「お姉ちゃんなら、間違いなく上客が付いてくれるからね?」  
「すこーし注射をすれば、すぐにエッチなことが大好きな、淫乱牝犬にみたいになれるから、心配はいらないよ?」  
 
にやにやと醜い笑顔を浮かべ、シャロンにすりよる男たち。  
夏休みだからだと、夜遅くまで遊んでいたのが仇となってしまったシャロンは、しかし鋭いままの眼を、決して伏せたりはしない。  
 
 
夜の街の路地裏で、シャロンは二人の男に迫られていた。  
元々路地裏などを歩いてはいなかったが、少し声を掛けられて、振り向いた瞬間に鳩尾に一撃を貰い、ふらふらになりながら連れてこられたのだ。  
 
鳩尾へのダメージはまだ回復しきらず、腰も抜けてしまっているという、考えるまでもなく絶望的な状況で。  
 
見るからに怪しい色の液体が入った注射器を持った手が、シャロンの首筋に近付く刹那のことだった。  
 
 
「そこまでだ」  
 
威圧感を与える低い声が、路地裏に響く。  
シャロンから目を離した男の片割れが振り向く前に、注射器が男の手から弾け飛び、中身の液体は地面に垂れ流れる。  
 
「な、なんだ!?」  
「黙れ」  
 
突如予想だにしなかった事態に陥った男たちは、慌てて振り向いた。  
そこには、強面の青年を筆頭とした三人の男たちがいた。  
 
「軍曹殿!」  
「色、臭い共に既存の薬品ではあるまい。麻薬の類いの疑いがある。・・捕らえろ」  
 
どうやらリーダーらしい青年が指示すると、彼の背後に控えていた二人の男が、シャロンを襲った男たちをあっさりと取り押さえ。  
 
「確保、完了いたしました!」  
「よし、警察機関へ連絡せよ。この少女は我輩が介抱する。その二人が罪に問われる場合この件は君たちの手柄とせよ」  
『はっ!』  
 
部下たちにテキパキと指示を出す青年のことを、シャロンは知っていた。  
足がすくみ、腰が抜け、立ち上がりも出来ない状態で、シャロンはようやく声を出すことが出来た。  
 
「あなた・・サンダースですの・・・?」  
「貴様には同じ顔の知り合いがいるのか」  
 
部下が戦意を失った男たちを連れていくのを見ながら、サンダースは淡々と答える。  
成る程シャロンの知る青年と考えて間違いないらしい。  
そう解った途端、シャロンの緊張の糸が切れた。  
 
「・・こ、こわ・・・」  
「ん?」  
 
へたりこんだシャロンに合わせて、しゃがんだサンダースに、シャロンは思い切り抱き着いた。  
 
「怖かった・・怖かったですわ・・!!」  
「そうか。我輩とて貴様が無事で良かった。何かあれば大事になっていたはずだ」  
 
ぐしゅぐしゅと端正な顔を涙と鼻水で汚し、しかしシャロンはサンダースにしがみついて離れない。  
サンダースは力ずくで離そうとして、断念した。  
 
さて。  
シャロンがぐすぐすと泣きじゃくるのを、頭を撫でて慰めることにしたサンダースは、思わぬことに気付いてしまった。  
ぶっちゃけると、シャロンを愛らしいと思ってしまったのだ。  
普段アカデミーで強気で傲慢な姿を見せてばかりの少女が、今、自分だけに見せる弱気で崩れ落ちそうな姿を、だ。  
 
しかし、間違ってもサンダースはそんな素振りを見せはしない。  
シャロンが泣き止むまで胸を貸し、ただ優しく頭を撫でていた。  
 
「そろそろ泣き止め。我輩はまだ見廻りがあるのだ」  
「え・・・」  
 
頭を撫でられながら、捨てられた仔犬のような顔でサンダースを見上げるシャロン。  
その顔を見て、サンダースの守りたい、慰めたい欲が更に加速する。  
 
「一人でも帰れるだろう。人通りが多い道なら、余程でない限りは襲われたりしないはずだ」  
「ひ、一人でですの・・・?」  
 
まだ鼻をひくひくさせながら、シャロンはようやく顔を上げる。  
そこには、少なくともアカデミーではアロエやユウにしか見せていない、穏やかな顔の軍人がいた。  
 
「一人は、嫌ですわ・・・」  
 
シャロンの脳裏に、今しがたの恐怖がよみがえる。  
この軍人がいなければ、自分は間違いなく廃人にされていた。  
アカデミーに戻ることは叶わず、ただ男たちに弄ばれ、用が済めば捨てられるだろう。  
 
