もう長いこと掃除されていない、寂れた廊下をとぼとぼと歩くクララ。  
マラリヤの姿を探しているうちに、来た事もない区画へ来てしまった。  
(ふぇ〜ん……ここってどこかしら……?)  
と、近くの部屋から明かりが漏れている。  
心細くなっていたクララはぱたぱたと部屋に入り、そして絶句した。  
 
その部屋では、赤く毒々しい色を放つ巨大な花をもつ植物が、大量に育てられていた。  
植物群の手前でたむろする数人の男子生徒。  
クララは思わず息を呑んだ。  
その植物が、法によって栽培を禁止されている危険な植物だったからだ。  
この周辺の植生では自生せず、人工的に育てるにも知識と整った設備が必要とされている。  
だが、アカデミーにはそのふたつともが揃っている。  
 
男子生徒たちはクララの姿を見て一瞬驚いたようだったが、すぐにクララの周りを取り囲む。  
「おい」男子の一人が凄む「女子がこんな場所に何の用だよ?」  
「あ……その……っ」  
クララは恐怖で声も出ない。  
「あれ? こいつどっかで……」  
「クララだよクララ。優等生の」  
「あ〜、はいはい。あのクララね」  
「ふぅん、こいつが……」  
「優等生でも何でも、この部屋を見られちゃただじゃ帰せねえなぁ」  
「あ……わ……私っ、何も……知りませんから……」  
それだけ言うと、へたり込んでしまう。  
「知らないってよ。どうする?」  
「どうするっておめえ……アレしかねえだろ」  
「へへっ、そりゃいいや」  
男子のひとりがしゃがみ込み、怯えるクララの顎に手を掛ける。  
「優等生のクララさん、お前、犯された事はあるか?」  
 

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