*
「うふふ…いよいよクライマックスね」
待ちわびた、という顔のマロン。
「ねぇ、そろそろタネ明かししてよぉ」
一方、ラスクは不満げに言う。
「そうね。じゃあ…」
少し間をおいて続ける。
─まずは現在の状況からね。これは前にも言ったけどもう一度整理するわね。
今のレオンくんはわたしの薬が効いてて、言ってみれば洗脳状態。常識的判断よりわたしの命令の方が上位に位置していて、罪悪感も麻痺しているの。だから女の子に酷いことした、って思い悩まずに普通に生活していられるのね。
そこで薬の効果を解除するとどうなるかしら?
─そうね。自分のしたことに対する罪悪感に苛まれるの。
しかも「好きな人の為に」と思ってやっていたことなのに、実は好きでもない人に利用されて、なんの罪もない多くの人を傷つけた…それを知ることになるのよ。
そうなったら多分彼はシャロンちゃんに縋るでしょうけど、ここでトドメね。
そこで彼女の薬の効果を解除すれば「ただの他人」に戻った彼女本人が突き放してくれるわ。
「へぇ〜…ずいぶん手のこんだことするなぁ…それにしてもどうしてこんなやり方するの?」
感心したラスクが訪ねる。
(それは…)
「もちろん……楽しいからよ」
*
・
・
レオンとシャロンは揃ってマロンに呼び出された。
「私たちになんの用でしょう?」
「…さあ」
比較的楽観視しているシャロンに対してレオンは気が重い。これまでマロンの命令を聞いてきたが、今回だけは明らかにいままでとは違う。
自分とシャロンをくっつけて何をさせる気なのか、いまだに答えは見えていない。が、これから「何か」が起こるのだろう。
今、レオンはある一つ「覚悟」を持ってこの場に臨んでいる。
少しだけ、久しぶりなこの部屋の前に立つ。
「え〜と…ここですわ。失礼します」
「…失礼します」
シャロンに続き静かに入室する。
「あっ、いらっしゃ〜い」
部屋の主はいつも通り…いや、いつも以上に上機嫌な笑顔で二人を迎えた。
マロンに促されて腰をおろした二人に笑顔で話しかける。
「お二人とも、最近仲がいいみたいねぇ〜?」
「えっ!?そっ、そんなことありませんわっ!」
「……」
レオンは「先生がそうしろって言ったから」なんて言えるはずもなく、結局何も答えられない。
「うふふ〜もうキスはしたのかしら?」
「きっ!?キスなんて…」
シャロンはただの物好きな先生だと思っているのだろう。いちいち動揺してしまう。
「それとも……最後までしちゃったの?」
「ッ!そっ…そんなわけありませんわ!」
シャロンの反応にマロンは自分の計画が間違っていないことを改めて確信する。
「…先生、本題は?」
シャロンに助け船を出す。
「あ、そうそうレオンくん。ちゃんと言った通りにしてたかな?」
「…ああ」
「うんうん、えらいえらい」
二人だけに通じる会話に取り残されるシャロン。
「それじゃあ早速…」
なにやら小声で唱え始めるマロン。すぐに詠唱が終わる。
(これで薬の効果は消えたわ。後はちょっとゆさぶってあげれば…)
「ところでレオンくん。なにか言うことはない?わたしにおしおきされるような『悪い事』をした…とか」
「…先生に怒られるようなことはしてません」
先程から続く二人のやり取りに理解が及ばないシャロンは疑問符を浮かべて成り行きを見守る。
(まだ足りないみたいね…)
「ほんとぉ?例えば他の女の子に手を出した…とか」
「な、なんですってぇ!?」
シャロンがつい声をあげてしまう。
「……」
深刻な表情で俯くレオン。
(うふふ…効いたわね)
「レオンさん!今の話は本当ですの!?」
「……」
しばらくの沈黙の後、「覚悟」を決めたレオンが重い口を開いた。
「…ごめん、シャロン……」
シャロンは言葉が出せずにいる。
それに対して驚いた顔をしているが、わかりきった、期待通りの答えに歓喜するマロン。
「レ、レオンさん…どういうことですの…?」
マロンの存在すら忘れてレオンに詰め寄るシャロン。その顔は怒りではなく、不安に揺れている。
烈火の如く怒るものかと思っていたが、その不安そうな顔にレオンは激しい自己嫌悪に陥る。
そんな二人を心の奥底でほくそ笑みながら見守るマロン。
「シャロン…聞いてくれ」
意を決して語り出す。
「俺は今まで決して少なくない数の女の子たちを…無理矢理犯した」
「…そ…それはどういう…」
今にも崩れ落ちそうなシャロンの言葉を無視して続ける。
「俺は『ある人』に振り向いて欲しかったから、その人が望むことをした」
マロンはレオンの台詞に僅かに違和感を覚える。
「でもそれは命令されたわけでも、強要されたわけでもない。自分の意志でしたことだ」
(自分の意志…?)
