ツナはパーティーを途中抜け出して、
ラルにパーティーの食べ物を持ってラルの寝室のあるフロアに来ていた。
いつもラルに夕飯を持っていく習慣でついそうしてしまったのだが。
「いらないかもしれないなー。あの人気難しいから」
とはいえ、ここまで来てしまったしなあと、持っていくか迷い始めたツナだった。
「ツナくん」
「あ、京子ちゃん」
振り向くと京子が少しさみしそうな顔をしてこちらに歩いてきた。
「それ、ラルさんに?」
「うん、つい持ってきちゃって。京子ちゃんはどうしたの?」
「せっかくお兄ちゃんの大好物も作っから、
夜食にどうかなと思って持ってきてんだけど、部屋にいなくて…」
夜食はお兄ちゃんの部屋に置いてきたけど、と
京子は兄の行方が知れないのが心配そうに眉を寄せた。
「雲雀さんのところかもしれないね。大人だけの飲み会とか言ってたし」
「あ、そうか。そうだね。ありがとうツナ君」
京子の心配げな顔がぱっと明るくなった。
「ラルも一緒かもしれないなー」
はあ、ツナは大きくため息をついた。
「私も一緒にいくから、持って行こうよ、ツナ君」
「う、うん、そうだね」
ちょっとだけ京子と二人だけになれると嬉しくなって、
ツナはラルに食事を持っていくことに決めた。
ラルの部屋の前に着くと、ラルの部屋から人の話し声がした。
声をひそめているのか、男女の声であること以外は、内容も何も聞き取れない。
(誰かと話してるの邪魔したら、あの人怒るよな…)
怒られる自分の姿を想像してビクついたツナは、
隣の京子に「来客があるみたいだから帰ろう」と言おうと顔を向けた。
「……ぁっ……」
さっき聞こえたのとは明らかに違うトーンの女の声が聞こえて、ツナはまた扉のほうを向く。
「……そこ…は…」
「…ここはどうだ…」
「……んっ…!」
ギッというベッドのパイプがきしむ音が、中からわずかに聞き取れる声に続いて聞こえた。
ラルの声は、明らかにいつもの怖さとは違う色っぽい声色だ。
(んなぁ!!! こここ、これってひょっとして…)
「どうしたの、ツナ君?」
京子に声をかけられて、必要以上にビクー!となってしまった!
「あ、ラルのところ誰か来てるみたいだから…!」
ツナは京子の手をつかんで、思いっきりかけ出した。
「ツ、ツナ君?」
(オレが悪いことしてるわけじゃないのに、何で逃げ出さなきゃなんないんだよー!)
「む、今、京子の声がしたようだが」
「いたな。沢田も一緒だ」
「あんな声をあげても、外の声を聞き取っておったのか。
…あいつらに聞かれていまいな?」
「さあな。聞かれていたとて、おまえの妹も沢田も中学生だろう。
これくらいのことはもう理解していい年頃だ」
「京子に知られるのは困る」
「だったらやめるか? オレはかまわんぞ」
「俺はもう極限いきり立ってて、今さらやめられん。
ラルももうかなり濡れているではないか」
「ふん。だったらさっさと続きをしろ」
了平はほんの少しだけ外に耳を澄まして、外に人がいないことを確認すると、
「では入れるぞ」と、ラルに挿入をはじめた。
ここからしばらく外に聞こえるほどの激しいくんずほぐれつをしていた二人だが、
幸いこれからこのフロアに近づく者はなく、バレなかったとか。
違うフロアにとりあえず落ち着くと、京子が話しかけてきた。
「ねぇツナ君。さっきラルさんの部屋に誰かいたの、
もしかしてお兄ちゃんだったのかな?」
(うわー、やっぱり聞こえてた!)
「そ、そうかもしれないね」
「何していたんだろう? なんかいつもと違ってる感じがして…」
不安そうな京子の様子に、ツナはゴクリと唾を飲み込んだ。
「きょ、京子ちゃん」
「はい」
「何してたかたぶん、オレ、わかる…かも…しれない…」
「え? ホント? 教えてツナ君」
「えっとあの…ここじゃアレだから、あんまり人の来ないところに…」
「うん、わかった」
(お、お兄さんとラルがあんなことしてるのが悪いんだからな!)
と、自分のムラムラを二人のせいにして、
二人のしていることを京子と実践しようと、
いそいそと使われてない部屋に京子を押し込むのだった。
おわり