『Sir,Yes Sir!』  
 
「どうしたのかしら? こんなになって…?」  
私の上から声がする。 ひどく攻撃的で、扇情的だ。  
私は、全裸でベッドに横たわって…いや押さえつけられている。  
そして、私に跨り睥睨しながら言葉を投げかけている女性もまた全裸である。  
…いや、正確には素肌に軍服のジャケットを羽織っている。  
肩口の階級章は「中尉」、私の階級が「軍曹」であるから、上官と一兵卒の主従関係が成り立つ。  
力ずくで脱出するのは簡単だが、抗えない。  
いや、抗う気にもならない。  
長く伸ばした金髪、上品な美貌、磨かれたような白い肌、細身の艶めかしい肢体…  
乳房は小振りだが、いささかも気にならない。  
そんな女性が自分の上にいて、あまつさえ甘美な快楽を与えようというのだ。  
誰が抵抗できよう。  
「答えなさいな。 ここをこんなにして、どうしたの…?」  
彼女は私を詰問しながら、細くしなやかな指で私のペニスをさすっている。  
既に、これ以上はない位に固く反り返って、刺激の一つ一つに脈動している。  
「う…ちゅ、中尉…」  
私は甘い刺激にまともに答えられない。  
「命令よ」  
「…中尉の…その美しく、淫らな…うっ…姿に、無礼にも、欲情しております」  
ペニスへの刺激に脳が灼け、途切れ途切れに私は言葉を紡ぐ。  
彼女は少し満足げな表情を浮かべて、さらに続ける。  
「フフ…どうして欲しいのか、言ってごらんなさい」  
彼女はゆるゆるとした愛撫を止めることなく言葉を続ける。  
「…はい、自分をもっと、気持ちよく…うっ…させていただきたい…、で、あります」  
…そう伝えた時の彼女の表情を何と表現すればよいのだろう。  
戦地に降り立つ女神とは、かように美しく、淫らなものなのか。  
「最初から素直にそうおっしゃいなさい。 では、サンダース軍曹、これよりいやらしい貴方に『指導』するわね。  
 あと、これからは、『中尉』はやめて。 名前で呼びなさい」  
至福の表情を浮かべて彼女がこう言う。  
私の答えは一つだ。  
「了解しました…シャロン…様」  
「…様、もいらないわよ」  
そう言って、彼女の顔が、体ごと私の股間へと移動する。  
 
「フフ…いつ見ても立派ね…」  
シャロンは、私のペニスを弄りながら、視線でも舐め回す。  
その視線といえば、喩えるなら、大好物の菓子を与えられた子供の無邪気な喜びと、獲物を手にした女豹の淫蕩さを同時に内包している。  
で、私はと言えばただ、微妙な快感に呻くだけだ。  
そして、『指導』とやらが始まる。  
薄紅色の唇が私のペニスに触れる。 触れられた箇所から、波紋が広がるように快感が全身にわたる。  
「くっ…!」  
私の反応に悦びの表情を浮かべて、シャロンはさらに唇を這わせる。  
亀頭から雁首、竿の裏側を根元の方まで滑る。 唇が通った跡は唾液で濡れて光る。  
そして、細い指をも駆使して唇での責めがじわじわと続く。  
まるで、長笛を演奏するかのようだ。  
快感に痺れていると、唇と指が外される。  
支えを失い、無様に勃起した私のペニスは、天井を向くどころか自らの腹へ勢い余ってぶち当たる。  
「咥えて欲しいの…?」  
またしても問われる。 …だから、答えは一つだ。  
「是非、シャロンさ…いや、シャロンの口で、蕩かせていただきたく…」  
命令違反の口調が出そうになるのを何とか堪え、私は懇願する。  
「では、そうしてさしあげましょう、サンダース軍曹」  
本当に嬉しそうだ。 一瞬だけ、彼女の口調が平生に戻る。  
しかし、そんな事を悠長に考える間もなく、私のペニスが再び指で捕捉され、敏感な先端に舌を突きつけられる。  
「うおっ!」  
我ながら、無様な声だ。 だが、耐えられる訳がない。  
先程までと違い、舌を駆使しているため、動きが激しいのだ。 その烈しさに比例して、与えられる快感も暴力的なのだ。  
瞬く間に、ペニス全体がてらてらと光る。 唾液だけではなく、既にだらしなく溢れる自分の体液も混ざっている。  
「熱いのね…」  
とろんと薄い膜がかかった瞳でシャロンが呟き、その小さい口がペニスを一息に呑み込む。  
全体が柔らかく熱い感触に包まれる。  
私は思わず腰を浮かせた。  
 