「…俺がシャロンと付き合ったのも『ある人』が望んだから」
「…!」
シャロンの顔が動揺に歪む。
「でも……」
「それももう、やめだ…今もこんなに想っているのに…『あの人』は俺に振り向いてはくれない…いくら俺がなにをしても……」
(おかしい…薬は解除したはずなのに…)
シャロン同様に、いや、シャロン以上にマロンは困惑する。
「…でも気付くのが遅かった。最初から気付いて諦めれば誰も傷つけずに済んだのにな…」
レオンが虚しく、自虐的に笑う。
「そんなことありませんわ」
その声は肩を震わせるシャロンからは想像もつかないほどはっきりと響いた。
「レオンさんが……傷つきますわ」
全てを諦めた顔のレオンをシャロンは僅かに潤んだ瞳で真剣に見据える。
─あぁ、そういえば…
「忘れてたな…」
なんとなくすっきりした顔でシャロンに微笑んだ。
(…予定とは違うけど…シャロンちゃんの薬も解除したほうがよさそうね)
明らかに計画とは違ってきていることに焦りつつも、終幕に向かって修正を加える。
マロンは二人に気付かれないうちにシャロンの薬の効果を解除した。
(心の拠り所でシャロンちゃんを失えばそれだけで十分ダメージはあるはず…)
「レオンさんの『悩み』というのはこのことですのね」
「あぁ…ごめん。でも、もういいんだ。シャロンももう俺なんかと付き合わないでも…」
「…嬉しいですわ」
無理に明るい顔を作ってシャロンが続ける。
「これで、私もようやくレオンさんの悩みを聞いて差し上げることができた、ということですわ」
「え?」
レオンが、そしてマロンが小さく呟く。
「レオンさんが私に悩みを相談できるほど、私たちの間柄は親密になった…違いますの?」
「だって俺は…」
「罪…というのは私や先生に知られると重くなったりするものですの?もちろんレオンさんの行いは許されるものではありませんわ。ですけど、それを知ったからといって私の気持ちは変わりませんわ」
(シャロンちゃんも効いてない…どうして二人とも…)
マロンは目の前の状況を冷静に把握しきれていない。全てが想定外。頭はこの上なく混乱して思考が追いつかない。
硬直するマロンを後目に懸けながらレオンは何度目かしれない台詞を再度口にする。
「…後悔しても知らねぇぞ」
「後悔なんかしませんわ」
シャロンは潤んだ瞳と満面の笑みで返した。
「あっ…先生の前なのにこんな…先生?」
マロンの存在を思い出してシャロンが真っ赤になる。
「え…あぁ…そうそう。二人とも最近目立ってるみたいだから、そのへんは人前では気をつけてね」
混乱しつつもなんとか取り繕う。
「はい…あの…先生、レオンさんのことは…」
「わかってるわ、大丈夫よ。今日はもういいからレオンくんと一緒にいてあげなさい」
二人が去って静かになった部屋には呆然と立ち尽くすマロンだけが残った。
・
・
二人並んで帰路につく。
レオンの「覚悟」、事実上の決別宣言。
レオンの片思いはレオン自らの手でその幕を降ろした。もちろん嫌いになったわけではない。多分、耐えられなくなったから。なぜ耐えられなくなったかは自分でもわからないが。
「…レオンさんの『振り向いて欲しい人』、は誰ですの?」
シャロンが廊下を歩きながら訪ねる。
「『振り向いてほしかった人』、だな。でもこれだけは言えない」
「……では、いつから好きだったんですの?」
