「ひっく……ひっ、ひっく……」  
 薄暗い部屋の中に、すすり泣く声が小さく響く。  
 音源は、ベッドの上で盛り上がったシーツの塊だ。  
「お父さん……お母さん……会いたいよう……ひっ……」  
 マジックアカデミーの新入生、ユウがそこにいた。  
 丸くなって、自分の身体を自分で抱きしめるようにし、涙をぽろぽろとこぼす。  
 いつも母にして貰ったように。  
 いつも父にして貰ったように。  
 小さな腕で力いっぱい自分を抱き、泣き叫びたい気持ちを堪える。  
   
 マジックアカデミーに入れるほどのチカラを持ってはいても、ユウはまだまだ甘えたい年頃の少年である。  
 日中は、同級生や先輩、先生達と話したり、授業を受けたりでそういった気持ちは忘れられる。  
 しかし、夕方から夜にかけて段々と漠然とした不安感が押し寄せて来て、夜の消灯時間。  
 ランプが消え、『今、自分は一人ぼっちである』という波が一気に襲い掛かってくる。  
 後はもう、泣き疲れて眠りに落ちるまで、さめざめと泣き続けるのみである。  
 こんな生活が続き、入学一週間目にして、ユウは自主退学すら考える様になっていた。  
 
 次の日。  
 いつもの様に授業を受け、いつもの様に友達とふざけあい、いつもの様に話し。  
 いつもと変わらない夜が来る。  
 ベッドに入ると同時、ゆっくりとランプの火が小さくなっていく。  
 まるで自分の心を表しているようで、ユウは見るのも嫌だ、といった風にシーツの中に潜り込む。  
 だが、すぐにすすり泣きが聞こえ出す。  
「うっく……ひっ、ひっ……ひっく……」  
 やはり我慢できずに、涙はこぼれ出る。  
 また意識が遠のくまで泣き続けるのか、と思った瞬間。  
「どうして泣いているの?」  
 涼やかな声が聞こえた。  
 
 初めは空耳かと思い、ユウはシーツから抜け出て周りを見回した。  
 しかし、誰もいない。  
「僕、おかしくなっちゃったのかな……」  
 ぐすぐすと鼻をすすりながら、また目に涙が浮かんでくる。が、  
「ねぇ、もしかして私の声が聞こえるの? 聞こえるなら返事をして?」  
 今度はよりはっきりと女性の声が聞こえた。  
「……? だれ?」  
 反応して、声の方へと振り向く。  
 そこには、小さな青い炎が浮いていた。  
 間違いなく、先程の女性の声はここから聞こえていた。  
 ユウがじっとその狐火を見ていると、それは不意に細かく震え出す。  
 そしてそのままふっと掻き消えると同時、制服を着た女子生徒がすうっと現れた。  
「君……もしかして私が見えるの……?」  
 急に問い掛けられて、ユウは小首を傾げながら問い返す。  
「あなた、誰? どうして僕の部屋にいるの? 後、見えるとか聞こえるとか、どういうこと?」  
「……い……」  
「い?」  
「ぃやったぁーー!! 私の事が見えるのね話が聞こえるのね嬉しいーー!!」  
「ぅわぁ!?」  
 いきなり大声を上げ、満面の笑みで喜ぶ半透明の女子生徒。  
「ね。君、名前なんていうの?」  
「え、えと……ユウ、です。」  
「ユウ、ユウ君ね。私はサツキっていうの! これからもよろしくね!」  
 怒涛の展開に、  
「一体何が起きてるの……?」  
 頭を抱えるユウ。  
 いつの間にか、涙は止まっていた。   
 