「一人にしないで、お願いですわ・・!」  
「ならば、貴様の家に送ってやる。多少予定にラグが生じるが、まぁ仕方あるまい」  
「家に帰っても、一人ぼっちですわ・・」  
 
シャロンの両親は、言わずもがな資産家である。  
しかしその資産を築くために、働くことばかりを考えていた。  
結果シャロンには金に名を変えた愛を注いでばかりいた。  
 
「家に帰ったとて父も母も居りませんわ・・・」  
「ふぅむ・・・」  
 
サンダースは、このままシャロンを放っておいても構わない。  
だが、それでこの少女に何かあれば、寝覚めが悪い。  
そういうことも踏まえ少し考えて、折衷案を出すことにした。  
 
「貴様がこのまま私の警らに付き合うと言うならば、一晩ぐらいは居てやってもいいのだがな」  
「それで構いませんわ」  
 
ウサギの様に真っ赤に泣き腫らした目には、サンダースへの信頼だけを秘めて。  
折衷案をあっさりと受け入れたシャロンにいささか驚きつつも、サンダースは彼女に手を差しのべ。  
シャロンは、おずおずと、しかし力強くその手を掴んだ。  
 
 
サンダースと手を繋いで歩く夜の街は、シャロンにとっては刺激的だった。  
幾人もの人が、サンダースに声をかけ、サンダースはそれに応える。  
時々恋人扱いされるのが恥ずかしかったりしたが、しかし今ならサンダースと恋人になってもいいかとさえ思えていた。  
 
 
今、確りと結ばれた手が、やがて二人の未来をも結ぶ架け橋になるとは知らずに。  
シャロンは、今しばらくの安寧と、未だ理解も気付きもしない初恋にひたろうと思っていた。  
 
 
どうしてこんな事になっているのだろうかと、サンダースは小さく呟いた。  
 
シャロンを暴漢から助けた。  
これは良い。  
シャロンを連れて警らをした。  
これも良い。  
その後、シャロンの自宅だという豪邸まで彼女を連れて帰って。  
あっさり別れる予定だったのに、まるで恋人と別れるかのような、切なそうな目を向けるシャロンに、サンダースは押し留められていた。  
 
「我輩は、カプセルホテルに行かねばならんのだが・・」  
「なら、このまま今晩・・いえ、今晩だけと言わずアカデミーが始まるまで、我が家に逗留しませんこと?」  
 
服の裾を指でつまみながら、シャロンが小さく呟く。  
聞き流せれば良かったのに、残念ながらサンダースにはそんな高性能スルースキルはなかった。  
 
「しかしだ。万一私と君が一つ屋根の下で一晩を過ごし、何かあったらどうする?」  
「・・・・私は、構いませんわ。・・・貴方が居なければ、どの道私はどうにかなっていましたもの」  
 
ようやく泣き止んでくれた少女が、また目尻に涙を溢れさせる。  
サンダースからすれば大した出来事でもないが、シャロンにとってはまさしくトラウマになったらしい。  
そんなシャロンに、サンダースは何かを言う気にはなれず。  
 
「仕方あるまい。・・一晩だ、一晩限りの関係だ。それ以上は、無理だからな?」  
「それでも、構いませんわ。・・ありがとう、ございます・・・・」  
 
普段強気で勝ち気な少女の脆い一面を、それも短期間に何度も見せられ、サンダースの中でのシャロンという少女の評価が変わりつつあった。  
か弱い、守るべきものへ。  
ほんの少しの差異ではあるが、それは間違いなくサンダースの思いを変えていく。  
 
「さぁ、入ってくださいな」  
 
数個も着いた鍵を、一つ一つ解除していき、シャロンは玄関の扉を開く。  
成る程、玄関からして豪奢な作りになっているのだ。  
金持ちがやりがちな、無駄なまでの装飾がサンダースの目に入って。  
 
