『プレゼント』  
 
カラン――。  
ここはシャロンの部屋。日はすっかり落ち、周囲が夕闇に包まれる中で、部屋の照明が二つの影を映し出していた。その二つの影が持つグラスがぶつかり合い、軽い音を立てる。  
「誕生日おめでとうございます。シャロン」  
シャロンの恋人であるカイルは彼女の誕生日を屈託の無い笑顔で素直に祝福する。  
「い、一応お礼は言っておきますわ、カイル」  
シャロンも照れ隠しだろうか、少々そっけない態度をとる。だが他の人物に向けたものと違って、心から嬉しそうにしていることはカイルには分かる。  
シャロンはグラスに注がれたぶどうジュースを一口飲む。他にも小さなテーブルにはカイルが腕によりを掛けて作った、チーズハンバーグなどが並んでいる。シャロンはその一つひとつを心底嬉しそうに味わっていた。  
「シャロン、僕の料理は口にあったでしょうか……」  
アカデミーでも一、二を争う料理の腕を持つカイルが心配そうにシャロンに尋ねる。どうやらやや自分の腕に自信が持てないところが少々あるようだ。シャロンはそんな彼の心配を払拭するかのように  
「美味しいですわ、カイル。実家の料理人にも見習わせてあげたいものですわね。カイルはもっと自信を持っていいのよ?」  
と褒め称える。だがカイルは  
「恐縮です……」  
といつも通りの態度であった。シャロンはそれを見て心の中でため息をつく。  
(カイルにはもう少し自信というものを持ってもらいたいですわ……。その為にはどうすればいいのかしら?)  
シャロンはそんなことを考えながら食事をするが、気づけばカイルの料理の美味さにそんなことは忘れて行き、純粋に二人だけの誕生日会を楽しんでいた。カイルは自分の料理がシャロンに食べられていくさまを満足気に眺めていた。  
 
テーブルの料理が半分ほど片付いた頃であろうか、カイルが口を開く。  
「シャロン、ちょっといいですか?」  
「あら、どうしたのかしら、カイル?」  
彼は上半身を右に傾け、鞄の中からラッピングされた小箱を取り出す。カイルはそれを両手でシャロンの方向に差し出し  
「誕生日おめでとう、シャロン」  
と手渡す。カイルの思わぬ不意打ちにシャロンの顔は真っ赤に染まり、  
「あ、ありがたく受け取っておきますわ!な、中身は何かしらね?」  
「いえいえ、どういたしまして」  
というやり取りの後、包装を丁寧に剥いで中身を取り出しと、革張りのしっかりとした箱が顔を出す。シャロンはわくわくしながら蓋を開けると、中に入っていたのは万年筆であった。  
「以前シャロンが万年筆を落として、困っていた様子でしたので、これにしました」  
と彼は言う。シャロンはその万年筆に見とれていた。  
(この万年筆は既に生産中止のモデルで入手困難なもの……、それをわざわざわたくしのために……)  
こういった高級品の価値はシャロンが一番知っている。その入手に只ならぬ苦労があったことは容易に推測ができた。その入手困難な品物を自分のために入手してくれたカイルのことを思うと、シャロンは何ともいえない気持ちになった。  
「シャロン?もしかして気に入りませんでしたか?」  
そんなシャロンにカイルは自分のチョイスがよくなかったのではないかと心配そうに話しかける。しかしシャロンは  
「ありがとうカイル……、ずっと使わせてもらいますわ……」  
「よかった……気に入ってもらえたようで。シャロンに喜んでもらえるなんて、感激です」  
カイルもまたシャロンと同じぐらい幸せそうな表情をしていた。彼女はテーブルの隅にプレゼントを置くとグラスを手に持ち、  
「カイル、改めて乾杯しませんこと?」  
「え、ええ。構いませんよ」  
カイルもグラスを持ち、音頭を取る。  
「僕とシャロンの将来に」  
「『乾杯』ですわ」  
再びグラスとグラスがぶつかり合う音が部屋に響く――。  
 
カイルとシャロンの二人はその後も和気藹々と談笑や食事を続け、気付けば残りはデザートだけになっていた。そのことを確認したカイルは立ち上がり  
「シャロン、そろそろデザートにしましょう。今冷蔵庫から取ってきますよ」  
と部屋の隅にある冷蔵庫へと向かおうとした。けれどもシャロンも同じく立ち上がり  
「カイル、ちょっと待って」  
と制止する。  
「シャロン、どうかしましたか?」  
カイルはきょとんと立ち尽くすが。シャロンは気にした様子も見せず、カイルに近づき一息置いて、  
「わたくしがデザートですわ♪」  
とカイルの体をシャロンのベッドへと押し倒す。カイルは不意を突かれ何がなんだかわからないといった表情をしていたが、我を取り戻すと  
「シャ、シャロン?い、一体どういう意味でしょう?それは?」  
と焦りながら聞く。これに対しシャロンは小悪魔みたいに  
「本当はわかってらっしゃるくせに。プレゼントのお返しといっては何ですけれども、わたくし流にお礼をさせてもらいますわ♪」  
とにっこり微笑むと、カイルのスラックスのジッパーを下ろす。カイルのモノは既に大きくなっており、今からされることを期待していた。  
 
