「骸さま……」
「なんでしょう、クローム」
ソファに座ったクロームの呼び掛けに、骸はいつものようなニコニコとした笑みを浮かべながら答えた。
もっともオッドアイの両目は決して笑っていないしクロームの顔へと向けていないが。
視線はクロームの下腹部より下をなめるように滑っている。
骸の趣味により異常なほどのミニスカをはいているため、普通なら見えない領域まで丸見えである。
毛の一本すら生えていない白いふとももは、クローム自身が少食なためか、細い。
そのため普通の少女なら肉とスカートで邪魔されて見えない天国(パンツ)までもが、努力すれば見えそうな気がする。
あの薄暗い部分をどうにかしてはっきり見る方法はないだろうか。とりあえずブルーベリーを大量に注文することに決めた。
だがブルーベリーが届くまで待っていられない。大切なのは今なのだ。もしかしたら明日には突然クロームがロングスカートに目覚めてしまう可能性だってあるのだ。今のうちに、全力でことにあたらなければならない。
骸は目に全神経を集中させた。
もはや骸の視線は実体となり、二本の触手となってクロームのスカートの中を探っているのではないだろうか。
そう思わせるほどの骸からの熱烈な視線にクロームはとまどい顔を赤らめ体をくねらせる。
それがまたいっそう触手で局部をいじくられているようなイメージをかきたて、骸を更に興奮させた。
(触手っ、触手触手触手っ……!!)
もはやただの変態である。
心の片隅に微妙に残っていた骸の良心は地獄道を発動して触手を精製しないように必死でふんばっていた。
だが骸は触手の代わりになるようなものを作りだす力をもっていた―――畜生道である。
無意識のうちに畜生道を発動させ、クロームの局部へ小さな蛇を召喚していたのである。
蛇はうねうねと体をくねらせ局部へと入っていく。
突然あらわれた異物感にクロームは仰天するが、生来の気の弱さがクロームを我慢させた。
さすが骸が作っただけあって、クロームの良い部分を知り尽くしていて、そこへ執拗に頭を押し付けてくる。
それでもふるふる体を震わせと耐えていると二匹三匹と増えていき、ついには太い一匹となり、ところどころに小さな頭がクロームが気持よくなれる部分が当たるように生えていた。
頭はガンガン勢いよくその部分を突いていき、クロームに大きな快感を与えている。
骸と二人きりなら本当のところを話すところだが、いかんせん今この部屋には千種と犬がいる。
二人とも異常事態には気付いていないようだ。だが、もし自分が達してしまえば気付いてしまうだろう。そうなればもう顔はあわせられない。
どうしようか、と残った理性を使って考えがまとまる前に、きた。
(あ、もうダメ―――……)
そのときだった。
「…………骸様」
「は、ひぃ?え?いや、なんでしょう千種」
突然千種が読んでいた雑誌から目を離し、骸へと呼び掛ける。
異物感が消えた。おそらく骸が驚いた拍子に元に戻してしまったのだろう。元は無意識の産物だけに、消えるときは一瞬だった。
「さっきから骸様から異常な気配が感じとれるのですが」
「何をいいます千種!これは例えるなら……そう、偶像崇拝です!!女性の体とは機能といい用途といい形といい最高ではないですか!眺めるのに最適です!!」
「セクハラの正式名称が偶像崇拝だとは初めて知りました骸様」
「……クローム!千種がかわいい僕をいじめます!!」
「は、はぁ……」
ろくに答える気力もなく、クロームはぐったりとしてソファの背もたれに身をあずけた。
当面の問題としてはソファに染み込んだ愛液をどうするかだが―――今はそんなことを考える力もなく、ただただ最低限バレないようにするために、自分の座っている場所を保守し続けることだけを考えた。
どっとはらい。