峻厳な空気が道場に満ちている。翔は一人その中で瞑想していた。一点の乱れもなく思考の底に沈みこむ。  
まるで徳をつむ修行僧のようだが、考えていることは煩悩全開だった。  
思春期の男をたぶらかす煩悩はいつの時代も女だ。  
それも煩悩少年を悩ます女、いや女の子は二人。妹の親友 海と風。結果としていまは二股を掛けている形だ。   
 …うぅ〜ん まずいよなぁ…やっぱり一人に絞らないと、でもどっちとも付き合ってるわけじゃないし… 
 そう二股を掛けた格好にはなったが、どちらとも付き合ってるわけじゃない。もしかしたら翔一人で勝手に盛り上がってるだけかも知れないのだ。  
それに二人ともタイプは違うがあれだけの美少女。“オシイ”と思う気持ちが心のどこかにあった。  
翔が己の心と静かだが、激しい戦いを繰り広げていると…  
「 なにか、悩みがあるのか 」  
 突然掛けられた声に驚いて目を開けると、一番上の兄 覚(さとる)が正座していた。瞑想中だったこともあるが、こんなに近くにこられるまできづかないとは、兄の実力を知っているとはいえ少しショックだった。  
「 なにか、悩みがあるんじゃないのか? 」  
 覚はまだ若いが、まるでその雰囲気は悟った仙人のようだった。  
兄だったらなにかいい案があるかもしれない。しかし正直に言えば、修行の旅に連れて行かれる恐れがある。  
それはごめんなので、遠まわしに聞いてみた。  
「 二兎を追うものは て、諺あるよねぇ 」  
「 ? 」  
 いくら勘のいい覚を警戒したとはいえ、これは遠まわし過ぎたと思ったがかまわず続けた。  
 
「 兄貴だったら、どっちの兎を追う? 」  
 兄の顔からは、なにも読み取れない。もう少しわかりやすい例えはないかとあたまを捻るが、覚からは  
ちゃんと答えが返ってきた。  
「 腹は減っているか? 」  
「 は? 」  
 なんの脈絡もなく覚はそんなことを聞いてくる。  
「 減っていないのなら、一羽に絞る。減っているのなら、全力で二羽を追う 」  
「 な、なんで? 」  
 普通は逆ではないのか? 腹が減ってるんだったら、とりあえず一羽でも喰いたい。翔が説明を求める顔をすると、  
「 空腹なのに一羽ぐらい喰ったところで、余計に腹が減るだけだ 」  
「 はあ… 」  
 わかったような、わからないような? それにこれではなんの参考にもならない。  
「 それに… 」  
「 …うん 」  
 翔は自分の聞き方を後悔していた。兄には悪いがなんの期待もしていない。  
「 両手に花とも言うしな… 」  
「 !? 」  
 不意をつかれたように覚の方を見ると、すでに立ち上がり背を向けていた。  
「 兄貴! 」  
「 二羽喰ってもいいが、一つだけ言っておく… 」  
 そう言う兄の背中は、広く大きかった。  
「 喰うのなら残さず、おいしく喰えよ… 」  
「 …兄貴 」  
 そんな兄の、去っていく背中を尊敬の眼差しで見つめるが……それでいいのか獅堂兄弟。  
 
 「 ふぅ〜〜 」  
 腹の底から息を吐く。胸のつかえがおりたような気がする。  
「 パンシロンみたいな人だなぁ 」  
 獅堂家の胃腸薬、覚に話を聞いてもらい胆はきまった。いまの翔はヤル気に満ちている。どんなヤル気かはないしょだ。  
そんなスッキリした表情で廊下を歩いていると、スッキリしない表情の光が出かけるところだ。  
「 光 どこ行くんだ? 」  
「 う、うん …ちょっと 」  
 そう言って光は逃げるように出て行く。そのとき、翔のなにかが、なにかに反応した。  
「 気になる 」  
 思ったときには、光をこっそり追いかけていた。  
 
