まさか。まさか自分がこのような状況に立たされるとは思わなかった。  
 
只今の時刻は深夜。  
時計を見たわけではないが、窓の外の暗闇の濃さからしてとっくに夜は更けているだろう。  
――こんな時間に報告書なんか出しに来るんじゃなかった。  
 
薄っぺらい紙切れを片手に、呆然とドアの前で立ち尽くしている銀髪の男、S.スクアーロは心からそう思った。  
彼が見た光景は、まさに情事の真っ最中である男女二人の姿。  
 
お互い全裸ではなかったが、広いベッドの上でヴァリアーのボスであるXANXUSの股間に顔をうずめ、その中心にある男根を奉仕する女―――笹川京子。  
彼女は、数ヶ月前アジトに連れてこられ、ボスの夜伽役という名目でここに身を置いている。  
 
しかし京子自身、連れてこられた意味をよく分かっていないらしい。  
部屋に入ってきて以来、動かないスクアーロをXANXUSはその鋭い目でじろりと見た。  
スクアーロはその視線に気づき、はっと我に返る。  
(早く出て行けってかぁ?言われなくてもさっさと出て行くつもりだぁ!)  
心の中で悪態をつきながら、荒々しい足取りで机の方へ歩いていき、ばさりと報告書を置いて足早に去ろうとドアノブに手をかける。  
 
「おい」  
突然、XANXUSが彼を呼び止めた。  
(な、なんだぁ!?)  
彼が驚いた様子で振り返ると、こちらに向かって手招きをしているXANXUS。  
自分の目を疑った。  
(なんなんだ、いったい…。一緒にヤろうっていうことか?  
そういうことなのか!?  
そりゃ確かに京子のことをそういう目で(ちょっとだけ)見てたことはあるけどよぉ…。いやいやいや!  
あのボスさんだぜぇ?自分の女他人に抱かせる訳がねぇ。じゃあ、あの手招きはどういう…)  
手招きの意味を素直に飲み込めず、いろいろ考えを巡らせていたが、逆にこんがらがってしまった。  
そうしている内にXANXUSはもう一度手招きをした。  
眉間に多数の皺を寄せながら。  
(やべぇ…こりゃ言うこと聞いた方がよさそうだな…)  
若干怒りを含んだXANXUSの心中を察したスクアーロは、ゆっくりと彼の方へ歩き出す。  
近づいてくる足音が耳に入り、京子は初めて第三者の存在に気づいた。  
「!?…んッ…んぅ…!」  
 
慌てて顔を上げようとしたが、XANXUSに頭を押さえ付けられた。  
 
(…やッ…こんなとこ見られちゃ…!)  
 
今まで自分が気づいていなかった分、恥ずかしさが急速にこみ上げる。  
 
「ゔお゙ぉい、来たぜぇ」ベッドの端まで来たスクアーロは、一応XANXUSに指示を仰ぐが彼は何も言わなかった。  
 
(ゔお゙ぉい…何か言えぇ、本当にヤっちまっていいのかよ)  
心中でそう呟くと、目の前にいる京子の姿に目がいった。  
 
「ん…んっ…ふぅ…」  
熱く潤んだ大きい目、紅潮した頬、頭の動きに合わせて揺れる胸…こんな色めいた姿を見せつけられて、黙っている男など皆無だろう。  
(ちっ、立ってきやがった…もう知らねぇぞぉ!)  
考えるのが面倒くさくなった彼は勢いに任せることにした。  
四つん這いの京子の後ろに回ってスカートをめくり上げ、小振りな尻をいきなり掴む。  
 
「んひゃ!?」  
 
「腰が揺れてるぜぇ。  
モノしゃぶりながら感じてんのかぁ?」  
 
「…ふ、んん…!」  
そんなことはないと言いたげに、京子は首を横に振った。  
 
「素直じゃねぇなぁ」  
右手の中指を股間に移動させ、下着越しにクリトリスを擦る。  
 
「…ふぅッ!」  
京子の体がぴくんっと跳ねる。  
さらに薬指も使い、強弱をつけて擦りあげる。  
クリトリスが擦られるたび、くちゅくちゅといやらしい音が響く。  
 
「んッ!ふぁッ!…あうぅ…!」  
敏感なそこへの集中責めに、京子は思わず啣えていた男根を放してしまった。  
 
「京子、まだ終わってねぇ」  
 
「…は…あぁ…ごめんなさ…い」  
XANXUSに顎を捉えられ、ちろ、と亀頭を舐めた後再度口に含む。  
前XANXUSから教わったように、歯を立てずカリから裏筋にかけて丁寧に舌を動かす。  
京子の口に彼の男根は大きすぎて入りきらないため、両手も使い懸命に射精へと導く。  
 
「…出すぞ、飲み込め」  
限界が来たのだろう。彼女の頭を掴んで、前後に激しく揺さぶった。  
 
「んんん…!んぶッ!」  
どくどくと大量に流れ込んでくる精液は、すぐに京子の口内を満たした。  
「……ふー…けほっごほっ…」  
あまりの量にむせてしまう。  
そのせいで精液がシーツの上にこぼれてしまった。  
「またこぼしやがったな、これで何回目だと思ってやがる」  
 