私の股間で、シャロンの頭が上下する。  
私のペニスをさすがに持て余すのか、根元までは咥え込めないようだが、丹念にねぶりあげる。  
根元に添えられた指も休むことなく小刻みに動く。  
さらに、彼女の長い髪が、周囲の肌を擽り、それさえも新たな快感を呼ぶ。  
「く…はぁ……」  
私はと言えば、魂の抜けたような吐息で快感を訴えるほかに術はない。  
「む…ふぅ…」  
一心不乱に舐めあげるシャロンの口から、艶のある吐息が時折漏れる。  
吐息と一緒にぴちゃり、ぺちゃり、と卑猥な水音がする。  
そして、深く飲み込んでから、舌を裏筋に引っ掛けるようにして、ゆっくりと口を外す。  
その刺激に思わずのけぞってしまう。  
「どう…?」  
顔を上げ、唇から唾液の糸を曳きながら、こう問いかけられる。  
「無上の…幸せで、あります」  
「…素直に、『気持ちいい』と言えないの?」  
私の口調に不満を言いつつも、シャロンの表情はさらに妖艶さを増す。  
「お願いです…続きを…」  
自然と懇願の言葉が口をつく。  
「フフフ、言うまでもないわよ…」  
そして再び口淫が始まる。  
深く咥えこみ、舌が雁首のあたりを丁寧に這う。 かと思えば竿を周回するように激しく回転する。  
ペニスの根元に添えられた指もしごく動きだけではなく、不意に睾丸をさすってみたり、と一つ一つの動きが更なる快感を呼ぶ。  
「…ん…むっ…」  
愛撫の最中に漏れ聞こえる彼女の吐息も非常に扇情的だ。  
そこまで激しくされたら…もう、限界である。  
私のペニスが絶頂へ向けて膨張を開始するのがわかる。  
射精へ向けて確実に快楽の階段を駆け登り…  
「ぐぅっ!?」  
不意に、ペニスの根元をきつく握り締められる。  
「…まだよ」  
シャロンが愛撫を止める。  
「まだ、楽しませて」  
「…も、もう、限界で、あります…」  
私は素直に絶頂が近いことを告げる。  
「…仕方ないわねぇ…では、おいきなさい。 そのまま出していいわよ…」  
軽く溜息のようなものをつきながらも、得意げに美貌を光らせ、シャロンが『許可』を出す。  
そのまま、深く咥え直し、頭が激しく上下する。  
しごき上げる刺激に加えて、舌が激しく舞っているのだ。 限界まで昂められている私は臨界点を迎えた。  
頭の中が白く染まる。  
「うおおぉっ…!」  
私は絶叫し、達した。  
幾度となく熱く滾った精液を彼女の口の奥に注ぎ込む。  
「んふっ、むぅ…」  
むせるような声を漏らしながら、シャロンは一滴残らず嚥下した。  
 