「私は、先にシャワーを浴びますわ。どうぞ楽にして、のんびりしてくださいな」  
 
サンダースがはっとしたときには、シャロンは既に浴室へ向かっていった後で。  
 
サンダースがシャロンの自宅の居間らしき場の、ソファに座ってシャロンを待つ間。  
 
シャロンは、シャワーを浴びながら、サンダースの事を考えていた。  
 
逞しいなとか、格好良かったとか、優しいとか、思ったよりも紳士なんだな、とか。  
 
「むずむずしますわ・・・私ったら、こんな、恥ずかしいコト・・・っ」  
 
少女は、間違いなく処女である自身のワレメに、ゆっくりと指を這わせる。  
徐々に指の動きが激しくなり、それに比例して嬌声が洩れそうになる。  
 
「いけま、あぁっ♪こ・・なぁっ・・恥ずかし・・ぃぃっ♪」  
 
レディス雑誌で偶然知った自慰行為に、少女は溺れる。  
指がワレメに挿入され、偶然にもクリトリスを弾いてしまうまで、少女は自慰に浸り続けた。  
 
自慰行為にて絶頂し、シャワーを浴びていたこともあり、頬を紅潮させたシャロンが居間に行くと、サンダースはソファにもたれて眠ってしまっていた。  
 
「・・お疲れなのかしら、ね?」  
 
布団を持ってきてあげよう、ついでにクーラーも適温にしてやれば、より寝やすいはずだ、などと思い、シャロンは奔走する。  
まずはクーラーをかけて。  
自分が長期休暇限定ながら毎日使っている布団を持ってきて。  
 
そして、そこでようやく気付いた。  
 
―もう、怖くない。  
守ってくれるから。  
 
根拠もなく、サンダースを信じきっている自分が、そこにいる。  
サンダースを想ってしまう、自分がいる。  
 
 
ソファに座り、眠ってしまっているサンダースの隣に座り、サンダースに密着してみると、汗の臭いが、更にシャロンの情欲を燃やす。  
ただし、手出しはしない。  
結ばれるには、きちんと手順を踏んで結ばれなければならないのだという思いがある。   
「おやすみなさい、サンダースさん・・」  
 
サンダースと自分とが入るように布団を広げたシャロンは、サンダースに密着したまま眠りについた。  
 
豪邸の一室から、二人分の寝息が聞こえるようになるまで、然程時間はかからなかった。  
 
 
朝。  
シャロンは、いつになく早い時間に、しかも心地好く目覚めた。  
 
「・・・・ぁ」  
 
小さく呟き、慌てて口を閉じる。  
隣で寄り添っていたサンダースは、まだ夢の中らしい。  
すぅすぅの眠る男は、しかし不意にシャロンの腰に手をやると、グッと自分の方に引き寄せた。  
 
「きゃっ!」  
 
甲高い声で可愛らしい悲鳴を上げながら、シャロンは抵抗も出来ずにサンダースに抱きすくめられる。  
まだ夢の中にいるらしいサンダースは、果たしてどんな夢を見ているのだろうか、などと考えながら、シャロンはサンダースにその身を委ねた。  
 
 
 
シャロンがサンダースに抱きすくめられ、早二十分。  
サンダースの鼓動は全く揺るがないのに、シャロンの胸は今にもはち切れそうなぐらいに高鳴っていた。  
 
「(私・・・やっぱりサンダースさんのことが・・・・)」  
 
好きなのだ。  
この場になって、ようやくシャロンはそれを確信するに至った。  
 
「・・・む」  
「ぁ」  
「・・・眠ってしまっていたか。すまないな」  
 
シャロンがあれこれ妄想をしていると、偶然にもサンダースが目を覚ます。  
シャロンを抱きよせていた腕が離れて、少女は解放され。  
 
「あ、そ、そうですわっ!朝御飯は何がいいかしら?!」  
 
慌てて口を開いたら出てきた言葉に、シャロンは少しばかり気落してしまった。  
 
シャロンと二人で用意した朝食を二人で食べながら、サンダースはシャロンのことを気にかけていた。  
じぃっと自分を見ているかと思えば溜め息を着き、たった一枚のトーストを食べるのに何分も何分もかけていて。  
しかし、シャロンがサンダースに打ち明けない以上、サンダースからシャロンに問い詰めたりはしない。  
あくまで、シャロンが話すのを待っているだけだ。  
 