 少し落ち着いた所で、改めてユウは詳しい話を聞いた。  
 このサツキという人は、元々はここの生徒で、今はとある事情により幽霊になっているという事。  
 そして夜な夜な他の生徒達にアピールしたものの、サツキの声を聞いたり見たり出来たのはユウただ一人だという事。   
 そんな訳でついつい興奮してしまい、驚かせてしまってごめんなさい、とサツキは謝ってきたのだった。  
「本当にごめんね。びっくりしたでしょ?」  
 目の前でふよふよと浮遊するサツキ。  
 表情豊かに笑ったり、すらりとした足を見るたびに、この人は本当に幽霊らしくないなぁ、とユウは思う。  
「うん、初めはびっくりした。でも、サツキさんがいい人そうだったから、その後は平気だったよ」  
 今もね、とユウは笑顔をサツキに向ける。  
 ふふ、と笑みを交し合った所で、サツキが質問して来た。  
「そういえば、何でさっき泣いていたの? 私、それも気になってユウ君に声を掛けたのよ」  
 その質問に、ユウの笑顔がふっと曇り、俯いてしまう。  
「あ、あれ? 私、何かいけない事聞いちゃった?」  
「ううん……」  
 顔を背けたまま、ユウはぽつりぽつりと心の内を話し出す。  
 お父さんやお母さんに会いたい。  
 一人で夜を過ごしたくない。  
 寂しい。辛い。悲しい――こんな事なら、もうアカデミーをやめてしまいたい。  
 最後の方はもう涙声で独白する。  
 押さえ込まれた感情がまた溢れ出し、涙が流れる。  
 そんな時。  
 きゅう、とサツキに優しく抱き締められた。  
「寂しかったんだね」  
「……」  
「もう、大丈夫」  
「……ぅ」  
「私が、ここにいるから。ね?」  
「……っ。……っ!」  
 サツキに、自分からも力の限り抱きつく。  
 そのまま、胸に顔を埋め、思いっきり声を上げて泣いた。  
 一週間もの間、内に少しづつ堆積していたわだかまりが、涙と声に変わって流れ出る。  
 サツキはその手伝いをするように、暖かい微笑を浮かべながらユウの背中をさすってやるのだった。  
 
 抱き合ったまま、しばらく時間が経過した。  
 ユウの涙が落ち着くのを見計らって、サツキが柔らかく問い掛ける。  
「ねぇユウ君。私、ユウ君のお姉ちゃんになりたい。ダメかな?」  
 顔を上げ、ユウは満面の笑みで答える。  
「僕の、お姉ちゃん? お姉ちゃんに、なってくれるの?」  
「そう。私がいつでも傍にいる。ユウ君の為なら、なんだってやっちゃうんだから♪」  
 ぎゅっとユウを抱きしめて、サツキは表情をとろけさせる。  
「ユウ君、ちょっとだけ目を瞑っててくれるかな?」  
 なんでだろう?と思いつつも、ユウは言われた通りにする。  
 その瞬間、唇にひんやりとした物が触れた。  
「!?」  
 驚いて目を開けると、サツキの顔が目の前にあった。  
 次いで、キスをしている事に気付き顔が熱くなるユウ。  
「っぷあ! ななな何してるのっ!?」  
「何って……『契約』なんだけど……もしかしなくても初めてだった?」  
 うふふ、と口元に手を当ててにこやかに微笑むサツキ。  
 完璧な奇襲だった。  
 驚き、恥しさ、それとなんだか解らないもやもやした物のせいでユウの顔は沸点を越えたままである。  
「これで私とユウ君はいつでも一緒。これからもよろしくね!」  
 
「あの……お姉ちゃん? なんで『よろしくね!』って言いながら僕を押し倒すの?」  
 ユウはベッドから見上げる形でサツキに問う。  
 だが、サツキはそれに微笑と手の動きで答える。  
「あう……!?」  
 するすると全身を這い出す両手に、恐怖とは違う何かが呼び起こされる。  
 心臓の加速は止まらず、背中には汗が滲む。  
「ふふ……問題。私が今からすることはなーんだ?」  
 耳に息を吹きかける。  
「A、添い寝〜」  
 脇を甘くくすぐる。  
「B、くすぐりの刑〜」  
 胸をぐいぐいと押し付ける。  
「C、プロレスごっこ〜」  
 首筋を舐め上げる。  
「D、――えっちなコト」  
 背筋がゾクゾクする笑みのまま、ユウを弄くりまわすサツキ。  
 こういうことが初めてなユウは全てに翻弄され、混乱の極みにあった。  
「おっ、お姉ちゃん、やめてぇっ」  
 ユウは目を白黒させてサツキの魔手から逃げ出そうとするが、それも叶わない。  
「ぶぶー、時間切れぇ〜。正解はDでーす。間違えた子にはお仕置きしちゃうぞ〜?」  
 冗談めいた言い方をしているが、目が本気である。  
 ゆっくりゆっくりと、ユウはサツキに溶かされていた。  
 
