(お尻…が…!…さっきから熱い…の……)
最早グロの言葉など耳には届いてはいなかった。四肢を拘束する触手も解かれている…しかしクロームはそれすらも気づかず、ただ肛虐の名残から逃れようと未だ目をつぶったままだった。
しかし身体中すべての神経がお尻に集中してしまったかのように、腸内は熱く疼いたまま一向に収まる気配はない。何とも切ない感覚にクロームはスカートの裾をキュウと握り締める。
「どれ……私も待つのは苦手でな、それもこんなに美味しそうな果実を目の前にしては…」
「きゃあっ!」
完全に気を抜いていたせいか、ガッチリと太股を捕まれた次の瞬間、仰向けにねころがされてしまった。
そのまま足を開かれ、再び恥ずかしい態勢にされてしまう。しかし今回は後ろからではなくグロの正面で脚を開いた状態、しかも少しお尻を浮かしたような赤ちゃんがおむつを替えるときのような格好…これから何をされるかは明白だった。
「…や、やだっ…!お尻…おし…りは…もう…!」
「お尻はもう、だと?これはこれは…丸見えになった下着を真っ先に隠すと思ったんだがな…少女クロームは早くも尻穴に御執心なようだ…」
「!!ち、ちが……ぅ…」
慌ててミニスカートの裾で下着を隠そうとするが両脚を広げられた状態のせいで体勢も安定せず、逆にグロの嗜虐心をさらに煽る結果となってしまう。
「今更必死に隠したところで丸見えだ、お前の下着はいやらしい液で濡れそぼっているぞ?」
「や、やぁ…だ…」
あまりの恥ずかしさに再びクロームは俯いてしまう。
「さて、これでお前の恥じらいの表情をじっくりと観察しながら…」
左脚を持ち上げられ、丸見えの股間と地面に投げ出された右脚の間にグロの体が割り入るような形で入ってくる。同時にグロの自由な方の手の指が下着越しに菊花をなぞり上げた。
「ぁ……っ…」
下着の生地と自分の敏感な部分が擦れ合うなんとも言えない感覚にクロームは身震いする。
時折グロの指がアナルをぐりぐりと圧迫するように押しつける度にクロームの意志とは関係なく、淡い蕾は物欲しげに収縮を繰り返す。
「ふ……ぅあっ……っ!…ぁぁ…っ…!!」
両手は自由だというのに抵抗するでもなく、制服の裾を掴んだり力なく握っては開いたりを繰り返すだけ。脚に至っては力が全く入らない状態…アナルに送られる刺激にあわせてピクリと太ももを反応させるだけだった。
(なんで…こんなに…お尻だけ……!)
「ぁっ…も…もぅ…!なんで……いや…ぁ!…いやな……のに…!」
「嫌なのに、か…しかしお前の淫靡な表情、そして此処はほぐされるだけでは物足りないとでも言いたそうだぞ?」
「…っ…?ちっ…ちがぁ…っうぅ…!」
(だめ……なの…そんな…汚い…ところ…)
見知らぬ男に自分の不浄の部分を弄ばれる…執拗なまでのアナルへのマッサージ、それはクロームの心を確実に蝕んでいた。菊花への刺激が先の指での注挿を思い出させ、更なる疼きをもたらす。
それは背徳感の混じった黒くてひどく耐え難い感覚…最終的にはそれは官能へと昇華されていく禁断の過程。
そしてクロームもまた段々とほぐされるだけの菊花への指戯に快感を感じつつも、少しづつ物足りなさをも感じてしまっていた。
指を深く埋められ、引き抜かれたときの排泄に似た開放感を伴う強烈な快感…脳裏に甘い誘惑とともにフラッシュバックする。
(気持ち……いいの…好き……ちが…う…おし…り…いや…なの……でも…でも……!)
