『……というわけで、我が社のコンセプトカーは時代の最先端をこれからも走り続けます。  
本日は我が社のブースへ足を運びいただきありがとうございました』  
毎年開催される自動車ショーの会場で、露出度の高い衣装を着た女性がよどみなく科白を言った。 
その女性はコンセプトカーの横に設置された席でマイクを片手に愛想良く客に手を振っている。  
『続きまして、この日だけ特別にコンパニオンをつとめてくれる龍咲海ちゃんの撮影会にうつりたいと思います』  
しなやかで流れるようなロングヘアーに青いカチューシャを付けた美少女がブースの奥から現れた。  
何気なく歩いていた男性の通行人まで足を止めるほど龍咲海という少女は魅力的だった。  
二重の切れ長な目とよく通った鼻筋、さらに青と白をベースにしたミニスカートとノースリーブの挑発 
的な衣装。腹部は大胆にもカットされていて、形の良い臍が男性客の視線を釘付けにした。  
またたく間にコンセプトカーと海の周囲には客が押し寄せる。  
さらにカメラのフラッシュが何度も輝いて、海の視線を白く灼いた。  
(え? え? ど、どうなってるのかしら?)  
海はただ立っているだけである。特にポーズを取ったりしているわけではないのに、多くの人だかりが 
できている。なんだかとてつもなく場違いな場所に来てしまったようだ。  
『龍咲海ちゃんはお嬢様学校に通う現役の女子中×生です。サイズは上から84・56・86。  
趣味はフェンシングです』  
脇にいる女性の紹介とともに海は腕を組んでコンセプトカーによりかかった。すらりと伸びた美しく長 
い足と、少しでも無理な動きをすれば下着のような白い水着が見えてしまうレースクイーンのような衣 
装に男性客たちは興奮している。  
「海チャン、こっち向いて!」  
見ず知らずの男から声が掛かった。海は声のした方向へ、肘まである白いグローブに包まれた手を振ってみせた。  
「こっちも向いてよ!」  
「目線ください!」  
「もうちょっと大胆なポーズお願いします!」  
 
海は次から次へと出される要望に戸惑う。しかし撮影会から三十分が経ったころには、雰囲気に慣れて 
自然な笑みとポーズを取れるようになっていた。  
その男性客の最前列で怪しげな動きをしている者がいた。海の身体をなめるようにデジカメをローアン 
グルから撮影しているのだ。  
(……これってやっぱり噂の盗撮とかいうやつかしら?)  
海はさりげなくミニスカートの股下に手を入れてガードする。別に本物の下着を見られているわけではな 
いが、やはりスカートの中の水着でさえ撮られるのは恥ずかしかった。無理もない。肉体とプロポーショ 
ンは完成された大人の女性のようだが、彼女はまだ十×歳である。そういったことには敏感な年頃だった。  
一時間ほどの撮影会は特にトラブルもなく終わった。海は再びブースの奥へと戻っていく。  
「いやあ、龍咲さんところのお嬢さんを呼んで正解だったよ。私も君みたいな美人を呼べて社長として 
鼻が高い。次もよろしくたのむよ」  
中年の髭を生やした男性がブースの裏側で海に声を掛けた。  
「社長さんとは昔からの付き合いだから、どうしても出て欲しいって父に言われたので」  
今回、海が自動車ショーに出たのは父の友人からの依頼だった。自動車会社の社長をしているこの中年 
男性に父が「どうしても海をコンセプトカーの横に立たせたい」と泣きつかれたそうだ。  
「海ちゃん、大丈夫かね?顔が赤いが、体調でも悪いんじゃないのか?」  
「ちょっと……熱っぽいようです。それでは……」  
海は社長との挨拶もそこそこにブースを後にした。  
次に彼女が目指していたのはトイレだった。  
(誰にも言えない……こんなこと……)  
海は個室トイレに入って背中を壁にあずけた。いつもの涼しげな表情とは逆に、頬にはうっすらと赤み 
がさしている。  
(男の人にカメラを向けられて興奮してしまうなんて……)  
それは海が初めて経験する奇妙な胸の高鳴りだった。彼女は気付いていない。女性には視姦されること 
で快感を感じる性癖というのもあるのだということを。  
(今日のわたし……変よ……)  
海はミニスカートの中の白い内股に手をのばしていく。さきほどの撮影会の笑顔とはまったく違う、 
艶やかな表情が海の顔に浮かぶ。  
 