 いつの間にか、ユウの着ていたパジャマがはだけられている。  
 それも上はおろか下も膝下程まで。  
 そんな状態でまともに動けるはずも無く、ユウはどんどんと深みにはまって行ってしまう。  
 その内、身体にのしかかったサツキの攻めは、身体全体から局部への一点集中へとシフトし始める。   
「あらぁ? ユウ君、なんでココがおっきくなっちゃってるのかなぁ?」  
 パンツの上から指先で、ゆっくりと大きくなり続けるユウ自身を撫で上げる。  
 たったそれだけで、ユウは、ひぅ、とボーイソプラノで喘ぐ。  
「期待したらこんなになっちゃったのかな? ユウ君ってばえっちだねー」  
 二つの掌と十本の指が蛇の様に股間を這いずり回る。  
 次第に我慢出来なくなったのか、蛇はするりとパンツをずり下げてしまった。  
「わぁ……ユウ君ってば被ってるけど、意外とおっきいねぇ……お姉ちゃん嬉しい〜」  
 ぴょこん、と先端まで包皮に覆われた幼茎が顔を出す。  
 大きさは年齢にしてはやや大きめ、そっちの使用には申し分ない程だった。  
「はぁ、はぁ……おねえちゃん……もう、やめ……」  
「なぁに言ってるの? せっかくこれからがいい所なのにぃ」  
 ユウの抗議に答えつつ、硬度を増したペニスを軽く握る。  
 その瞬間、手の中でびくん!とソレが大きく跳ねた。  
「元気いいのねぇ。じゃあ、こんなのは……どう?」  
「あ、ひゃううう!」  
 握った幼茎をしゅるりしゅるりと上下に扱き出す。  
 その運動に耐えるかの様に、小刻みにユウが震える。  
 ユウは必死で目を閉じ、荒い息で快感に耐えている様子だった。  
 
「ユウ君は女の子みたいによがるのねぇ。可愛い」  
 言いつつ、サツキは段々と攻めのペースを早めていく。  
 それに合わせ、ユウの身体と幼茎はびくんびくんと跳ね回る。  
「あっ、ああっ? おねえちゃ、なにか、でるぅっ」  
 切羽詰まった声で、ユウは腰の奥にこみ上げてきた何かをサツキに伝える。  
「あら、もう? じゃあ……えいっ」  
 するりとユウの尻の間に左手を差し込むと、その菊座に人差し指をくりくりと緩くねじ込む。  
 同時に、右手で男根を勢い良く扱く。  
 さっきまでとは明らかに違った、『楽しむ』ではなく、『イカせる』為の動きだった。  
「うぁぁっ!? ああああああぁっ!!」  
 一気に限界を突破され、射精と同時にユウは叫んでいた。  
 ぴゅるっ! ぴゅぴゅっ、ぴゅくんぴゅくん……  
 鈴口が包皮で狭められている為に、隙間から少しだけ飛び出ることしか出来ないユウの精子。  
 まだ男の機能が発達しきっていないのか、それは薄く白みがかった、とろみのあまり無い液体だった。  
 その射精の間も甘く扱かれ、初めての射精を最大限の快感で味わったユウ。  
 身体全体を弛緩させ、大きく肩で息をしていた。  
「はぁ、はぁ、はぁ……え? お姉ちゃんなにしてるのぉっ!?」  
「まぁまぁ。お姉ちゃんにおまかせ〜♪」  
 股間に顔を近づけるサツキを止めようとしたユウだが、軽くあしらわれてしまった。  
「ん……近くだと凄いニオイねぇ。ユウ君ちゃんと洗ってる?」  
 まぁコレじゃ中まで洗えてないかな、と呟きつつ、皮の上からユウの分身を舐め上げる。  
「え!? や、お姉ちゃん、そこは汚いよぅ! 僕、さっき白いオシッコ漏らしちゃったし……」  
 ?といった風にサツキが首を傾げる。  
「もしかして……ユウ君。『射精』って知ってる?」  
 今度はユウが首を傾げる番だった。  
「こういうコト、全然知らないなんて……姉冥利に尽きるわ!」  
 目に怪しい炎を燃やしながら、サツキはユウの服を全部引っぺがす。  
「計画変更! 深夜の特別個人授業! お姉ちゃんが『実用的保健体育』を教えてあげるわ!」  
 高らかにサツキは宣言するのだった。  
 
