シャロンとラスクの仲が急接近した日から数日後、二人は相変わらず仲がよかった。  
 授業が終わってからはカイルを交えて勉強をしていたりする。  
 無論、その仲の良さは全校生徒や教員にも伝わっている。  
 そんな感じで、快く思わない人が居るのも確かな訳で。  
 
「ラスク君……シャロンさんの事が好きだったの……?」  
 アロエは自室で枕を抱え込みつつベッドでうずくまっていた。  
 しかし、少し逡巡してから決意したかのように立ち上がり。  
「そうよ、ラスク君はシャロンさんに脅されて無理矢理付き合ってるだけなんだわ!!  
 そんなラスク君を救えるのは私しか居ないわ!!負けてられないんだから!!」  
 そんな感じで、アロエは部屋を飛び出した。  
 アロエが向かったのは寮長であるマロンの部屋。マロンは教師と言う立場でありながらも他の生徒達と仲がよく…もとい、かわいがられ、アロエとは(身長等共通点から)特に親しかった。  
 また、そのような関係から、アロエはマロンに相談事…主に恋愛に関しては何度かしていたりする。  
 コンコンッ  
「はぁ〜い。」  
 アロエが扉をノックすると、すぐに声が聞こえ、ぱたぱたと入り口の方へ駆け寄る音が響く。  
 
 ガチャリッ  
 扉が開いた先に居たのは部屋の主であるマロンだった。  
「あら、アロエちゃん、そろそろ来る頃だと思ったわ、上がって上がって。」  
 アロエはラスクの事に関して度々マロンの所へ相談に来ていた。  
 今回の一件があれば相談しに来る事もわかりきっていたのであろう。マロンは快く部屋へ招き入れた。  
「ごめんね、今ちょっと来客中なんであんまり話できないと思うけど…」  
 中に入ると、そこにはミランダが居た。  
「はぁい、ごめんなさいね、すぐに戻るからちょっと待っててもらえる?」  
 ミランダがアロエが来るのを見ると話しかける。  
「いえ、別に構いませんけど……」  
「もうすぐ終わるから、ちょっと待っててね。」  
 と断りだけ入れ、すぐさまマロンとの話に戻った。内容から察するに大会用の問題の回収に来ていたのだろう。  
 ミランダが問題の確認をし、マロンがその説明をする。トーナメントの決勝はミランダが問題を読み上げるのでこの辺の確認は念入りにしておく必要があった。  
 一通り話を終えたミランダはすぐさま書類を持って立ち上がり、帰り支度を始める。  
「ごめんね、アロエちゃんがくるのに長く居座ったりして。」  
「こっちこそ毎回取りに来てもらってごめんね〜、それじゃ〜。」  
 
 ミランダが部屋を出て行くのを確認すると、マロンはアロエに向き直った。  
「さてと……ごめんね、遅くなって。  
 それで、内容はやっぱりラスク君とシャロンさんに関してかな?」  
 マロンに言われてこくんと頷くアロエ。  
「ラスク君、絶対シャロンさんに弱みを握られてるかなんかして無理矢理つき合わされてるだけに違いないと思うの。  
 それで、それを証明する方法とか無いかなと思って……」  
「う〜ん……そうねぇ……  
 シャロンさんの方から当たっていくと違った時に対処が困るしなぁ……とは言えラスク君自身の弱みなんていいたくないだろうし……」  
「それじゃ手の打ちようが無いじゃないですか。」  
「そうねぇ……こうなったら……  
 ちょっとこっち来て。」  
 マロンがちょいちょいと手招きする。  
 アロエがマロンに手招きされるがままに進むと、マロンは倉庫という名ばかりのごっちゃになった物置の一箇所からピンク色の液体が入った小さな小瓶を取り出してアロエに渡す。  
 
「これ、なんですか?」  
「ミランダ先生から以前もらった特殊な媚薬。」  
「び!?」  
 驚くアロエに気にする様子も無く、さらっと言い放ったマロンは続ける。  
「普通は飲む物なんだけど、これは特殊で臭い自体に効果があるのよ。  
 それを使って規制事実を作っちゃえば間違いなく負けないと思うわよ。」  
「あ、ありがとうございます。頑張ってみますね!!」  
 アロエは小瓶を受け取るとすぐさまリディア寮のラスクの部屋へと向かった。  
「……あの子ももう少し落ち着きと言うものを覚えて欲しいわねぇ……」  
 開きっ放しの扉を見てそう呟くマロンであった……  
 
