「よっしゃ!」
見上げるほどに巨大なゴーレム──メリッサUを倒し、ジャックは一息ついた。
以前に、エルウィン大隊長の代理でヴァレス魔術ギルドのゴーレム研究第一人者、アーシュラの挑戦状を受け取ったジャックだが、苦もなく退け、今回このリベンジマッチを受けたのだ。
結果はすでに見ての通り。
確かに以前のゴーレムに比べ耐久力、破壊力を凌駕しているメリッサUだが、基本的な行動が全く変わらないため、あれからさらに力をつけ、副長ジェラルドと好勝負を繰り広げるまでに至ったジャックの敵ではない。
アーシュラはこの現実を目の当たりにし、がくりと地に手を付く。
「あぁ・・・また借金まみれの日々を送るのね・・・」
「いや、だから100体も作るのが原因なんじゃ」
アーシュラのつぶやきにジャックが即座に突っ込む。
が、既にこちらの話など聞こえていないらしい。
なにかの電波を受信しているかのように、ぶつぶつと呟いている彼女は置いておいて、ジャックは今回の仕事を切り上げることにした。
「んじゃ、報酬はテアトルで受け取るから、また今度ね」
そう言ってテアトルに依頼完了の報告をするため戻ろうとするジャックに、アーシュラのか細くも、しかし絶対に聞き逃すことの無い言葉が響いた。
「・・・ないわ」
「・・・は?」
時間が止まる。
ジャックが固まったのを感じたのだろう、アーシュラが続ける。
「報酬のお金も全部つぎ込んでメリッサUを開発したのよ・・・残るわけ無いじゃない」
「残り分けないじゃない、っておい!」
「そもそもあなたがメリッサに勝つのがいけないのよ!大人しく負ければ私の研究費用が倍額されて借金帳消しになって更なるゴーレムを開発できるというのに!!!」
「いや、そんなこと言われても」
「何か異論でも!!?」
鼻息も荒く、胸を張って堂々と宣言するアーシュラ。
こうなった彼女はもう決して引くことは無い。これは前回のゴーレムを倒した時からジャックが学習したことだった。
「はぁ・・・今回はただ働きか・・・」
どっと疲れが押し寄せてうなだれるジャック。
その様子を見て、アーシュラが何かを思いついたように目を輝かせる。
しかし、眼鏡の奥のその輝きは、ゴーレムを前にした時のような明るい、純粋なものではなく、暗く妖しい輝きだったのだが、うなだれているジャックには見えていない。
「いいえ・・・今回は現物支給という事でいいかしら」
「ん?ちゃんと見合うものでよければいいけど・・・」
「これから用意するから待ってて。そうね、3時間くらいしたら、ヴァレスの私の研究室まで来て」
「りょーかい」
ひらひらと手を振ってテアトルに戻るジャック。報酬が出ると分かったらとたんにシャキっとするのだから現金なものだ。
ジャックの姿が見えなくなってから、アーシュラが妖しく笑う。
「うふ・・・うふふ・・・」
きっかり3時間後、ヴァレスまで来たジャック。
「3時間後って・・・すっかり暗くなっちゃったな」
メリッサUを倒した時点で、既に日は暮れかけていた。
夜の帳がおりており、活気にあふれていた路も人通りは少なくなっている。
ヴァレスもほとんどの生徒・職員は帰宅しており、昼間の喧騒がウソのように静まり返っていた。
人々のざわめきがなくなった分、ヴァレスに響く機械音がより大きく感じる。
受付を済ませ、自動的に開くドアを通り月の塔にあるアーシュラの研究室目指すジャック。
さすがに研究塔では深夜まで研究が続けられることもあるのだろう、ちらほらと明かりのついている研究室も見受けられた。
少し歩くと、アーシュラの研究室が見えてきた。
ゴーレム研究のためだろうか、他の研究室に比べると一回り大きいのが特徴な部屋からは、わずかに開いている扉の隙間から光が漏れている。
「アーシュラさんー?依頼の報酬受け取りにきたよー」
