「ったく、シャロンのやつ……」  
 
一日の授業も全てが終わり放課後、暮れなずむ寮の廊下をレオンが歩く。  
女子寮の廊下を何事かを呟きながら歩く様は、何も知らない人が見れば立派な不審者にしか映らない。  
しかし彼のこの姿は毎度のことであり、すれ違う女生徒達も『ああ、またか』と笑うだけだった。  
 
レオンとシャロンが交際を始めてからというもの、  
月に二、三度、こうして彼が頭を抱えながら歩く姿が目撃される。  
そうした場合は決まって、些細なことで機嫌を損ねたシャロンに対して彼が機嫌を直してもらいに行く時だった。  
 
今回、レオンが頭を抱える事になったきっかけも実に些細なことだった。  
リディア先生が担当の雑学の授業中に、ぽけーと前を見ながら顔を緩ませていた、それだけである。  
たったそれだけの行為だが、授業終了後の昼休みにシャロンから、  
「お前もか! お前も巨乳がええのんか!」  
と思わず言葉遣いがおかしくなるほど激怒され、めでたく本日の出頭となった。  
 
どうもシャロンは、リディア先生が授業中に意味もなく胸を揺らしているのが嫌いらしく、  
今回の件も『憎い巨乳に見とれる』という裏切りに見えたらしかった。  
 
どうしようかと悩んでいる内にシャロンの部屋の前に着いてしまった。  
遠慮がちにコンコンとノックをする。  
「シャロン……いるか?」  
「……さっさとお入りになったら? 開いてますわよ」  
ドアの向こうから聞こえてきたシャロンの声に、思わずレオンは溜息を吐く。  
時間が経てば少しは機嫌も直るだろうと、若干の希望を持っていたものの、  
シャロンの声を聞く限りでは少なくとも良くはなっていないようだった。  
はぁっ、本日何度目になるか分からない溜息を吐きながら部屋へと入る。  
 
ベッドにテーブル、参考書などが詰まった本棚、部屋の所々に置いてある植物とぬいぐるみ。  
前にレオンが訪れた時と変わらない小奇麗にまとまった部屋の中央、  
装飾が美しい椅子に、ムスッとした表情でシャロンが座っていた。  
 
「なぁ、いい加減機嫌直してくれよ」  
部屋に入るなり、とりあえず駄目元で直球を投げてみる。  
「誰のせいでわたくしの機嫌が悪いとお思いで?」  
なんなく打ち返された。  
「だからさ、あれは誤解だって――」  
「レオンは、ただ胸! がでかければ、後はどうでもいいのね」  
リディア先生に聞かれたら弓矢で撃たれるぞと思ったが、  
とりあえず今言ってもシャロンの機嫌が悪化しそうなのでレオンは黙っていた。  
 
思考を冷静にして対処法を思案してみる。  
さて、この状況下でどうやったらシャロンの機嫌が取れるだろうか?  
……容姿を褒めてみる?  
『シャロンの胸もスリムで無駄が無くていいんじゃないか』  
前に、体育の授業中に冗談半分でこの言葉を言った時は、  
バールの様な物で殴られ、その後一週間奴隷として使役されることになった。  
……では、今度は逆か?  
『シャロンの胸だって十分に大きいだろ』  
(…………間違いなく殺されるな、俺)  
 
「……ちょっと、聞いてますの?」  
「えっ…あぁ、ははは…………何?」  
レオンの受け答えに、怒り顔だったシャロンの顔がますます険しくなる。  
 
「だいたい! レオンは、わたくしという恋人が居るのに、  
 いつも胸の大きい女ばかり見て!! この、浮気者!!」  
「い、いや、そんなこと無いって、ははは……多分」  
「嘘おっしゃい! 今日だって、リディア先生の胸を嘗めまわすように見ていたくせに!」  
「いや……俺は別に巨乳好きとかじゃないし、シャロンの小さい胸だって、  
 ……小さいっていうか無いけど、でも俺は全然無くても――」  
レオンの言葉が最後まで語られることはなかった。  
ブチンッ、と何かまずいものが切れた音と同時に、目の前のシャロンがわなわなと震え始めたからだ。  
もうすぐ本格的な夏だというのに、何故か強烈な寒気を感じる。  
 