  …どこに行くんだ…  
 愛する妹を、電柱の陰から“そっ”と盗み見る。その姿はストーカーと紙一重だ。  
そんな翔にきがつかず光は他所の中学校に入っていく。何度か来たことがあるんだろう、迷わず目的の建物を目指す。そこは弓道場だった。  
 “シュドッ” “シュドッ”  
 誰かが練習しているようだが、かなりの腕前だ。翔も一応武術家、音を聞けばわかる。  
弓道場内の草陰に身を隠し盗み見ると、正座した光の小さい背中と、袴姿も凛々しく弓を構える風がいた。   
 “シュドッ”  
 矢は見事に的のど真ん中に命中する。“はぁ〜〜”息を一つ吐き、“パチパチパチ”拍手する光に  
にっこり微笑む。  
「 すごいよ、風ちゃん! 」  
「 ありがとうございます 」  
 そう礼を言い、光の前に同じように正座する。それっきり二人は黙り込んでしまった。  
「 ………………… 」  
「 ………………… 」  
 光は風に悩みを聞いてもらおうと来たのだろうが、なかなか切り出す事ができないようだ。顔をあげては  
伏せる、その繰り返しだった。  
「 光さん 私は光さんがなにを悩んでいるのかわかりません。でも、私でチカラになれるのなら話してもらえますか 」  
 その言葉にチカラを得た光は勢いよく顔をあげ、大きな声で  
「 風ちゃんはアソコさわったりする? 」  
「 ……え!? 」  
 一度口にしてしまうと、光は堰を切ったようにしゃべりだした。  
「 わたし、わたし変なんだ。アソコをさわると“ピクッ”てして止まらなくなって、胸も寒くもないのに  
 立ってきて、つまむと“ジンジン”して… 」  
 そこまで一息でしゃべると光は恥ずかしそうに顔を伏せた。相談された風も、光のあまりにもあからさまな告白にあたまの中が真っ白になり、理解して一気に顔が真っ赤になる。  
あたまの中が真っ白になった人間はもう一人いた。妹の秘密を知ってしまった兄は少なからず動揺したのか  
“カサッ”わずかだが音を立ててしまう。一瞬、風と目があったような?  
 
「 わたし、病気なのかなぁ 」  
 風は光が本気で言ってるのかと窺うが、光がこんな嘘をつくとも思えない。光はなにも言ってくれない風に不安になったのか、  
「 やっぱりそうなんだ… 」  
 もう涙目だ。小さな肩が震えている。  
「 おかしなことじゃありません わ、わたしも…しますよ 」  
 自分を頼ってくれた光にだけ、恥ずかしい思いはさせられない。真っ赤な顔で風も恥ずかしい告白をする。  
隠れている翔にも女の子同士の恥ずかしい告白は聞こえ、股間の“男”をうずかせた。  
「 風ちゃんもするの どれくらい 」  
「 ……え!? 」  
 風が必死の思いで羞恥心の壁を乗り越えたのに、光はさらに高い壁を用意していた。  
「 わたしは…三回 風ちゃんは? 」  
 自分が言えば風が答えてくれると思っているのか、餌を待つ雛鳥のような目を向けてくる。  
「 わ、わたしは……………四回…です 」  
 馬鹿正直に答える必要はないのだが、顔を伏せ小さな声で答える。いまは光よりも小さく見える。  
「 ふぅ〜〜ん わたしよりも多いんだ 」  
 光には他意はないが、風には自分よりヤラシイと言われてる気がした。草陰をチラチラと窺う。  
「 それは、多いの少ないの? 」  
「 比べた事…ありませんから… 」  
 その答えに首を捻る光。風はまた恥ずかしい質問をされないかとハラハラした。  
「 うぅ〜〜ん 風ちゃんと一緒だからいいか 」  
 納得してくれたようで胸を撫で下ろす。まるで子供に『赤ちゃんはどうやって生まれるの?』そう聞かれた親の心境だ。  
「 光さん 今日の事は、人に言ってはダメですよ。自然な生理現象ですが、その… 」  
 生理現象と言われたとき、光の肩が“ぴくりっ”と動く。  
「 う、うん 誰にも言わないよ。風ちゃんとわたしだけの秘密 」  
「 ええ 二人だけの…… 」  
 草陰をチラッと見て、  
「 秘密ですね 」  
「 うん! 」  
 自分だけじゃないと安心したのか、元気よく答える。  
 