「ごほっ…ごめ…あっ、ん!」  
言葉が途中で途切れる。  
それはスクアーロが下着をずらし、膣に指を挿入してきたからだ。  
 
「はぁぁ…、そん、な、激しくしな、いで…っ」  
 
「へぇ、ボスとヤりまくってる割にはキツいじゃねぇか」  
 
「あぁあ!  
も、変になっちゃ…――――!!!」  
2、3回出し入れしただけで京子はイッてしまった。  
 
「ドカスが。  
京子とはまだ数回しかヤってねぇ」  
そう吐き捨てるように言うと、うつ伏せでぐったりしている京子の顎を掴んで、こちらに向かせる。  
 
「そんなにカスの指が良かったか」  
快感に頭が支配されている為か、目がとろんとしている。  
 
「来い」  
XANXUSは京子を抱き上げると、向かい合わせで自らの体の上に跨らせた。  
俗に言う対面騎乗位。  
「自分で入れろ」  
 
「は…い」  
絶頂の余韻でうまく回らない頭を使い、なんとか体を動かして亀頭に膣口をあてがう。  
そしてXANXUSの両肩を掴みながらゆっくりと腰を下ろしていく。  
 
「あぅぅ…深、い…」  
彼の男根が全て入ったところで、スクアーロは京子のアナルに愛液で濡れた人差し指を突き立てた。  
 
「きゃっ!?  
嫌です!そんなところ…!」  
 
「知ってるか京子、ケツでもSEX出来んだぜぇ?」  
その瞬間京子の背筋がぞく、と冷たくなった。  
 
(なに…?スクアーロさんは何をするつもりなの…?)  
 
スクアーロは一旦人差し指を付け根まで挿入すると、一気に引き抜いた。  
 
「痛っ…い!!」  
 
「こんなもんか…よし、力抜いとけよ京子」  
ズボンからビンビンに反り返った男根を取り出しアナルにあてがうと、躊躇いなく挿入した。  
 
「い、痛ぁい!!…うぅ…!」  
痛い。たまらなく痛い。  
ロストバージンしたときとは比べ物にならないほど、痛かった。  
 
「力抜けぇ、深呼吸しろ。入るもんも入らねぇだろうが」  
 
「はぁ…はぁぁ…すぅ…」京子は言われたとおり深呼吸した。  
少し力が抜けたのか、メリメリと徐々に入っていく。  
 
「すぅ…はぁ…痛いで…す…ふぅ…」  
スクアーロがぐいと京子の髪を掴み、耳元で囁いた。  
「女ってのはなぁ、ケツでヤる時みんな初めは痛いだの、やめてくれだの言うんだぜぇ。それがケツにハマってみろ、ヤるときゃこぞってケツに中出しだ。なぁ、京子。お前もそういうクチかぁ?」  
 
「いやっ…嫌ぁ!」  
京子は激しく首を横に振った。外跳ねのショートヘアがそれに合わせて揺れる。  
「おっと、ボスの機嫌がよろしくないみてぇだ。しっかり動けよ」  
 
「…ふ、くぅぅ…」  
ゆっくりとだが、京子は上下に腰を動かしだした。  
 
「あぁ…ん、あふぅぅ…」  
XANXUSの亀頭がイイ位置で擦れるので、気持ちいい。  
 
(はっ‥あ…慣れてきた…かな…?)  
お尻の方も痛さとは別の感覚が生まれてきたようで、最初の頃よりはマシになってきていた。  
 
「はぁん…なんか、じんじんしてきま…す…」  
(やだ…私ほんとにお尻で…)  
アナルの感覚に頭が翻弄される。  
京子の大きな瞳からは涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。  
絶頂へ上り詰める快感からなのか、痛さからなのか…はたまた別のモノからなのかは分からない。  
 
「京子ぉ、いい感じだぜぇ。イきたきゃイけよ、淫乱」  
スクアーロの腰の動きが速くなる。  
それにつられてか、京子の腰の動きも段々と速くなった。  
 
「あっあっあんっ!すご…い!中、が擦れてぇ…!」  
部屋には京子の喘ぎ声と、腰を打ち付ける音だけが響いている。  
 
「ザ…ンザスさんのと…!スク…アーロさんのがぶつかって…あぁん!!」  
その内XANXUSとスクアーロにも限界が近づいてきた。  
 
「…く…!」  
 
「うぁ…!キツ‥!」  
 
「ふぁぁ…!  
わた…しも、なんかきちゃう!きちゃ…あぁあぁぁあぁぁ!!!!」  
びくびくと体を痙攣させながら京子はイった。  
彼女がイった瞬間、両穴がきゅう、と締まる。  
 
「…う、あ!」  
 
「くぅ…!」  
二人はそれぞれの穴に精液を吐き出した。  
己の体内に吐き出された精液の流れと熱さを感じながら、京子は意識を手放した。  
 
――翌日――  
 
「おいカス」  
 
「ゔお゙ぉい、なんか用かぁ?」  
 
「誰が京子のケツ使っていいって言った?」  
 
「いや、あれは勢い…ってかてめぇが誘ったんだろうがぁ!」  
 
「俺は、あの時お前に何も言ってねぇ」  
 
「はぁ!?じゃああの手招きは一体…!」  
 
「とりあえずお前のケツ貸せ」  
 
「なんでだぁ!!ちょ、え、マジでやめてください、嘘っ!?ぎゃぁぁ!!!」  
 
その日一日、誰もXANXUSとスクアーロの姿を見なかったそうな。  
 
 
【fin】  
 

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