春も近づき、日差しも暖かくなってきたある日、
アカデミーの掲示板の前には沢山の人だかりが出来ていた。
学内の情報が張り出される場所とあって、普段でも人はそこそこいるのだが、今日はいつもとは一風違った雰囲気を醸し出していた。
それもそのはず。何故なら今日は年に数度しか行われない『賢者』の試験の合格発表の日なのである。
結果が張り出されると、そこかしこで、歓喜の声を上げて喜ぶ者や涙を流し落ち込む者の姿などが見受けられた。
その喜怒哀楽入り混じった場所に向かって2人の少女が走って来るのが見える。
1人は制服の赤髪ショートの少女、少し息を切らせながらその場所に向かって走っている。
もう1人は制服とは異なった、紫のローブに身を纏った紫の髪の少女。
こちらは傍には急ぐ様子も無いが、迅速に目的の場所に向かうという雰囲気が見受けられた。
「あ〜、ちょっと遅れちゃったね。さっき大きな声がしたし、もう張り出されてるみたいだよ。マラリヤ、急ごうよ」
「・・あまり急がなくても掲示板は逃げないわよ・・、ルキア・・・」
こんな掛け合いをしながら走る2人の少女、彼女等もこの賢者の試験を受けたのである。
結果を早く見たいと一刻も早く急ごうとするルキアを、ある程度なだめながらマラリヤもまた急いでいた。
彼女達は到着した時既に、大半の生徒は引き払った後であった。
「えーと、合格発表の結果の紙はっと・・・・あ、あったよ、こっちこっち」
同じように結果の紙を探していたマラリヤを、目的の物を見つけたルキアが手招きした。
そのまま、自分達の番号を探していく。
「えーと、754・・・・754・・・・っと」
「755・・・755は何処・・・?」
望んでいたものはすぐに見つかった。
白い紙に書き記された合格者達の番号の中に754と755、その2つの数字は並んで書かれていた。
「・・・・あ、あったぁ!!や、やったぁ、あたし達、念願の賢者になれたんだよ!!」
合格したことがよほど嬉しいのかルキアはまだ周囲に人がいる事も忘れて隣のマラリヤに抱きついていた。
「・・・・ちょ、ちょっとルキア・・・嬉しいのは分かるけど・・。・・とりあえずちょっと離れてよ・・」
言葉では友人の行動に惑いを表してはいるが、やはり自分も嬉しいのか、そんな悪い気はしていなかった。
その日の夜、まだ興奮冷めやらぬ2人は、あの後クラスで報告を待っていたクラスメイト達の祝福をおおいに受けた後、
寮の自分達の部屋でこっそり小さな祝賀会を行おうとしていた。
自分達でささやかながら料理を作り、飾り付けをしながら、宴の準備を着々と整えていった。
準備も殆ど整い、小さな宴を始めようかというときに、ルキアがふと思い立ったように席を立った。
「・・・・どうしたの・・?」
「ん〜。そういや、いいものがあったんだぁ〜」
そういいながら、自分の本棚の裏をちょちょぃっと漁るとちょっと大き目のビンを持ち出してきた。
中には半透明な液体がなみなみと入っており、文字がかすれていて良く見えないが、ラベルみたいなものも見えた。
「・・それは・・・お酒・・・かしら?」
マラリヤは出してきた物に対して、わずかな興味を示していた。
「うん。・・・・・多分。」
「・・・・多分って・・・」
「実はさ。アメリア先生の部屋から取ってきたの。
ホラ、あの先生無類の酒好きじゃない?だから多分お酒じゃないかと思うんだけど・・・・。」
「確かに・・・十分ありえるわね。・・・けど・・・。」
「もー、そんな細かいこと考えないで、せっかくだし、今日は楽しみましょうよっ!」
煮え切らないマラリヤをよそに、ルキアは飲むためのグラスを取りにまた動いていた。
「それじゃ、改めて、賢者昇格おめでとぉ〜!!」
「・・・・ぱちぱちぱち」
小さな宴が幕を開け、作った料理とあの謎の飲み物を手に、談笑を交えながら宴は進んでいった。
最初はあの飲み物に少し抵抗感を持っていたマラリヤもルキアの執拗な勧めと、試しに飲んだ味がなかなか美味しかった事により、
宴が進むにつれ、次々とそれを飲み干していった。
