ドアを開けたイーピンはオレの頬についた赤い手形を見て呆れ顔になった。  
「またなの?」  
「またなんだ」  
苦笑して返す。  
もう何度目だろう、恋人と別れる度に殴られるのは。  
でも仕方がない。  
原因はいつもオレなんだから。  
イーピンはオレを部屋の中へ入れると濡らしたタオルで頬を冷やしてくれた。  
「彼女、ランボは私といても心は誰か他の人を思ってるって言うんだ」  
女の勘て鋭いねと言うと当たり前でしょ、とイーピンにデコピンを食らった。  
イーピンはオレの本当の想い人を知ってる。  
そして彼女もまた片思い中だ。  
「ヒバリさんとは進展どう?」  
「最近少しは話を聞いてくれるようになったけどまだダメ。全然相手にされてないよ」  
はぁーっと彼女らしくもなくため息をつく。  
叶わぬ恋に胸を痛めているのはお互い様だ。  
ヒバリさんの性格からしてイーピンの恋が実るまでまだまだ道は険しいだろう。  
でもヒバリさんが話を聞くようになっただけでも大進歩だ。  
大切な幼なじみには絶対に幸せになってほしい。  
オレには何もできないけど、イーピンは本当にいい子だから。  
「ねえランボ、お願いだからランボも自分の恋諦めたりしないで」  
急にイーピンが真剣な顔でオレを見る。  
「私も自分の恋諦めないからランボにも頑張ってほしいの」  
だって、とイーピンは続ける。  
「ランボは私の大切な幼なじみだから」  
オレは何も言わずにイーピンのおでこにキスした。  
ありがとうという感謝と君も頑張ってと応援の意味を込めて。  
 
夕方からバイトへ行くイーピンと別れて並盛をぶらぶらしていると名前を呼ばれた。  
振り向くとボンゴレが、その隣には京子さんが微笑んでいる。  
「久しぶりランボ君」  
「お久しぶりです。お二人はこれからディナーですか?」  
「ディナーなんて言うほどたいしたものじゃないけど」  
ボンゴレは苦笑しながら頭をかく。  
「よかったらランボ君も一緒にどう?久しぶりだし」  
「そうだな。一緒に来るか?」  
「オレだってそこまで野暮じゃありません。お二人でごゆっくり」  
そう言ってウインクすると年上をからかうなよーとボンゴレは真っ赤になって、京子さんも頬を染めていた。  
オレは笑いながら二人に背を向けた。  
よかった、ボンゴレも京子さんもうまくいっているんだ。  
幸せそうで本当によかった。  
でも。  
でもその幸せの影で涙した人もいて……。  
 
「あれーランボちゃんじゃないですか?」  
その声にオレははっと足を止める。  
嬉しそうに手を振って近づいてくるのはハルさんだった。  
「久しぶりですー!はひっ、またそんなエロい格好してダメですよー」  
胸の開いたオレのシャツを見てお姉さんらしく注意する。  
相変わらずだなと思いながらオレは微笑んだ。  
「ランボちゃんはやめてください。ハルさんはお元気そうですね」  
「ハルはいつだって元気ですよー」  
得意げに胸を張るその姿が年上ながら可愛い。  
「その髪型とても似合ってます」  
ハルさんは前に会った時ロングヘアだったのだが今は肩までしかない。  
しかしそれが活動的なハルさんにとても合っている。  
「はひーありがとうございます。ランボちゃん夕飯まだですよね?よかったら家でどうですか?」  
「えっ。いや、でも……」  
「遠慮は無用ですよ。お父さんも喜びます!さあ行きましょー」  
そう言ってオレの腕をぐいぐい引っ張っていく。  
オレは苦笑しながらハルさんについていった。  
 