「…そうだな。入学したすぐ後からずっと。そういうシャロンはいつから俺のことを?」
「いつから…というと難しいですけど、強いて言うなら初めてレオンさんの部屋に招待された時、ですわね。」
「あぁ…随分長い間話し込んだな、あの時は」
「そうですわね。あれほど話したのは久しぶりでしたわ」
少しだけ懐かしむレオンとシャロン。
ぽつり、とシャロンが言う。
「レオンさん…今はその人と私、どちらが好きですの?」
「…難しいな。嫌いになったわけじゃないから」
「嘘でもいいから私と言って欲しいところですけど…」
「そうだな…これからは、そうなるかもな」
「そうして見せますわ。これからレオンさんは私なしでは生きられなくして差し上げますわ!」
「ははっ、そりゃ楽しみだな。それじゃあ改めて」
ふいに立ち止まるレオン。
振り向いて見上げるシャロンの唇に
─初めて自分の意志でキスをした。
〜終幕〜
見慣れた自分の部屋。
日はまだ高いがカーテンが閉められ薄暗い。
レオンとシャロンは共に上半身だけ裸で向かい合っている。
「なぁ…なにもこんな真っ昼間に…」
「昼でも夜でも変わりませんわ。善は急げといいましてよ」
「…それ、使い方違うんじゃないか?」
レオンが呟く。
二人が改めて付き合い始めてから、二人の関係も少しだけ変わった。
一番大きいのはシャロンが積極的になった、ということだろう。強気になったと言い換えても間違いではない。
むしろそれがありのままのシャロンでもあるのだろう。
その為、レオンはシャロンに終始押されっぱなしになり、いわゆる尻に敷かれた状態になりつつあるのだった。
「……っ!」
ぼやくレオンの唇を奪う。首に腕を回してそのままレオンを押し倒す。
素肌の上にシャロンの柔らかい感触が伝わってくる。
「…っ…んっ!…」
シャロンの舌が容赦なく口腔内を舐り、唾液を流し込む。
シャロンの攻撃的な舌技に翻弄されながらも、自分の胸の上でシャロンの膨らみの先端が固くなってきていることに気付く。
「……っぷはぁ!」
シャロンの攻めから解放されて大きく息を吐く。
レオンの身体はすでに熱を帯び始め、その目はぼんやりとシャロンを見つめている。
シャロンが二人の混ざり合った唾液で汚れた唇を舌なめずりする。その微笑みがとてつもなく妖艶で、いやらしく見えて思考回路がショートしかける。
「ふふ…今度は私の番ですわね」
「……」
キスされただけなのに、聞き返す余裕もない。
シャロンの細い指が首筋を伝う。
そのままゆっくり身体を伝い、一点で動きを止める。
ジイイィィィ……
ズボンのジッパーを下ろされる。
「ちょっ!?」
「大人しくしててくださる?」
慌てて上半身を起こすが、静かに窘められてしまう。
「だってそこは…」
「今度は…私がレオンさんを気持ちよくして差し上げる番ですわ」
ズボンの中から固くなりかけたそれを掴み出される。
「こんな形をしてるんですのね…」
「あんまり見るなよ…」
興味深そうに眺められ、羞恥心で狂いそうになる。
突然に竿をなで上げられて声が詰まる。
「ふふ…我慢しなくてもよろしくてよ」
妖しく笑いながら言った。
シャロンの舌が先端を伝う。
「…うぁっ!」
シャロンの舌からもたらされる刃物のような鋭い快感に思わず呻く。
「ふふふ…」
レオンの反応に淫靡な笑顔を浮かべるシャロン。
「シャロン……ッ!」
最後まで喋らせずに再び舌を這わせる。