ノックをしても反応は無い。
いつもは近づくだけで自動的に開く扉が、今回に限ってノックしても開かないことに、ジャックは気付いていない。
「アーシュラさん、入るよー?」
特に返事は無い。が、明かりはついているし、鍵が閉まっている様子も無い。
特に問題ないのだろうと判断し、ジャックは研究室に入った。
まず感じたのは、甘い香りだった。何か香を炊いているのだろうか。
そして入ると同時に、たった今入ってきた扉が音を立てて閉まる。
「!?」
驚いたジャックは扉を開けようとするがびくともしない。
ドアノブも何も無いヴァレスの扉の開け方をジャックがわかるはずもなく、何とか開かないものかと力を込めてもびくともしない。
そのとき
「ふむ・・・やはり私の理論に間違いは無かったということね」
部屋の奥からアーシュラの声が響く。
「ちょっとアーシュラさん、一体なにが──」
開かない扉をあきらめ、問い詰めようとジャックは歩き出すが
「・・・あれ?」
体が動かない。
いや、動くことは動くのだが、体中に鉛をつけているかのように重く、感覚もぼんやりとしたものになっていた。
「あれ、俺一体どうして・・・」
「無理しない方がいいわよ。メリッサにも搭載していた、私特製の麻痺ガスだから、そう簡単には動けないから」
部屋の奥からアーシュラが姿を現す。先ほどと同じ服装ではあるが、顔にはなにやら妖しい笑みが浮かんでいる。
「ちょ・・・いったいどういうことだよ!?」
「言ったでしょ?現物支給だって・・・まぁ、厳密にはちょっと違うけどね。」
クスクスと、しかし妙に妖しく笑うアーシュラに、ジャックは背筋が震える。
やばい。
なにかはわからないが、なにかやばい。
しかし、その気持ち以上に、こんな状況で沸き起こるとある現象にジャックはあせっていた。
アーシュラの視線がその一点に集中しているのに気付き、ジャックは思わず顔が赤くなる。
「元気よね・・・」
そう、ジャックの逸物は服の上からでもはっきりと分かるほどにいきり立っていた。
「いや、これはその、あの!べつにこの!」
ジャックはすっかり混乱して、中身のある言葉が出てこない。その様子をみて、アーシュラがくすくすと笑って付け加える。
「まぁ、ただ麻痺するだけでなく、催淫作用もあるから当然よ」
「え?」
アーシュラの言葉にジャックはより混乱する。
その隙に、アーシュラは、すっとジャックのズボンを下げ、逸物をさらけ出した。
童顔の少年のものとは思えないほど、太く、たくましいもの。
「あ、アーシュラさん!何を・・・!」
「だから言ったでしょ?報酬を払うのよ・・・ん」
いくらメリッサUを倒したジャックとはいえ、体が麻痺して、口だけしか動かない現状ではアーシュラの思うがままだった。
他人には見せたことがないのであろう、羞恥に真っ赤に顔を染めるジャックを尻目に、アーシュラはジャックのそれを舌先で舐める。
ぴちゃ・・・
「うぁ・・・」
初めての快感に、ジャックの体がビクリと震える。
ジャックの反応を一つ一つ確認しながら、アーシュラは指先で亀頭をなぞり、舌先で軽く刺激を与えていく。
ちゅ・・・くちゅ・・・
既に先から透明な液が流れはじめているそれをアーシュラがいじるたびに、研究室に淫靡な音が響く。
「あ・・・あぁ・・・」
快感からジャックが喘ぎ声をあげ、それと共に更に膨らみ、硬く、太くなっていく。
既に並の大人のものを超えるほどになっていた。
「凄い立派なもの持ってるね、ジャックさんは・・・。これがあなたの強さの秘密なのかしら?」
立ったまま体が麻痺して動けない少年の体をもてあそぶというシチュエーションに、アーシュラ自身も興奮が高まってくる。
「ア、アーシュラさん・・・ちょっと・・・あうぅ!」
ジャックの言葉を聞く事無く、アーシュラはジャックのそれを完全に口に含んだ。