相反する気持ちに既にクロームは冷静な判断を下すことなどできなかった。ただ少しでもいいから楽な方へと―その思いは無意識のうちにグロの指遣いに合わせて腰を動かして、快感を求める淫猥な行為を行わせていた。
「クックッ…そんなに尻穴が好きになったか?クローム…」
「…そ…そんなの…っ…!じゃ……な…ぃ…!」
(だ…だって……こうでもしない…と…)
取り繕うように自分に言い聞かせ、クロームは身体をくねらせる。
「ヒッ…!いいぞクローム…ここまで乱れるとはな…そら、褒美をやろう」
―クニュ…ッ!
「ぅぁあっ!!」
下着の中へと侵入した指が、クロームを貫いた。とはいえごく浅い部分まで指が挿入されただけだが、とろけた菊花は待ちわびていたそれを愛おしげにくわえ込み、締め付ける。
「んっ……ん…ぁ………♪……」
身体が待ちわびていた感触、それはクロームの心を一気に浸食し、入り口付近で止まっている指の感触を腸壁で感じた瞬間、今までになく艶の乗った吐息を口から零れさせた。
(なん…か……あった…かい…!…ちがう…だめ…こんなの…だめ……なのに…)
意識的に菊花を窄める…思い人ですらない男の指の感触を再び感じてしまい、激しい羞恥と嫌悪に苛まれる―しかし秘部からは肉の悦びを表すように愛液が滴り、下着を汚していく。
「だ…だぁめ…!抜い…ぁ…ぬい…て…あぁっ…!」
「何を今更…そら、もっと感じて喘いで見せろ…」
入り込んだ指が再び動きだした。既に下着は愛液にまみれ、受け止めきれない分は尻の谷間を伝ってアナルにまぶさるように零れ落ちている。
そのせいか始まった菊花への直接愛撫は潤滑油の役割を果たした愛液のおかげで、クロームに何の違和感も与えることなくスムーズに行われていた。
「は、あぁっ…!…ふぁ…ぁ…だ…め…♪…」
(がまん…できない…!おしり…ヌルヌルして……きもち……いいのが…)
「…ん…はぁ…!…ぁ……むく…ろ…さまぁ…むくろ……あぁっ…!」
知らず愛しい男の名を呟く。幼い少女の許容を越えた官能と背徳感の波は、この快感を与える男を思い人へすり替えることを選ばせる。
瞳を閉じればそこに浮かぶ大好きな男の姿―クロームはひどく淫らな現実逃避に浸り、片方の手は小さな胸を揉みしだき、もう片方の白く細い指は蜜を溢れさせる秘部へとのびていく…
「……ぁ…?……むくろ…さま…?」
突然、アナルへの快感の波が止まった。瞳を開け、物足りないとでもいいたげな表情の顔を上げると…そこには見知らぬ男の顔があるだけだった。
「ぁ…!」
「クローム…」
男―グロ・キシニアの顔から明らかな激昂の意を感じ取り、クロームはビクリと身を凍らせた。次の瞬間、無数の触手が再びクロームの肢体を絡め捕った。
「ああぁっ!!」
宙吊りの状態、しかも今までと違い締め上げるような触手の力にクロームは悲鳴を上げる。
「クローム…!」
片手の鞭を弄びながらグロは苦しそうな表情の少女を覗き込む。
「なかなかさっきの姿はよかったぞ?快感に溺れて自慰へと逃げ込む……しかし言ったはずだ、愛玩動物は主人に逆らってはいけないのだ」
「…んくぅ…!やっ…なに……きゃっ!?」
今度は四つん這いの格好にさせられ、尻を突き出すような姿にさせられてしまう。
「ましてや前の飼い主に尻尾を振るなど…とんだ淫乱な牝犬だ」
「ちがう…!骸様は…私の…」
恥ずかしい格好のまま、後ろからの声にクロームは反論する。
「骸様は私の…」
「骸様ではない!」
ヒュンと風を切る音、次の瞬間クロームの臀部に鋭い痛みが走った。
「ああぁっ…!!」
鞭で叩かれたクロームの白い肌には、赤い痕跡が痛々しく…しかし美しいコントラストを描いていた。
「ヒッ…!!いいかクローム、今お前はこのグロ・キシニアに飼われているのだ…それが解らぬなら…」
―ヒュンッ!!