 コンコンッ  
「は〜い。」  
 アロエが扉をノックするとラスクの声が返ってきた。しばらくして……  
 ガチャリッ  
「あれ?アロエさんどうしたの?」  
 そんな言葉と共にラスクが出てきた。  
「ちょっとお話があるの、部屋に入っていい…かな?」  
「え?別に構わないけど…?」  
 二人は部屋に入る。  
 中に入り、ラスクはお茶とお茶請けのお菓子を持ってきた。  
「それで、話って何?」  
「うん……それはね……」  
 アロエは机の下で瓶を開け、液体がこぼれないようにラスクの目の前に突きつけた。  
 フワッっと甘い香りが拡がる、ラスクはこの臭いを知っているためすぐに息を止め瓶を閉める。  
「えっ……」  
 この反応にアロエは驚いた。  
 なぜこんなに早くに対応ができたのか。  
 そんな疑問を持っているのを感づいたかのようにラスクは呟きはじめる。  
「……これ、ミランダ先生の媚薬だよね……?」  
「な、なんでそれを……」  
「これに関してはミランダ先生本人から聞いてて知ってるからね。」  
「……でも、だったらなんで!!」  
「……ごめん、正直に白状しちゃうと、シャロンとの仲もこれに起因しているんだ……  
 彼女が誤ってこの薬を嗅いで、それに対処できるのが僕だけだった。  
 彼女と付き合いが始まったのもその頃からなんだ。」  
 
「……!!」  
 アロエはその言葉を聞くや否や、ラスクの手を振り払って瓶の中身を飲もうとする。  
 ラスクは慌ててアロエの口から瓶を引き離すが、そのとき既に瓶の中身が半分に減っていた。  
「けほっ……けほっ……」  
「アロエさん、大丈夫!?」  
「はぁ……はぁ……大丈夫…よ……  
 でも…体がちょっと熱いかな……」  
「えっ……」  
 アロエが言うや否や服を脱ぎ始める。  
 ラスクが慌てて止めようとするも、女の子の服の構造を知っているわけでもないため、アロエはどんどん生まれたままの姿へと変貌していく。  
「ちょ、ちょっとまってって、アロエさん!!」  
「ラスクくぅん……アロエだけ裸なんてずるいよ〜……」  
「へ?」  
 言葉の意味を理解するより前に、上半身の上着を脱がされ、下着に手をかけられそうになる。  
「だ、ダメだって!!これ以上は本当にやめ……」  
「……何をしてらっしゃるの?ラスク……?」  
 
 ギクッ  
 体を強張らせて後ろを振り返ると、居間の入り口にはシャロンが仁王立ちしていた。  
 顔は多少引きつっている笑顔で、バックには壮大な炎が燃え盛っている幻影が見えたような気がラスクにはした。  
「え〜と……これは訳を話すと長くなっちゃうんで、とりあえずアロエさんを止めてもらえるかな?  
 例の媚薬を飲んじゃってるんだよ。」  
「なんですって!?」  
 それを聞いて慌ててアロエを引き剥がそうとする……が、  
「……ラスク、聞きますが飲もうとしたのは当然止めたんですよね?」  
「うん、慌てて引き離して。」  
「その後、瓶はどうなさいました?」  
 顔を見合わせてから床の方へと目を向ける。そこには床に広がる例の媚薬。  
「きゃ〜!!換気!!換気しませんと!!」  
「とりあえず窓を開けてからここから退避しないと!!アロエさんに関してはミランダ先生の所へ!!」  
「わかりましたわ!!」  
 ラスクは瓶を閉めた後、アロエを背負って脱いだ上着を被せた状態で外へ出る。  
 シャロンも窓を開けてから一緒に外へ脱出する。  
 その後、二人はアロエを連れてミランダの元へと駆け足で連れて行った。  
 
「ミランダ先生!!」  
 本校内にある宿直室の扉を盛大に開けると、ミランダがおなかを抱えた状態で床に手をバンバン打ち付けていた。  
「………………あの、ミランダ先生?」  
 笑い転げているミランダに声をかけるラスク。  
 その言葉を聞いてようやく涙目のミランダが顔を上げる。  
「ご、ごめん、もうちょっと…待って……」  
 そういって笑いを堪えようと踏ん張ってから改めて顔を上げて一息つく。  
「ふぅ……ごめんなさい。  
 え〜と、アロエちゃんが媚薬を飲んじゃったのよね?」  
「なんでそれを……って、部屋の様子を盗聴したんですか?」  
「えぇ、以前使った盗聴器をそのまま部屋に放置するんだもん、面白くて面白くて。」  
「なんで止めてくださらなかったんですの?と言うかラスクの部屋が盗聴されてたってまさか……あの時も?」  
 シャロンが同意を求めるようにラスクを見た所、ラスクはこくりと首を縦に振った。  
 盗聴されていた事実を知ったシャロンは顔を赤くして後ろを向いて蹲ってしまった。  
 