「フフ…すごい量だったわね…」  
シャロンが恍惚とした表情で私を見下ろす。  
私はといえば、絶頂の余韻で感覚がまるで追いついていない。 端から見たら、只の木偶の坊だ。  
「ありがたき…幸せであります」  
やっとの思いでこう伝える。  
シャロンは悪戯っぽく微笑み、私のペニスから漏れる精液の残滓を舐め取る。  
「いいえ、まだこれからよ」  
その台詞に呼応して、またぞろ私のペニスが屹立する。  
それを満足そうに見やり、シャロンが私の眼前に体を寄せる。  
「では、軍曹、命令よ。 …お舐めなさい。 精々、私を悦ばせてちょうだい」  
言って、私の顔に跨る。  
眼前に彼女の淡いヘアと既に濡れそぼった膣口が差し出される。  
「…承知しました」  
私に拒否権などない。 いや、そもそも…願ってもいない僥倖だ。  
淫靡な光景と甘い香りに、ささやかな理性は消失する。  
吸い寄せられるように私は膣口に舌を伸ばし、舐める。  
頭の遥か上からくぐもった甘い声が聞こえた。  
「はぁ…いいわよ……」  
その声に導かれ、私は舌での愛撫…いや、奉仕を続行する。  
くちづけのように唇を重ね、蜜を啜ると、彼女のラビアとクリトリスがさらに鮮やかに充血していく。  
私はクリトリスに狙いを定め、下で丁寧に転がす。  
「あ……ふぅ…んっ!」  
刺激に満足しているのか、静かながら息を乱し、喘ぎ声をあげる。  
舌で転がしながら、クリトリスを包皮から解放し、さらに激しくつつきまわしてみる。  
クリトリスはさらに膨れ上がり、赤い宝珠のようなたたずまいを成す。  
「あああっ…!」  
高い声をあげ、シャロンの上体がのけぞる。  
「もっと、もっとよ! 激しく…はぁん…お舐めなさ…いっ…!」  
私の顔に体重を掛けるほどに秘部を押し付け、命令口調でねだる。  
私は、クリトリスを唇で挟み、優しくすり潰すように動かしてみる。  
「……っ! いいわぁ! それ、気持ちいいわぁ…!」  
シャロンが絶叫する。 それを証明するように、次々と秘蜜が溢れ、私の顔をも濡らす。  
「あん…中も…んっ、中も舐めてぇ…」  
命令というよりも、もはや『おねだり』に近い口調でシャロンが言う。  
「はい…」  
愛撫に必死になりながら私は応えて、舌を尖らせ、ヴァギナに挿し込む。  
「あんっ!」  
また高い声をあげ、体を痙攣させる。 よくはわからないが、この刺激は、実際の挿入と同等なのだろう。  
私は、泉の水を飲むように秘蜜を飲む。 舌は貪欲に奥へ、奥へと潜りこませる。  
「はぁ…はぁん…」  
シャロンは息も絶え絶えに快感に酔っている。  
私は思い切って、一際奥へ舌を突き入れた。  
「あああああっ……!」  
その瞬間、私の舌は噛み千切られるように締め上げられ、シャロンは体を何度も痙攣させて達したようだ。  
濃厚な蜜が私の口を満たす。  
 