「 ふふふ それじゃあ、光さん わたしはもう少し練習していきますので… 」  
「 わかった! 今日はありがとう 練習がんばってね! 」  
小さいが元気がたくさん詰まってる背中を見えなくなるまで見送ると笑みを消し、ゆっくりと弓矢を構える。  
その姿は凛々しく、さっきはなかった色気を感じさせた。  
“カツンッ” 放たれた矢は大きく的をはずれてしまう。続けて第二射“カツンッ”これも大きくはずれる。  
「 ふぅ〜〜 」  
 ほんのり頬を染め弓を下ろす。吐く息は甘い吐息だ。  
「 だめですね… まったく集中できません 」  
 そう言って草陰を見る。  
「 出てきてもいいですよ 」  
 “ガサッ”観念したように翔が姿を見せる。すまなそうにしているが、目は爛々と輝いていた。風の前で  
正座をしてあやまる。  
「 ごめん 光が心配でついて来たんだけど、聞く気はなかった 」  
「 別に怒ってません。 ……どこまで、聞こえました 」  
 風も正座をして、潤んだ目で“チラッ”と翔の股間を見る。そこを見れば、どこまで聞かれたかは一目瞭然。  
“男性自身”を見て、“ゴクッ”思わず唾を飲み込む。そんな自分に驚き、あわてて眼を逸らす。  
翔も、風の目線がどこを見ていたかわかっていた。なにをして欲しいかも、風以上にわかっていた。  
「 …あ 」  
 肩膝ついて風ににじり寄る。襟元を強引に割り開き、窮屈な弓道着から豊かなバストを解放してやる。  
“ふぅるん”とこぼれた二つの果実は透けるように白く、食欲をそそられた。  
右手をゆっくり伸ばす、屋上のときと同じシュチュエーションだ。果実にふれても抵抗はしない。潤んだ目で見つめるだけだ。乳房のまろみを味わい、柔らかさを堪能していると、風が“ピクリッ”とその身を震わせる。  
乳首はすでに、硬くしこっていた。  
なでるように手を這わせ、包みこむように乳肉を揉みこみ、指先で硬くとがった乳首を転がす。  
風はもう、緩やかに肩を上下させはじめていた。  
 
「 ああ… んッ…んふッ… 」  
 目を閉じ、快感に身をゆだねる風に顔を“そっ”と近付け、乳首を口に含む。  
「 あンッ 」  
 敏感な部位を不意に襲った感触に、反射的に翔のあたまを抱きかかえる。それはミルクを与える親の姿に  
見えるが、赤ん坊のほうが年上だ。出るはずの無いミルクを求めるように強く吸う。  
「 ふぁッ 」  
 強力な吸引に乳首が引っ張られ、痛いような、切ないような感覚が広がっていく。  
“ちゅぽん”音を立てて乳首が解放されると、風は糸が切れた人形のように翔の肩に崩れ落ちた。  
「 ハァッハァッ 」  
 翔は自分の腕の中で息を荒くする風を満足そうに見ると、ゆっくりと優しく押し倒す。  
白い肌はうっすらと紅潮し、胸の谷間を汗がしたたるのが色っぽい。中途半端に脱がされた着衣がまるで  
犯しているような錯覚をさせた。  
舌を這わせ、流れる汗をすくいとる。首筋、胸の谷間、乳首、そして脇の下まで舐め上げる。舌がふれるたびに風は健気に反応をよこして返す。  
翔の手がついに袴を脱がしにかかる。帯が解かれるのを、乳舐めによりグッタリした風はただ見ていた。  
いよいよ袴を下ろそうとするが、お尻が引っかかってしまう。  
風に協力してもらいたいが、軽くイッテしまったのかピクリッとも動かない。仕方なく身体を裏返し桃の皮を剥くようにお尻を露わにする。  
皮を剥かれた桃は白く大きく、少女の幼さの中に大人の色気を感じさせた。桃の割れ目からはすでに果汁が  
したたり、獣のようなはしたない格好でお尻を突き出す姿は、まるで誘ってるようだ。  
“ユラユラ”と揺れる桃に指を這わし、撫で回す、強く揉みこむと指をはじき返してくる。  
“ぐにゅう”尻タブを広げると少し濃い恥毛に隠された“女の子”もお尻のすぼまりも丸見えだった。  
ぱっくり開いた“女の子”からはどっと果汁が溢れ出し、道場の床に水溜りをつくる。桃の匂いは一層強くなりたまらずかぶりついた。  
 
