今日はお父さんとお母さんの結婚記念日。
お祝いとして2人で二週間旅行に行くことになってので。
その間はお兄ちゃんと2人だけで生活をすることになったの。
「もう食えん、極限に腹がいっぱいだ。」
一昔の漫画みたく了平は爪楊枝をくわえて満足そうに膨れた腹を叩く。
「今日の晩飯は美味かったぞ、京子。」
「いいよ、お兄ちゃん、そう言われちゃうと照れちゃうよ。」
そう言いながら夕食を食べ終わったお皿を片付けお皿洗いを始める京子。
(もうお兄ちゃんたってそういう所をさらって言うんだから)
「京子、俺も手伝うぞ。お前ばっかり家事をやらすわけにはいかないからな」
「えっ…お兄ちゃんありがとう、それじゃあ洗ったお皿を拭いてくれる。」
「おう、極限に任された。しっかり拭くぞ。」
「もう張り切りすぎてお皿を割らないでよね。」
了平はおうと答え京子の横にある洗ったばっかりのお皿を拭く為に伸ばした手が
京子の肩に触れ、胸がドキンと高鳴った。
「あ…お…お兄ちゃん……っ…」
「…っと」
了平は京子のそんな囁く様な声は聞こえていないみたいで鼻歌を歌いながら
お皿を拭いている。
京子は了平に触れられた所がまだ熱く胸がドキン、ドキンと高鳴っていた。
「………………………………………」
京子は誰にも言われずとも分かっていた。今、自分の顔は真っ赤になっている事を
こんな感情はずっと昔に心の中に封じた想いに似ている。
了平はさっきから自分をじっと見ている京子の視線に気づいた。
「京子?どうしたのだ?さっきから人の顔をじっと見て?俺の顔に何か付いているのか?」
「ううん、違うの。」
京子は顔を横に振り否定した。
「だったらなんだって言うのだ?言いたいことがあるならはっきり言え。」
「-------……お兄ちゃん、あのね…今、好きな人とかいるの?」