「いいかな? さっきユウ君が出したのはオシッコじゃなくて、『精子』。で、身体から精子を出す事を『射精』というの。」  
 ここまでは解る?の問いにユウは赤くなりながら頷く。  
「で、女の子の体の中、『膣』で射精すると、子供が出来るのよ。まあ簡単に言ったらこんな感じかな?」  
 説明が終わると同時、またユウの股座に顔を埋める。  
「私がユウ君のおちんちんを大人にしてあげるね」  
 言いつつ、舌先でちろちろと幼茎を弄ぶ。  
 先程イったばかりで敏感なユウは、それだけで臨戦態勢へとなってしまう。  
「ここからが大切よ……ちょっと痛いかも知れないけど、頑張ってね」  
 そのままサツキは、はぷっ、と皮に包まれた先端を口に含む。  
「え……あ、何!? これ!? あ……?」  
 暖かい咥内、未知の快感にユウは身悶えする。  
「ふぃふよ」  
 サツキはもごもごと口を動かし、何事かを囁くと行動に出た。  
 包皮の隙間から舌を入れ、ゆっくりふやかすように舐め回す。  
 ある程度舐め終わると、今度は根元を手で下腹に押さえる様に固定する。  
 ゆるりと口から分身を抜き出し、狭めた唇の輪を経由してまた咥内に納める。  
 繰り返していく内に、段々亀頭に被っていた皮がじわじわ後退して、ピンクの顔を覗かせ始める。  
「んちゅ……ちゅ、ちゅ……ちゅぅう……」  
 『気持ちよさ』が段々と『痛み』に変わって来た頃、ユウはまたも限界を迎えそうになる。  
「おねえちゃん、僕、また、でちゃ……ひぐぅ!?」  
 ぎゅっと力強く幼茎を握られ、サツキに射精を阻止される。  
「まだ、ダーメ。もうちょっとだから我慢してねぇ」  
 射精感が収まったのを見計らって、また口淫を再開するサツキ。  
 その度にイきそうになり、またせき止められ。  
 それを幾度と繰り返された結果、袋はパンパンに膨らみ、分身自体も一回り程大きくなっていた。  
 その間ユウは荒い息で、ヒリヒリするけど気持ち良く、開放したいけれどさせて貰えない、二つのもどかしさに耐えていた。  
「……も、う、おか、しく、なっちゃ……」  
 口の端からよだれを溢れさせ、がくがくと震えて泣きそうな顔で必死に我慢するユウ。  
 その幼くも悦に耐える淫らな姿に、サツキはより興奮を増して攻め続ける。  
 