もっともルキアが結構な量を飲んでいたため、そんなには飲まなかったのであるが。
「う〜ん・・・、よく食べたしよく飲んだねぇ・・・あのお酒?もなかなか美味しかったし。」
「ええ・・・・ちょっと不思議な味だったけど、中々良かったわね。」
宴も終焉を迎え、2人とも至福の一時を味わっていた。
「んん〜、結局コレ、何だったんだろうねぇ?」
ふと、ルキアが既に空になった酒?の瓶を指して言った。
「・・・さぁ・・?特に害もないし、普通にただのお酒だったのかも・・・」
「そうだねぇ・・。別に何にもないし・・・・・・んんっ!?」
途中で言葉が詰まったかと思うと、ルキアの様子が一変した。
「・・・・どうしたの?ルキア?ルキア!?」
急に様子が変わったルキアを心配し、マラリヤは彼女のそばに駆け寄った。
「ルキア、大丈夫?ルキ・・・」
その彼女を心配する言葉を言いかけた唇は、台詞を言い終わるより前に、ルキアの唇によって塞がれた。
突然の出来事に、マラリヤの脳内ではまともな思考が一瞬途絶えた。
唇が離されるときに見えたルキアの頬は赤く染まり、目が潤んでいた。
「ル・・・ルキア・・・?」
「な、なんだか体が熱いのぉ・・・なんか体の奥からきてる・・・ぁぁっ!!」
次の瞬間、ルキアの股間のところには女には決してあるはずの無い膨らみが出来上がっていた。
「な、なに、これぇ・・・・これってオトコノコの奴だよねぇ・・?」
「ま、まさかさっきのお酒の効果かしら・・?・・・いや、それなら、私にも効果があるはず・・・・」
すぐさま、マラリヤはすぐそばにあったさっきのお酒?の瓶を手に取り、かすれたラベルのところを注意深く確認した。
「・・・掠れてて、よく読めないわ・・・困ったわね。」
「結局、これどうして・・・?」
「おそらくこの酒の効果らしいわね・・・私はそんなに飲んでないから、身体は変化しなかったけど・・・っっ・・・」
「マ、マラリヤ・・・大丈夫・・・?」
「・・・ん、私よりあなたの身体を心配しなさいよ・・・」
「でも・・・でも・・・・私っ・・・・」
「・・・あなたの事が大事だもの・・・」
「・・・・ぇ・・・?」
「貴方がアカデミーに転入して来てから私はあなたの事が気になってたの・・・私には無い、あなた独特の雰囲気。それに、あなたのその仕草。すべてが私の心に衝撃的なものを植えつけて、捕らえて離さなかった。」
「・・・・・・・」
「寮の部屋割りで、あなたと同室になった時はすごく嬉しかったわ。あなたの傍にいられるだけで、私には十分幸せだった。」
「・・・・」
「自分でも女の子に恋してるって事はちょっと変なのは分かる。けど、・・・けど・・・」
「ルキア」
「・・・?」
ここまで沈黙を守っていたマラリヤが、急にルキアの言葉を遮った。
「・・・・それは私も同じ。私がアカデミーに転入したあたりの頃は、友達もいなくて、クラスの中でも浮いてた存在だった。でもあなたはそんな私にいつも声をかけて、親切にしてくれた。もしあの時あなたが私に声を掛けてくれていなかったら、・・・・今の私は無いわ。」
「・・・・マラリヤ・・・?」
「言いたいことはあなたに全部言われたみたいなものよ。私だってあなたが大事なのよ。だから・・・・」
「好きよ。ルキア。私はあなたの事が好きよ。・・・この思い受け取ってくれるかしら?」
「・・・私も、私もあなたのことが好きよ。・・・ありがとう。」
そう言い終えると、二人は熱く抱き締め合った。そしてゆっくりと、深い口付けを交わした。
服を脱ぎ、生まれたままの姿・・・いや、ルキアの方は本来なら無い“モノ”があるが・・・になり、二人はベッドに倒れこんだ。
「・・・・本当ならこんなのが付いてない私を見せたかったんだけど・・・・」
「・・・・何言ってるの。ソレが無くてもあっても、アナタはアナタよ。ルキア・・・綺麗だわ・・・。」
「うん・・・・マラリヤも綺麗だよ・・・」
二人はベッドの上でむかいあって互いに相手の身体・・・・髪、顔、胸や足などを触りあった。
