起きたら時計の針は11時を指していた。
昨夜あのエロ医者にうっかり捕まっちまって酒に付き合わされたのが失敗だった。
あのオヤジも相当飲んでいたから今日保健室は閉められているだろう。アイツを保険医として雇った校長は本当に馬鹿だ。
(それよりこれからどうっすか…)
今から学校に行くのは面倒だ。
しかしオレがいないと10代目をお守りできるのは野球馬鹿だけだ。そんな大事な役目をアイツ一人に任せてはおけねぇ。やっぱり学校へ行こう。
そうと決めるとオレは制服に着替えて家を出たのだが、その瞬間腹がぐぅっと鳴った。考えてみれば今は昼で、朝から何も食べてないんだから当然だ。学校へ行く前にどこかで飯を食わねーともたない。
オレはいつも学校へ向かう道とは違う方へ歩いていった。
ファーストフードで腹を満たし店を出る。今から走れば午後の授業には間に合いそうだ。
そう思った時、道の向こうから見知った顔の奴が歩いてくるのが見えた。
制服姿のハルだ。
そういえばアホ女の学校はこの近くだったな。それにしても何でこんな時間に?
見ているとハルの歩き方はなんだかふらふらしていて顔も赤い。オレは自然とハルに近づいていた。
「おい」
「はひっ」
声を掛けるとハルは飛び上がるくらい驚いていた。
「ご、獄寺さん」
「こんな時間にどうした。早退か?」
「そ、そうです。獄寺さんこそどうしたんですか?」
「オレは今から学校行くんだよ」
「遅刻にもほどがありますよ」
そう言うアホ女にはいつもの勢いがない。やっぱ相当調子が悪いのか?
「具合悪いなら親に迎えに来てもらえよ」
「ウチは共働きなんです…」
ハァハァと少し息が荒い。普段はムカつく奴だが体調が悪いってのに見捨てるわけにはいかねぇ。
「仕方ねーな」
オレはハルの手を引いて大通りに出た。タクシーを止め一緒に乗り込む。
「えっ獄寺さん?」
「送ってやるよ」
「で、でも学校行かないとマズイんじゃないですか?ハルなら一人で大丈夫ですっ」
焦ったように目が泳いで様子がおかしい。どうもオレについてきて欲しくないようだ。
どうしたのか聞こうとすると運転手のオッサンが振り返った。
「お嬢ちゃん具合が悪いのかい?」
「は、はい…」
「なら無理しないで彼氏についてきてもらった方がいいよ」
「彼氏じゃねぇっ!」「彼氏じゃありません!」
同時に否定するオレとハルを見て、オッサンは「照れなくていいから」と笑う。
オレとハルは顔を見合わせて諦めたようにため息をつく。
全く、オレがこんなアホの彼氏だと?冗談じゃねーよ。
大体コイツが好きなのは…。
タクシーが動き出し、オレは考えるのをやめた。
今はとにかくコイツを家まで送り届けること、それだけだ。
タクシーの中にいる間中ハルの様子はおかしかった。足をもじもじさせたり、何回も座り直したり。
普段から言動が変な奴だが具合の悪い時までこうなのか?
何はともあれタクシーはハルの家に着いた。オレは料金を払い(昨日銀行で下ろしておいてよかった)ハルと一緒に降りる。
「獄寺さんありがとうございました。学校は大丈夫ですか?」
「もう授業始まってるし放課後10代目の護衛に間に合えばいいぜ」
「そうですか…。お茶出すんで上がってください」
ハルに薦められるがまま家の中へ入る。顔は相変わらず赤く息が切れている。
「体調悪いなら寝た方がいいんじゃねーか?」
「…大丈夫です。鞄部屋に置いてくるんでリビングで待っててください」
「おう」
階段を上がっていくハルを見送り言われたとおりリビングに行く。
考えてみれば家に来るのは初めてだな。父親が大学教授なためか10代目の御宅よりも立派な家だ。生意気な。
ソファーに座り待っていたがハルはなかなか戻ってこない。鞄を部屋に置いてくるだけにしては時間が掛かりすぎだ。
まさか部屋で倒れてるんじゃねーだろうな。
オレは立ち上がり階段を駆け上った。
「ハルの部屋」とネームプレートの下がったドアをノックしようとした時、部屋の中から声が聞こえた。
『うぅっ…!あぁ…』
苦しそうな声にオレは思わずドアを開け――硬直した。
ハルは目をぎゅっとつぶっていてオレが入ってきたのにも気がついていない。それどころではないのだろう。
何故ならハルは――この世界一のアホ女は――床にしゃがみ込みスカートに手を突っ込んでアソコに埋まったローターを抜こうとコードを引っ張るのに必死になっていたからだ。