ハルさんの両親は突然の来客を大歓迎してくれて、申し訳ないくらい豪華な夕食をごちそうになった。  
おまけにお父さんがぜひにと言うので今晩泊まっていくことになってしまった。  
「最近ハルに新しい恋人ができたって言うから紹介しろって言ってるのになかなか連れてこないんだ」  
ハルさんのお父さんはビールですっかり酔っ払っている。  
「高校の時の恋人とは喧嘩別れするし大学に入ってからの恋人とは就職してから疎遠になってそれきりだし。親としては早くいい相手と結婚してほしいんだがね」  
「はぁ…」  
「もぉお父さんてば!ハルにはハルのペースがあるんです!」  
ハルさんはむくれながらビールをグイグイ飲んでいる。  
夕食はてんやわんやのうちに終わった。  
 
ハルさんのお父さんのパジャマを借りて客室のベッドに横になったもののなかなか眠りにつけない。  
目を閉じて浮かんでくるのは久しぶりに会ったハルさんの姿だ。  
ハルさんはオレの想い人――それも初恋の人だ。  
オレが恋を自覚したのはボンゴレと京子さんが付き合ったことがきっかけだった。  
二人が付き合うことを知ったハルさんは驚いた顔をしながらも「よかったですね。ツナさん京子ちゃん、いつまでも仲良くしないとダメですよー」と二人を祝福していた。  
そんな彼女が影でこっそり泣いていたのをオレは見てしまったのだ。  
声を殺して涙を流すハルさんは胸が痛くなるほど綺麗で、オレは彼女の支えになりたいと強く願った。  
でもその時のオレはまだ小さくてハルさんにとっては子どもだった。  
そして数ヵ月後ボンゴレの口からハルさんが高校の先輩と付き合うことになったと聞かされオレの恋は破れた。  
しかし成長してオレにも恋人ができるようになってもハルさんへの想いを忘れることはできなかった。  
今ハルさんが一緒だったら、ハルさんはこんな時何て言うんだろう、どんな顔をするんだろう。  
そんなことばかり考えてしまうオレに彼女が愛想を尽かすのは当然だ。  
それなのにオレはハルさんに自分の気持ちを伝えられないでいる。  
いくら体が大きくなっても彼女にとってオレはまだ子どもで恋愛の対象ではないのは分かり切っている。  
大体今ハルさんには恋人がいる。  
想いを伝えて拒絶されるのが怖かった。  
イーピンの行動力がうらやましかった。  
ヒバリさんにどんなに冷たくあしらわれてもへこたれないで何度もトライする彼女の勇気が。  
そんなイーピンだからこそヒバリさんも少しずつだが心を開いているんだろう。  
それに比べてオレは弱虫のままだ。  
 
コンコン。  
控えめにドアがノックされる。  
「ランボちゃん、起きてます……?」  
ハルさんの声にオレはベッドから飛び上がった。  
「起きてます!どうぞ」  
ドアが開いてパジャマ姿のハルさんが入ってくる。  
「どうしたんですか?」  
「なんだか誰かと話がしたくなって……」  
「オレでよかったらどうぞ」  
電気をつけて二人でベッドに腰掛ける。  
「実はさっきシャワー浴びた後彼氏から電話があって……振られちゃったんです」  
「えっ」  
「元カノとヨリを戻すことにしたんですって」  
「そんな勝手な理由で!?ひどい奴だ」  
しかしハルさんは悲しそうに首を横に振った。  
「いいんです。彼は彼女と別れた悲しみを癒すためにハルと付き合ってたんですし、ハルも……」  
大学の時の彼氏を忘れるためだろうか。  
しかしハルさんの口から出たのは違う名前だった。  
「ツナさんを忘れるために彼と付き合っていたから……」  
「ボンゴレを?」  
意外だった。  
確かにあの時ハルさんは泣いていたけれど、恋人ができたことで立ち直ったと思っていたから。  
「しつこい女って思われるかもしれませんけど、ツナさんはハルにとって初恋で特別な存在だったんです。  
 だから京子ちゃんと付き合うようになったことはショックでした。それを忘れようとして、たまたまその時告白してくれた先輩と……」  
ハルさんの瞳が潤み、涙がこぼれた。  
「嫌な女ですねハルって。相手の人にも失礼だって分かってるのに自分の傷を癒すために付き合ったりして。  
 それで結局未だにツナさんへの想いを断ち切れないんですからホントバカです」  
「そんなことありません。いつかボンゴレよりも好きだって思える人に巡り合えたらきっと忘れられますよ」  
月並みの慰めの言葉しか言えない自分に腹が立つ。  
それでもハルさんはにっこりと笑ってくれた。  
「ありがとうランボちゃん話を聞いてくれて。少し元気出ました」  
部屋に戻ります、とハルさんが立ち上がる。  
 
