中学を卒業してから綱吉はボスになる決意を固め、高校に通いながら修行に精を出していた。  
謹慎処分を受けていたヴァリアーは綱吉や守護者達に協力するならという条件で許され、時折日本を訪れるようになっていた。  
ハルがヴァリアーの面々と顏を合わせることもあり、特に面識のあるベルとは彼が日本に来る度話をするようになった。  
「ベルさん、ハルの夢はツナさんと結婚してマフィアのボスの妻になることなんです!」  
ある日ハルは自分の夢をベルに語った。綱吉と同じファミリーのベルに聞いてもらいたかったのだ。  
しかしベルから返ってきたのは冷たい言葉だった。  
「マフィアの世界はそんな甘くないっての」  
ハルは戸惑ったようにベルを見つめる。  
その視線にベルは歯を剥き出してうししと笑った。  
「オレがこの世界の厳しさを教えてやるよ」  
 
*  
 
「〜♪」  
ふんふんと鼻歌を口ずさみながらベルは地下へと続く階段を降りていく。ドアを開けたそこに待つのは薄暗い牢獄。  
拷問や処刑によって何人もの血が流れたこの場所が、ヴァリアーのアジト内でベルのお気に入りだ。  
冷え冷えとした廊下を進み、ある牢屋の前で足を止める。  
牢屋の中でハルは毛布にくるまり壁に寄りかかって眠っている。  
身の回りの世話はチェルベッロにさせているが艶やかだった髪は乱れ、女らしい柔らかな頬の丸みはなくなっている。  
その寝顔を見ながらベルはハルを監禁した日数を数えた。今日でちょうど一週間だ。  
最初の日の凌辱を思い出してベルは口の端を上げた。  
ハルを拐いイタリアまで連れて来るのは王子の権限でいくつかの手筈を整えれば簡単だった。  
牢屋に閉じ込めて、抵抗するハルを組み敷きナイフで服をズタズタに引き裂いて。泣いて嫌がる女の処女を奪うのは最高に興奮した。  
それから毎日ベルはハルの元へ足を運び、最初と同じように乱暴に抱いている。  
「おーい起きろよ」  
鍵を開け中に入るとハルは弾かれるように目を開けた。ベルの顏を見ると必死にすがりついてくる。  
「お願いです、ここから出してください!」  
ベルは鬱陶しそうにハルの手を振り払った。毎朝繰り返されるこの訴えに彼の苛立ちは募るばかりだ。  
「お前をどうするかは王子が決めることだし」  
一歩踏み出すとハルは毛布を掴んで後ずさった。  
 
服を引き裂かれた彼女にはチェルベッロが風邪を引かないようにと用意した毛布しか身を隠す物がない。  
しかしその毛布もあっという間に剥ぎ取られてしまい慌てて両手で体を隠すハルを見てベルは笑う。  
「お前バカ?お前の裸なんてもうこの一週間で見飽きたっつーの。今さら恥ずかしがんなよ」  
軽く肩を蹴飛ばすだけで監禁生活で弱ったハルは呆気なく倒れ込んでしまう。床に転がったハルにベルはのし掛かった。  
「いや!やめてください!」  
「だからお前をどうするかは王子次第だって言ってるじゃん。いい加減学習しろって」  
「痛っ!」  
胸を乱暴に掴むとハルは悲鳴を上げた。構わずその柔肌を弄び感触を楽しむ。  
ハルの体には既に無数の赤い跡が刻まれているが、それが癒えないうちにまた今日も新しい跡が重なっていく。  
どうしてこんなことになってしまったのだろう。  
ベルがこんな酷いことをする理由がハルには分からない。  
日本に帰りたかった。全てが懐かしかった。  
母の作ったご飯が食べたい。父に勉強を見てもらいたい。  
友達とおしゃべりしたい。京子とケーキ屋に行きたい。  
綱吉に――会いたい。  
 
