サンダースとアロエは恋人同士である。
何故かと聞かれれば本人たちにしか答えは分からないが、兎に角恋人同士である。
ある者はサンダースをロリコンと呼び、腕の関節を両腕共に外された。
彼は激痛と生活出来ない事態に落とされ、サンダースには逆らうまいと心底に誓った。
またある者はアロエを親父好きと評し、サンダースにトーナメントの際に散々な結末にされた。
そんなことはどうでもいい。
アロエは、サンダースと付き合い出した当初より、教師達の了解を得てサンダースと同じ部屋にて暮らしている。
共に学び、共に眠り、共に入浴して。
そして、今晩も短針が10を指したと同時に・・。
「お兄ちゃん、お風呂に入ろう♪」
机に向かい、四国史なる歴史書を読んでいるサンダースに、アロエが抱きついて。
それにびくともせず、サンダースは栞を四国史に挟む。
「む。もうそのような時間か」
「うんっ!だから、一緒にお風呂に行こう♪」
アロエの手には、可愛らしいパジャマと猫がプリントされたタオルが持たれている。
サンダースも椅子を立つと、干していた寝間着とトランクスを手にする。
褌はアロエ渾身のお願いで廃棄された。
かなし・・・喜ばしい事だ。
部屋を出て、ロックをかけるサンダース。
アロエはサンダースの腕にぴったりと引っ付いている上、時折頬擦りなんかもしている。
甘えぐせもここまで行くと行きすぎの気さえするが、二人にとってはむしろ日常。
脱衣所にて、アロエは毎日の様にバストサイズを測る。
ルキアちゃんみたいなおっきいのじゃなくていいから、せめてユリちゃんぐらいは欲しいと言うのがアロエの本音らしい。
事実ユリのは立派だが、サンダースはアロエに惚れたのであって、きょぬーが好きな訳ではない。
むしろひんぬーマンセーだったりする。
「あ〜あ、今日は大きくなってないやぁ」
「・・・気にせずとも、私は今のままの君が好きだぞ?」
「うぅん、もっと女っぽくなりたいの!」
ぐっと拳を握るアロエ。
確かに素晴らしい決意だが、全裸で言うのは如何かと思う。
サンダースはサンダースでアロエが女らしく成長したのを想像して、鼻血なんかを吹き出している。
さてさて。
サンダースの鼻血が収まるのを待って、二人は一緒にお風呂に入る。
毎日の洗いっこは、ないと眠れない程になっているのだ。
事実サンダースが風邪を引いた際に、アロエが一人で風呂に入ったら、洗いっこが無くて寂しいと泣き付かれたこともある。
「アロエ、今日もきちんと勉学を納めたか?」
「うんっ!試験で一番になったよ〜♪」
「そうか・・偉いな」
アロエとサンダースは所属クラスが違うため、授業は一緒に受けられない。
アロエはエルフ組、サンダースはケルベロス組。
少しばかり遠い開きではある。
「お兄ちゃんは、浮気しなかった?」
「するか。する相手が居らんわ」
「いたらする?」
「さぁな」
思わせ振りなサンダースの返事に、アロエのなかの幼い嫉妬心がむくむくと頭をもたげる。