「あら♪カイルの体は正直みたいですわね」  
「シャロン、言わないでください……」  
シャロンは露になったモノを優しく口で包むと、上目遣いでカイルの顔を見る。彼の顔は既に上気しており、シャロンの舌技で感じていることがわかった。  
「ん……ちゅ……ぺちゃ……ぐちゅ……んっ……」  
「っ……!シャロン、気持ちいいです……」  
シャロンはカイルのモノを優しく、時には大胆に舐めまわす。単調になり過ぎないように、舌を上から下まで変幻自在に移動させる。カイルの表情も緊張から恍惚へと代わりつつあり、部屋に雄と雌の匂いが漂い始める。  
「ぷはっ……!カイルの、とてもたくましくて素敵ですわ……。こんなに大きくして、脈打ってもう我慢の限界ですの?」  
「うっ……そ、それはシャロンが……」  
「言い訳は聞きたくありませんわ。私がいいと言うまでイってはダメよ?」  
カイルにそう命令するとシャロンは再びカイルのモノを口に含む。カイルはシーツの端を力強くつかみ、シャロンの命令を遂行しようとする。  
「んちゅぷ……れろれろ……くちゃ……んっ……」  
「あっ……!んんっ!ふうっ!ああっ……!シャ、シャロン、僕、僕もう!」  
カイルのシーツを掴む手に力が入る。もう彼の限界は近いようであった。シャロンはそれを知った上でカイルの先端を中心に、いやらしく、集中的に攻める。  
「ちるっ……ちゅ……んむ……ぐちゃ……」  
「シャロン、も、もう……。イ、イってもいいですか……!」  
カイルはシャロンに哀願する。シャロンはそれを見て頷くと同時に竿の下から上までぺろっと舐め回し、止めを刺す。カイルの背中は弓なりになり、シャロンの口の中に彼の劣情を解き放つ――。  
「シャロン!シャロン!あっ、ああッ!!」  
「んっ!?んんんんっー!!」  
シャロンはやや苦しそうな表情をしながらも、カイルの劣情を飲み込んだ。  
 
「カイル、出しすぎではありませんの?少し苦しかったですわ」  
「面目ないです……」  
「まぁいいですわ。カイル……、して……」  
シャロンのねだるような顔にカイルの理性は完全に吹き飛び、戦闘態勢に再び入る。先程あんなに劣情を解き放ったというのに、カイルのモノは再び元気をとりもどしていた。彼は体を起こし、スラックスを完全に脱ぐとシャロンの体を抱きかかえ、膝の上に乗せる。  
「カイルのがわたくしのお尻に当たっていますわ……」  
「ええ、シャロン、わかっています。スカートを脱いで頂けませんか?」  
「え?わ、わかりましたわ……」  
シャロンは器用にカイルの上でスカートだけを外し、黒い下着とガーターベルトがまる見えになる。  
「カイル、ちょっと恥ずかしいですわ……」  
「ふふふ。でもとてもいいですよ。シャロンの綺麗な足。ここでならシャロンの暖かさも感じていることができます」  
「カイル……」  
シャロンはカイルのほうを向くと、唇をカイルに重ね合わせて接吻をする。カイルもそれに応え、シャロンの咥内へと舌を侵入させて、シャロンのものと絡ませあう。  
「ん……シャロン……」  
「んちゅ……んっ……はぁ……カイルう……」  
二つの舌は絡み合い、淫靡な水音を立てる。カイルは両手をシャロンの黒い制服の上着の隙間から忍び込ませて、胸に触れる。するとシャロンの体はびくんと震えた。  
「ぷはっ……!カイル……?」  
「ここは任せてください、シャロン」  
「わ、わかりましたわ。でもわたくしの胸は小さいから……」  
「そんなことは問題ではありませんよ。シャロン」  
カイルは器用に黒いブラジャーを外さずにシャロンの胸を愛撫する。まるでそれは彫刻をする職人のようであった。  
「あっ……!そ、そこは……ひゃあ……!んっ……!」  
「ふふふ。シャロン。少し静かにしていてください」  
カイルは己の唇で彼女の口を塞ぎ、黙らせる。しかし胸を攻めるのをやめないどころか、更に過激さを増す。  
 