(会いたい……。ツナさん……)  
「何ボーッとしてんだよ」  
ベルの声に意識が呼び戻される。表情は前髪に隠れて見えないがかなり不機嫌そうだ。  
「どーせ沢田綱吉のことでも考えてたんだろ」  
「……」  
「まだ幻想抱いてんの?マフィアの世界なんてお前が思ってるような生ぬるい場所じゃないんだよ。残酷で、陰惨で地獄だ」  
だからオレは好きなんだけど、とベルは笑った。  
「邪魔者は容赦なく殺すし女だって犯す。まあ要は、お前みたいな一般人のガキが憧れるような世界じゃないってこと」  
ハルはぐっと唇を噛みしめている。  
「……そんなこと最初から分かってます」  
「は?」  
「ツナさんは本当に優しい人です。マフィアのボスになったってその優しさは変わらないって信じてます。  
だけど優しすぎて、マフィアの世界で傷つくこともあると思います。だからハルは……」  
「……」  
「ツナさんの側にいたいんです。マフィアの妻になってツナさんを支えたいんです……」  
「――バカな奴」  
吐き捨てるように言うとベルはハルの陰唇に思い切り指を突き立てた。  
「ひぎっ!!」  
ぐちゃぐちゃと全く気遣いのない動きで擦られてハルは身を捩った。  
 
「あふ、や、いやぁっ!」  
肉芽を執拗に弄られ、無理矢理に快感を呼び起こされて自分が自分でなくなってしまいそうだった。  
ハルはギュッと目を閉じ、綱吉の面影を必死で求めた。  
ベルはそんなハルを見下ろし小さく舌打ちする。  
「本っ当頭悪いよなー。オレにこんなに犯されてて、まだアイツの妻になれるなんて願望抱いちゃってんの?」  
「……っ」  
辛そうに顏を歪めるハルにベルはナイフのように鋭い言葉を投げつける。  
「大体別にお前アイツとデキてるわけじゃないんだろ?誰が恋人でもない、他の男にヤラれまくった女と結婚したがるんだよ」  
「……っ」  
涙を滲ませて目を伏せるハルの髪を掴んでベルはその唇に噛みついた。  
「いっ……!」  
赤い血がベルの唇を濡らす。血の味が男をより一層興奮させる。  
ベルは屹立したモノで彼女を貫いた。  
「あぁーっ!!」  
いやいやをするようにハルは首を振って泣き叫ぶ。それが癪に触って、ベルは強引に腰を打ち付ける。  
「はっ、ひぐぅ、やぁ、あぁんっ……」  
心では拒んでいても散々ベルに弄られ開発された体は内部の男を求めきつく締め付ける。  
粘膜が擦れ合う度に甘い痺れが脳を犯す。  
それが嫌でたまらない。好きな男以外に無理矢理に抱かれて感じるなんて。  
 
そんなハルの思いを見透かしながらベルは彼女の奥深くまで抉る。  
「ひぁっ!」  
「もっと色気のある声で鳴けよ。つまんねーじゃん」  
一度自身を抜いて体を反転させる。後ろから思い切り突き上げるとハルは仰け反って甘い悲鳴を上げた。  
胸を掴み先端をグリグリと刺激すると締め付けがより強くなる。  
「は、あふ……」  
限界が近いのかハルの声が次第に弱くなる。ベルはぐったりとしたハルの体を好き勝手に蹂躙し、その最奥に精を吐き出した。  
「ツナさん……」  
最後に愛しい人の名前を呼び、ハルはそのまま意識を手放した。  
 
*  
 
「……」  
気を失った少女の頬にある幾筋もの涙の跡をベルはなぞる。  
最初は甘い夢に浸っている少女に苦い現実を味合わせてやることが目的だった。  
だがその体を知ってすぐに帰すのが惜しくなって閉じ込めた。  
それだけのはずだった。  
なら、こんなにも自分の心が波打つのは何故だろう。自分がどんなに凌辱してもひたむきに愛する男を想う少女への苛立ちは、綱吉が好きだとハルから初めて聞かされた時に感じたものと同じだ。  
 
しかしいくら考えても答えは見つからず、やがて彼は考えるのを放棄した。  
チェルベッロの話では日本では綱吉達が行方の知れないハルを必死で探しているらしい。自分に辿り着くのも時間の問題だろう。  
そしたらすんなり帰してやるつもりだ。  
自分を慕っている女が犯されたと知って綱吉がどんな顏をするのか見たい。  
そしてその男の顏を見てハルは何を思うのか知りたい。  
それまではこの女は自分のオモチャだ。  
チェルベッロに食事を運ぶよう命じるため、ベルは牢獄を後にした。  
 
END  
 

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