「 はぁ…… 」  
切ないため息がこぼれる。風の心は大いに混乱していた。その理由は、いま自分が身体を預けている人  
 ……どうして?……どうして、こんなことになったんでしょう?…………  
風は人間不信というわけではないが、光のように無条件で人を信じられるほどには、無邪気でもない。  
どちらかといえば疑い深いほうだ。どうしても人をどこかで試してしまう。それなのに、いまこうして 
なんの迷いもなく、ついさっき会ったばかりの、友人の兄によりそっている。  
チラリッと自分を悩ます人物を見上げると、むこうもなにやら悩んでいるようだ。  
「 うぅ〜〜ん 鳳凰寺さん…… 」  
「 はい……… 」  
 なんと言われるんだろう…。男は出してしまうと、女に興味を失くすと聞いたことがある。不安な気 
持ちで翔の次の言葉に身構える。  
「 あぁ〜〜 パンッ、下着は‥大丈夫? 」  
「 ………え!? 」  
 身構えていた風は、完全に肩透かしをくらったかたちだった。下着は確かに濡れていて気持ち悪い、 
それを心配してくれるのは嬉しい。だが、自分が人のことで悩んでいるとき、隣は下着のことで悩んでいた。  
「 くッ…くッくッくッ………あはははははは……… 」  
なんだか自分の悩みなどどうでもよくなってきた。なるようになれと云う心境だ。  
「 な、なに どうしたの? 」  
「 なんでもありません! 下着のほうは‥先ほど買ったのがありますから 」  
「 あぁ そうなんだ。あせったよ、そのままてわけにもいかないし、ノーパンは…… 」  
 言いかけたとき…  “ギュッ” またつねられた。   
「 女性に対して、そういうことを言ってはいけません。 」   
 その視線は厳しいが、母親のような慈愛に満ちていた。翔の胸の中で怯えていた女の子はもういない。  
 
「 ……………………… 」  
「 どうしました? 」  
「 いや なんでも… 」  
「 そうですか。 …けっこう時間がたったようなので、そろそろ戻りましょうか。」   
 来たときと同じように翔の手を取る。  
「 あ 」  
「 なに 」  
「 そういえば、飲み物をまだご馳走してもらってません。」  
「 く、喰えないね 」  
「 おいしく頂かれては困って……… 」  
「 ……………………… 」  
「 ……………………… 」  
 なにげない会話だが、聞き方によってはアダルトな会話に聞こえなくもない。二人は顔を赤くし無言 
で歩き始めた。  
 
 下着を変えるためトイレに行く風と別れ、翔は一人で売り場まで戻ってくると、入り口では光と海が 
買い物を終えたのか待っていた。  
「 光! もう買い物はすんだか? 」  
 光が大事そうに抱えるバックを見ながら話しかける。その姿はおもちゃを買ってもらった子供のようだ。 
そんな可愛い光に親バカのように顔がにやけつつも、バックの中身が気になる。『どんなのを買ったんだ』 
と聞きたいところだが、光も女の子、それはグッと我慢した。それに……  
「 なによ…… 」  
「 べつに…… 」  
 海のまえでそんなことを言えば、魔法のビンタの集中砲火だ。  
「 男だったらはっきり言いなさいよ! 」  
 はっきり言ったら海が怒るのは目に見えてる。男だからはっきり言えないのだ。  
「 海ちゃん かわいいなぁ〜て、思ってさぁ… 」  
「 な゛!? 」  
 その場をごまかす為に言った翔の一言は、えらく海の心を乱したようだ。わかりやすく取り乱す。  
「 な、ななななななに言って 」  
 あわてる海に、光の天真爛漫、無邪気口撃が炸裂した。   
「 海ちゃん 照れてるの、どもってるよ 」  
「 どもってない!! 」  
 反射的に容赦ないツッコミをする海、シュンッとなる光。  
「 ああ、ごめん光 あんたがへんな事言うからよ! 」  
「 でも海ちゃん、本当にかわいいよ 」  
「 もうそれは、いいの!! 」  
「 でも、海ちゃん 」  
「 し、下の名前でよばないでよ… 」  
 顔を赤くして言っても、かわいさが増すだけで全然怖くなかった。  
 
