打ち寄せる波・・・・人工の波だが。
蒼く輝く水面・・・整備が行き届いているからだろう。
「しかし、凄いな」
「?・・何が凄いのかしら?」
「シャロンの別荘の事だ」
傷だらけの身体に身を寄せるシャロンを愛でながら、サンダースは呆れたように言ってみる。
シャロンの着ているワンピースタイプの水着の股間部分からは、先程着替えた直後に愛し合った際に中に出された白濁が染みとなって出ている。
泳ぐのが目的でシャロンの別荘に来たわけではなく、二人きりでイチャつきたいシャロンが、泣き真似をしてサンダースを連れて来たのだ。
パラソルの下、日々二人は愛し合い、戯れ、そして笑いあっていた。
シャロンは誇り高い性格をそのままに、サンダースと二人の時は、猫か犬かと言わんばかりのデレっぷりを見せつけ。
サンダースはサンダースで、シャロンの髪を撫でたり、抱き締めたりすることが日課のような、優しい彼氏となっていた。
「シャロン、夜は花火でも見に行くか?」
「えぇ、素敵ですわね♪」
シャロンの笑顔には、一欠片の澱みも歪みも見えない。
サンダースも、軍を辞めてしまってからは、もう不安材料がないとばかりに笑うようになった。
『お前、辞めろ』
サンダースにその電話がかかって来たのは、シャロンと男女の中になり、初めてのデートの日の夜だった。
『少将殿。仰る意味が解りかねますが』
『軍を辞めろって言ってるんだ』
サンダースを直属の部下としていた少将は、からからと明るい声で。
『お前、今日デートしてたろ?』
『な!?』
『隠すな、悪い事じゃねぇよ』
昼間のデートを上司に見られていた、そう知ったサンダースは慌てたが、少将は変わらぬ声色のままで。
『守るべき女が出来たヤローにだ、死ぬか生きるかの仕事をやらせるほど俺らは鬼じゃねぇよ』
上には俺から上手く言っておくからよ、と言って、少将は電話を切ってしまう。
サンダースも最初は冗談かと思ったが、数日後、アカデミーの自室に届いた給料明細に退職金まで振り込まれていたのだ。
その段になって、初めてサンダースは自分が変わったのだと理解出来た。
サンダースがぼぅっとしているのを見て、シャロンが心配そうな顔をする。
それに気付いたサンダースは、シャロンの頭を撫でて、額にキスをひとつ。
「どうしましたの?何か辛いことでも?」
「いや、軍を辞めさせられた時の事を思い出してな」
「もう、離ればなれにならないですみますわね?」
あぁ、そうだ。
サンダースはそう呟くと、瞳を閉じる。
「いい天気だ。・・眠くなってきた」
「では、一緒にお昼寝しましょう?」
「それもいいな」
シャロンを抱き寄せたまま、サンダースは意識を落とす。
風がゆるやかに吹いていて、シャロンの身体の温もりが心地好くて。
結局夕方になるまで二人は抱き合ったまま昼寝をし、それからは着替えて夕食を食べ。
近くの店で買ってきた花火を、二人で楽しんだ。
「こうやって二人きりでいると、なんだか風流ですわね?」
「熱いから、火傷はするなよ?」
「大丈夫ですわ♪」
シャロンの笑顔に、サンダースはまた破顔して。
「・・・それより、アカデミーが始まったら、あんまり笑わないでくださいね?」
「何故だ?」
パチパチと音を立てて、花火は夜の闇を彩る。
「貴方の笑顔は、素敵過ぎますもの。他の誰かが貴方に心奪われてはいけませんわ」
「ならば、見せつけてやろうではないか」
花火の火が、ぽつりと消えた。
花火を終えた二人は、その後一緒に風呂に入り、そこでも愛し合った。
シャロンは、確かに気が強くはあるが、サンダースに対しては従順であり。
だからと言うわけではないが、兎に角サンダースへの奉仕に多幸感を覚え始めていた。
サンダースはと言えば、シャロンの願いを聞き入れ、シャロンに愛され、お返しとばかりにシャロンを鳴かせイカせ、白濁を膣に注いだり、またシャロンの顔にぶっかけたりするようになった。
そんな風呂場での一幕の後、二人はベッドで、休みに着く。
ここでも愛し合いたい気持ちは互いにあるが、それでは風呂に入った意味が無くなる。
おやすみなさい、とシャロン。
おやすみ、とサンダース。
優しいキスの後、二人は穏やかな眠りに落ちる。
次の目覚めも、最愛の人の隣で迎えられる幸せの中の眠りに。