第38話「決意」
ゴブランヘブンにて過去の因縁に決着をつけたジャック。
共に妖精の味方として戦うことを約束したガウェインを連れ、ヘレンシア砦へと向かう。
しかしそこにはかつての仲間、ジャーバスとダニエルの姿があった……。
第39話「告白」
仲間との決別、リドリーへの思い。戦争に対して覚悟を決めたジャックの元にリドリーが訪れる。
かつての騎士団の仲間として、一人の少女としてリドリーはジャックへ思いを告げる。
彼女の真剣な思いに戸惑いを隠せないジャックだったが……。
第40話「思い」
「よっしゃ!ようやく着いたぜ」
“デニスにはエルフ地方に夜だけ咲くカレン草を渡せばいい”
そう聞いて遥々やってきた。もちろん大好きな仲間を連れて・・・。
たまたま変身してるとこを見てしまったナミ。
これまた、たまたまぶつかって、ベタな出会いをしてしまったレオナと、
やっぱりたまたま通りかかった地下倉庫でダンボールに埋もれてたマリエッタ。
戦闘にはちょっと不安のあるメンツだけど、それでも頼りになる仲間だ。
カレン草は(たまたま)レオナのレポート課題だったし、
マリエッタは以前図書館で文献を読んだことがあった。
2人がいなければ、自力では一生見つけられなかっただろうし、持って帰ってくれと
めんどくさがる2人を遠いエルフ地方まで引っ張りだしてくれたのは、
好奇心旺盛で行動力のあるナミのおかげだ・・・
(あーコラ、ネズミ蹴ったらダメじゃん!ナミ、いや今はコーネリアか?)
(てか、ネズミみえるでしょ!?レオナ、めがねは君の頭の上!)
(倒したからってはしゃぐと・・ほらコケた、マリエッタ・・・今日は白か。よっしゃ!)
そんな珍道中だったけど、それっぽい場所を見つけて腰を下ろし、小さな焚き火をしながら
夜になるのを待つ。宝箱を見つけたと、炎の向こうで3人がはしゃいでいる。
夕暮れ時に、蛙の鳴き声があちこちから聞こえると、柄にもなく感傷的になってしまう。
(今日のバトルもほとんど一人で戦って、倒して、俺もだいぶ手馴れてきたかな、
やっぱ俺って才能ある!・・・何の才能だろう?)
騎士のままだったら・・・。
今の仕事は楽しいし、充実感だってある。小さな部隊の役職にもなった。
けど、ホントは父さんみたいな騎士になりたかった・・・姉さんにも誓ったのに。
思い返せばすごく中途半端な形だったな、何もかも。
試験の時もリドリーに負けて、情けで受からせてもらえて、初任務もいいトコは全部リドリー。
挙句の果てには、調子に乗ってリドリーが瀕死を負う原因を作ってしまった。
(今、どうしてるだろうか・・リドリー。ん?
リドリー、リドリー、リドリー!あーっもうムカツク。何で俺があんなやつの事気にしてんだ!)
頭に血が昇ってくるのがわかる。動悸も激しくなり、いてもたってもいられない気分になる。
なんで、こんな気持ちに!?なんだかムシャクシャする。
(そうだ! だいたいヤツさえいなければクビになんて・・・あ〜〜〜っ!!!)
「ムチャクチャにしてやりたーーーい!」
しかしそう叫んだのは自分の声じゃなかった――
叫んだのは、夜がきて大人になったナミ、俺を押し倒して。
いつの間にか辺り一面、カレン草の放つキラキラした淡い光に覆われていた。
いい香りがする・・・これは!
【ラジアータ植物図鑑抜粋】
//カレン草は年に一度、夏の終わりに花粉を飛ばす。花粉には毒性があり、一説には
感情を昂ぶらせる、もしくは一種の麻酔・媚薬のような作用もあるとされるが詳細不明//
――まさか今日がその日だったなんて!
幸い俺は状態異常を防ぐスキルを身に着けてたけど、こうなったらリンクでスキルを共有して・・・
・・・くっ、ダメだ、レオナとマリエッタに聞こえてない・・ナニやってんだ?あいつら・・・
こうなったら歌で・・・
「ミントの歌!・・ん?・・・混乱じゃないのか・・えーっとぉ。じゃあ、キノコのうっ・・!」
口をふさがれた・・・ジャック・ラッセル16の夏の夜―エルフ地方にて、
ホントは少女、今はオトナの美女に初チュー+この後さくらんぼを食される・・・