「 あらあら、ずいぶん楽しそうですね 」  
 下着を履き替えた風が、わざわざ翔とは違う方向からやって来た。芸が細かい。  
「 楽しくない!! 」  
 さすがは三人娘のオピニオンリーダー。海のツッコミもどこふくかぜ、余裕で受け流し光のあたまを撫でる。  
「 海さんも大きな声を出してばかりで、お腹がへったでしょ? なにか食べにいきませんか 」  
 海がすねたように風を睨む。  
「 わたしは食べてるときはおとなしいて思ったんでしょう 」  
「 い〜え でも、おいしいものを食べてるときに怒ってる人はいませんわ 」  
 よく考えれば、やっぱり食い物与えておけばおとなしいってことだよな〜、喉まで出掛かった言葉を 
翔はなんとか押さえ込んだ。今日の格言 沈黙は美徳。  
はあ〜〜〜 長いため息を一つつくと海はトボトボと歩き出した。  
「 海さん どちらへ? 」  
「 ごはん食べるんでしょ、この上のレストランでバイキングがやってたはず… 」  
「 それは、いいですね。光さんもそれでいいですよね 」  
「 うん、いっぱい食べるよ 」  
 風の手際に感心しつつ、翔が呟く。シメの一言。  
「 ま、とりあえず一件落着かな? 」  
 海はその呟きが聞こえたのか、クルッと振り向き一言。  
「 あんたのオゴリだからね! 」  
 オチをつけてくれた。   
 
 甘い香りが鼻孔をくすぐる。食後のホッとする時間。のはず……  
すでに飲んだ紅茶は4杯目、いや5杯目か? となりも同じぐらいの量を飲んでるはずだ。 
紅茶はうまいし、健康にもいい。でもどうせ飲むなら楽しく飲みたい。  
バイキングは一人1500円、女性料金800円。高校生のサイフには痛かったが、食事は光とその友 
達に囲まれ、すごく楽しかった。光と風がデザートを取りに席を立つまでは……  
「 ……………… 」  
「 ……………… 」  
 無言。さっきからずっとこんな感じだ。楽しい食後の会話をするべく、努力はした。  
「 りゅ、龍咲さん 」  
「 なに… 」  
「 龍咲さんは、デザート取りに行かないの? 」  
「 わたし、甘いもの嫌いだから 」  
「 そ、そう… 」  
「 ……………… 」  
 女慣れしていれば、ここから会話を広げるのだが、翔には無理。ましてや海は拒絶のオーラを放っている。  
そこに踏み込むだけの勇気はなく、“ 忍耐 ” 自分に言い聞かせながら、ひたすら杯を重ねた。  
「 あの 」  
 翔が一人、心の中で我慢大会を開催していると、めずらしく海のほうから話かけてきた。 
このチャンスを逃してなるものかと思った翔は背一杯の笑顔を返す。  
「 な、なに 」  
「 あの……………ね 」  
 言い出しずらいことがなにかあるのか、でも言わなくてはならない事がなにかあるのか、海は心の中 
の言葉を苦労して吐き出した。  
 