「いっ!? ちょっ、俺の話を最後まで――」  
俯いたシャロンが低い声でポツリと呟くと、ガチャという音と共に後ろのドアに鍵がかかる。  
「えっ、ちょっ、まっ!?」  
レオンが驚いて後ろを振り返った時、シャロンの手はレオンの後頭部に触れていた。  
「っ!? シャロ、まっ――」  
「いちいち、無い無い、うるさいのよっ!!!!」  
――凛と響くシャロンの怒声とバチッという小気味良い雷撃の音を聞きながら、レオンの意識は闇に沈んでいった。  
 
 
「……で、これは一体何の真似だよ?」  
 
レオンが意識を取り戻したのは、シャロンに気絶させられてから数分後の事だった。  
先程雷撃を受けたせいか、体全体が痺れて思うように力が入らない。  
周りを見渡すと気絶前と同じくシャロンの部屋にいるらしく、  
状況を見ても特に気絶前と違った点は見られなかった。  
……何故か後ろ手に縛られながら床に体育座りの格好をさせられて、  
制服のズボンを脱がされている点を除いては。  
 
「別に大した事ではないですわ、うふふ……。  
 ……レオンさんにもわたくしが受けた屈辱と同じものを味わって頂こうと思いまして」  
 
目の前の椅子に優雅に足を組んで座ったシャロンが、丁寧な口調と共に笑顔でそう答える。  
ただ、顔と口調は笑っていたものの眼がまったく笑っていないため、怒り顔よりも恐ろしかった。  
これから何されるんだろう? とレオンが内心でビクビクしていると、  
突然、ニーソを穿いたシャロンの足がレオンの足を割って入って来る。  
「えっ、ちょっ……シャロン?」  
「……ふふっ」  
レオンが驚いている間に、シャロンの足先がレオンのトランクスの上に置かれる。  
「何すんだよ、やめっ……」  
レオンは何とかしてシャロンの足から逃れようとするが、痺れで体が思うように動かない。  
逆に、置かれた足の柔らかい感触に、思わずビクッと反応してしまった。  
シャロンは、嘲る様に冷笑しながらトランクスの上から形を確かめるように足の指でなぞり始める。  
 
「あら? どうして大きくなっているのかしら。 実はこういう趣味があるとか?」  
「そ、そんなわけないだろ!? ……なぁ、止めてくれよ」  
「お断りしますわ、……ふふっ、思いっきり惨めな姿を晒してもらうんだから」  
その言葉を合図に、シャロンの足がレオンの肉棒を擦り始める。  
部屋にニーソとトランクスの擦れる音が聞こえる中、レオンは声を出さない様に歯をかみしめていたが、  
シャロンの柔らかい足の指先が先端の部分を刺激してくるたびに、どうしても声が漏れてしまう。  
そうして足でされてから3分も経たないうちに、レオンの肉棒はギンギンに張り詰めてしまっていた。  
シャロンが足先で器用にトランクスをずり下ろすと、すでに先走りの汁で濡れた肉棒が勢いよく飛び出す。  
 
「っ――!?」  
息を呑むような声と共に、シャロンの足の動きが一瞬止まる。  
荒くなった呼吸を整えながらレオンが何事かとシャロンの方を見ると、  
シャロンは、部屋の照明を受けてテラテラと光るレオンの肉棒を食い入るように見つめていた。  
 
「ず、随分と凄い事になっていますわね」  
「シャロン……その、もう――」  
「あ、慌てなくても続けて差し上げますわ」  
「ち、違っ…ぅっ!」  
レオンの言葉を無視したシャロンは、足のつま先で先走りの汁をすくいながら肉棒全体に擦り付けていく。  
そうして今度は片足で先端を優しく撫で、もう片足で裏筋の部分を激しく擦り上げ始めた。  
 
「殿方がこんな情けない格好で足で踏まれて感じるなんて……。 レオンったら変態じゃないの?」  
「くっ!? はぅっ!?」  
変態、という辛辣な言葉を聞いた瞬間、レオンの背中にゾクッとした快感が走る。  
それと同時に、快感に反応するように肉棒がビクンッと脈を打った。  
 