私の顔を跨いだまま、絶頂の余韻に浸るシャロン。  
元々美しい肌が、淡く紅く染まって、それがなお本人の美しさを際立たせている。  
美しい女神の貌は、快楽で蕩け、普段は知的な光を宿す瞳も悦楽に淀んでいる。  
「……貴方、素晴らしいわ…」  
やっとの思いで紡いだ言葉は、最早、上官のそれではない。  
「いえ、自分は命令通り任務を遂行しただけであります」  
シャロンはやっとの事で体を離す。  
「では、最後の指導ね…」  
言いながら、再び私の股ぐらへ顔を寄せる。  
…軽くペニスに触れられたかと思うと、ごく自然な流れでコンドームが装着される。  
そして、私に跨り、しばらくペニスに自らの秘蜜をなすりつける。  
ふと、動きを止め、シャロンは私の体に刻まれた傷跡を撫でる。  
「いつ見ても…痛々しいわね…」  
「いえ、軍人としての…証ですから」  
シャロンの表情から、「上官」の貌が消える。  
首を振り、優しい視線を私に送る。  
「今はただ…戦いは忘れてお休みなさい…癒してあげるわ…」  
その表情は、まさしく…慈母のような貌。  
それ以上は何も言わず、シャロンは私のペニスを自らの膣口にあてがい、ゆっくりと腰を沈める。  
「あうんっ!」  
慈母の表情に、淫蕩な色が上書きされる。  
そして、自ら腰を振り、快感を貪る。  
私は、彼女の動きと、きつすぎる締め付けに翻弄されるばかりだ。  
「ううっ…!」  
呻き声をあげるのが精一杯な有様である。  
シャロンは激しく腰を打ちつけ、私の上で淫らに舞う。 彼女に合わせてジャケットがひらめく。  
「あ、貴方も…あんっ、う、動いて…あんっ!」  
私は、ここで初めて彼女の体に触れる。 しなやかな腰に両手を添えて、動きに合わせて奥へと抽送する。  
「あああんっ! す、凄い…わあっ…!」  
シャロンが激しく体を反らす。  
もう一度、私のペニスが深く潜り込むと、  
「くぅうん…! ああっ…!」  
高い声をあげて体を痙攣させ、脱力する。 …軽く絶頂に達したようだ。  
 
「…ごめんなさい…私だけ先に昇りつめちゃったわね…」  
シャロンが陶然とした表情で詫びる。  
私は首を振る。  
「…貴方は素敵ね」  
彼女はそう言い、再び私を貪りだす。  
次は一緒に。 聞かなくてもわかる。  
私は彼女の動きに合わせ、ひたすらに彼女のヴァギナの奥を抉る。  
かなり狭いが、しとどに濡れた襞の感触が、私のペニスをこれまで以上に苛む。  
「くっ…!」  
私も昂ぶりを堪え切れなくなっている。  
「ああっ! ま、また堕ちそうっ! ああん…っ!」  
シャロンも再び、淫らな声で絶頂の到来が近いことを告げる。  
お互いの動きがさらに激しくなる。  
「くぅ、げ、限界…だ…!」  
「き、来て! 来てっ、サンダース! …わ、私の名を…あんっ、呼んで…!」  
「…い、行くぞ、シ、シャロン…っ!」  
「あああああっ!」  
刹那、私のペニスが最高潮に膨れ、シャロンのヴァギナが限界まで収縮する。  
全てが喪失するような感覚の中、私は激しく射精した。  
同時にシャロンも電撃に撃たれたように体を硬直させて絶頂に達する。  
私は甘い虚脱感に沈み、私の上でシャロンも頽れる。  
 
「…すまない」  
私は彼女を抱き寄せ、詫びる。  
「…いいえ、でも因果ですわね、こうしないと…というのは…」  
シャロンは羞恥心で、頬を染めている。  
何の事はない。 これは…私の嗜好だ。  
軍人でもある私だが、いくばくかの軍役は、やはり翳を落としているようである。  
軍役時の記憶に引きずられないと、激しく欲情しないというのだから。  
「これでは、君を玩具にしているのと同じだ…」  
私の表情が曇る。  
シャロンは私に口付けて、  
「いいえ、先程も言いましたでしょう? これから、私が癒して差し上げますわ。 何度でも、何度でも…」  
あくまでもその声は優しかった。 普段の素直でない物言いは、微塵もない。  
「…私は、甘えても、いいのか?」  
「フフ、当然ですわ。 私は…そんな貴方も…」  
言って、ジャケットを脱ぎ去る。  
「…受け止めますわよ」  
そして、私の傷跡を拭い去るように撫でた。 そして、瞳が求める。 次は貴方から愛して、と。  
私は優しく彼女をくるむように抱く。 了解した。 次は、私から…愛する番だ。  
 
― Fin.―  
 

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