私はユウくんを見上げて言った。  
「ユウくん……続き、して……」  
「続きって……それよりクララちゃんのお腹のせーえき洗わないと……」  
「お願い」  
ユウくんの優しさが身に沁みたけど、それでも、私はユウくんにねだった。  
「もっと、エッチなこと、して……」  
「……うん」ユウくんはこくりと頷いた。  
「クララちゃんがして欲しいんだったら、するよ」  
 
ユウくんは、起き上がろうとしかけた私の背後に回り込むと、後ろから、私の愛液とユウくんの精液が混ざったものが滴っている場所に―――挿入した。  
「あはぁっああ……ユウくぅ……ん……」  
私の体がユウくんを迎え入れ、意思とは別のところで腰をよじり、ユウくんを貪る。  
そのままユウくんは、前後に動かし始めた。  
でも、さっきに比べたら激しくない。  
代わりに、ユウくんの両手が私の胸に伸びてきた。  
同級生に比べてあまり自信がない私のそこが、ユウくんの手に掴まれて、まさぐられたり、揉まれたり、先端の敏感な所を指先でいじられたりする。  
ユウくんのその動きが、すごく……いやらしい。  
私は耐えられなくなって、思わず声を上げてしまう。  
「はあんっ、ユ、ユウくんの手、すごくエッチ……んにゃああぁ」  
「エッチじゃないよぉ……クララちゃんがしてって言うから……」  
ユウくんは異議を唱えた。腰と手の動きが止まる。  
「―――イヤなの?」  
嫌なはずがない。  
もっと。もっとユウくんにいじられたい。  
「だめぇやめないでっ、もっとしてえっ」  
私は思わず浅ましいおねだりをしてしまう。  
ユウくんにいじられるのを止められるなんて、我慢できなかった。  
私のお願いを聞いてくれたユウくん。私の胸をいじくる手の力が強くなる。  
 
気持ちいいのを通り越して、痛い。  
 
痛いのを通り越して、気持ちいい。  
 
少しおろそかになっていたユウくんの腰の動きも激しくなり、私の体がどんどん熱くなる。  
 
「くっ、クララちゃん……クララちゃん、すご……」  
ユウくんの声も絶え絶えだ。  
少し振り返ってユウくんの表情を見る。  
よく女の子みたいだといわれる、やわらかいユウくんの頬―――そういうと、ユウくんはちょっと困った顔をするんだけど―――ユウくんの頬がほんのりと赤くなって、汗にまみれていて、目を細めて―――。  
背筋がゾクゾクするほどにいやらしい、ユウくんの姿。  
私も、今、あんな顔をしているんだろうか。  
ユウくんに犯され続けて、気持ちよすぎて口元から唾液が垂れているのが、自分でもわかる。  
 
いつしか、ユウくんは私の胸から手を離し、腰の動きに集中しはじめた。  
今度こそ。  
今度こそ、さっきの壁を突破できそうな気がする。  
「ごめんクララちゃんっ……僕また……!」  
唐突にユウくんの声。そして腰の動きが止まる。  
お願いユウくん、今やめないで……もうちょっとなのに!  
 
次の瞬間、私は、何が起こったのかよく解らなかった。  
私とユウくんが繋がってる所の近くにある、濡れて、膨れてはみ出しているそれを、ユウくんの指が―――。  
それと一緒に、ユウくんが私の奥を一突きして―――。  
そのすぐ後に、私の奥で、ユウくんの精液が爆発して―――。  
精液にまみれているはずの私の膣内に、さらに精液が流れ込んでくる。  
ユウくんの精液。  
「あっ、あ―――――――――――――――っっっ!!!」  
ユウくんが私にくれた大きすぎる快感、というよりも、衝撃に、私は声にならない声を上げて、そのまま意識が薄れた。  
 
「―――ちゃん?」  
ユウくんの声がする。―――遠いなぁ。  
 
「クララちゃん、大丈夫?」  
半分寝ている時のような、あの心地よい状態。  
私の意識はそんな感じだった。  
「……あ……ユウくん……」  
私は寝たままで応えた。まだ起き上がれるような気分じゃなかった。  
「なんか、すごく気持ちよくって……」  
多分、この時の私は恍惚とした顔をしてただろう。  
 
「クララちゃん……おもらししてる」  
えっ……。  
そう言われてみれば、お尻のあたりが生暖かい。  
ユウくんにお腹の中を突かれ続けて、それでさっきの絶頂が凄すぎて……かしら。  
何故だか解らないけど、あまり恥ずかしい、とか、みっともない、って気持ちにならない。  
夢の中でおねしょしたら、多分こんな気持ちなのかな。  
でも、ユウくんに嫌われたら、いやだな。  
 
「だいじょぶだよ。その……お姉ちゃんも時々そんなことあったし……」  
私の気持ちを読んだかのようにそう言ってくれたユウくん。  
そのおちんちんは、あろうことか……また勃っていた。  
もしかして、私のこんな姿を見て……?  
何言ってるんだろう、私……馬鹿みたい。  
 
「ユウくん……元気になってる」  
「うん……その、クララちゃんを見てたらこうなるんだ」  
 
―――うれしい。  
 
まだ大人になり始めたばかりの、ミランダ先生の授業でも言ってた発毛だってまだの、二人。  
そんなユウくんが、そんな私にする三度目の挿入。  
さっき挿れてもらってたばかりなのに、数年ぶりの再会のように私の中が悦び、ユウくんを出迎える。  
「クララちゃん、入ったよ」  
そう言うとユウくんは、私に顔を近づけてきた。  
そして、私の唇にユウくんの柔らかい唇が触れた。  
 
私とユウくんの、初めてのキス。―――挿れられたままの。  
唇が唇をなぞっていくのが気持ちいい。  
 
もう、いい。  
私には、もう充分。  
 
キスが終わり、上体を起こしたユウくんに、私は言った。  
「ねえユウくん、もっと気持ちよくする方法って知ってる?」  
「うーん」ユウくんは人差し指を唇に当てながら言った。  
「僕、今とっても気持ちいいけど、クララちゃんも気持ちよくなるの?」  
「うん、多分」  
無垢なユウくんを、ちょっとだけ騙すことになるのかな。  
だって、ユウくんのお陰で、私は充分に気持ちよかったから。  
 
 
でも、これ以上続けたら―――  
もう、ユウくんと離れられなくなる。  
もしユウくんが私から離れたら―――私は、壊れる。  
 
「どうするの?」ユウくんが小首を傾げて私に聞く。  
「あのね、首を絞めるんだって」  
「ええっ」ユウくんの不思議そうな表情。「首を絞めるの?」  
「うん。締まりがよくなるんだって。私も今日三回目になるし、力入らないかもしれないから……ほら、さっきのお返しだと思って」  
「―――うん、クララちゃんがいいんなら、やってみるよ」  
半分は口から出任せの私の言葉に、ユウくんは無邪気に乗ってきた。  
ユウくんの両手が、ゆっくりと私の首に回される。  
「痛かったら言ってね」  
どこまでも優しいユウくん。  
 
ユウくん、ありがとう。  
 
―――大好き―――。  
 
 

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