体をドアの方に向けているため露わになった秘所とその間のピンク色のローターがバッチリ見える。
オレはその光景に釘付けになった。半分ほど抜け出ているローターも近くに脱ぎ捨ててある下着もびしょ濡れだ。
「ハル」
「え…」
名前を呼ぶとハルは目を開けた。
自分の姿を見つめているオレを見ると
「きゃあああああっ!何でいるんですかーっ!リビングで待ってって言ったのに!」
と大声で叫んでアソコをスカートで隠す。
「お前が遅いから見に来てやったんだよ。まさか…」
オレはハルの前にしゃがみ込みスカートをめくった。
「お前がこんな変態行為してるとは思わなかったぜ」
「はひー!見ないでください!」
慌ててスカートを戻そうとするハルの両手を押さえつける。
「具合が悪かったんじゃなくてローター入れて感じてたんだな。アホだとは思ってたけどここまでとは思わなかったぜ」
「うぅ〜」
ハルは泣きそうな顔でオレを睨むが反論してこない。
「これ自分で買ったのか?」
「…ビアンキさんからもらったんです」
「姉貴から?」
最も苦手な名前にオレは顔をしかめる。
「ツナさんが全然ハルに振り向いてくれないからビアンキさんに相談したんです。そしたらハルには色気が足りないって。
大人のオモチャで勉強することも大事よっていろいろ教えてくれたんです。だからハル今日はローター入れて学校行ったんですけど思った以上にその、激しくて。
ハルが顔赤いの見て先生が早退しなさいって言ってくれて」
中学生に何教えてんだあの姉貴は…。
大体10代目に相手にされないからって大人のオモチャで勉強ってどういう発想だよ。鵜呑みにするコイツもコイツだ。何だか腹が立ってきた。
半分出掛かっていたローターを一気に押し込む。
「ひゃあっ!!」
大きく体を震わせるハルをベッドに放り投げその上に圧し掛かる。ブラウスを引きちぎるとボタンが弾けとんだ。
「何するんですか!!」
「お前の見てたら欲情したんだよ。責任取れ変態女」
「誰が変態ですかー!!」
「お前だ」
水玉のファンシーなブラジャーを取り去り胸を掴む。大して大きくないが揉み心地はなかなかだ。
硬くなった先端を摘むとハルの口から甘い声が漏れる。
「ぎゃーぎゃー言いながらも感じてんじゃねーか」
「うっ、うるさいです!んんーっ!」
わめく口を唇で塞ぐとリップの苦い味がした。
「はひー!ハルのファーストキス獄寺さんに奪われてしまいましたー!」
そうか、コイツにとっては今のがファーストキスか。…いや別にどうでもいいんだけどよ。
「お前だって気持ちよくなりてーだろ?」
ローターのコードをくいくいっと引っ張るとハルはう〜とうなった。
「本当はツナさんに抱いてもらいたかったんですけど…獄寺さんで我慢してあげます。…だから」
ハルはもじもじしながらオレを見上げた。
「優しく、してくださいね」
「あぁん!や、優しくしてって言ったじゃないですかー!」
ハルが喘ぎながら文句を言ってくるがオレは止められなかった。あんなこと言われて実際優しくできるほどオレはできちゃいねー。
ローターを引き抜きぬるぬるに濡れてひくついているソコを指と舌で攻めまくるとハルは激しく乱れた。
バカだアホだと思っていたがこういう姿は結構そそる。オレは十分に潤った入り口にペニスを挿入していった。
「あぁ――」
ハルがぎゅうぅっとオレにしがみついてくるので痛みを和らげるようにキスを落とす。時間を掛けて全て入れると動き始める。
「ひぁっ!あぁん!やあぁ!」
痛みを訴えていたハルの声がだんだんと甘くなっていくのを聞きながら、オレは夢中で腰を叩きつけた。キュウキュウと締め付けてくるのが堪らない。
「ハル…」
「あんっ…何ですか?」
「オレの名前呼べよ」
「え?」
「いいからオレの名前呼べ」
「ひゃん、獄寺さんっ…」
ハルはオレの首に腕を回し何度も叫んだ。
「獄寺さん、獄寺さん…!」
コイツが好きなのは10代目だとは分かっている。だが今コイツを抱いているのは10代目ではなくオレだ――。
ハルの細い体を抱きしめ、その体の奥に欲望を吐き出す。ハルは一瞬体を大きく震わせると、そのまま意識を手放した。
力の抜けた体を横たえペニスを引き抜く。ふと床に落ちていたローターに目が留まる。
オレはローターを拾い上げるとティッシュで見えないようにくるんでゴミ箱に捨てた。
再びベッドに戻りハルの隣で目を閉じるとすぐに睡魔が襲ってきた。
今日は10代目のお迎えには行けそうもない。
お前のせいだ、アホ女。
終わり