『キスの仕方』
「んん…っ…!」
暗がりの中の一室、くぐもった吐息と湿った水音がそこに広がる静寂を破っていた。
「っは…ジャック…そ…そろそろ止め…んっ!」
「んだよリドリー、もうギブ?俺まだまだしたりねぇのに…。」
部屋の端に位置するベッドの上、そこに、一糸纏わぬ一組の少年と少女が居た。
睦み合い、ピチャピチャと水音を響かせ口付けを交わしている。
お互いがお互いを貪る様なキスを交わしながら、息も切れ切れに少女、リドリーが言った。
「お前…キス…んっ…上手く、なって…ないか?」
「ん?そぉかぁ?」
少年、ジャックが素っ頓狂な声を出しながら口付けを止めると、
「…そうだ。前よりも明らかに上達している。」
と言う明確な肯定。
「まさか…と思うが、ジャック…貴様他の女と…んぅっ!?」
追求しようと口を開いた途端、舌ごと絡め取られた。
しかもそのまま、濃厚な音を響かせてジャックは舌を吸い上げてくる。
「ぅくっ…んん、ふっぅ…!」
頭の奥が、痺れて溶けそうだった。
リドリー、そしてジャックの二人は大分前から、こんな睦み合いを二人で居られる時は繰り返している。
勿論、とっくにジャックによってリドリーの処女は奪われ済み。
ざまあみろクロス(Jさん談)
しばらく戯れに合わせられていた唇と舌を漸く離し、銀糸を引きながら二人の顔は離れていった。
「ん…あ…っ。」
離れても、蕩けたままの顔で呆けていたリドリーを見て、ジャックは意地悪く笑った。
「俺がさ…お前以外好きになると思ってんの?」
「だ…だがっ…!?」
ふと、リドリーの秘所に何かが当たった。
「んじゃ、挿れちゃおーっと。」
ニヤァ、と。
意地悪く、意地悪く、ジャックは嘲笑った。
「!ジャックっ、待っ、ああぁっ!」
リドリーが異物感に気付き、止めようと手を伸ばした瞬間、既に十分過ぎる程の熱さと固さを持ったジャックの物がリドリーを貫いた。
「っ!…相っ、変わらず…っはは、キツっ…!挿れてるだけで…イきそ…っ!」
挿れた瞬間からキツくキツく自身を締め付けてくるリドリーに表情を歪めつつ、ジャックは律動を開始した。
「んくっ!?やぁっ…!ジャックっ!」
跳ねる様なその激しい動きに成す術も無く、リドリーは翻弄されていた。
「リドリっ、悪ぃっ…もっ…イきそっ!」
「え…あ、駄目…っ!わ、私がまだだっ!だからまだイくな!」
「んな事言われても…!お前が締めてくんだから、しゃーねぇだろ…っ!」
と、おおよそ恋人同士の甘い会話にはまるで聞こえない物を交わしながら、二人はお互いを求め合い、貪り合う。
その内、どちらかが果てるのはそれは自然な流れであって、
「あ…っ!ジャック、ジャック…っ!も…も、ダメぇ…!」
「も、ちょい待て…っ!俺も、そろそろ…っ!」
最後のスパート、と出し入れを速める。
何度も、何度も、湿った水音が狭い一室に響いた。
そして、限界は思ったより早く、お互いに訪れた。
「あ…あああっ!!」
「んぁ…んんっ!」
少女は、少年を締め付け仰け反り、
少年は、少女の膣内に全てを放ち、
お互いに訪れた絶頂に、体を震わせた。
自分の身に残っている気だるさに身を任せ、リドリーは微睡んでいた。
このまま、眠ってしまおうか、と考えた瞬間、
「!っふぁ!?」
ズッ!と、
自分の中に残っていたジャックの物が、そのままの固さで動き出した。
「ジ…ジャック!?んあぅっ!」
「ゴメン、リドリー…もっかい、お願い。」
サァァ、と。
自分の血の気が引いていく音が聞こえた気がした。
「な…おまっ…!」
冗談じゃない。
この状況で二回目なんてやったら、恥ずかしさで死んでしまう。
ただでさえ快楽に負けて、痴態を晒しているというのに。
「ちょっ、ジャック待っ、ひあぁ?!」
反論しようと口を開いた途端、勢い良く膣内を突き上げられた。
「待てませーん。」
やたら愉快そうに言って、ジャックは律動を再開した。
「や…もぉ…はっ!んんっ!」
どうやら、二人の夜はまだこれからの様で。
「……で?」
ギシギシアンアンと音の響くジャックの家の前の橋。
「…何で第2ラウンド突入するかなぁ…あのバカップル…。」
そうボヤいているのはフラウ。
「近所迷惑考えたなさいよねー…はぁ。」
そんな呟きが二人に届く筈も無く、夜は更けていった。