中年太りしただらしない腹の下で、私は何度も嗚咽を漏らす。
加齢臭のする鼻息の荒い男の汗がベトベトと身体にへばりついて流れ落ちる。
私の濡れないアソコには大量のローションが塗りこまれて、手首には手枷。そんな状態で天井につるされる。
どんな犯罪でも許されそうな暗闇の中で鈍く光るのは玩具と注射器。
私は何も打たれてない。覚醒剤かなにかが入ってるそれを男は疲れる度に自分に打っている。
そして狂ったような奇声を上げて床に向けて何度も射精。
醜い。もういっそ心筋梗塞でも起こして死ねばいいのに。
アソコに鉄で出来たバイブを埋め込まれ、口枷をはめられ、無様に涎を零しながらも私は冷めた瞳で男を眺める。
始めは普通のセックスだった。
それがこんな変態みたいな行為に変貌したのは私が一度も声を漏らさないから。濡れないから。
普通に考えてこんなメタボおじさんに感じるわけがない。だから強制手段を取られたって訳。
「ふぁ…あっ…」
でも今だって感じている訳じゃない。
そもそもよくその歳で勃起したわね、と思う。
顔も体も皺だらけ。脂肪が重なった醜い腹。髪の毛もぜんぶ白髪。
もしかしたらアソコの毛も白くなっちゃってたりして。
ああ、つまらない。おもしろくない。何も感じない。
男だけが興奮して私の顔にだらだら涎が零れる。臭い。しね。
「おらっ、イイんだろっ!?はッ…こんな機械で感じるなんざとんだ変態だなッ」
「…あぁン、…あぁ…」
でもこれもすべて骸様のため。だから、我慢。
「お前の、その、淫乱なっ、姿にっ、俺のちんこがまた勃起してるぞっ!挿れてほしいか、ああ!?」
「あ、ああっ、挿れ…てっ」
馬鹿みたいに一人で興奮して、鼻息を荒くして涎を垂らしておいてまるで自分が絶頂を迎えさせてやってるみたいな口調。
「違うだろうがっ!頼み方も、教えたはずだっ!」
ばしん。
また頬をぶたれる。気に入らないことがあるとすぐに殴られる。
「…いれ…て下さい…っ…ご主人様っ」
口端を伝う涎をペロペロ舐め取られて私のアソコにグロテスクなペニスが挿れられる。
ローションとバイブのおかげでドロドロになっていたそこは男のモノをすんなり受け入れた。
しわくちゃだけど太くて硬い。ズンっと振動と重力が伝わる。
でも何も感じない。それでも喘ぎ声を懸命に出す。骸様と練習したもの。
「ふぁ、ああぁぁっ…んっ、ンンッ」
子供の出来ない私の体に容赦なく白濁が流れ込む。
乳房にしゃぶり付く男のヒゲが肌に当たって不快。
吸ったり噛んだり、母親の乳を吸う子供のように馬鹿みたいに必死になってる。
「もっと…あっ、足りないっ…ああっ…あ、もっと必死で…」
男の荒い鼻息は次第に小さくなり、やがて喉の奥からの呼吸は微かになっていく。
胸を揉んでいた手も徐々に力が入らなくなり、顔も胸からずり落ち、下半身の振動も止まった。
「私に溺れなさい」
その瞬間、時が止まる。
どしゃっ、と音を立てて崩れ落ちた男の体はピクリとも動かない。
手にした三叉槍を回転させ、床にコンっと打ち付ける。
これが終わりの合図。
「上出来でしたよ、クローム」
パチパチと手を叩きながら闇から抜けだすように現れたその人。
「骸様…」
「今日もお前の幻術は綺麗でしたよ」
そう言って良い子、良い子ってするみたいに頭を撫でて優しくキスしてくれる。
優しい声、優しい笑顔。
今までのこと全部ぜんぶ、無に返してくれる。
この人のためなら、私は何だって出来るわ。
今日も明日もその先も。骸様のため、私は全てを捧げる。
終わり