髑髏は一人並盛中の校門に立っていた。
前日偶然会ったツナに誘われたからだ。
「明日商店街に新しい映画館が出来たから放課後みんなで行くんだ。カラオケとかゲーセンにも寄るんだけどよかったら一緒に行かない?
女の子もいるから友達になれると思うよ」
「……」
よく知らない人間と一緒に出掛けるのは気が重いが、心の殻を破って仲良くなりたい。
二つの思いが髑髏の胸に湧き上がった。
「…行けたら行こうかな」
曖昧な返事だったがツナは喜んで犬と柿本も誘ってくるように言ってくれた。
その誘いは「マフィアなんかと誰が遊ぶか!」と犬に一蹴されてしまったが。
ともかく髑髏は勇気を出して遊びの誘いに乗ることにし、ツナが友達を連れて校舎から出てくるのを待っていた。
授業はまだ終わらないらしい。
少し待ちくたびれた髑髏はロータリーに入って体育をやっているグラウンドを眺めていた。
するとどこからか現れた学ラン姿のリーゼントの男が声を掛けてきた。
「お前黒曜中の生徒だな」
「は、はい…」
「黒曜の生徒がここで何をしている?」
「人を待ってるんです」
並盛の風紀委員が黒曜中を警戒しているのには理由があるのだが、もちろん髑髏は知る由もない。
だが往来の性格で俯きながら話す姿は相手を怪しませてしまった。
「挙動不審だな。おい、そのバッグの中を見せろ」
両手で抱えているバックを掴まれて髑髏は焦った。
中には槍が入っているのだ。
見られたら確実に怪しまれる。
「ダメッ!」
髑髏は男の手を振り切ると校舎に向かって走り出した。
ツナもしくは他の守護者に会えれば何とかなる、そう思っての行動だった。
「ま、待て!」
不意を突かれた男が慌てて追ってくる。
髑髏は息を切らせながら校舎に入り階段を上った。
一時身を隠そうと目に入った部屋に飛び込む。
「あ…」
「君は…」
中には人がいた。
それも守護者の一人ヒバリだ。
慌てていたので気付かなかったがここは応接室だったらしい。
「どうして並盛の生徒じゃない君が応接室に飛び込んでくるわけ?」
「それは…」
答えようとした直後、「委員長!」の声とともにドアが勢いよく開けられた。
さっきの男だ。
「む!お前こんな所に!」
「草壁、彼女が何?」
「はい、校門付近でウロウロしてたので尋問したらいきなり逃げ出したので追ってきたのです」
「ふぅん」
ヒバリは身を縮ませている髑髏に目をやると意味ありげに口端を上げた。
「彼女は僕の知り合いだから不審人物じゃないよ。校内のパトロールを続けてきて」
「委員長の知り合いですか。それは失礼しました」
草壁は深々と頭を下げると廊下に出て行った。
あんな怖そうな男を従わせるなんて一体どういう人間なのだろうと
髑髏は目の前のヒバリを見つめた。
「それで並盛に何の用?」
「あの…ボスが誘ってくれたの。友達と遊びに行くから一緒にどうかって」
「またあの草食動物たちは群れてるのか」
ヒバリの言葉に髑髏は胸に冷たいものを感じた。
「草食動物って…?」
「一人では何も出来ないから他の連中と群れる弱い生き物のことさ」
「……」
「君もその一人か。猛獣に追いかけられてこんな所に逃げ込んできて。
仲間がいたら助けてもらうつもりだったのかい?」
冷笑を浮かべながら向けられるヒバリの視線を避けるように髑髏は俯いた。
そんな髑髏に構わずヒバリは続ける。
「逃げ込んだ場所が安全である保障なんてないのに。もっと恐ろしい猛獣がいるかもしれないよ」
え、と顔を上げると思っていたよりヒバリが近くにいて髑髏は息を呑んだ。
「弱い草食動物を見ると噛み殺したくなる…そんな獣が」
男の瞳に危険な光が宿り、逃げなくてはと頭の中で警報が鳴った時には