それがサンダースに出来る、唯一のことだった。  
 
 
その少しあと。   サンダースがトーストを食べ終え、食後のコーヒーを楽しもうとカップに手をやった、瞬間だった。  
 
「さ、サンダースさん!」  
 
真っ赤に頬を染めたシャロンが、意を決したような顔でサンダースを見つめていた。  
 
「・・どうした」  
「あ、あああああの、その・・・」  
 
あたふたしながら、シャロンはサンダースに伝える言葉を探す。  
どういうべきか、簡単な言葉でいいのか、と、迷っている。  
サンダースの表情が怪訝になっていくのを見て、シャロンは更に慌てふためく。  
 
「・・大丈夫か?」  
「わ、私と結婚してくださいましっ!」  
「は・・・?」  
 
今度はサンダースがパニクる番だった。  
 
唐突に、結婚してくれ?  
我輩に?  
眼前の少女が?  
 
訳が解らないと思ったが、理由はあっさりと理解出来た。  
 
つまり、つり橋効果というやつだ。  
昨日襲われた時の恐怖感を、そのままサンダースに助けられた際の恋心に入れ替えてしまっているのだろう。  
 
「貴様のそれは、我輩への想いではないだろう?」  
「いいえ。紛れもなく、貴方への想いですわ」  
 
たしなめるようなサンダースの声に、しかし言うべきを言った少女の意思は、固まっていた。  
 
「・・しかし、結婚だと?」  
「あ・・うぅ・・・・出来れば、恋人付き合いからお願いしますわ・・」  
 
どうやら結婚は勢い余っての言葉らしい。  
目の前の少女が、それだけ気合いを入れて告白してきたことに、サンダースは少なからず考えた。  
 
 
 
「貴様は、本当に我輩の恋人になりたいと言うのか?」  
「ええ、間違いありませんわ」  
「これでもか?」  
 
そして、サンダースが考えた末の結論は、  
 
「・・・っ!」  
「どうだ?・・・傷だらけの身体を見て、なお恋人になりたいと思うか?」  
 
自身の身体をシャロンに見せること。  
シャロンはサンダースの思った通りに絶句したが、しかし直ぐに小さく微笑んだ。  
 
「確かに傷だらけですわね。でも、貴方はその傷を恥じていますの?貴方が誇っているものならば、なんら醜いとは思いませんわ」  
 
シャロンはゆっくりとサンダースに近付くと、傷の一つ一つを指でなぞっていく。  
躯に刻まれた傷の全てに、サンダースは誇りを持っていた。  
 
拒絶されると思っていたのに、この少女は自分を受け入れた。  
自分の傷を誇り高いものだと解ってもくれた。  
 
ならば、今度は自分がこの少女に応えねばならない。  
サンダースは、傷をなぞる少女を思い切りに抱き締めると、シャロンの耳にだけ届くよう、小さく呟いた。  
 
「我輩でよければ、貴様の恋人になろう」  
「二度と怖い思いをしないように守ろう」  
「二度と悲しまないように守っていこう」  
 
矢継ぎ早に耳に入るサンダースの言葉を、シャロンは全て聞き届け、そして、サンダースに抱き締めるままにその身を委ねた。  
 
 
シャアア・・・  
 
シャロンの家の風呂場で、シャワーが放つ湯の音だけが響く。  
防音設計ですのよ、とシャロンが笑っていた通り、外からは聞こえないらしい。  
実に便利なものだと、サンダースは愚にもつかないことを考えていた。  
 
そもそもだ。  
初めて結ばれるのに、片割れが汗臭くてどうするというのか。  
シャロンは良くてもサンダースはよくないし、何よりこういう大事なことの前だ、身を清めて然るべきだと、サンダースは断固譲らず、シャワーを借りたのだ。  
 