「やああぁっ!!」
再び痛みが身体を駆け抜けた。じりじりと焼けるような痛みに頬を涙が伝う。
「身体に刻むまでだ…クックッ、調教というやつだ…クローム…!」
太ももと臀部に朱い印が散らされる。灼けるような痛みが下半身を駆けめぐり…それが今まで強制的に与えられてきた官能の疼きと重なって、味わったことのない感覚をもたらす。
「この腫れ痕…年端のいかない少女には不釣り合いだと思ったが…クローム、お前は別のようだな、実に嗜虐心をそそる…」
触るか触らないかの微妙なタッチで、グロの指が尻の朱い印をなぞり上げた。ぐったりとしていたクロームの身体が、バネ仕掛けの玩具のようにピクンと反応する。
「ぁ…!ぅあ…っ!!」
クロームのあどけなさを残す顔が苦痛に歪む。身体中を使って痛みを表現するかのように身を震わせるが、四肢を拘束された上に四つん這いの格好…ただ突き上げたお尻をふりふりと振るだけの誘惑のポーズになってしまう。
「そそるぞクローム…お前はどうやら男の嗜虐心を煽るコケットのようなものがあるらしいな……その顔、声、身体、全て汚してやりたくなる…骸の事など忘れるほどの羞恥と快感でな…」
「…っ…むくろ…様は…!ぁっ!」
甘い刺激が臀部に走る。指が再びアナルへと入り込み、熱くとろけた内部をこねまわす。
依然として傷痕も弄ばれ、二つの相反する感覚に身も心も蝕まれていく。…まるで痛みこそが快感と錯覚してしまう、狂った情欲はクロームから確実に理性を奪い取っていった。
「ふ…ぁ…!」
「クックッ…お前もなかなか好きなようだな…?美しく淫らな鳴き声は実にいい…」
ピチャリ、と水音が響いた。同時に太ももの傷跡に生温かいものを感じ身体を捩らせる。
臀部だけでなく太ももの傷痕、しかも舐めめ回されているようだった。グロの唾液の暖かさと舐めまわす舌が臀部に伝わる痛みと快感の仲立ちをするように、二つの感覚を一つのものに変えていく。
「…ふぁ…!ぁっ、や…ん…!」
「ヒッ…!素晴らしい、鳴き声一つで此処まで淫靡な雰囲気を創れるとはな…」
「!!……ぅ……っ!……っ……ぁ…!」
痛みと快感が異な混ぜになった感覚に感情のまま泣き声をあげたかった…しかし愛しい男への一途な、祈りにも似た想いがグロをこれ以上喜ばせまいとクロームの声を押し殺させていた。
(…声……ダ…メ……!)
「受難に耐える聖女のようだなクローム…しかしもはやお前の神、六道骸はいないのだ。それに…」
グロの指が再びアナルを浸食する。しかし今までとは違う、二本の指がクロームの菊花へと吸い込まれていく。
「……あぁうぅっ!!」
「…難なく呑み込んだな…そう、此処はまるで娼婦のそれと同じだ、欲情を隠し切れて…おっと、生まれつきなのだったな?生まれつきの淫売…実にそそられる…!」
「ふ…ぅぁ…!ぁうぅ……!う…そ…大き…い…!ぬ、ぬい…て…あぁっ!抜い…てぇ…!」
入ったといっても本来は排泄のための器官、一本の時との圧迫感は比べにならないほど強い物だった。鈍痛を伴うだけで快感を感じない。性体験のないクロームにとって、痛みを伴う強制的なアナル開発はあまりにも辛すぎるものだった。
(くるし…い…!おし…り…が…広がる……!気持ち…よくない……!)