「んっ、ふむ・・・ちゅ・・・。ん、んふ・・・」
自分の頭を上下に動かし、執拗に口で責めていく。
かなり慣れた様子の責めに、経験のないジャックはすぐに限界がきた。
「うあ、で・・・でる・・!」
アーシュラが根元近くまで深くくわえ込む。と同時にジャックの肉棒がビクビクと震え、一気に射精が始まる。
アーシュラも多めだろうと予測していたが、ジャックの量は並大抵のものではなかった。
「んむぅ!?」
何度も何度もビクビクと震えては、そのたびに射精していく。
口内に収まらない大量の白濁液は、肉棒を加える口端からぼたぼたとこぼれ、こぼれなかったものは直接喉の奥へと侵入していった。
「んは!けほ・・・ごほっ、ごほっ!・・・あ・・・」
さすがに耐えられず、アーシュラは肉棒を離し咳き込む。それでもジャックの射精は収まりきらず、咳き込むアーシュラの髪、顔、服を汚していく。
「すごい・・・すごいわ、ジャックさん」
ようやく息を整えたアーシュラは、荒々しく息をするジャックを見上げる。顔を真っ赤に染めて息をするジャックがだが、肉棒が衰える気配は全くなかった。
我慢ならなくなったアーシュラは、ジャックをそのまま押し倒す。
ジャックは既に抵抗する気力も無いのか、それとも快楽にすっかり押しながらされているのか。荒い息をするだけで、アーシュラの促すがままに、そのまま仰向けとなった。
逸物は衰える事無く、力強く天を向いている。
「うふふ・・・見てください、ジャックさん・・・」
アーシュラがスカートをたくし上げる。その下には下着も何もつけておらず、薄い陰毛の影に隠れた秘部があらわになった。
ジャックの上にまたがり、一目で分かるほどに濡れているその場所に、ジャックのモノをあわせる。
しかし、すぐには入れない。ぎりぎりの位置を保ったまま、弄るようにジャックに問いかける。
「ジャックさん、私の中に来たいですか・・・?」
コクコクと激しく頷くジャックに、アーシュラはいたずらっぽく続ける。
「でも、もう依頼代金分の事はやったと思いますよ・・・?これ以上は、私もただでは出来ないですのよ。」
そういって、アーシュラはそのまま身を引いた。
一息ついて、乱れた衣服を整える。
「え・・・?」
ジャックがはっきりと複雑な表情を見せる。まるで迷子になった子供のような。
その様子で内心クスクスと笑いながら、妖しい笑みを浮かべたままアーシュラが続ける。
「さぁ・・・どうしますか?」
────後日
「よっしゃ!」
アーシュラは見上げるほどに巨大なゴーレム──メリッサVが倒れるのを、ため息をつきながら見ていた。
ジャックはお決まりのポーズとお決まりの声で、今回の戦闘の勝利を喜んでいる。
既にジャックはエルウィンを上回る程の力を身に付けており、ジャックを倒せれば名実共に「世界最強」を名乗れるのだが・・・
「なかなか上手くいかないものですねぇ・・・」
しかし、その呟いた声には、以前のような落胆は含まれていなかった。
借金で悩むことのなく、純粋に負けた原因と今後の課題について検討をする。
そもそも、たまっていた借金もすっかり返済が終わっており、今後の研究資金も問題は無い。
さらに、どれほどの最強決定戦(性能テスト)を行っても、その依頼費で悩む必要もないのだ。
「んじゃ、今回の仕事もおわりってことで・・・。あとでテアトルまで連絡くれなー。」
ジャックがにこにことして手を振る。そんなジャックにアーシュラが続ける。
「あら、後でいいんですか?これから一緒に食事にでも行って・・・とも思ってたのですけれど」
アーシュラの言葉に、ジャックは満面の笑みを浮かべた。
────ジャックが数日前から、異常とも言えるほど、テアトルに入る依頼をこなし続けているのだが、その理由を知るものはこの二人以外知る者はいない・・・