「んんっ……!んんんっ……んん!!」  
「ッ……!れろれろ……ん……んんうう」  
二人とも息が荒くなり、興奮しているのがわかる。特にシャロンは限界を迎えそうであった。  
「ぷはっ!シャロン、イきたければイっていいのですよ?」  
「カ、カイル、言わないで!あっ、あああッ!!!」  
シャロンはカイルの言葉を引き金に軽く絶頂を迎えた。シャロンの太ももからは彼女の愛液が滴り落ちていた。  
「はぁ……はぁ……軽くイってしまいましたわ……」  
「シャロン……僕もう我慢できません……。もう入れていいですか?」  
「わかりましたわ……カイル……来て……」  
「(きゅん!)……!」  
カイルは腰をずらすと、シャロンの下着をずらし、進入路を確保する。下着は汗や愛液でぐちゃぐちゃになっていた。カイルはモノをぐちゅりという音をたてて挿入すると上体を倒して再び仰向けに寝転がる。  
「カイル……?」  
「ふふふ、シャロン、気持ちよくしてあげますよ」  
彼は体にのしかかっているシャロンを上目でみてそう言う。シャロンはきょとんとしていた。カイルはそれを確認すると腰を上下に振りはじめる。  
「カ、カイル!?そ、そんないきなり動いたら!だ、だめ!あ、ああっ!」  
シャロンは予想外の自体に思わず情けない声をあげてしまうが、決して嫌がっているわけではなかった。彼女の体は揺れ、その金髪の間から彼女の顔が見え隠れする。  
「ああッ!あんっ!カ、カイルっ!くっ!ら、らめぇーっ!!」  
「ああ……シャロン……僕の愛しいシャロン……」  
カイルは様子を見ながら腰を振る速度を調整しつつ、シャロンに快楽を与え続ける。シャロンの嬌声はさらに大きくなりつつあった。  
 
最初はぎこちない動きであったが、シャロン自身の愛液や涎、カイルの汁などで滑らかになるにつれ、腰の動きは速くなっていた。シャロンは自力で体を支えられなくなり、カイルのお腹に両手をつく。カイルもしっかり腰を振るために、両手で彼女の腰を固定する。  
「やっ……あ、んはぁッ!!あ、ああっ!んっ……んんう!!」  
「シャロンっ……!もっと、もっと普段とは違う貴女の顔を見せてください……っ!」  
といいシャロンの顔をじっと見る。シャロンは普段の高嶺の花といった雰囲気を漂わせていたが、ここにいる彼女はただの雌であった。カイルの前だけで見せる顔。口を開け、涎を飛び散らし、喘ぎ声を上げている。  
「いいっ!そ、そこ!ああっ!!カ、カイルぅ!イ、イっちゃいそうですわ!」  
「シャロン、まだ僕がいいって言うまでイってはダメですよ?」  
「ああんっ!そんな意地悪しないでぇ!う、ああっー!!」  
「ふふふ、先程のお返しですよ。ッ……ん……」  
とカイルがシャロンを焦らすものの、彼自身も我慢の限界が近いようであった。シャロンもカイルをイかせようとより強く締める。お互い臨界点に近づく。  
「カ、カイル、も、もうわたくし、我慢できませんわッ!は、んんぅ!!」  
「ッ……!し、仕方ありませんね、僕もイきそうですっ!」  
カイルもフィニッシュに向けてラストスパートをかける。一方シャロンもカイルの上で自ら腰を振り始める。カイルの先端からは汁が滴り、限界が近いことを知らせていた。そしてその時は来た。  
 
「な、何か来る!んっ!!あっ、あっ!カイルっ!!んあ、あ、あああああっ!!」  
「シャ、シャロン!!僕もう!ッ……んんんんんっ!!!」  
二人とも同時に絶頂を迎えた。カイルのモノはシャロンの中に一滴残らず劣情を解き放ち、白濁液で彼女の中を満たす。  
シャロンはカイルのモノをきゅんと締め、カイルの汁を一滴残らず搾り取ろうとする。シャロンの体中に電撃が走り、びくんと体の中で鳴ると同時に天空を仰いだ――。そしてカイルの体に倒れ込む。  
「シャロン……愛しています……僕たちずっとこのまま一緒です」  
「当たり前ですわ!どこか勝手に一人で行ったら許しませんわよ」  
「シャロン……」  
二人は行為を終え、同じ布団の中で愛の言葉を囁き合い、再びキスをする。  
願わくは二人の愛が永遠に続かんことを――。  
 
おわり  
 

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