 それはユウが息を吸って、気を抜いた一瞬の出来事だった。  
 サツキが咥内にそれを含む時に、包皮の裏側を舌で強引に引っ掛ける。  
 その攻撃にユウの幼茎は耐えられず、ぺろん、と皮がカリ首まで一気に捲れ上がった。  
「!! 〜〜〜〜っ!!」  
 ヒリヒリをふっ飛ばし、ビリビリと痺れるような甘い感覚。  
 今まで触ったことの無い部分がそれに襲われ、ユウは声の無い絶叫と共に快の頂点へと駆け上った。  
 びゅくびゅくん!! どびゅる! どびゅ! びゅびゅう!!  
 全身を痙攣させ、ユウは信じられない量の精液を放出させる。  
 サツキは咥内で暴れる欲望の液を飲み込み、さらに肉棒を根元まで深く咥え、浅く引き、を反復する。  
 同時にやわやわと玉袋を撫で揉み、快感を最大限に引き出す手伝いをしてやる。  
 初の咥内射精を味わうユウは、未だに射精を続けている。  
 びゅびゅっ、びゅる、びく、びくん、ひくん……  
 快感に溶け、気の抜けた顔でユウはベッドに倒れこむ。  
 しばらくの間、はぁはぁと吐息だけがその場に満ちていた。  
 
 ユウがゆっくりと眠りに落ちそうになっていると、また股間にもぞもぞとした感覚がやってくる。  
「う……あ?」  
 上半身を起こしてみると、サツキがユウの分身を丁度口から離す所だった。  
「んぷ……」  
 赤く腫れ上がった亀頭と唇の間に銀糸を引きながら、サツキは顔を上げる。  
 そのまま、咥内に溜まった精液を、喉を鳴らしながら嚥下する。  
(うわ……よく解らないけど、何かすごいえっちだぁ)  
 自分の性器を舐めて、大人のおちんちんにさせて貰い、また射精し、なおかつ出た物を飲んでもらった。  
 その一連の行為に多大な感謝と恥かしさを感じたユウは、真っ赤になった顔で俯いてしまう。  
 すると、大人になった自分の分身が目の前にあった。  
 皮を後退させられた頭は真っ赤に充血し、てらてらと濡れて光っている。  
 ユウはいつもよりも確実に一回りは大きくなったそれを見て、何となく嬉しさが湧いてくるのを感じた。  
「ん、ん。ユウ君の、濃くて多くて凄かったわぁ。お姉ちゃんびっくり」  
 精液を全て飲み干したサツキは、ユウと目を合わせる。  
「頭の所が『亀頭』。おちんちん全体の事を『ペニス』とも言うの。覚えておいてね?」  
 くすくすと笑いながら、サツキはいきなり胸元のスカーフをしゅるりと解く。  
 え? とユウが思った時には、もうサツキは一糸纏わぬ姿へと変わっていた。  
 
 気のせいか、サツキの姿が段々はっきりと見えるようになっていた。  
「ユウ君の精液からエネルギーを貰って、ある程度だけど実体に近くなってみましたぁ〜。どうかな?」  
 とベッドの上に立ち上がり、素っ裸のまま色々きわどいポーズをサツキは取る。  
 真っ赤なまま、ユウはその艶姿をじっと見つめる。  
 出るべき所ははっきり出て、引っ込む所はきゅっと引っ込んだ均整のとられたボディラインに釘付けにされていた。  
「あ、あれ?」  
 はっと自分の股間を見ると、さっき口でしてもらった時のように巨大化している。  
「やん♪ユウ君えっち〜」  
 言いつつサツキはユウに覆い被さる。  
「ユウ君。お姉ちゃんの中に、もっと濃いのを注いで……くれる?」  
「んむむぅー!?」  
 胸に押し潰され、目を白黒させるユウ。  
「っぱぁっ! おねえちゃん、まっんむぅ! むぅ、ふむぅ……!?」  
 必死に抜け出すも、深い口付けに捕らえられる。  
 表面を合わせるさっきの『契約』とは違い、咥内の粘膜や舌、歯の裏側を貪られる激しいキス。  
 まるでこれから起こる事の予行練習と言わんばかりのそれに、ユウは流されるのみである。  
 ちゅるちゅば、ぬちゃぁ……くちゅぺちゅ……  
「えぁ……ん、は、はぁ」  
 呂律が回らなくなるまで弄ばれ、サツキの唾液すら甘んじて喉の奥へ受け入れる。  
「ちょっと苦しかったかな? 今のが、女の子が『セックス』している時の感覚に似てるかな」  
 予想できない所を満遍なくこすられ、掻き回され、そして奥に体液が入ってくる。  
「これ、が、女の子の……?」  
 “似ている”、しかも“女の子”でこの気持ち良さ。  
 実際の行為に移ったら、どれだけの快楽が待っているのか。  
 それを思うだけで、ユウは怖くなり、そして期待してしまう。  
 