髑髏の体は応接室の床に押し倒されていた。
「なっ…!?」
ジタバタと抵抗するがヒバリは易々と髑髏の体を押さえつける。
「六道骸の代わりならもうちょっと手ごたえがあると思ったのに」
失望したと耳元で囁かれ自分だけでなく骸さえも侮辱されたようで髑髏は悔し涙を滲ませた。
「泣けば許してもらえると思ってる?甘いよ」
ガリッ――。
「痛っ!」
突然の痛みに髑髏は悲鳴を上げた。
ヒバリが耳に噛み付いたのだ。
それも甘噛みなどという優しいものではなく、千切れてしまうのではないかと思うほどに強く。
「あぁ、血が滲んでる」
「ひっ…」
ネズミをいたぶる猫のような加虐に満ちたヒバリの表情に髑髏の全身を恐怖が貫いた。
体中の力が抜け、制服を無理矢理に開かれてもただ体を震わせることしか出来ずにいた。
ヒバリはライトブルーのブラジャーを無造作に引き下ろし、白く柔らかな乳房にも歯を立てた。
空いている方の乳房は乱暴に捏ね回され、乳首をぎゅうっと摘まれる。
穢れのない柔肌には数分のうちに痛々しい赤い跡をいくつも刻まれた。
髑髏は唇を噛み締めて荒々しい愛撫に必死で耐えた。
時折ヒバリは優しい手つきで肌を撫でたり噛み跡を舌先でなぞったりしてくる。
そうすると髑髏の体には甘い痺れが走った。
「ふぅ…あんっ…」
眼帯に隠れていない瞳は蕩け頬が紅潮する。
あどけない少女の顔に娼婦のような淫靡さが加わって何とも言えない色香を醸し出していた。
髑髏の変化に気付くとヒバリはふっと笑った。
「痛いのが好きなんだ」
「ち、ちが…あぁっ!」
否定の言葉を紡ごうとした唇から飛び出たのは喘ぎ声だった。
ヒバリの手が下着越しに秘部に触れたのだ。
割れ目に沿って指を這わすとしっとりと濡れているのが分かる。
「こんなに濡らしておいて?」
馬鹿にしたようにヒバリは肩を竦める。
髑髏は羞恥心に真っ赤になったが、同時にヒバリへの怒りが燃え上がった。
好きでもない男にこれ以上体を弄ばれるわけにはいかない。
視線をやると、すぐそこに持っていたバッグが転がっている。
髑髏はヒバリに悟られないようそっと手を伸ばした。
中には槍がある。
ヒバリを傷つけるつもりはないが武器を持っていると分かればやめるかもしれない。
「何してるの?」
わずかな希望に縋り付こうとした髑髏の思いはヒバリの手にあっさりと阻まれた。
ヒバリは髑髏の両手を右手で封じたまま左手でバッグを掴んだ。
「ふぅん、槍が入ってたんだ。すっかり諦めたかと思ったけどまだ抵抗する気力はあったんだ」
「…あなたに、これ以上好き勝手させるわけにいかない。それに…」
「それに?」
髑髏はためらったが、ヒバリに促され言葉を続けた。
「初めてを、こんな形で奪われたくない…」
「初めて?」
ヒバリは意外だとでも言うように眉を上げた。
「君は六道骸の恋人じゃないの?てっきりあいつとしてるのかと思ったのに」
無遠慮な言葉に髑髏は真っ赤になった。
「私と骸さまはそんな関係じゃない。骸さまは私の命の恩人なの。だから役に立ちたくて…」
「なんだ。赤ん坊にちゃんと聞いたわけじゃないから誤解してたよ。
じゃあせめてもの情けで処女は奪わないでおいてあげる」
ヒバリの言葉に髑髏はこれで解放してもらえると安堵しかけたがそれは甘かった。
一瞬のうちに髑髏の体は冷たい床にうつ伏せにされ、腰を高く上げた状態で押さえつけられた。
「えっ!?」
「その代わりこっちの初めてをもらうよ」
その言葉とともに下着の上から指でぐっと突かれたのは、
膣よりさらに後ろの排泄するための器官だった。
最初髑髏は意味を理解できずにいたが、少しの間を置いてサッと青ざめた。