レオンを黙らせてそのまま攻撃を続行する。
根本から掃除するかのように丁寧に唾液をまぶしていくその間にもレオンの男根はみるみる硬度を増していく。
「レオンさん…もうこんなになってますわね…」
反り返る肉をシャロンの指が握りしめる。「…熱い」
ぽつりと呟いて、唾液にまみれた竿をしごく。
「…ぅ…ぁ…」
濡れたそこをしなやかな指に刺激され、腰が浮くような快楽に襲われる。
柔らかなシャロンの手の感覚に目の前が真っ白になっていく。
人としての感覚を失いかけ本能のままに与えられる快楽を享受する。
完全に壊れてしまう、その寸前─
突然刺激を止められる。
意味もわからず戸惑うレオンに向かってシャロンが愉快そうに言う。
「そんなに物欲しそうな顔をなさって…どうして欲しいのかしら?」
「……」
壊れかけた思考能力を総動員してシャロンの言葉を理解する。
「…この前のこと、根に持ってるのか?」「さあ、何のことだかわかりませんわ」
シャロンが笑顔で答える。
その間にも火照った身体は絶え間なく快楽を要求する。
「──やめないでくれ」
どうしても逆らえない欲求に屈する。
「なにをやめないで欲しいのか、わかりませんわ」
本能的な欲求と限りなく摩滅した羞恥心が天秤にかけられる。答えは決まっている。
「…シャロンにもっと気持ちよくしてもらいたい…だから……」
「仕方ありませんわね…」
(少しイジワルし過ぎましたわ…)
仕方ない、といいながら満足気なシャロン。
「では、えっちなレオンさんの望み通りにして差し上げますわ」
シャロンの唾液とそれ自身からにじみ出る液に濡れ、てらてらとひかる熱い肉。
その鈴口に滲む液を舌で舐め取る。
「…ぁぅ…」
「ふふふ…そんなに気持ちいいんですの?じゃあこれは…」
その瞬間、肉棒は温かい感覚に包み込まれた。
「ぅッ!……シャロン…そんな…いきなり…」
シャロンがこの手の経験がないことは明らかだった。それが逆にレオンを刺激する。彼女の献身的な愛撫にレオンの欲望が膨らんでいく。
「んっ…んむぅ…」
「くっ…シャロン…もう…」
びゅっ!
耐えきれずにシャロンの口の中で弾ける。
「んん!?」
びゅびゅ、びゅっ!……
シャロンは突然の射精に驚きつつもそのまま受け入れる。
「ごめん…」
「…んむ……ん…」
ごくん、と嚥下する。
「無理に飲まなくても良かったのに」
「はぁ…はぁ……べ、別に無理なんかしてませんわ」
やや涙目のシャロンが強がって言った。
その献身的な行為とは全く逆の態度にシャロンの可愛さの一面を見いだしたレオンだった。
さて、経験のないシャロンに無理をさせてしまったので、やはりここからは自分がリードしなくては…
「じゃあそろそろ…二人で気持ちよくなろうか」
「…ええ」
シャロンの汚れない体を目前にしたレオンのモノはすでに臨戦体勢に復帰している。
「これだけ濡れてれば平気…かな。痛いかもしれないけど…平気か?」
「…承知の上ですわ」
堅くなったそれをシャロンの入り口にあてがう。
「痛かったら言えよ」
そう言って少しずつ腰を押し出す。
「……ん…っ」
シャロンが圧迫感に僅かに呻く。
「大丈夫か?」
動きを止める。
「だ、大丈夫ですから…早く…」
苦しそうなシャロンの様子を見て、いっそひと思いに楽にしてやるべきか、と思い至る。
「…一気にいくから、我慢してくれ」
シャロンは目を閉じて無言で頷く。
ズン…!