「もう我慢出来ないみたいね。破裂しちゃいそうだよ……」  
 ずっと張り詰めていた陰茎は、相手に必死の主張を続ける。  
 先程剥けたばかりの先端は、空気が触れる刺激にすら打ち震える。  
 胴体やカリは内圧に膨らみ、筋肉とは思えない硬さ、大きさを保っている。  
 若い少年はいまや猛り狂っていた。  
「いい? 今から私の中にユウ君が入るけど、びっくりして射精しちゃったりしないでね?」  
 私も気持ちよくなりたいから、と自分の心を伝え、ユウを跨ぐ。  
「ほら、入っちゃうよ入っちゃうよぉ……」  
 初めて見る女性の物。  
 薄暗い室内でもそれは何故かはっきりと見えた。  
 薄紅の肉襞の間、粘性の高い液が小さな穴から溢れている。  
 ゆっくりサツキが腰を降ろすと、先端の穴と奥底の穴が触れ、くちゅっと粘る音が聞こえる。  
 くっと狭まりを抜けると同時、にゅるりと亀頭が暖かいぬめる何かに包まれた。  
「あっ、あっあっぁぁぁっ……! ふあぁぁ……」  
 シンクロした喘ぎ声が響き、二つの腰が小刻みにくねる。  
「ど、う? ユウ君、お姉ちゃんの中は……?」  
「はぁぁぁ……あぁぁぁ……すご、いよぉぉ……」  
 か細く吐息を漏らし、視点の合わない目でサツキを見上げるユウ。  
 敏感な粘膜と粘膜の接触。  
 入り口のややきつい圧力が、亀頭裏やカリの性感帯を一つ一つなぞる様に刺激する。  
 続いて、先端のみを咥え込んだまま、サツキの腰がグラインドを開始し始める。  
 まずは前後。次に左右。そして斜めも巻き込んだ円運動。  
 少し動きを変えるだけで、ユウの分身はギチギチと音を立てそうな程に張り詰め、跳ねる。  
「ふふ……涙まで浮かべて、そぉんなに気持ちイイのかなぁ……?」  
 痙攣に近い反応を身体が起こし、涙や涎を垂らしてユウは悶える。  
 ギリギリまで込み上がっている精子を少しでも長く堪えようと、自分で自分の性器の根元を握り締めていた。  
「もぉ、そんなに我慢しちゃって……えいっ」  
 その様子を見たサツキは、ぎゅっとユウの手を引き剥がし、  
「いくよぉっ!」  
 腰を落として一気に奥の奥まで迎え入れた。  
 
「んゃぁああああ!!」  
 ユウの口から漏れ出る甘い叫び。  
 本能がより奥に吐精しようと、上に跨ったサツキを押し上げる程に腰が持ち上がった。  
 深く繋がり合ったシンボルの先端から、先刻よりも更に多い精子が迸る。  
 どきゅん! ぶびゅる! びゅるびゅるぶびゅばっ!  
「きゃ!? うあっ、熱、いぃぃ……!」  
 予想を遥かに越えた質量と熱を叩き込まれたサツキ。  
 凄まじい奔流に中身を押し上げられ、満たされる快感をゆっくり味わう。  
 びゅくんびゅるびゅびゅう! びゅるるっ、ぴゅる……びゅぴゅっ……  
 長い射精が終わると、ギリギリと引き絞られた体中の筋肉がふっと緩み、二人の姿勢が崩れる。  
 折り重なった二人の結合部からは、男と女が混ぜられた白濁が溢れ出し始めていた。  
   