「あっ!? 今、ビクンッていいましたわ。  
 ふふっ、レオンったら変態って言われて嬉しいのね」  
「ち、違う……」  
「それならもっと言って差し上げますわ。 この変態! 変態!」  
シャロンは言葉でレオンを責めながら、レオンの足首を持ち上げ電気按摩の格好にする。  
そして片足で袋の部分をさすりながら、もう片足で肉棒を踏み始めた。  
 
一段と激しくなったシャロンの足の動きと、屈辱的な状況、強制的に与えられる快楽に、  
レオンはあっという間に射精へと上り詰めていく。  
「…シャロン! 止め…、もう……」  
「はい、じゃあここまでね……」  
レオンの射精の合図を聞いたシャロンは、足首を掴んでいる手はそのままに、  
それまで激しく動かしていた足を引っ込めてしまう。  
「えっ? あっ、うぅ…………」  
射精直前で快感を止められたレオンが辛そうにシャロンを見ると、シャロンは少し顔を紅潮させながら薄く笑っていた。  
 
「ふふっ、続きが欲しかったら、おねだりして御覧なさい」  
「おねだりって…何だよ?」  
「そうねぇ、『お願いします! 逝かせて下さいシャロン様!』って言えたら続きをしてあげるわ」  
「そ、そんなこと誰が言う、かっ!?」  
レオンの反論を中断させるように、シャロンの足がレオンの鈴口をなぞる。  
レオンはその刺激で射精しそうになったが、寸前のところでまた責めを中断された。  
「ほら、言葉が違うでしょう。 まったく、物覚えが悪いんだから」  
「うっ、くっ!」  
レオンは何とか言葉だけでも反抗しようとしたが、その度に蛇の生殺しのような緩慢な刺激を与えられる。  
射精寸前で止められたレオンには、提案を受け入れる選択肢しかなかった。  
「ぉね…ぃ…す……くださぃ、シャロン様」  
「何? 何を言っているのか全然聞こえませんわ!!」  
「お願いします! 逝かせて下さいシャロン様っ!!」  
「おーほっほっ、本当に言うなんて、貴方には自尊心というものが無いのかしら?」  
叫ぶようなレオンの言葉を聞いて、シャロンが口に手を当てて高笑いする。  
対するレオンは、恥辱から軽く涙目になっていた。  
「でも、ようやく自分の立場を理解したようね。   
 そう、貴方はわたくしに犬の様に従っていればいいの。 そうしたらちゃんと御褒美を上げるんだから」  
 
シャロンは満足したようにそう言ってから、レオンへの責めを再開する。  
射精寸前で止められていたレオンはあっという間に射精の瞬間を迎えた。  
「ぅっ…、出る!!」  
ビュクッ! ビュクッ!  
肉棒の先端から白濁した液体が勢い良く飛び出し、そのままレオンの上着やシャロンのニーソへと降り注ぐ。  
かかった精液は、出したレオン本人が驚くくらいの凄い量だった。  
 
射精を終えたレオンが、はぁはぁと荒い呼吸を整えていると、  
ふふっ、と満足気に笑ったシャロンがレオンの顔を覗き込んでくる。  
「これに懲りたら、もう二度とわたくしに逆らわないことね」  
シャロンとしては、あくまで冷たく言い放ったつもりだったが、  
声色には、レオンを屈服させたことによる上機嫌さが出ていた。  
 
レオンが出した精液を見せつけるように、精液の付いた足先をレオンの顔の前に持ってくる。  
「足で踏まれていくなんて、はしたない人ね。……わたくしのニーソをこんなに汚して。  
 急いで洗わないと染みになっ、て!?」  
バッと突然、何かに気付いたかのようにシャロンが足を閉じた。  
だがレオンには、シャロンが足を上げた時にスカートの中の光景がばっちりと見えていた。  
 
(今、確かに見えた。 そうか、シャロンの奴、人の事を散々変態だとか罵っておきながら……)  
レオンの頭の中に、シャロンにされた恥ずかしい仕打ちが思い浮かぶ。  
(そうだよな。 自分だけ酷い仕打ちを受けるのは不公平だよな。  
 ここは一つお仕置き…もとい気持ち良くさせてもらったお返しをするとしますか)  
雷撃の痺れも取れ、両手の拘束も外れていることを確認すると、  
必死に平静を装っているシャロンを見て、ニヤリと笑った。  
 
 
―――― 続く? ――――  
 

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