「だからせめておまえは・・・笑ってくれ。
俺がおまえのことを思い出すとき、いつも笑顔なように・・・」
「フェリオさん・・・」
風の瞳が涙で大きく揺れる。
「フェリオでいい」
「・・・フェリオ」
フェリオが風の手を取った。指先が少し冷たい。
フェリオは風の手を自分の手のひらで包み込んだ。
二人の手の中で、エメロード姫から託されたリングが熱を帯びる。
沈黙の森での別れのときのように、フェリオが風の手に口付ける。
そして、風の耳元で囁いた。
「眠れないなら、俺の部屋にこないか」
断ることはできたはずだった。
自分が部屋に戻らなければ、光や海が心配するかもしれない。
そんな思いもよぎったが、風は首を縦に振ることしかできなかった。
シンプルな広い部屋。王子の部屋だとはとても思えない。
「フウ・・・」
フェリオの手が風の肩に添えられた。
風の体はフェリオの方へ引き寄せられ、二人の唇が触れ合う。
リングを握る風の手が汗ばんできた。
フェリオは風の固く握られた手を開き、その中で輝くリングを、風の薬指にはめた。
「フェリオ・・・!」
今度は風の方から、フェリオの唇を求めた。
フェリオが風を抱きしめ、次第に舌が絡み合う。
いつの間にか、肩にかけていたブレザーが床に落ちている。
二人の体がベッドに沈んだ。
「いいのか・・・」
風は一瞬の間を置き、そして微笑んだ。
フェリオが風の眼鏡をそっと外す。大きな瞳はゆらゆらと潤んでいた。
ブラウスのボタンを一つ一つ丁寧に外していく。
白いブラジャーに包まれた、大きな胸があらわになった。
ブラウスの袖を風の腕から抜き取りながら、フェリオは風の胸に手を添える。
早く力強い鼓動と、柔らかい感触がする。
そういえばモコナはこんな感触だったかもしれない。
ブラジャーのホックが外され、締め付けられていた胸が飛び出すように揺れた。
手に吸い付くようなその感触を楽しむように、風の胸を揉みしだく。
「・・・あ・・ん・・・っあ」
自然と風の息が荒く、早くなり、甘い声が漏れる。
「あぁん!」
フェリオの唇が胸の突起に吸い付くと、その声はさらに高くなった。
フェリオは胸への愛撫を続けながら、風のスカートのホックを外し、下着と共に抜き去る。
風が身に着けているものは、薬指のリングだけになった。
「フウ、綺麗だ」
「あ、あまり見ないでください・・・」
固く目を閉じてもフェリオの視線を感じ、一糸纏わぬ風の白い肌が、ピンク色に染まる。
そして、フェリオの指がすでに濡れている秘部へと伸びた。
フェリオの指がかき回すように動くと、水音が弾けるように響く。
「っあ・・・ぁあ、ん・・・あ・・・」
「フウ、愛してる」
愛しいその声の主が、風の中心を貫いた。
「あぅっ・・ん・・」
体には激痛が走るが、心は満たされているのが分かる。
痛みで頭が少し冴えると、自分がフェリオの首に腕を回していたことに気が付いた。
「私も、愛しています・・・」
そう呟いた後、風の意識はゆっくりと沈んでいった。
眠ってしまったのか、痛みで気を失ったのか、イってしまったのか、風の記憶は定かではない。
しかし、繋がれた手と、そこに輝くリングが語る二人の絆は、確かに固く結ばれている・・・。