しんしんと、雪が降る。  
クリスマスの前日がそんな日なのだから、アカデミーの生徒たちは大はしゃぎで。  
やれホワイトクリスマスだ。  
やれ積もらないかなぁだ。  
 
「雪など、ただ寒いだけではないか。陽光に温もりを求めてこそだろう」  
「あはは・・・やっぱりサンダースってリアリストなんだね?」  
「寒いのは好かん。極度に暑いのも然り。春と秋の穏やかさが、好きだ」  
「それでも、やっぱり季節は巡るから、だから季節なんだと思うよ?」  
「・・・・今日は妙に知的なことを言うな」  
 
雪の降る街を、二人で歩く、サンダースとルキア。  
闇の森の一件から、二人はいつでも隣同士でいた。  
多少淫乱ではあるが、ルキアは生来の明るさを失わずに。  
可憐だった容姿は大人っぽさを同居させて。  
 
「サンダースと、初めてのクリスマスイブのイブなんだよね」  
「ややこしいな」  
「クリスマスイブも、クリスマスも、お正月も・・・・ずっと、一緒だもんね?」  
 
繋いでいた手に、力が入る。  
僅かに震えているルキアを抱き寄せて、サンダースは微笑んで。  
 
「あぁ。ルキアは、我輩の恋人だものな。ずっと、一緒にいないとな・・・・」  
 
空は既に闇に染まっており。  
止む気配のない雪だけが、闇に包まれた世界を彩っている。  
 
「うん、ずっと・・・・ずっとだもんね」  
 
頬を染めたルキアが、はにかみ笑顔を見せる。  
それを見た瞬間、サンダースはその微笑に見とれる。  
 
白雪の舞う、二人きりの夜に。  
 
 
サンダースは、またひとつルキアを好きになり。  
ルキアは、またひとつサンダースを好きになり。  
 
サンダースは、ルキアの唇に、そっとキスをする。  
ルキアはキスを受け入れて、代わりに思い切り心を近付けて。  
 
 
それは、白雪の舞う、寒い寒い日の、暖かな恋人たちのお話。  
 

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