「 ひッ 」  
 半分アッチの世界にいっていた風は、新たな刺激に引き戻される。眼鏡がずれ落ちてるのも構わず後ろを  
振り向くと、翔のあたまがありえないところにある。  
翔の舌は“女の子”の花びらから、蕾、果汁をしたたらせる花弁の奥まで丁寧に舌で舐め上げる。  
「 あッ……やンッ……あふぁ…… 」  
 “ちゅぷちゅぷ”はしたない音を立て、熱心に舐め上げる翔の舌は慎ましいすぼまりにも這わされる。  
「 いやぁ…いやぁ… 」  
 これは本当にいやらしく、激しく抵抗した。大人しく引き下がった翔は邪魔な上着を剥ぎ取り、ご機嫌を  
窺うため、犬のようにのしかかり背中にも舌を這わす。  
「 ンあッ……はぁッ……んンッ…… 」  
 オナニーでは絶対に見つけられない性感帯。そこを責められなにかに堪えるように唇を噛むが、身体の震えが興奮の度合いを教えてくれた。  
翔のマーキングは背中を上がり、首筋から耳に達する。耳たぶを噛み、舌を挿し込む。口唇にも欲しいのか、甘えるように突き出してくる。  
「 んッ…む…ハァッ…ハァ… 」  
「 ねぇ 鳳凰寺さん いい?… 」  
 ……いい?……いいて……なにを?…… 胸を揉まれながら、霞がかかったあたまでぼんやり考える。  
 股間をなにかで“ツンツン”され、その度に電気が走り考えがまとまらない。  
“こっくん”まとまらないうちに頷いていた。  
 
 その返事に、いつの間に脱いだのか“男性自身”を取り出していた翔は狙いを定める。  
“くちッ”入り口を確かめるようにすりつける。“初めてのときは痛い”そのぐらいは知っているが若い性欲に憑りつかれた翔には、そこまで思う余裕がなかった。一気に腰を進める。  
「 ッ!? 」  
 突然の鋭い痛みに風の喉から声にならない声が出る。  
「 ぐぅッ! 」  
 いくら濡れてるとはいえ処女が膣の中まで濡れるわけがない。翔の“男”は風の秘肉をムリヤリ蹂躙する。  
いままで経験したことのない痛みに、風は歯をくいしばる事しかできない。  
「 ちょ、ちょと鳳凰寺さん 平気? 」  
 風の様子に心配になった翔は声をかけるが平気なわけがない。  
“女の子”からは血を流し、身体は快感ではなく痛みに震えている。その様子に翔が“男”を抜こうとすると  
「 だ、大丈夫…ですから…続けて…… 」  
 搾り出すように声を出す風。それがまた翔を心配させる。  
「 全然大丈夫に見えないよ! 」  
 その言葉に風の口ではなく、“女の子”が反論した。“キュッ キュッ”続けてくださいと言っているように“男”をプリプリとした膣壁で締めあげてくる。  
 
「 大丈夫ですから… 」  
 そう言って健気に笑おうとするが、その笑顔は痛々しい。少しでも早く風を楽にしてやるには翔がイクしかないだろう。そうしないと風が納得しそうにない。  
「 じゃあ なるべく早く終わらせるけど、無理だったら言ってね 」  
「 …はい… 」  
 風に負担をかけないようきずかいながら律動を再開する。つらくないようゆっくり動いていた翔だが、  
腰は勝手にドンドン早くなる。  
翔の腰が深く送りこまれるたびに、風は顔をしかめ、口の中で声をかみ殺す。  
「 ごめんね… ごめんね… 」  
 エラク情けない声をだしながら、翔は自分勝手に階段を上っていく。  
「 くッ… 」  
 震える腰をギリギリで“女の子”から引き抜き、溜まっていた精を白い背中に放った。  
風は熱い精を背中に感じ、終わったのかと後ろを向くと、荒い息を整えてる翔と、満足したようにダラリと  
垂れ下がる“男性自身”。  
 
       ………よかった…喜んでくれて………… 風も満足したように瞼を閉じた。  
 
 
                                      風編その二 終わり  
 

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