 仕方なくラスクが続ける。  
「で……聞いていたならなんで止めにきてくれなかったんです?」  
「さっきマロンの部屋にも同じ盗聴器を仕掛けたんだけど、アロエちゃんの声が本気だったからねぇ、同じ女として止めるのはちょっと野暮だったかなぁと。」  
「……まぁいいや、今はとりあえずアロエさんの処置を……って、やっぱまたやらないと無理なんでしたっけ?」  
「まぁそうね。ただしその前に他の処置をしてからじゃないと大変な事になっちゃうけど。」  
「他の処置?」  
「そ、これを飲ませてあげて。」  
 渡されたのは緑色の液体。  
「これは?」  
「媚薬の中和剤、臭いの場合信号が脳に浸透しちゃってるけど飲んで胃の中にある状態ならそれを飲ませれば中和されて臭いの効果も消えちゃうわ。  
 逆にこれを飲ませないで処置をしちゃうと腸に流れきるまで香りが食道を通して届いちゃうから際限なく性欲が出てきて、腸に届いた後はしばらく吸収されるまで収まるけど、吸収された後はまた性欲が復活するわ。それこそ死ぬまでね。」  
「それじゃ、急いでこれを飲ませないと!!」  
「そういうこと、奥の部屋を使っていいからさっさとしてあげなさい。」  
「はい!!」  
 アロエをつれて、ラスクは以前シャロンの処置をしたミランダの寝室へ向かう。  
 シャロンも復活して追いかけようとするが、ミランダが言葉巧みに止める。  
 シャロンがなにやらラスクに向かって叫んでいるがまぁ気にしない方向で……  
 
「困ったなぁ……」  
 ベッドに寝かせてから中和剤を飲ませようとするのだが、一向に飲もうとしない。  
 アロエの方が抵抗して唇を固く閉ざしているのだ。  
「これじゃ僕の方が持たなくなるし……しょうがない。」  
 ラスクはくいっと中和剤を口に含むと、すぐさまアロエに口付けし、中和剤を飲ませる。  
 今度は安々と飲んでくれたが、アロエは代わりに舌を絡めとろうとしてきた。  
「んっ……!?」  
 クチュクチュと音を立てながら小さな舌を絡ませて来る中、ラスクは何とか中和剤をアロエに飲ませる事に成功する。  
 しばらくキスを続けた後、ようやく唇を開放されたラスク。しかし息を整えている間にアロエがラスクの服を脱がせ始める。  
 ラスクが落ち着いた頃には、全裸にされた上にアロエに押し倒された格好になっていた。  
「ちょ……アロエさん、落ち着いて!!」  
「ふふふ……ラスクぅ……良い事しようよ〜……」  
 目をトロンとさせながらいとおしそうに見下ろすアロエにラスクはドギマギする。  
 そんなラスクにお構いなく、アロエは体を密着させて、ラスクの首筋の届くところに満遍なくキスをする。  
 時折強く吸っては軽く這わせるだけを繰り返し、ラスクはじわじわと高められていく。  
 少しずつ立ち上がってきたラスクのモノに手を這わせると、アロエは軽く体を浮かせてから、自らの未発達な秘所へ挿入する。  
 
 ズニュウ!!  
「あぅっ!!」  
「あんっ♪」  
 体重を乗せて入れたために一気に挿入され、処女膜すらも一気に破れた。  
 アロエは股間から赤い液体を滴らせながら、体全体を動かして貪欲にラスクのモノを自らの秘所の中で掻き回して行く。  
「あぁっ……もうだ…め……一回…抜いて。」  
「だ…めぇ……このまま………一緒にいこぉ!!」  
 コンドームを装着する隙が無かったために、このまま出してしまうと危険な事になってしまう。  
 そんな訳で必死に我慢するラスクだったが、アロエの秘所は無情にもそれを飲み込まんと体全体を躍らせる。  
「あ…あ…あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」  
 ドピュッドプドプドプ……  
「あぁん!!いいのぉぉぉぉっ!!」  
 ラスクの射精を自らの秘所で感じながら、アロエは失神する。  
 一方のラスクは、最近この手の事を多数やってきただけに何とか意識を保つ。  
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…や、やっちゃった……」  
 後悔の念に苛まれながら、静かに秘所から自らのモノ引き抜いた。  
「とりあえず……先生とシャロンに説明しておかないと……」  
 体を拭いて着替えを済ませてからミランダ達の居る部屋へと戻っていくラスクだった。  
 
 
 結局その後。  
 ミランダに事情を説明して後の処置を任せることにした。  
 その間ラスクはシャロンに只管謝り倒したかいあって、何とかシャロンの機嫌を取り戻し始めるが、処置の終わったアロエの一言で全て崩れ去った。  
「ラスク、私の中に赤ちゃんできたら責任取ってね♪」  
 その後、シャロンがキレにキレた事は言うまでも無く、アロエとの大喧嘩にラスクとミランダは必死に止めてその場はなんとか収まった。  
 そして翌日から、ラスクは両手に花の状態で周りからの嫉妬に近い視線と両側からの火花を上げる視線に耐える日々が始まったと言う……。  
 
……End  
 

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