このまま帰していいのだろうか。  
イーピンの言葉が甦る。  
――ねえランボ、お願いだからランボも自分の恋諦めたりしないで。  
――私も自分の恋諦めないからランボにも頑張ってほしいの。  
今こそ勇気を出す時だ。  
オレは立ち上がると後ろからハルさんを抱きしめた。  
ハルさんの体はオレの腕にすっぽりと収まる。  
「ど、どうしたんですか?」  
「ハルさん……オレがボンゴレのこと忘れさせます」  
「ランボちゃん……?」  
「オレはハルさんのことずっと好きでした。小さい頃からずっと……。  
 あなたが苦しんでいるならオレはあなたを守っていきたい」  
ついに言ってしまった。  
長年胸に秘めていた思いを。  
ハルさんが戸惑っているのが顔を見なくても分かる。  
沈黙が重くのしかかってくる。  
「正直な気持ちを言いますね」  
ハルさんが顔だけ振り返る。  
「今すごくビックリしてます。ランボちゃんは弟みたいで、そういう風に見たことなかったですから」  
ああやっぱり。  
肩を落とすオレに慌てたようにハルさんは言葉を続ける。  
「でも嬉しかったですよ?そんなふうに言ってもらえて……。  
 ハルなんかをずっと好きでいてくれてありがとうランボちゃん」  
「そんな。あなたは昔から素敵な女性ですから当然ですよ」  
そう言って今度は正面から抱きしめるとハルさんの体は少し強張ったが、やがておずおずとオレの背に腕を回した。  
気持ちを素直に伝えてよかった。  
心の中でイーピンに感謝する。  
 
「ハルさん」  
「はい……?」  
「オレのことそういう風に見たことないって言いましたよね」  
「う……」  
ハルさんが気まずそうにうつむく。  
「気にしないでください。今までは仕方ありません」  
そう言ってオレはハルさんの髪にくちづけた。  
オレと違ってサラサラな黒髪だ。  
「だから今からオレが大人になったってこと教えてあげます」  
最初ハルさんは「?」の表情を浮かべていたが意味が分かるとボンッと顔を赤くした。  
本当に可愛い人だ。  
「ダメですか?」  
「い、いえ……。ランボちゃんなら私……」  
オレはハルさんの顎を持ち上げると唇を重ねた。  
初めて触れるハルさんの唇を味わうように何度も角度を変える。  
舌を入れると戸惑いがちに応えてくれた。  
そのまま深くキスをする。  
「んっ、ふぁ、んん……」  
ドンドンと胸を叩かれ解放するとハルさんはスゥーハァーと深呼吸をした。  
「もう!ランボちゃんのキスエロすぎです!」  
「それは褒め言葉と受け取っていいんですよね?」  
「はひっ!?」  
一本取られましたーと頭を抱えるハルさんを抱きかかえてお姫様のように優しくベッドに横たえる。  
パジャマのボタンを一つ一つ外していくとハルさんが慌てたように叫んだ。  
「で、電気消してください!」  
「どうして?」  
「だって恥ずかしいです!」  
「ダメです」  
オレはにっこりと、しかしキッパリと拒否する。  
「ハルさんの体が見たい」  
なおも抗議の声を上げようとするハルさんの口をキスで塞ぎ、パジャマの上着をベッドに放る。  
ブラジャーを着けていないのですぐに形の良い胸が現れた。  
「綺麗ですハルさん」  
耳を優しく噛みながら囁くとハルさんは体を震わせた。  
 