「ああああぁぁ!」
「くっ!」
シャロンの体を引き裂く感覚の後…結合部からは赤い血が流れ、シャロンの目からは涙が溢れる。
いままで幾度か経験したこの状況の中、いままで言えなかったことを口にする。
「大丈夫か…?」
堅く目を瞑ったシャロン。
─その痛みに耐える少女の顔を思いだして何度死にたくなったことか。
「へ、平気ですわ…ぁッ!」
平気じゃないことは一目でわかる。彼女が望んだとはいえ、自分がその苦痛を与えている。
「…無理、するなよ?」
「わかって…ますわ…」
シャロンが慣れてくるまで静かに待つ。シャロンの乱れた吐息だけが響く。
「レオンさん…キス、して…」
「でも…」
僅かに躊躇う。
「大丈夫ですから」
「…ん。わかった」
体を動かすと案の定痛みにシャロンが顔を歪めながら「大丈夫だから…」と呟く。
不安げに見つめてくるシャロンの顔。その艶やかな唇に静かにくちづける。
「んっ…」
しばらくの後、二人の唇が離れる。
まだ少し辛そうではあるがシャロンが笑顔を見せる。
「もうだいぶ落ち着きましたわ。だから…レオンさんの好きにしてください…」
「わかった。でも痛かったら言えよ」
多分痛くても言わないんだろうなぁ、と思いながらも一応言っておく。
「……ッ…!」
レオンがゆっくり腰を引くとそれだけでシャロンの声にならない悲鳴が漏れる。
十分受け入れる体勢が整っていても、やはり経験がない者には苦痛が伴うのだろう。
声をかけようかとも思うが、無理に強がるのは明らか。それならばせめてできる限り優しくしてやるべきだと思い直す。
痛々しくも鮮やかに赤く染まったシャロンの中をゆっくり行き来する。ただでさえ狭すぎる肉穴はレオンを痛いほど締め付ける。
徐々に慣れてきたのかシャロンが苦悩を漏らすこともなくなってくる。
「もう痛くない?」
優しくいたわるように訪ねる。
「…痛くはありませんけど…なんだか変な感じ、ですわ…」
その返事に安堵する。
返事の代わりにシャロンの唇を奪う。シャロンも積極的に舌を絡めてくる。いやらしく甘美な感覚に酔いしれる。
「今度は…最後まで気持ちよくしてやるから」
シャロンの耳元で囁く。
動きを止めていた往復運動を再開する。今度はただ単調にではなく、シャロンに快楽を与えるべく動く。
「…ぁ…んっ……レオン…さんっ…」
もはやそのシャロンの悩ましい声に苦痛の色はない。
未だ狭いことに変わりはないものの、シャロンの豊富な秘蜜に助けられてスムーズに腰を打ちつける。その度に薄暗い部屋に重い水音が響く。
レオンはシャロンの両足を持ち上げ、より深くに己を突き入れる。
「ぁんッ!…んん…レオンさんっ…いい…ですっ…あぁッ!」
シャロンの声も一層高まる。
「…シャロンの中…気持ちいいッ…!」
もちろん狭いシャロンの中を往復するレオンも凄まじい快楽に襲われる。
脳の奥から真っ白になっていくような感覚。とにかく気持ちよくなること以外考えられず、より強く腰をうちつける。
「レ、レオンさんっ…わ、私ぃ…も…もうッ…」
シャロンが自分ので気持ちよくなっている、そう思うとさらに興奮が高まる。
もうシャロンしか見えないし、シャロンの声しか届かないし、シャロンの甘い香りしかしないし、シャロン以外のものはどうでもいいと感じた。
「シャロンッ…俺も…ッ」
二人が高みに向かって加速する。レオンがシャロンの最奥に一際強く突き入れる。
「あぁああぁぁぁッ!!」
「…くぅッ!」
シャロンが甲高い声を上げて達するとそれに導かれるようにレオンのものが弾ける。
勢いよく吐き出される白濁が何度もシャロンの最奥を叩く。その度にシャロンの体が震える。
ようやく射精を終えたものを引き抜くと、シャロンの蜜と純血とレオンの大量の白濁が混ざって溢れてくる。
「うわ……」
あまりの光景に自分でしたことながら声が出てしまう。
息も絶え絶えなシャロンはぐったりとしたまま自分から流れ出す桃色の粘液を愛おしそうに見つめていた。
・
・
「痛かったですわ」
彼女は後ろを向いたまま不機嫌そうにそう言った。
いつの時かと同じように一つのベッドの中なのはいいものの、これまたいつかのようにそっぷを向かれてしまった。
「とっても、痛かったですわ」
「…ごめんって」
とりあえず謝る。
「…レオンさんは私が許すまで私のモノですわ」
「許すまでって…いつまで?」
「……一生、許しませんわ」
「…そうか。じゃあ許してもらわないでいいや」
それきり、沈黙が部屋を包む。
「…それに……」
ぽつりとシャロンが言う。
「……私の中にあんなに出したんですから。しっかり責任、取っていただきますわ」
そういって振り向いたシャロンの笑顔は今までで一番眩しかった。