「くうぅ…!ぁっ…!んぅぅ…ぅあ!!」
「いい鳴き声だクローム、快感とは痛みを水で薄めたようなものだからな…痛みは官能への通過点にすぎん」
そういうとグロは浅い辺りに埋めていた指をバラバラと動かし始める。第一関節辺りまでしかねじ込んでいないとはいえ、小さな身体と相応の菊花を持つクロームには身体の中を引き裂かれてしまいそうな感覚をもたらしている。
中で暴れる指に身体か勝手に反応し、腸壁がグロの指に密着するように締め付ける。その度に痛みと共にアナルを弄ばれていることを再認識してしまうのだった。
「あ、ぁあっ!も…もう…っ!これ以上…変なこと…ぁうっ!しな…いで…!おしり…がぁ…!」
「変なこと、だと?クックッ…これはお前の身体の望んでいることなのだぞ?」
「…そんな…の…!こんなの…好き…じゃ…―ひっ!?」
クロームの言葉を遮るように触手の一本が口内へと進入してくる。その異様な感触に身体中から血の気が引いていくような感覚に陥る。
「ふ…んむぅ!!んんぅ…!」…ぷはぁ!!
(な…なに…!?入って…くる…!)
触手が波打ちドロリとしたものが喉を伝っていく感触、途端に身体が重くなる。眠気を伴うような感覚と共に力が全く入らなくなってしまう。
「ぁ……?なに……これ…!」
先のフクロウの波に呑まれたときのような、身体中の力が吸い出されてしまうかのような感覚…四つん這いの姿勢すらとれず、しっかりと固定されているふともも以外はペタリと地面に付いた状態になってしまう。
「効いてきたようだな…言っただろう、我が雨の炎の特性は鎮静…雨巨大イカの粘液にもそれと同じ効果がある、それを今から実証してやろう」
「あっ!?」
再び二本の指が菊花に入り込む。しかし痛みはない、寧ろ腸内を満たす指の感触が心地よくすらある。
「ん……ぁ…!ぁ…」
「どうだ?鎮静の力によって今お前の随意、不随問わず筋組織は弛緩状態だ…生理反応すら弱体化している。…クローム、お前の身体はアナルを犯すには最高の状態になったな…!」
「ふぁ…!ゃあ…っ…!だ…だめぇ…!!」
易々と根本までの侵入を許してしまい、たまらず声を上げる。中を満たす感覚は自然と快感をもたらし、指を少し動かされれば甘い官能が走る。
(も…う…私の身体…!この人の…好きなように……され…てる…)
「んぁ……ゃ…ん…!ぁ…なん…か…でる…で…ちゃうぅ……!」
クチュクチュと水音が響いているのは腸液が溢れ出てきた結果だった。先の愛撫と同様、しかし愛液よりも多量の液体はよりクロームに快感を与えながらの注挿を可能にする。
「此処も濡れてきたようだな、中も熱くとろけている…漸く肉の悦びに目覚めたか」
「やっ…ぁあん…!!な…なか、がぁ…!あぁうぅ…!」
二本の指を激しくストロークさせる。内部を擦かれるような動きにクロームはただ喘ぎ声をあげるだけだった。
だが指は引き抜かれる気配はなく、入り口近くから最奥までの間を行き来するだけ…あのとろけるような快感には程遠いものだった。
(抜いて…ほしい……!こんなのされるの…恥ずかしい………けど……欲しい…よ……!)
その悩ましげな表情をグロは見逃さなかった。黒い感情が欲望を駆り立てる。
「どうした?クローム…何か物足りなさそうではないか…クックッ…言ってみろ、案外聞いてくれるかもしれないぞ?」
「…!!」
悪魔の囁きだった。言ってしまえば最早この先抵抗することも出来なくなってしまうだろう。
そして何より骸を愛する資格も…愛されることもなくなってしまう。幼少から愛に飢えた少女…凪の名前を捨ててクローム髑髏を名乗ったとき…犬、千種、六道骸…初めて小さな世界は微笑んでくれたから。
「………っ……なに…も…な……い……!」
(私…には……みんなが…いる…から…!)