そうすると、シャロンはサンダースがシャワーを浴びる間じっと待つ羽目になるのだが、それはシャロンとしては嫌だった。  
だからこそ、今、シャワーを浴びるサンダースの躯を、洗うことにした訳で。  
 
「どうです?痒いところなどはありまして?」  
「ないな。申し分ない」  
「ありがとうございます♪」  
 
満足そうなサンダースの声に、シャロンはいっそう気分が盛り上がった。  
最愛の人に尽くす幸せを、まさかこれほど早くに味わえるとは思っていなかったのだ、尚更だ。  
 
「では、そろそろ出るか?」  
「あ、その、出来れば、ここで・・ではダメかしら?」  
 
すっくと立ち上がったサンダースに、シャロンがもじもじしながら訴える。  
立ち上がったサンダースは、小さく笑むと、さっきと同じ腰掛けに座る。  
 
「確かに、布団やベッドが汚れてしまうか・・・」  
「そうじゃなくて・・・」  
 
どうやらサンダースは多少ズレた事を考えていたらしい。  
しかしそれを誤魔化すかの様に、シャロンを抱き寄せると、強引に唇を奪った。  
 
サンダースに抱き寄せられ、唇を奪われたシャロンは、すぐにキスに酔ったような、トロンとした瞳になる。  
 
「お前の・・・シャロンの初めてを、私が今から奪う」  
「はい」  
「後戻りはない。我輩は貴様を離さない」  
「はい」  
「貴様が我輩を離れるのも許さない」  
「はい」  
「・・・では、始めるぞ」  
 
サンダースの言葉に、シャロンはいちいち返答していく。  
奴隷にするぞと言われるような強い物言いに、しかしシャロンは全てを受け入れる。  
 
「シャロン」  
「は、はい・・」  
 
サンダースの武骨な手が、シャロンの愛液で濡れたワレメに触れる。  
 
 
ぬちゅ、くちゅ、とシャロンのワレメが音を立て、スジをなぞっていたサンダースの指を、徐々に受け入れていく。  
ハァハァと早くも息を荒くしながら、サンダースの指がいい場所に触れる度、シャロンの腰が跳ねる。  
 
「ふむ・・・」  
 
サンダースが試しに指を抜くと、粘性のあるものがサンダースの指に絡む。  
サンダースはそれを一舐めすると、シャロンの唇に粘液まみれの指を当てる。  
シャロンはそれを舐め、しゃぶり、綺麗にすると、もう堪らないと言わんばかりに懇願した。  
 
「早く、私を貴方のものにして・・?」  
 
すがるような声に、サンダースは頷く。  
 
「あぁ、今から貴様のヴァージンを奪う。今ならまだ引き返せるぞ・・・?」  
「構いませんわ・・私が決めたこと、望むことですもの。・・・私が貴方のモノになったと、刻んで・・?」  
 
シャロンの決意は固く。  
サンダースは頷きもせずに、シャロンをそのまま自分に向かい合わせにさせる。  
 
(本来ならば、ベッドに寝かせてやるのだろうが、な)  
 
風呂場で、しかもシャワーを浴びながらのロストヴァージン。  
決して普通ではないが、それならばシャロンが満足する、幸せだと思えるようにしてやろう、サンダースはそう決めていた。  
 
 
サンダースが、シャロンの腰に手をやる。  
 
「一気に膜を破る。激痛が走るだろう、歯をくいしばれ」  
「えぇ、来て!」  
 
シャロンの悲鳴のような声がサンダースの耳に届いた刹那、シャロンのワレメにはグロテスクな位に勃起したサンダースの肉棒が刺さっていた。  
 
「・・・っっっ!」  
 
シャロンの瞳に涙が溢れる。  
サンダースはシャロンをそのまま抱き寄せると、小さく囁いた。  
 
「貴様のヴァージンをもらった。・・これで、名実共に貴様は私のモノだ。私の嫁だ」  
 
二人が繋がった所から、処女が破られた証である鮮血が溢れる。  
サンダースの囁きを聞いたシャロンは、涙を溢れさせたまま、満足そうに笑む。  
言葉は交わせないが、痛みが止むまでじぃっとサンダースに抱き締められていた。  
 