「はぁぁ……ユウ君、すごかったよぉ……」  
「はう……ふぅぅ……」  
 荒い息で抱き締め合い、未だ繋がったままの姉弟。  
「でも……その……ユウ君?」  
 ?とユウが反応すると、  
「あの、私、まだ……イってない、んだ、け、ど……その……」  
 ごにょごにょと語尾を濁らせ、上目遣いになるサツキ。  
 その様子を見て、ふと何かを思いついた様子でユウが答える。  
「解った! お姉ちゃんも射精したひゃぅぅぅ!」  
 むにーっと両の頬を引っ張り、姉は天然な弟を懲らしめる。  
「お姉ちゃんは男の子じゃありませんー! 怒るよ!?」  
「いはいいはいほへんなはーい! ひたたた……」  
 解放され、一息ついた所で二つの笑みが漏れた。  
 こつん、とおでこを合わせ、目をしっかりと合わせ。  
「ユウ君。……お姉ちゃんを、満足させてくれる?」  
「……うん。僕、頑張ってみるよ」  
 おねだりとへんじ。  
 
騎乗位からゆっくりと動いて正常位へ。  
「お姉ちゃん……いくよ」  
 ん、と小さくサツキは答えて、分身が抜け出てしまわない様、ユウの腰に足を絡ませる。  
 奥からずりずりと引き抜かれ出す男根。  
 その時、膣内から精液と愛液も一緒に漏れ出して行く。  
「ん、ふぁっ……くぅぅっ……」  
 内側の敏感な所を、カリが容赦なく擦る。  
 まるで身体を抉られているようで、サツキは耐えられずユウにしがみつく。  
 腕を背中に、足を腰に絡ませて、自分より小さい少年の攻めに必死に耐える。  
 逆に、ユウの方はと言うと。  
「うう、ふう、ふうぅっ! ぁああぁ!」  
 密着した身体と性器、淫らな姉の姿、ぬちゅぬちゅと響く水音。  
 触覚・視覚・聴覚全てから叩き込まれる快感に、攻めているのか攻められているのか解らなくなる。  
 幼い身体ながらも、全身を使って腰を動かすユウ。  
 その動きで生じる疲れでさえも、今のユウには気持ちよさを得る為のスパイスにしかならない。  
 股間を押し付け、腰で円を描き、膣内の思いもよらぬ場所を刺激する。  
 ギリギリまで引き抜き、一気に最深部まで捻じ込む。  
「うぁぁぁ!? ユ、ウ君、ちょっとまっ、ふぅぅぅん!?  
 ガクンガクンと身体を躍らせるサツキ。  
(何で!? 何で初めてでこんなに上手なのぉっ!?)  
 ユウとしては、先程サツキにして貰った事を真似しているだけなのだが、思いの他反応が良くて驚いていた。  
 