「 わたし……ずっと、あなたにあやまりたかったの 」  
「 あやまる? 」  
 あやまる事はあっても、あやまられる事に心当たりはない。怪訝な顔で海に聞き返す事しかできない。  
「 最初あなたにあったとき、わたしあなたがどれほど光を大切に思ってるのかわからなくて、 
ぜんぜん真剣にあなたの話聞かなくて……すごく、やな子だった……… 」  
 どうやら先ほどからの無愛想な態度は、拒絶ではなく逡巡だったようだ。 
ホッと安心はしたがそこまで思いつめて考えていたとは……  
「 最初は、あなたのこと変態にしか見えなくて、あんなに光のこと思ってるてわからなくて…… 」  
 “変態”そこが多少引っかかるが、海の真摯な心は伝わってくる。  
「 ………ごめんなさい 」  
 スゥッ なんの気負いもなく、なんの邪念もなく、海の手に自分の手を重ねる。  
「 あ…ちょっと… 」  
 驚いたように、あわてて翔の手を払いのけようとする。  
「 だれでもいきなり、知らない男が可愛い光に抱きついているのを見れば、きみみたいに思うよ 」  
 にっこり 安心させるように微笑む。払いのけようとした手が止まり、翔の顔を不思議な物を見るよ 
うにまじまじと見る。海には珍獣に見えたかも知れないが、手を重ね見つめあう“男と女”、誰がどう 
見ても恋人同士にしか見えない。  
 「 あ…… 」  
 海がなにか言いかけたとき、翔は炎の矢の如く重ねていた手を引っ込める。 
光と風がデザートてんこ盛りで帰って来た。  
邪念がなかったはずなのに、その姿は浮気現場を押さえられた二股男。なにごともなかったように、紅 
茶を飲もうとするが、勢い込んでむせこむ。その姿がおもしろかったのか、海にも笑顔が戻る。  
重ねられていた手を胸元に抱き寄せ。  
「 ……ありがとう…… 」  
 その声は小さかったが、たしかに聞こえた。  
 
 海との距離が少しだが縮まったせいか、会話は先程より弾んだ。海の目を見てしゃべれる。 
気のせいか風としゃべっているとき、視線が鋭いような気がするが…  
デザートが光と風の口の中に消えていく、甘いものはどこからきてどこにいくんだろう…そんな哲学的 
な事を考えていると、 “ガタッ” 突然、海が立ち上がる。  
「 どうしたの? 海ちゃん 」  
 楽しい食事の間に立ち上がった海に、光が不思議そうに聞いてくる。  
「 ん、ちょっとね 」  
 翔には海の“ちょっと”に心当りがあった。紅茶には利尿作用がある。5杯も6杯も飲んでいれば、 
トイレにも行きたくなるだろう。  
「 あ、おれも… 」  
 言った瞬間、海がちょっといやな顔をする。今、なにを考えているかまでは読めたが、またしても女 
の子に対する配慮が足りなかったようだ。“じゃあ、お先にどうぞ”と言うわけにもいかず…  
「 ほんとに、もう 」  
 海の後を少し遅れて歩き出す。トイレは店の外ににあり、十字路に向かって男は右、女は左である。 
海が左に曲がったのを見て、翔も右の男子トイレに入る。すぐに用を足し、さあ出ようかというとき…  
 “バンッ” いきなり扉が開けられ、海がズカズカと入ってくる。“ここ、男子トイレだよな〜” 
そんな事を考えてると、“ガシッ”いきなり海に腕をつかまれた。  
「 見張ってて 」  
「 は? 」  
「 誰も入ってこないように、見張ってて!! 」  
 それだけ言うと、個室のドアを閉めようとする。そのとき、“カチャッ” 誰かが入ってきた。  
あせった海は腕をつかんでいた翔ごと、 “バンッ” 個室に飛び込む。  
「 ふぅ〜 」  
「 ……… 」  
 海は一つため息をつくと小声で…  
「 なんでここにいんのよ? 」  
 理不尽な事を言った。   
 
 “ここはどこ?” 男子トイレ “目の前にいるのは?” 女の子   
翔はあたまの中で自問自答したが、導き出される答えは、状況が異状だということだ。  
「 どうしたの? 場所まちがえた? 」  
「 そんなわけないでしょ! 女子トイレが清掃中だったの!! まったく、どうして私がこんなめに 」 
 洋式トイレに座り込み、ぶつぶつと小声で海が状況説明と愚痴を言う。すぐに出て行くと思った男は 
二人連れで、そのままどうでもいい話をしゃべりこみだした。  
「 男のくせに、長話しないでよ! 」  
 そうとう苛立っているようだ。膝に置いた指が小刻みにリズムをとる。  
『 そいでさぁ〜 』  
「 ………くッ… 」  
 外の会話は、まだまだ終わりそうにない。海のとるリズムがますます早くなり、眉間にはシワが寄っている。  
「 …もしかしてさぁ… 」  
「 …なにッ 」  
「 オシッコしたいの? 」  
 “オシッコ”その単語が耳に入った瞬間。 “カアッ” 海の頬が朱に染まる。  
「 な゛ だからデリカシーがないて言うのよ! 」  
「 しぃッ 」  
 恥ずかしさの為か、少し声の大きくなった海の口元を手の平でふさぐ。海が睨んでくるが、それは無視。  
外の気配を窺うが、おしゃべり達は気付かなかったようだ。口元から手を離す。  
「 プハァッ なにすんッ‥んッ‥ 」  
 リズムをとっていた指がスカートを握り締める。指の代わりに身体中がでたらめなリズムをとりだした。  
歯をくいしばり、目元にはうっすらと涙を浮かべている。  
緊張の糸が切れたためか、それとも限界がきたのか、海はすでに抜き差しならないところまできていた。  
 