「大丈夫か?」  
「え、えぇ・・もう動いても構いませんわ・・・」  
 
どう見ても辛そうなシャロンに、しかしサンダースは、うむ、と頷き、シャロンのワレメを穿つそれを、上下させる。  
 
「あ・・うごいてますわ・・・」  
 
シャロンの華奢な身体が上下する。  
愛液の分泌は普通より良いらしく、ぐちゅりぐちゅりと水音を立てながら、サンダースの肉棒はシャロンのワレメを確実に拡げていた。  
 
ぬぷ、じゅぷ・・  
 
「あ、はぁぅ・・変な感じですわ・・」  
 
じゅく・・ぬりゅ・・・  
 
「はぁ、ああぁ・・・」  
 
シャロンの声に、艶が混じり始める。  
サンダースがシャロンを動かしていたのが、シャロン自ら腰を振り、ワレメからは愛液と血の混じったものが溢れる。  
サンダースは歯を食いしばり、射精を我慢している。  
シャロンの貧しい胸の先端の豆粒は、痛々しいぐらいに腫れ。  
 
「サ、サンダースさぁ・・・んぅぅ、もっと、激しく・・♪」  
「くぅっ・・言ってくれる・・・!」  
 
 
処女を失ったばかりだと言うのに、淫乱な、言わば痴女のような反応をするシャロンに、サンダースは唇を噛む。  
サンダースの肉棒を締め付けるシャロンの膣は、早く射精しろとばかりに肉棒に絡み、それを搾ろうとするのだ。  
 
「く、出す、射精するぞっ!?」  
「えぇ、出して、サンダースさんの子供ぉ、孕ませてくださいぃぃぃっ♪」  
 
感極まった声をあげ、シャロンがサンダースにしがみつく。  
サンダースの肌に爪が食い込む程の力で、結ばれたままにシャロンは絶頂した。  
 
「―――――っ!」  
 
シャロンは意識を失い、サンダースはシャロンの膣内に、生まれて初めての射精をし。  
 
 
「・・く、・・・意識を失ったか?」  
 
ぐったりとした様子のシャロンは、サンダースと結ばれ、しがみついたままで。  
 
 
取り敢えず、今度は普通の場所でやろう、そして風呂場では二度とすまい、とサンダースは考えていた。  
 
「浮気は、しても構いませんわよ?」  
 
サンダースに甘えながら、シャロンが微笑む。  
 
「浮気は男の甲斐性とも言いますわ」  
 
サンダースは答えない。  
ただシャロンの艶やかな金髪を撫でているだけだ。  
 
 
風呂場での初めての交わりの後、シャロンが意識を取り戻すまで、約30分。  
二人で洗いっこなどをして、クーラーを効かせたシャロンの部屋まで行き、もう一戦して。  
 
その後二人は、全裸でピロートークに興じていた。  
 
 
「しかし、君があれほど乱れるのは予想外だった」  
「だ、だって・・途中から、頭がぼうっとして、気持ちよくって、我慢できませんでしたもの・・」  
「全く。・・・可愛いな」  
「やンっ♪」  
 
シャロンの首筋を、サンダースが軽く舐める。  
それだけでシャロンは甘い悲鳴をあげて、全身を震わせた。  
 
「(我輩は、軍人。なれば、戦場に骨を埋めるのが運命)」  
 
シャロンを可愛がりながら、サンダースは小さく思う。  
 
「(いつ死ぬか解らぬ我が身、ならば最期の日までこの娘を愛するのが道だ)」  
 
シャロンに悟られてはならない。  
桃色に染まった肌でしなだれかかるこの少女にだけは、悟られてはならないと。  
 
「(願わくは、我に天運が味方せんことを。老いて、子を成し、その未来をも築くために)」  
 
シャロンが求めるキスを、優しく受け入れながら。  
 
「(天よ、そして存在するはずのない神よ。・・我輩に、どうかこの少女を護る役目、少女が死すまで全うさせてくれ・・・!)」  
「私のそばから、いなくならないで・・?私も頑張って強くなりますわ・・」  
「・・あぁ、約束しよう」  
 
すがるような目のシャロンを抱き締める。  
束の間の安寧の時を、二人で過ごしたいと願いながら。  
 

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