「優勝はクララちゃん!おめでとう!」  
「わっ、やったぁっ!」  
辺りから一斉に拍手が沸き起こる。  
アメリアからメダルを受け取ると、嬉しそうに少しはしゃいでみせた。  
「やぁ、見事だったね。おめでとう。」  
「あっ、フランシス先生!ありがとうございます!」  
にこやかにお礼を言うクララ。  
「……後で僕の部屋に来るように。理由は……わかるだろ?」  
「っ!」  
フランシスはすれ違いざまにクララにしか聞こえないように囁いた。  
その囁きが耳に入るや否や歓喜にわいていたクララの顔が固まり、青ざめていった。  
しかし熱戦の余韻の中でそんなクララの顔を気にするものはついにいなかった。  
 
「驚いたな。まさか君が……ね。」  
「……気付いてたんですか?」  
フランシスの私室で向かい合う二人。  
鋭く睨み付けるフランシスの前にクララは居心地が悪そうにしている。  
「アメリア先生は気付いてないみたいだけどね。……失礼。」  
「きゃっ!?」  
突如手が伸びてきたかと思うと、クララの視界がぼやけた。  
フランシスの手には眼鏡。  
そのツルには細かく様々なメモが刻まれていた。  
「……なるほど、よくできている。」  
「か、返してください!」  
眼鏡を自分の机に置くと、フランシスは話を続けた。  
「悪いけど証拠品として没収する。ショウコりもなく再犯されると困るからね。」  
「………」  
突然の事にクララがポカンとしてしまった。  
(今のはいまいちだな……いや、悪いのはタイミングだな。)  
咳払いすると、再び教師としての顔に戻る。  
「とにかく、明日の職員会議でこの事について話す。両親の耳にもじき届くだろう。君自身はよくて停学、最悪……」  
退学。  
その言葉に頭を支配されたクララは本格的に狼狽えた。  
「それだけは……それだけは許してください!負けたくないからつい出来心でやっただけなんです!!反省します!何でもします!だから……だから退学だけはっ!!」  
謝罪を続けるクララをじっと睨み続けるフランシス。  
頭を下げ続けるクララに対して口を開いた。  
「何でもします……か。わかった。」  
机の上の眼鏡を取ると、クララの顔に戻してやった。  
「あっ……」  
「反省はしてるみたいだからそれは返そう。ただし次は承知しないよ。」  
「あっ……ありがとうございます!」  
頭を深々と下げるクララ。  
しかし安心も束の間。  
フランシスの言葉はさらに続いた。  
「さて……何でもしますと言っていたね。じゃあ試しに今僕の前でスカートを捲り上げて見せるんだ。」  
「えっ!?」  
突然すぎる要求にクララは焦りを再発する。  
「でっ、でも、そんな……」  
「どうした、出来ないのかい?さっきの覚悟はどうしたんだい?」フランシスは蔑んだ眼を向けて更にクララに言い放つ。  
「大会に臨んだ他の生徒達は勝つために相当な覚悟を決めて挑んでいた。中途半端な覚悟でしか大会に挑めない君では謝罪もその程度の覚悟、か……。」  
再びフランシスの手が眼鏡に伸びる。  
「ま……待ってください!」  
それをクララの声が制した。  
「わかりました。何でもします……だから、だから……」  
クララの手がそろそろとスカートの裾を掴み、静かに上へ上へ上っていく。  
「だから、退学だけは……」  
羞恥のあまり涙目になりながら懇願するクララ。  
(……なるほど。だいぶ堪えているみたいだ。でも、もう少し灸を据えておこうかな。)  
シンプルな白のショーツを眺めながらフランシスは笑みを浮かべた。  
 

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