「やれやれ。」
…なんで、こんな事になったのだろう。
黒い無造作な髪に丹精な顔立ち、そしてはだけた胸元。
10年後のランボーの上には、はちきれんばかりのミニスカを履いた女性が馬乗りになっていた。
とても綺麗な顔立ちだ。長い髪、大きな胸。体のシルエットが丸分かりの、ピチッとした赤いTシャツ。紅い唇をきゅっと結んで、嫌悪の混じった目でランボーを見下ろしている。
やわらかな太ももの感触が、服伝いにランボーの腰を押さえつけた。
「あの…」
「何?」
「あなたは何で、俺の上に乗っているんですか?」
なんとマヌケな質問だろう。
「は?」
「いや、俺、呼び出される前の記憶がないんで…」
たまに子供のランボーにこの時代に呼び出される事はあるが、いつもその前後の記憶がない。今回も大方、小ランボに大砲で呼び出されたんだろう。
気づいたら、知らない部屋でこの体勢でいたのだ。
「あぁ…」
彼女は前かがみになり、ランボーに顔を近づける。
「!?」
栗色の長い髪がランボーの顔をふわりとかすめる。甘い、蜂蜜の香りがした。
慌てるランボー。体をよじって逃げようとするが、太ももと腕でがっしりと押さえつけられ動けない。
鼻と鼻がくっつくかと思うほどの距離まで近づくと、ビアンカは低い声で小さく囁いた。
「…そんな事はどうでもいいのよ。」
「は?」
「…やりたいの。」
「…はぁ!!??」
ランボーは一度、彼女に出会った事がある。
その時は、わけが分からないままに追い回され、挙句の果てに死にたくなるほど不味い料理を無理やり食べさせられた。
そして今回は、会うなりに「やりたい」と。
「やりたいって、何を?」
一生懸命体を捩じらせて、彼女から逃れようとしながらランボーが尋ねる。
バチィッッッ!!
「っ…!!!」
その瞬間、ランボーの右ほほに衝撃が走った。
一瞬、目の前が真っ白になる。
「大人しくしなさいよ。」
どうやら、この女性に平手打ちを食らったらしい。
「男と女が『やる』って言ったら、ひとつしかないでしょ。」
そう言うと、彼女はランボーのシャツのボタンを外しにかかる。
「え、あ…」
彼女の迫力に、ランボーはなすがままになっていた。
そのまま全てのボタンを外してしまうと、次に自分の着ていたTシャツをさっと脱ぎ捨てる。
プルンと弾力性のある胸が、黒いレースに包まれてランボーの目の前で揺れた。
「ちょっ…」
顔を赤らめ、目を反らすランボー。
「あなたを見てたら、思い出しちゃうの。」
「な…」
「昔の事を。」
「はぁ?俺達、この間会ったばっ…んっ…」
反論の途中で、唇に妙な感触を感じた。
「んんっ……」
そのまま、何か柔らかいものが口の中に浸入してくる。それはランボーの舌を絡めとり、怪しく動く。
「んんっ…ふあ…」
彼女に唇を奪われたのだと分かった。
頭がだんだん痺れてくる。
彼女はランボーの手を取り、自分の豊満な胸元にそれをあてがった。
「!!」
驚くランボー。
そのまま、ランボーの手の外側から彼女の手で押さえつけるようにして、自分の胸を揉ませる。
「!!!!」
初めての感触に、ランボーは自分の体が熱くなっていくのを感じた。舌はさっきよりもより激しく動いた。
「ぷはっ」
ビアンカの唇が離れる。
「ねぇ、あなたの事、ムカツクのは昔と変わりないのよ。でも、今、何だかとってもやりたい気分なの。だから、ね。もう一度、やろう。」
自分の胸にランボーの手を押し付けたまま、彼女はささやく。
「もう1回、名前呼んでよ。昔みたいに、『ビアンカ』って。」
「いや、多分人違いだと…」
初めての女性の胸の感触にドキマキしながらも、ランボーは最後の抵抗を試みた。