「・・・ぁ・・・・・・むくろ、さま・・・」  
下腹部から湧き上がる快感の波に、軽く眩暈がする。  
「クフフ。可愛いですね、クロームは。そんなに気持ちよかったんですか」  
「だって・・・」  
こうして骸が自分から動いて交わることは、かなり久しぶりだった。今までの「授業」では彼は動けない状態で、そこではクロームは達した後もどこか物足りなさを感じずにはいられなかった。  
(欲求不満、というわけでもなかったけど・・・)  
周りが見えなくなるほど熱中してしまうほどには、彼を待ち望んでいたと認めざるを得ない。  
「クロームちゃんって、ほんと骸君には奉仕精神満々だよね」  
僕に対してはいつもつれない態度とるくせにさ、と言いつつ、白蘭はベルトを外し、ズボンのジッパーを下げた。骸に位置を譲るように声をかけ、すっかり硬くなった自身をとりだす。  
「よいしょ・・・と。ふぅ・・・今日はずいぶんすんなり入ったね。・・・・・・そんなに嫌そうな顔しないでよ、クロームちゃん。僕、傷ついちゃうな〜」  
白蘭はクスクス笑いながら腰を動かし始めた。  
「今日はせっかく骸君が動けるんだし、楽しいことして遊ばない?」  
「内容によっては、一緒に遊んであげても構いませんけどね」  
白蘭にクロームを使われているのが面白くないのか、骸は気のない返事を返した。  
「単純なゲームだよ。クロームちゃんに目隠ししてもらって、僕か、君か、当ててもらうの」  
白蘭はにやりと口の端を吊り上げた。  
 
「いい?クロームちゃん。始めるよ」  
「クローム、僕を見分けられない、なんてこと、ありませんよね」  
「あ・・・はい・・・・・・」  
クロームは少し離れたところから聞こえる声に、頼りなさげに返事を返した。  
アイマスクによって視界は閉ざされた中、人の近づいてくる気配に警戒して体を硬くする。優しい力で両の手をそれぞれ掴まれ、導かれるままに手を伸ばす。指先に男のソレが触れ、クロームは思わず強張った。  
視界が閉ざされている今、頼れるのは手のひらから伝わる感触と耳が拾い上げる小さな音だけ。次に何をされるか察知することができないという状況は、クロームの恐怖心を少なからず煽っていた。  
左右の指先から伝わる感触に少々戸惑いながらも、思い切ってそれぞれに指をからませた。二本同時に奉仕するなど、クロームにとってはもちろん初めてのことだ。どちらに対しても刺激が止まることないように、左右の手を同時に動かしていく。  
白蘭のゲームは彼が言うとおり、実に単純なものだった。目隠しした状態で、白蘭と骸の性器を触り、どちらのものかクロームが当てる。クロームからすれば楽しさの欠片も感じられない内容だ。  
(骸さまも、どうして・・・)  
クロームは骸ならこんなゲームに乗らないだろうと思っていたのだが、白蘭から提案されると、骸は皮肉を交えながらもゲームに参加することを了承した。  
もちろんクロームに拒否権があるはずもなく、勝手にここまで進行してしまったというわけだ。  
右手と左手、それぞれに握りこんだモノをゆっくりとしごきながら、クロームは途方に暮れた。これをいったいどうやって判別しろというのだ。二人は声も気配も見事なまでに殺しており、手のひらから伝わる感触だけで判断するしかない。  
二人のモノは極端に大きさや形状が違っているというわけではなかった。感触にしてもそれは同様で、どちらのものか全く判断できない。  
ふと、右手に握りこんだモノが、大きく震えた。  
(あ・・・・・・。弱いところを探っていけば・・・)  
刺激に対する反応の違いからならば、どちらのモノなのか判断できるかもしれない。クロームは記憶をたどって、骸が気持ち良くなっていた箇所に刺激を与えていった。  
(ん・・・左、かな。少し大きくなって・・・・・・。やっぱり、左のほうが反応してる)  
「ひ、左が骸さま、だと思います」  
自信があるわけではない。少し震えた声でクロームは回答したが、二人はなんのリアクションも返さなかった。  
 
焦りを感じたクロームは、白蘭の言葉を思い返した。  
――正解できたら、どっちが上の口か下の口に入れるか、クロームちゃんに選ばせてあげる。でも、クロームちゃんが間違えたら逆の組み合わせで入れるからね。  
これに答えなくてはいけないのだろうか。羞恥心で顔が熱くなる。助けを求めて骸の気配を探っても、まるで掴めない。  
「え・・・と、骸さまに、その・・・・・・し、下の方を・・・・・・」  
最後まで言えずに言い淀んでしまったが、とりあえずはそれで男たち満足したらしく、ようやく動く気配が生じた。  
目の見えないクロームに配慮してか、緩慢な動作で体を触られる。横向きに寝かされ、片足を大きく持ち上げられたかと思うと別の手がクロームの頭をつかみ固定した。  
熱い塊で顔を軽く叩かれ、クロームが躊躇いがちに口を開くと同時に、下腹部にも男の欲が擦りつけられる。足の付け根から体内に異物が侵入した衝撃に、クロームが酸素を求めて口を大きくあけると、それを待ち構えていたかのように男根を咥えこまされた。  
息苦しさに涙が滲むが、クロームは身を震わせてその仕打ちに耐えた。このどちらかは骸なのだ。彼を邪険にすることはクロームにはできない。たとえ、もう片方が嫌いな男だとしても。  
その状態で何度か突かれた後、ようやくアイマスクが外された。最初に視界に入ったのは、薄笑いを浮かべて自分を見下ろす白い男だった。  
「正解だよ、クロームちゃん。簡単すぎたかな?」  
視線を移せば下から突き上げてくる骸と目が合い、クロームは安堵した。骸さま、と目で呼べば、にこりと笑みが返される。  
「さすがです。僕の可愛いクローム」  
 
 
「これが終わったら次は前と後ろにしようか」  
「パイズリと素股なんてどうです?」  
「手コキと足コキもありだよね」  
クロームはそれを聞いて顔から血の気が引いていくのを感じた。  
「というか、手で触って区別するというのも面白みに欠けますよ。ここは下の口で咥え込んで判断してもらったほうが楽しいでしょう」  
「精液の味で判断できたらすごいよね」  
なぜか盛り上がっている男たちに抗議しようとしても、口が塞がれていて声すら出せない。  
「そもそも間違えたときのペナルティーがないのはおかしいのでは?」  
 
「それもそうだね。配置はただの答えあわせに過ぎないし。罰ゲームはオナニーにしようか」  
「こちらが指定した体勢で自慰させましょう。膝立ちで、腕を背中側から回してあそこをかき混ぜさせるとか」  
「四つん這いになりながらもいいかな」  
「自分で膝を持ち上げて足を広げさせるのもなかなか」  
「玩具も使わせてみたいなぁ」  
「部分的に拘束するのもいいですね」  
こんなことで意気投合されてもクロームはまるで嬉しくない。いっそのこと途中で意識を失ってしまいたいと願いたくなる。  
「意外とやるね、骸君。さすがはボンゴレの霧の守護者だ。ミルフィオーレの中でもそこそこいい線いくんじゃない?」  
「それほどでもありませんよ。まぁ、マフィア風情に引けはとりませんが」  
(骸様、変なところで競争意識出さないでください・・・)  
今回の放課後は、いつも以上に長くなりそうだ。  
 
 
 
――終――  
 
 

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