「おねぇ、ちゃん……おっぱい、触っても、いい?」  
 ふと、途切れ途切れに、ずっと気になっていた事をユウは聞く。  
 手や口でして貰っていた時も、むにゅむにゅとした触感が太腿などに当たっていた。  
 それをじっくり味わいたい、とユウは尋ねる。  
「は、はぁ、はぁ……いい、よ?」  
 正直怖い程に高められていたサツキは、朦朧とした中で答える。  
 それがいけなかった。  
 今までが強火だとしたら、その胸への刺激は弱火である。  
 じっくりじっくりとこみ上げる快感は蓄積し、限界までの道のりを確実に狭める。  
 あまつさえユウは、ただ揉むだけではなく、先端を口に含んだり吸ったり、顔を埋めてきたりするのだ。  
 むにゅ、むにゅう。ちゅう、ちゅぱっ。もみゅむみゅ。ぽふ。ぐにゅむにゅ……  
「ちょ、ユウ君? え、やっ!? んん、んう……ひぅっ!? や、やぁぁ……」  
 飽く事無くひたすらもみもみちゅぱちゅぱぐりぐりふにふに。  
 急に幼児化したユウを、サツキは困った目で見る。  
「ユウ、君ってば! もう、そっちもいいけど……ねぇ、動いて、よぉぉ……」  
 切なさが、胸から股からきゅうきゅうと湧いて来る。  
 もっと、もっと激しく動いて、愛して欲しいのに。  
 堪らなくなってサツキはそう懇願する。  
 その声に、目の前の双球に夢中になっていた少年は、はっと我に返った。  
「ご、ごめん! お姉ちゃん!」  
 名残惜しいけれど、今はお姉ちゃんを喜ばせるのが先決。  
 そう思い直したユウは、いきなりフルスロットルで動き出す。  
「ひぁ!? ん〜っ! くふっ、ひぅっ、ふぁぁぁ!?」  
 ずちゅんずちゅんと液を溢れさせ、サツキの股間がわななく。  
 恥骨同士が触れ合い、押し合う事で、『今相手と繋がっている』という認識をより深くさせた。  
 
「んはぁぁ! くぅ、ふぁ、ひぁぁぁ!」  
 いくら若い少年でも、限界は訪れる。  
 すでに腰の感覚は無く、がくがくと震える様にして抽送を繰り返すだけだった。  
「んぅぅ! ふむぅぅ! んんー!」  
 同じく少女も限界が近い。  
 自分よりも小さい男の子が、自分の中を縦横無尽に暴れ回る。  
 どこか背徳的な感じがして、背筋に震えが走る。  
 押さえきれなくなってきた恥かしい声を、枕で強引に封じる。  
 男を受け入れている淫裂では、内から溢れた液が摩擦でにちゃにちゃと泡立てられていた。  
   
 それは一瞬の出来事だった。  
 体力が限界になってしまったのか、ユウがバランスを崩し、サツキに圧し掛かる。  
 同時に、体重による加減抜きの一撃が女性の最も深い部分へと突き刺さる。  
「――――っっ!!」  
 ぐっと目が強く瞑られ、歯が食いしばられ。   
 声も無く、サツキは絶頂へと打ち上げられた。  
 その時、膣内が一気に引き締まる。  
 凄まじい締め付けに、ユウも同時に達していた。  
「あぁぁぁぁっ!!」  
 びくびゅくびゅくびゅくん! どびゅん! ぶびゅん!  
 雄の本能が、より奥に種を出そうと、腰を前に突き出す。  
 密着した部分から、こぽり、と溢れるほどの精液が噴き出ていた。  
 そのままぎゅっと抱擁しあう二人。  
 その姿は、愛し合う恋人同士にも、添い寝する姉弟にも見えたのだった。  
 
 しばらく抱き締めあっていた二人が、ふと顔を合わせる。  
 何とも言えない心地好さに、自然と笑みがこぼれた。  
 が。  
 急に頬を膨らまし、サツキが咎める。  
「ユウ君、出し過ぎ! 『吸収』が追い付かなくて溢れちゃったじゃない!」  
「あう……ごめんなさい」  
 またまた顔を染めて謝るユウ。  
「もー、その分明日からは出なくなるまで絞っちゃうんだからね?」  
 その一言に、  
「え? あ、や! ちょっと! ユウ君、なんで中でまたおっきくなってるの!?」  
「僕、まだ出るよっ! お姉ちゃん、お姉ちゃぁんっ!」  
 明日からって言ってるのにぃー!との叫びも空しく、行為を再開して行く姉弟。  
 夜も半ばを過ぎたと言うのに、それはまだまだ終わりそうも無かった。  
 
   
 例え義理であろうが何処かズレていようが、二人は姉弟の絆でしっかり結ばれた。  
 この日を境に、もう、ユウが枕を濡らす夜は来ないだろう。  
 彼の隣には、心優しき姉が居るのだから。  
 二人の行き先は、笑みで満たされている。  
 

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