『 ちげ〜〜よ! ばか!! 』  
「 うぅッ…… 」  
 海の窮地を嘲笑うかのように、男達の会話は盛り上がる。翔もそんな海を見ながら盛り上がってきた。  
気の強いお嬢様然とした海が、なにかに耐える(オシッコだが…)姿に、まずいとは思いつつも密かに 
興奮してしまう。  
…俺の馬鹿・俺の馬鹿・俺の馬鹿・俺の馬鹿・俺の馬鹿・俺の馬鹿・俺の馬鹿・俺の馬鹿・俺の馬鹿…………  
心の中で己を叱責するが、目の前の美少女を見ると…  
「 ふぅッ…… 」  
 屋上での風との行為がオーバーラップして、喘ぐのを堪えているように見えてしまう。 
それを振り払う為、目を逸らし、興味のないことを考えようとするが、無駄な努力だった。 
二十秒、いや十秒後には興味のあるものを見ていた。  
翔の興味を一身に受ける美少女は顔を伏せ、オジギをするような格好をしている。覗くうなじが艶めかしい。  
「 むこうを…向いて… 」  
「 うん? 」  
「 耳をふさいで…おねがい… 」  
 あの気の強い海がお願いしてくるとは、よっぽど切羽詰っているんだろう。海の“ゆずれない願い” 
を叶えるため、なにも言わずに後ろを向いた。  
後ろを向き耳をふさぐのとほぼ同時に衣擦れの音、そしてトイレの水を流す音が聞こえる。そう“聞こえる”。  
海の願いを聞き入れ後ろを向き耳をふさぎ、ご丁寧に目までつぶったが、それによって翔の五感は皮肉 
にも研ぎ澄まされた。  
トイレの水洗の音に隠れるように小さく、しかし勢いのいい音が聞こえる。よっぽどたまってたんだろ 
う、ずいぶんと量が多い。このままではトイレの水洗が終わって、音がまる聞こえになってしまう。 
人事ながらハラハラする。そんな翔の心配をよそに計ったようにトイレと海の協奏曲は終わりを告げた。  
いつのまにか外のおしゃべり達の気配も消え静寂が戻っている。それを破ったのは……  
 
「 うぅッ…グスッ…スンッ……うぅッ……… 」  
「 ええッ〜〜? 」  
 静寂の戻ったトイレで最初に翔の耳が拾った音は押し殺した泣き声だった。予想外の海の泣き声に思 
わず振り返る。海はまだショーツもストッキングも上げておらず、女の子の部分はぎりぎりスカートで 
隠れているだけだ。  
「 うおぅ!? 」  
 驚き後ろをむこうとするが、顔を手で覆い泣いている海をほっておくわけにもいかない。 
なるべく下を見ないようにして海に泣いてる理由を聞いてみる。  
「 ど、どうしたの? 」  
 できるだけ優しく刺激しないように聞いてみるが、泣いている女の子が得意な男はいないだろう。 
少し腰が引けている。  
「 うぅッ…どうして…男の前でこんな……グスッ…はずかしいこと……… 」  
 要約するとオシッコするとき近くにいられて恥ずかしい。それはそうだろう年頃の女の子がこれで恥 
ずかしくなかったら、かなり特殊な性癖の持ち主だ。海が泣いてしまうのもわかる。  
そうすると翔は特殊な性癖の持ち主かもしれない。泣いている女の子は苦手だが、恥ずかしそうに泣い 
ている女の子は大好きだ。胸の奥で水の龍がうるさいぐらい吼えまくった。  
 スゥッ 手を重ねたときのように、自然に顔を覆っていた海の手をはずす。  
「 海ちゃん 顔上げて… 」  
 恥ずかしいのか、涙に濡れた顔を見られたくないのか、“イヤイヤ”をするようにあたまを振り、な 
かなか顔を上げてくれない。  
「 海ちゃん… 」  
 再度呼びかけると、“キッ” 睨むように顔を上げる。  
「 わたしのこと、バカにしてるんでしょ!! 」  
「 してないよ… 」  
 “チュッ”キスとも呼べないような軽い唇と唇の接触。それだけで海の動きが電源を落としたように止まる。  
「 バカになんてしてないよ… 」  
 