海の太股にはうっすらと汗が浮いており、心臓の鼓動も早くなっている。 
これではまるで欲求不満に耐えかね、淫らな一人遊びをベッドの上でするときと同じだ。  
ただ、男性にカメラを向けられただけなのに、身体が火照って喉がカラカラに乾いていた。  
(なんだか身体が熱い……)  
心の奥で黒く醜い欲望の塊が芽生えて、急速に海の肉体を支配しつつある。  
トイレの薄いベニヤ板に体重をあづけながら、レースクイーン風の青いミニスカートを海はめくると下 
着を連想させるような眩しい白ビキニが現れる。そこは、しきりに男達がデジカメで狙っていたポイン 
トであったのを海は思いだしてさらに頬が赤く染まった。  
(す、少しだけなら……ここなら誰も見ていないだろうし……)  
海はロンググローブに包まれた手で白ビキニを上にクイッと引っ張り上げて股間に食い込ませてみた。  
「んッ……!!」  
食い込んだ白ビキニの左右から淡い恥毛をはみ出させて海は甘い声を上げる。 
何度か白ビキニを上に持ち上げたりして刺激を楽しんだがそれも物足りなくなってきて、足を大股に開き、 
洋式の便座に手をついて後ろに思い切り尻を突き出すような格好になった。  
しなやかで美しい海の太股がまっすぐに伸び、男を誘うような卑猥なその体勢はとても官能的だ。  
海は今や丸見えになってしまったアンダースコート代わりの白ビキニを片手でいやらしくまさぐった。  
若い張りに満ちて形の良いヒップをロンググローブを付けた海の手がせわしなく這い回る。  
それは時には円を描くように焦らすように動いたり、あからさまに片方の尻たぶを握るような大胆な動 
きになったりした。  
海が自慰の妄想で一番好きなのは痴漢に身体を弄ばれることだった。普段プライドの高い彼女は、自分 
が最も忌み嫌うタイプ――女性の弱さにつけこむ痴漢――を脳内に描くことで興奮が高ぶるという矛盾 
した面を持っていたのだ。しかし、そのような事を他人に打ち明けられることもなく、こうして妄想に 
痴漢というオナペットを登場させては一人で快楽を貪るのがオナニーの好みだったのである。  
 
(こんなところで……わ、わたし……)  
心の中で抗いながらも、海は自分の指先を白ビキニの中にもぞもぞと入れてしまう。ぴっちりとヒップ 
ラインを浮かせていた白ビキニの中を、指先が蠢いてさらに海の劣情を煽っていく。肘まであるロング 
グローブの指先越しに、自分の臀部の体温が感じられるのではないかと思うほど海の身体は熱かった。  
明らかにベッドの上でする一人遊びとは違う。興奮の度合いが桁外れなのだ。  
(男の人に見られたせい……かしら……)  
海は何度も波のように寄せてくる快楽の中で朧気に考えた。しかし、そんなことに思考を巡らせたのは 
一瞬だった。さらに敏感な部分に指先が達した瞬間、甘い痺れが海の背筋を通って突き抜ける。  
(やだ……すごい濡れてる)  
海の妄想は徐々にエスカレートして、卑劣な痴漢は海の禁断の聖域まで指で蹂躙しようとしているのだ。 
助けを呼びたくとも海の自尊心が周囲の目を気にして、声を上げることすらその状況では出来ない。  
現実と妄想の隔たりが海の中で無くなりつつあった。  
海は自分がレースクィーンの姿で女子トイレで脅されながら、隅々まで痴漢に身体を悪戯されているよ 
うな錯覚を引き起こす。  
『たまんねえな、レースクィーンか。こいつはとんでもねえエロ中○生だ』  
『いつもお嬢ちゃんを遠くから見ていたんだよ。……いいケツしてるじゃねえか』  
『大人しくしろよ。少しだけお嬢ちゃんの身体を触らせてほしいだけだから。な?』  
顔をこれ以上にないほど上気させて聞こえないはずの痴漢の声に海は耳を傾ける。  
その言葉のどれもが低俗で、男性の性欲が剥き出しだった。しかしそれは海の裡なる声で、 
彼女の気位の高さに比例するように卑猥な言葉に反応してしまうのだ。  
その証拠に海が指先を少し動かしただけで股間からはクチュクチュという音がしてくる。 
白ビキニの中の手は股の付け根で何かを擦るように忙しく上下に揺れていた。 
 
海の膝上まである純白のロングブーツの膝が小刻みに震える。 
海の快感と共振するようにトイレの床にロングブーツの踵が堅くコツコツと鳴った。  
(気持ちよすぎて……も、もう立ってられない!)  
海はぐったりしたように洋式トイレの便座にしゃがみこみ、息を荒げて下着のような白ビキニとショー 
ツを一気に太股までずり下げる。股間のスリットはぴったりと閉じており、美少女の禁断の果実から洩 
れる蜜液にしっとりと濡れていた。  
他の誰にも見せたことがないであろう、その一本の縦筋を海は息を弾ませながら大胆に押し開く。  
くちゅり、と粘つく蜜の音が個室トイレの中でした。 
海はその音を聞きながら、自分の淫らな昂揚を感じずにはいられない。  
”超”の付くお嬢様学校に通い、優雅な金持ちの家で育ち、趣味は貴族の嗜みと言われるフェンシング 
という彼女に、今の状況は相応しくなかった。  
しかし、その生活環境とはかけ離れた場だからこそ海の身体は強い快感を得ている。  
普段では絶対に着ることがないレースクィーンという露出度の高い衣装を纏い、×学生という未発達な身 
体に性的な興奮を感じる大人の男達の目の前に立ちデジカメを向けられた時の身体を貫くような甘い痺れ。 
そんな日常から逸脱したシチュエーションに海の心は不慣れでありながら、身体は驚くほど敏感に反応していた。  
そして、白昼夢のような海の妄想は際限がなくなっていく。  
――妄想の中の痴漢は海の下着を脱がして縦筋をニヤニヤと眺め、無骨な指先で小粒な秘芯に触れてきた。 
身をよじって抗いながらも下劣な痴漢の指先――海のしなやかな指先はその秘芯いじりにいそしむ。  
「はッ……ン……!」  
先ほどの撮影会のためピンクのルージュを引いた海の口から喘ぎが洩れる。 
海の小さな舌が何度かなめかしく唇を拭い、ツヤツヤとした光沢が宿ってさらに色っぽく輝いた。  
海は瞳を潤ませて堅くなってきた肉芽を中指と人差し指で擦り、便座の後ろにある貯水タンクに背中を 
もたれさせる。  
快感はピークに達しつつある。海の指が今までとは違う早いものになり、頬だけでなく耳までも赤みが 
差していた。  
 