窓から差し込む月夜の光が、彼女達の姿をより一層綺麗、そしてあたかも傍から見れば神秘的なものへと映えていた。
ふと、マラリヤの指がルキアのあの部分・・・・陰核が肥大した擬似的なペニスに触れると、ルキアの身体がか細く震えた。
「んんっ・・・」
そのままゆっくりと、陰茎の下の方から、むき出しになった亀頭へと手を這わせていった。
亀頭に触れるたび、触れた感覚が何倍にもなってルキアに襲い掛かっていた。
「んっ・・なんか変な感じ・・な、なにかでちゃうよぉ・・」
そう呟いた刹那、ルキアの擬似ペニスの先から、白い液体が勢いよく発射され、すぐ近くにあったマラリヤの顔に掛かった。
「・・・・ゴ、ゴメン・・マラリヤ。でも止まらなかったの・・・汚くない?」
「フフ、仕方ないわよ・・・初めてなんだし・・・それにあなたの物が汚いわけないじゃない・・・」
自分の顔に掛かった白い液体を手でぬぐいさり、そしてそれを少し舐めながらルキアに向かって微笑むマラリヤ。
その微笑みは以前の彼女ではあり得ない程の・・・・優しい微笑みであった。
「ルキア・・・あなたと一つになりたいの・・・だからコレで・・・」
一度射精したとはいえ、まだ衰えないルキアのペニスを手に取り、マラリヤはそう呟いた。
「うん・・・・私も一緒になりたい・・・コレで一緒になろ・・・マラリヤ」
ルキアは自分のペニスを持ち、既に濡れすぼったマラリヤの秘所にそれをあてがい、そしてそれをゆっくりとマラリヤの中に進入させていった。
途中で、微妙な取っ掛かり・・・マラリヤの処女膜に突き当たる。それをゆっくり、と破った時、マラリヤの顔が痛みに歪んだ。
秘所とペニスの隙間から血がわずかに染み出てくる。
「だ、大丈夫・・・?痛いのなら・・」
「・・・ふふ、確かに痛いけど、あなたと一緒になる為ですもの、これぐらいどうって事は無いわ・・・」
破瓜の痛みに耐えながら、心配するルキアを落ちつかせるマラリヤ。
そして、そのすべてがマラリヤの中に入り込んだ。
「はは、マラリヤの中あったかぁい・・・」
「あなたのモノが私の中に・・・。」
率直な、いや素直な感想が自然と二人の口から漏れる。
「・・・動くよ。」
そう言うと、ルキアは腰をゆっくりと、動かし始めた。
最初はゆっくりだった腰の動きも、段々と少しずつ早くなっていった。
ルキアの腰の動きが早くなるにつれ、最初は表情に苦痛が混ざっていたマラリヤの顔が熱を持ったように赤くなっていく。
腰と腰の当たる音や淫液の混ざり合う音が静かな室内に木霊していた。
「・・だめぇっ!!、もう耐えられないっ!!」
そのルキアの声と同時に、ルキアの体がぶるっと震えたと思うと、そのペニスからマラリヤの膣内へと熱いものが放たれた。
同時にマラリヤも体を大きく震わせ、ルキアのモノを一滴残さず吸い取るようにソレを受け止めていた。
その快感の並とともに、何かの糸が切れたみたいに二人はベッドにそのまま眠りについてしまった。
・・・・もっとも繋がったままなのだが。
翌朝。
朝起きた二人はまだ昨晩の情事の事が頭から覚めやらぬまま、ベッドの上で寝そべっていた。
「なんか夢みたい・・・憧れの賢者にもなれたし、マラリヤとも一緒になれたし・・・」
「・・・・バカね。夢じゃないわよ。私だってそれをいったら、今ここにあなたが居る事も夢に感じてしまうわ。」
「・・・・そうだね。夢じゃないんだ。・・・・もう、離さない。いや離したくないよ・・・マラリヤ・・・」
そう言いながら目に涙を浮かべるルキア、
「私も・・・愛してる。ルキア」
そう呟いた、二人はベッドの上でしっかりと抱き合い、ゆっくりとキスを交わした。
窓から差す朝の日差しが、まるで彼女達を祝福するように彼女達を照らしていた――
床に転がっているお酒?のビン・・・の掠れていたラベルには。こう記されていた。
「――――― 効果*心底から相手を愛する二人でこれを飲むと、二人の愛を永遠なものにさせる―――ー」
「――――但し、副作用として男性、女性同士の場合体を両性具有者に変化させる場合がままある――――」