もう一度言って、こんどは海のおでこやほっぺにもふれる。そして口唇にほんとのキス。  
海の心は“やめなさいよ! この変態!!”叫びたい気持ちと“もっとして…”言ってしまいそうにな 
る甘い声が同時に湧き上がり戸惑った。翔はまだ口唇を離してくれない。口唇からまるで力を吸い取ら 
れるような、浮遊感にも似た頼りない感覚、支えを探すように翔の手を握る。  
「 …んンッ…んうッ……あ!? 」  
 海の長くきれいな髪にもキス、口唇はそのまますべり耳にもふれる。海の背中を快楽パルスがかけ上がった。  
“ゾクッ”耳を丹念にねぶり舌を差し込まれる。嫌いな男にされたら気持ち悪いだけ、でもいまは気持ちいい。  
握っていた手が離され、寂しさに翔の顔を見ると笑って海の頬を挟みこみ口唇を求めてくる。  
「 はぁッ……んふッ………ン…… 」  
 翔の舌が、海の口の中をかきまわす。音が鳴るほど舌を吸いたてるとオズオズと海も舌をからめてくる。  
舌をからめ互いの唾を交換する大人のキスに夢中になっている海は、口唇を離すと追うように舌をのば 
してしまい顔を赤らめる。それを見て、翔はイジワルな笑みを浮かべると…  
「 みせて…… 」  
「 え…… 」  
「 海ちゃんの“女の子”みせて… 」  
「 え!?…えぇ〜〜〜! 」  
 これは翔にとっても賭けだった。女の子が自分から見せるのは相当恥ずかしい。拒絶されるかもしれない。  
一瞬の静寂…………………………どうやら、賭けに勝った。  
白くなるまで握り締められた手が、意を決したようにそろそろとスカートをたくし上げる。狙ったわけで 
はないだろうが、ゆっくりとたくし上げられるスカートが乙女の恥じらいと交じり合い、より一層扇情的だ。  
あと少しそこで手が止まってしまい上目づかいで翔を窺う。“コクッ”翔が頷くと目をつぶってめくり上げた。  
“ゴクッ”初めて見る『女の子』。風のをさわらせてはもらったが、マジマジと見るのは初めてだ。  
なだらかな恥丘はオシッコをした後拭いてなかった為か、雫が淡い恥毛に滴り光ってる。恥毛の向こうには 
興奮の為か秘裂がわずかにほころび、透明な蜜をにじませているのがこれから咲こうとする花を連想させた。  
ひざまずき顔を近づけると、オシッコの刺激臭とは違うオスを誘う匂いを放っている。 
蜜に誘われる蜂のように海の“女の子”にキスをした。  
 