軽く奥歯を噛みながら荒い息づかいを海は押し殺す。  
眉を寄せて苦痛と快楽を同時に扇情的な海の表情は、×学生とは思えないほどに艶やかだった。  
「ふぁ……ぁ……ン……」  
海は左手を小さく握り口元に当て、右手の指先は一心不乱に汚れのない花弁をなぞっていく。 
どうやら海の妄想の中の痴漢は、×学生の熟れていない股間のスリットに異常な執着心があるようだ。  
『や、やめて……やめてッ!……この変態!』  
長い髪を振り乱して海は声にならない声を上げる。気の強い海の言葉に妄想の痴漢はさらに指の動きを早めた。  
痴漢の指先が何度も上下に海の秘芯を往復して、その通り道は淫らな蜜でヌルヌルになっている。  
(ダメッ!もう……限界……ッ!!)  
妄想の中の痴漢が三度ほど堅くしこった股間の肉粒を摘んだのに合わせ、海の身体はビクンビクンと大 
きくのけぞった。  
今まで耐えていた快感が堰を切って全身へと一気に浸透していく。  
「イ……イクぅッ!あッ……ああぁ〜!ぅうう……ッ!!」  
海は悦楽の声を上げながら、貯水タンクにあるレバーを引いてトイレの水を流す。  
彼女の絶頂に達した声は個室トイレの水洗音とともにかき消される。  
しかし、海の弾むような息づかいまでは消せなかった。  
洋式便器の上で絶頂を迎え、はしたなく大股を開いているレースクィーン衣装の海。  
股ぐらからは美少女の蜜液が滴り落ち、便器の中にその雫がポタポタと落ちていく。  
海は切れ長の美しい瞳の視線を宙に漂わせ、絶頂に溺れるように悩ましげな桃色の吐息をもらした。  
 
「海ちゃん、大丈夫だったかね?友人の娘さんに何かあったら、わたしも面子が立たない」  
さきほど声を掛けてきた車会社の社長は海を心配そうに見た。  
海の顔はトイレに行く前よりも少し赤くなっているがそれ以外に変化は見あたらない。  
「ええ、大丈夫です。それよりも、あの……お願いがあるんですけど。 
社長さんの会社ってレースとかそういうのも出てますよね?」  
海は俯き加減で社長に言った。  
「ウチの社はこう見えてもレースではいつも上位に入っているんだよ」  
「じゃあ、ギャラリーとかもこの自動車ショウなんかよりも多く来るんですか?」  
「ああ、たくさん来るよ。もっとも海ちゃんみたいな可愛いレースクィーン衣装の娘目当てのカメラ小 
僧も多いがね」  
社長は冗談めかしてカメラを撮る仕草を真似た。  
「…………ほ、本物のレースクィーンとかって×学生でも大丈夫なんでしょうか?」  
社長はちょっと考えて、海の言葉の意味を探った。  
「おお、そうか!海ちゃんから言ってくるとはな! 
実は君の父さんにもレースクィンについて交渉しておったところでな」  
海にとってレースクィーンという職業はうってつけの物だった。露出度の高い衣装を着て、 
さらには多くの男性にカメラを向けて貰える。  
そういった快感があるのを知ったのはつい一時間ほど前だが、 
すでに海は人前に出てカメラを向けられる虜となっていた。  
「丁度ここにあるポスターのように、現地では海ちゃんにこういった衣装を着てもらうことになる」  
ブースの壁に掛けられているポスターには、セーラー服のような上半身ときわどい角度のハイレグ水着 
の下半身という、アンバランスな衣装を着た女性がサーキットのピットで微笑んでいた。  
海はポスターを見つめながら、みるみる顔が上気していく。  
(こんなエッチな衣装で大勢の人にカメラを向けられたら……わたし……)  
海は欲望の眼差しを向けるカメラマン達の中心に立つ自分を想像して、 
股間がじっとりと熱くなってくるのを感じていた。  
 

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