「い、いや、そんな所!」
「それならやっぱりこっちにしようか」
ヒバリの手が蜜を溢れ出させる場所へと移り髑髏は慌てた。
「ダ、ダメ!お願いそれだけは――」
「わがままだな。じゃあこっちに決まりね」
ヒバリはそう言って髑髏の下着を下ろした。
濡れた場所が外気に当たって冷え、髑髏は太股を震わせた。
ヒバリの目には淡い茂みもとろとろと蜜をこぼす泉もアナルも丸見えになっている。
「とりあえず濡らさないと入らないからね」
ヒバリはヌルヌルに濡れた髑髏の入り口に指を這わせた。
愛液を絡め取るとその指をアナルに塗りつける。
「んんっ…」
感じやすい部分を直接弄られて体は快感に震えてしまう。
最後の抵抗とばかりに髑髏は手で口を押さえて声を殺した。
ピチャリ、と先程噛まれた耳朶を舐められる。
「口では立派なこと言ってたけど、僕に好き放題やられてる君が
六道骸の役に立つとはとても思えないな」
「……!」
ヒバリはさらに追い討ちをかけるように耳元で囁く。
「赤ん坊に聞いたけど、君は元々は普通の中学生でも今は六道骸の力が使えるんだろう?
それなのにあの指輪を巡った戦いでは失態続きだったんだってね」
言葉で責めながら、敏感な肉芽を指で捏ねる。
「ん、んぅ…」
ヒバリの言葉は的確に髑髏の痛い所を突いていた。
確かにマーモンとの対決では弱点を見抜かれ戦闘不能に陥り、骸に頼らざるを得なかった。
ボス戦でも毒で体に熱が回り動けなかったとはいえ人質になって迷惑をかけてしまった。
(守護者なのに私は何も出来なかった…)
「そろそろいいかな」
「あぁっ!?」
暗い思考に浸っていた髑髏は、突然アナルに性器を突き入れられ悲鳴を上げた。
メリメリと異物が押し入ってくる苦痛に愛らしい顔を歪める。
「あ、あぁ、痛い…」
「くっ…。まだキツイな」
流石にヒバリも眉をしかめた。
それでも半ば強引に押し進め全てを収める。
「苦し…。お願い、もう抜いて…」
「何言ってるの。お楽しみはこれからだよ」
髑髏の懇願をあっさりと跳ね除けると、膣とは違う締め付けと感触を
味わいながらヒバリは腰を動かした。
最初は痛みしか感じていなかった髑髏も何度も抜き差しされるうちに
だんだんと体に熱が灯っていくのを感じた。
「やぁ…はっ…あん!」
ヒバリは髑髏の秘部を指でかき回した。
そうするとより腸壁の締め付けがきつくなり性器に快感が走る。
「初めてにしては乱れすぎじゃない?」
「うぅ…!」
髑髏の大きな瞳から涙がポロポロと零れる。
快楽、羞恥心、無力な自分への怒りなど様々な感情がその涙には込められている。
しかしヒバリの指が肉芽をひっかいた瞬間髑髏は達してしまった。
亀頭を締め上げるように蠢く内部の動きに、
ヒバリはアナルから性器を抜くと髑髏の白い尻を精液で汚した。
気絶していた髑髏が目を覚ますと応接室にヒバリの姿はなかった。
タオルで体の汚れを拭き取り制服の乱れを直し髑髏は部屋を出た。
生徒達はもう帰ったのか廊下に人気はない。
外に出るともう日が沈みかけて、校門には誰もいなかった。
ツナ達は髑髏は来ないものと考えて映画館へ向かってしまっただろう。
髑髏にしてもこんなことがあった後で遊びに行く気にはなれない。
早く黒曜センターに帰ってシャワーを浴びて体を休めたかった。
痛む体を叱咤しながら髑髏は足を進めた。
(今の私は足手まとい…。骸さまの役に立つことが出来ない)
応接室での陵辱は少女の体と心に大きな傷を残していた。
「私はこれからどうしたらいいの…?」
ぽつりと落とされた問いかけに答えてくれる者はいなかった。
髑髏の小さな体は夕陽の中に溶けていった。