「あの可愛かったランボちゃんがこんなエロい人になっちゃうなんてショックです〜」  
「言ったでしょ。オレも大人になったんですよ」  
そう言いながら耳を舐め首から鎖骨に掛けてキスを降らす。  
ハルさんの肌は白くてすべすべだ。  
そして胸の先端を口に含んだ。  
コリコリと口の中で転がし、舌先でつつくとハルさんは身を捩じらせて甘い声を漏らす。  
オレに感じてくれているのだと思うと嬉しい。  
もっと悦ばせたくてオレはパジャマの下も脱がせて下着の上からハルさんの秘所を触る。  
「ひゃっ!」  
胸を愛撫しながらそこを指で執拗に擦るとだんだんと下着が濡れていくのが分かる。  
「気持ち悪いでしょう。今脱がしてあげますね」  
下着を下ろしてハルさんの足をM字型に曲げる。  
ハルさんの女性の部分が全て見えて下半身が反応する。  
そこに顔を寄せてぺろりと舐め上げると酸っぱいような独特の味が広がった。  
襞をめくり上げるようにして音を立てて吸い、クリトリスを咥えてチロチロと刺激する。  
「やっ、あぁっ……」  
ハルさんは泣いているかのような切ない声で喘ぎそれがますますオレを刺激する。  
ピンク色の割れ目の中へ指を一本差し込むとぬるりとした蜜が絡みついた。  
内部をかき回しながら指を増やしていくと蜜がどんどん溢れてシーツまで濡らした。  
「ラ、ランボちゃん……!」  
ハルさんが切羽詰った声でオレを呼ぶ。  
「なんですか?」  
「ハルもうダメです。は、早く……」  
「早く何です?」  
問い返すとハルさんは恥ずかしそうにしながらも叫んだ。  
「早く入れてください……。ハル、ランボちゃんが欲しいですっ……!」  
「分かりました」  
意地悪をするつもりではなかった。  
ただ聞きたかった。  
ハルさんがオレを求める声を。  
 
オレはハルさんにキスをすると自身を取り出した。  
「行きますよ……」  
細い腰を抱えて挿入していく。  
ハルさんはオレにぎゅっとしがみついて圧迫感に耐えている。  
最後まで入るとオレは息を吐いた。  
やっとハルさんと結ばれた。  
ハルさんの中は温かく、ぬるぬると粘膜が絡みついて気持ちがよかった。  
彼女が落ち着くと一旦腰を引いて再び奥を突く。  
それを繰り返しながらだんだんとスピードを上げていった。  
「ひゃ、あん!やぁっ、あぁん!」  
オレの性器が出入りする度にハルさんの愛液と絡み合って粘着質な音を立てる。  
ハルさんはぎゅっと目を閉じ快楽に翻弄されている。  
その表情がたまらなく綺麗だった。  
「好きですハルさん……!」  
えぐるようにして最奥を突くとハルさんの体が弓のようにしなった。  
痙攣する胎内から自身を抜き出すとオレはハルさんの太腿に欲望を吐き出した。  
 
気を失ってしまったハルさんの体を清めパジャマを着させて、ご両親に気付かれないようこっそりと彼女の部屋に運ぶ。  
すやすやと気持ち良さそうにベッドで眠るハルさんの頭を撫でた。  
とうとう今夜想いを告げて結ばれることができた。  
でもまだオレと今後付き合ってくれるかどうか答えを聞いていない。  
明日まで保留ということか。  
気になって今夜は眠れそうにない。  
そんなことを考えながらオレは立ち上がり部屋を出掛けた。  
「ランボちゃん……」  
ドキッとして振り向くがハルさんは目を閉じたままだ。  
どうやら寝言だったようだ。  
そのままドアを閉じようとしてまた声が聞こえた。  
「ランボちゃん……ハルも好きです」  
それは答えと受け取っていいのだろうか?  
オレはもう一度部屋の中に戻ると愛しい女性の唇にキスを落とした。  
 
END  
 

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