「あっ……ん、や、やだっ……やめ……っ、ああっ」  
否定の言葉が、喘ぎ声に掻き消される。  
きちんと着こんでいたスーツは乱され、乳房はあらわになり、スカートはそのままに  
大きく広げられた足は下着を取り払われ秘部を丸見えにさせていた。  
「ん〜かわいいねえ、クロームちゃん。処女じゃなかったのはちょっと驚いたけど」  
楽しそうに、ジュリーは腰の動きを止めることなく、クロームの顔を眺めている。  
嫌がっているのに、体は純粋に快楽を受け止め、それに飲み込まれそうになって、  
それでも必死に耐えている、淫らで健気な姿を。  
(骸様……ボス……犬……千種……)  
大切な人たちの名を心の中で呼ぶ。心の中に、その姿を思い浮かべる。  
優しい彼らはクロームを見捨てることはないだろう。  
きっと敵に連れ去られた自分を助けようとしてくれているだろう。  
でも今すぐには無理だ。  
綱吉たちがここに向かっているとしても、すぐには辿り着けないだろう。  
そして骸は今、幻覚を出せないのだ。  
骸は、クロームが十年後に飛ばされて行方不明になっていた時、  
必死になって探していてくれたらしい。  
しかしそのせいで力のほとんどを消耗してしまったのだ。  
「んんっ……クロームちゃん、いいよいいよ、最高っ……!」  
「あ、ああっん」  
腰を振っていたジュリーが動きを止めて息をつめて、クロームの中へと精液を吐き出す  
 
。  
もちろんゴムなどつけていない。生ぬるい感触が、胎内に広がる。  
(平気……こんなこと、別に平気だから)  
自分に覆いかぶさる男をぼんやりと見つめながら、自分に言い聞かせる。  
本来、シモンファミリーはボンゴレを潰すことだけを目的としていて、  
クロームを浚う気はなかったらしい。これはジュリーの勝手な単独行動だ。  
それでも、ジュリーも他のメンバーも、少なくとも今はクロームを殺したりする気はな  
 
いようだ。  
それならこれはチャンスでもある。  
本来なら、逃げた敵を探さなければいけないところを、クロームは最初からその内部に  
 
いるのだ。  
隙を見つけて内部の秘密や弱点を探るか、何か破壊活動を行うチャンスがあるのだ。  
だから、こんな、レイプくらいで傷ついている暇などないのだ。  
 
(だって、今までだって、何人にも)  
クロームは処女ではない。それどころか、たくさんの人数と経験がある。  
そのどれも、自分で望んでのことは一度もないけれど。  
一番初めは義父だった。  
それから、学校でいじめの一環として、女子に焚きつけられた男子に  
輪姦されたこともある。  
家にも学校にもどこにも居場所がなくて、夜の街をさまよっていて、  
声をかけてきた男たちにホテルに連れ込まれたこともある。  
けれど別にどうでもよかった。  
自分なんて生きている価値がない、どうなったっていいと思っていた。  
骸に出会い、ボンゴレのみんなに出会うまでは。  
骸に出会ってから、クロームは誰にも体を許していなかった。  
(骸様……)  
クロームの瞳に、じわりと涙がにじむ。  
この汚れた体を、事故で不完全になった体を、骸が厭うことはなかった。  
ただ、大事にしなさいと、優しく諭された。  
綱吉たちと共にいて、仲間のあたたかさを知った。  
京子やハルと一緒にいて、夢を見た。  
彼女たちは恋に恋する乙女で、セックスどころかキスすらまだで、  
好きな相手とのデートを夢見たり、ファーストキスのシチュエーションを  
かわいらしく頬を染めながら夢想したりしていた。  
クロームは、そんなものとっくに失っていたけれど。  
それでも、いつか誰かに──できれば、いつか水牢を出た実体の骸に、  
この体を捧げられたらいいと思った。  
彼女たちと一緒に、普通の少女のような、淡い夢を見るようになっていた。  
「クロームちゃん。セックスの最中に、他のこと考えるなんていけないねえ」  
すでに一度射精しているのに、まだクロームの胎内に入れたままの固いものを、  
ジュリーは抉るように動かす。  
「ああっ!」  
その刺激に、クロームの体が大きく跳ねる。  
大勢の男たちに明け渡してきた体は、快楽に従順だ。  
(今は……)  
今は、夢を見ている時ではない。  
現実的にクロームに出来ることを考えなければいけない。  
差し当たっては、この男を満足させるまで、従順に従うことだろう。  
下手に抵抗して、拘束されたり怪我をさせられたりしたら、内部工作もできなくなる。  
目を閉じて、足を開いて、心を空っぽにしていれば、そのうち終わる。  
今までと同じだ。何も変わらない。  
そんなクロームの心情に気付いているのか、ジュリーはますます楽しげに笑う。  
「くくく、健気だねえ。俺そういうの本当に好きだよ。──そういうのを、壊すのが」  
「あっ、ああっ、やあん」  
また激しく腰を動かされ、クロームは自分の意思に反して喘がされる。  
心を空っぽにすればいい──そう思っても、あのころと違い、一度満たされた心は  
簡単には空っぽになってくれない。  
(平気、私はこんなこと、平気だから……)  
そう何度も自分に言い聞かせるのに、揺らされるたびに、  
左目からこぼれる涙を止めることができなかった。  
 
 
終わり  
 
 

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