 いやぁッ 」  
 あわてて腿を閉じようとするが、間にはすでに翔のあたまがある。結果として秘裂に押し付ける格好 
になってしまう。  
 「 そんなとこ…きたない…から…… 」  
 身体は言葉とは裏腹にぐいぐいと秘裂を押し付けてくる。海の期待に応えるべく秘裂にむしゃぶりついた。  
「 ひッ……あ…あ……んあッ……… 」  
 舌で舐め上げるたびに海は大きく腰を振る。スカートを握り締めていた手は切なさに耐えるように翔 
の髪の毛をかきむしる。  
「 はうぅッ……んンッ……ふぅッ…んッ……… 」  
 秘裂全体を口唇でなぞり上げ、立て続けに尖らせた舌先をぬかるみの奥に挿し入れる。  
「 ふぁッ…あッ……やンッ……あふぁ…… 」  
気の強い少女の秘裂からは、不埒な侵入者によって透明な甘い蜜が溢れ出す。翔は粘膜の狭間で舌を蠢 
かせ音をたてて蜜を啜り上げる。  
「 うぁッ……だめッ…そんな…おと…んンッ…だめッ…… 」  
 口のまわりを蜜で濡らした翔は、今度は真珠色の蕾に狙いを定めた。“ちゅうぅ〜〜”音をたてて吸い付く。  
「 あはッ! 」  
 海は白いノドを無防備にさらして仰け反った。  
吸いたてられ、舐めしゃぶられた蕾は包皮をめくられ可愛く震えている。  
「 はひッ…ひッ……あッ……あふぁッ! 」  
 ひときわ大きな快楽の波に“ブルブル”と震える海だが、その快感を送り込む翔にも震えが見える。  
「 プハァッ ハアッハアッ 」  
 海の“女の子”に顔を付けたままだった翔はさすがに苦しくなり呼吸を整える。海はそんな翔を霞の 
かかった目で見ながら、フラリと後ろに倒れそうになる。それを見た翔は慌てて立ち上がり海を支えた。  
「 あ…… 」  
 一瞬、海はなにが起こったかわからなかった。焦点が合わないまま、目の前の翔を“ぼんやり”と見る。  
 
「 ………すごく…なれてるよね……… 」  
「 は? 」  
「 誰かと…こういう事…したこと……あるの?… 」  
「 ……………… 」  
「 …あるんだ… 」  
 沈黙を『ある』と受け取ったようだ。  
「 わたしにしたようなこと………した? 」  
「 ……………… 」  
「 …したんだ… 」  
 海の瞳の中に哀しみと嫉妬の炎が灯ったのを翔は気ずかなかった。  
「 その子に…どんなこと…してもらったの? 」  
「 ……………はい? 」  
 翔には海がどうしてこんな事を聞いてくるのか真意が読めない。なにかまずい事をしたんだろうか?   
ズルイとは思ったがここも沈黙で答えることにした。  
「 ……………… 」  
「 その子より…もっとすごいこと………するよ?… 」  
「 はい!? 」   
もっと、すごいこと。風としたよりすごいこと… “ゴクッ”知らず知らず、ノドが鳴る。  
風に手でしてもらったのは気持ちよかった。あれより気持ちいことは……… あたまの中は気持ちいい 
事でいっぱいだ。  
「 …なんでもするよ? 」  
「 な、なんでも? 」  
「 言って… 」  
 少しだけ、ほんとに少しだけ迷って言った。   
「 じゃあ…く、口で…して…… 」  
 “フェラチオ”童貞の男にとってはセックスと同等あるいはそれ以上に憧れることだ。  
 
「 うん… 」  
 漠然とした知識はあるのか、緊張した面持ちで翔の“男性自身”に手をのばす。 
ズボンの上からでも興奮の度合いがわかる。  
……自分が…自分が興奮させてるんだ…… そう思うと汚いとすら感じていた“男性自身”にもさわれた。 
形と大きさ、そして硬さを確かめるようにゆっくりとまさぐる。期待に膨らむ“男性自身”は、じれった 
いふれかたに催促するようにピクピクと動く。それにせかされるようにチャックへと手をかける。  
目をつぶり、一気に引き下ろした。硬く閉じられていた瞼をおそるおそる開けると……  
「 うわぁッ!? 」  
 “ビィ〜ン” 出番を待っていた“男性自身”はトランクスを突き抜け、海を威嚇する様に睨みつけた。  
「 こ、これッ…あ、アレ…なの?… 」  
「 うん 」  
 海の言うアレと翔の言うアレは多分一緒だろう。指を指し脅えるさまはお化けでも見たような感じだ。  
最初こそ脅えていたが、大型犬のあたまを撫でるときのように、そ〜と手をのばす。亀頭の部分に海の 
指がふれる“ピリッ”とした刺激が走ったが海を驚かせないように微動だにしない。噛まないことを確 
認し、十本の指を絡めてくる。先走りの雫で指はもう濡れていた。  
顔を近付けると汗の匂いとさっきした為だろう、残尿臭が鼻腔に忍び込む。  
 …こんなところに口を付けようとする自分は変態なんだろうか?…  
 そんなことを思ったがやめる気はまったくない。  
「 ハァ〜〜 」  
 息を一つ吐き、“チュッ”先端の鈴口にキスをした。それが始まりの合図だったのかピンクの舌をの 
ばしペロリと舐めあげた。背筋を“ゾクッ”と快感が走る。海は根もとを手で押さえ、味をたしかめる 
ように目をとじて先端をほうばる。口の中にしょっぱいような苦いような不思議な味、でもまずくはない。  
「 んッ… 」  
 先端の鈴口に舌を挿し込み、亀頭をなめしゃぶる。海の舌が踊るたびに背筋を這い登る快感に打ち震えた。  
翔の反応に気をよくしたのか、さらに“男性自身”を吸い込もうとするが…  
 
「 んッ!? カハァッ ゴホッゴホッ 」  
 喉の奥にあたったのか、海は咳き込んでしまう。  
「 無理しなくていいよ? 」  
 海を気ずかう翔だが、咳き込む姿に密かに感動していた。  
「 ゴホッ へ、平気だから…続けさせて? 」  
 なにが海をそこまでかきたてるのか、翔にはわからなかったが断る理由はない。  
「 はじめてだから、うまくできなくて…ごめんね 」  
 その言葉がどれだけ男を燃えあがらせるかも知らず、海はふたたび翔のモノを咥える。  
こんどは限界をはかるようにゆっくりと口に収める。  
「 ふぅッ…んむッ…… 」  
 ギリギリまでふくんだところで一度呼吸を整え、進んだのと同じようにゆっくりとあたまを引く。  
海の口から少しずつ姿を現す“モノ”は唾液でテラテラと光りすごくやらしい。慣れてきたのか海のあ 
たまを振る速度も上がってきた。唾液と先走りの液が“じゅぷ…じゅぷ…”と淫らな音をたてる。  
「 あむッ…んンッ…んッ…ふぅンッ…… 」  
 自分で奏でる淫らな音に切なくなってたのか、舐めしゃぶりながら“女の子”をゆっくりと慰めだす。  
さっきの余韻が残っているのか、弄っているそこからはすぐに粘つく音がした。  
 ……海ちゃん、自分でしてる……  
 中学生の“オナニー”に目を奪われる。翔の位置からでは指がどう動いているのか見えなかったが、 
男性器を必死に咥え“オナニー”をする美少女、それに反応するように、さらに硬さと大きさを増す。 
油断していた海はえずきそうになってしまう。  
「 んンッ… 」  
「 海ちゃん お、おれもう… 」  
 気ずかう余裕もなく、海のあたまを押さえ絶頂が近いことを告げる。  
 
「 んッ…ンむッ…んふッ…… 」  
 あたまを押えられる苦しさ半分、髪の毛をさわられる気持ちさ半分。翔の望むままにストロークを早くする。   
「 海ちゃん…いい? 」  
「 んンッ?……んッ…むぅッ…… 」  
 翔としてはお伺いを立てたつもりだったが、海はなんのことかわからず、健気にあたまを前後させる。  
お許しが出たと判断した、翔の“男性自身”が大きくひきつき、爆ぜた。  
「 んッ!?…む―……エハァッ…ゴホッ…ゴホッ… 」  
 若さの為か、それとも食事を取ったからか、その量は二度目とは思えないほど多く、濃かった。 
半分以上は口の中に出したが、残りは顔射のようになってしまった。 
海の可愛い顔や長くきれいな髪を精液がしたたる。  
「 ハアッ…ハアッ…ハアッ…ハアッ… 」  
 荒い息を吐きながら、ずるずると尻餅をつくと、ちょうど目線は海の“女の子”の前だ。  
 
   ………この世界はほんとうに美しい……… そんなことをぼんやり考えた。  
 
 
                                    海編その一 終わり  
 

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