その場所は、まさに死屍累々という表現が相応しかった。  
ボンゴレの霧の力とシモンの砂漠の力、そして六道骸の肉体を得たD・スペードは彼が口にした通り、  
この場に居る誰よりも桁違いに強かった。  
今、この場で息をしているのは、勝ち誇った笑みを浮かべているスペードと、未だスペードの  
マインドコントロール下にあるクロームと、沢田綱吉の三人ばかりだった。戦いの結果は誰の目にも明白だった。  
スペードの前になす術もなく大切な仲間を全て失った綱吉は、もはやなけなしの死ぬ気の覚悟を振り絞る気力すら  
持ち合わせてはいなかった。  
「その様子では、体力の限界、というよりも心が折れましたか。情けない」  
やれやれと呆れた様子で嘆息するスペードのその手には、血に濡れた鎌が握られている。心身共に力尽きた綱吉は、  
情けなくも地面に座り込み、ただ呆然とそれを見つめていた。  
「ボンゴレ十代目、沢田綱吉。君には最期に役にたってもらいましょう。私の作り上げるボンゴレの未来のために。  
クローム」  
呼ばれて抵抗もなくクロームがスペードの背後から歩み出た。スペードのマインドコントロールは  
彼女の心身を深く蝕んでおり、もはや自力で打ち破れるものではなかった。  
「クローム……」  
彼女の目が覚めないかと一抹の希望を込めて名を呼ぶが、たったそれっぽっちのきっかけでマインドコントロールが  
解けることは無かった。  
そのまま綱吉へとクロームは歩み寄る。一体何をさせるつもりなのかと綱吉が訝しげな顔を浮かべたその目の前で、  
おもむろにクロームは下着を脱ぎ捨てた。  
「なに、するんだよ……」  
困惑して身構える綱吉に、まだわからないのか、と馬鹿にするようにスペードは笑った。  
「別にお前の父親でも良いんですがね。ボンゴレプリーモ直系の血だ。折角ならば若い方がより良いというもの」  
スペードが語るうちにもクロームは、座り込んでいる綱吉のズボンに手をかけた。  
「なっ……!?」  
綱吉が驚きに抵抗をすることもできないうちに、クロームは淡々とズボンの前をくつろげ、下着の中から、  
まだ萎えたままの綱吉自身を探り出した。そして、はむ、と何のためらいもなく、そのまま口に咥える。  
「……っ、ちょ!」  
突然の温かく湿った感触。それに敏感な場所がすっぽりと包まれてしまっている。  
初めて口の中に含まれた感覚に、は、と思わず息が漏れた。  
(う、わ、きもちいい……)  
手で触れるのとはまた違った快感は、初めて味わうものだった。  
クロームの口淫は技巧的には決して上手いものではないのだが、ほとんど性経験のない綱吉にとっては、  
口に含まれただけでも自慰とは全く異なる未知の感覚に、十分に理性の存在を忘れさせられてしまう。  
「……っあ」  
奥歯をぐっと噛みしめるが、それでも殺しきれない声が少し漏れた。  
 
クロームの口の中に含まれて、ざらりとした舌で根元から丁寧に舐められてしまえば、綱吉のそれはあっさりと  
固く屹立してしまう。  
裏筋を優しく舌でなぞりあげられ、先の方をくりくりとほじるように舐められるのが、ぞくぞくして気持ちいい。  
吸われるのも気持ちがよかった。自分で擦る時には絶対にできない、それこそ初めての感覚だ。  
クロームの口が窄められるのも一緒に見ていると、そのまま何か出してしまいたい欲求にかられる。  
初めて味わう口でされる快感に、ずっとこのままこうしてもらえたら良いのに、と頭の片隅で考える。  
けれどもそれは長くは続かなかった。  
「もう良いでしょう。さあ、クローム」  
スペードの言葉にクロームは口淫を止め、綱吉から顔を離した。  
「え……」  
これで終わりなのかと、思わず名残惜しい顔をしてクロームを見てしまう。  
その股間には唾液に濡れたものがしっかりそそり立っていた。この状態のままで自力で射精して終わることはできず、  
かといってすぐに萎えるとも言えない状態。これで放置されてしまうのは流石に辛いところだ。  
と、一度は離れたクロームが綱吉の上に馬乗りになった。  
「なに……?」  
不審気に彼女を見る綱吉をよそに、クロームは誰にでもできる作業をこなすような何気なさで綱吉の雄に手を添えると、  
そのまま腰を落とし、自分の秘所へとそれを挿入していく。  
つぷ、とクロームの中に綱吉が飲みこまれていく。  
まだ十分に潤っていないそこは、若干の抵抗はありつつも、ゆっくりと腰を下す動きと共に確実に綱吉を飲みこんでいく。  
「……っ……ぇ」  
感情と思考の一切を操られていても、感覚だけはまだいくらか残っているようで、挿入にそれなりの痛みを伴っているらしい。  
クロームは無表情な中でも少し辛そうに眉を寄せていた。が、飲みこまれる側の綱吉にその様子に気づく余裕などなかった。  
体が痛みを訴えていても、クロームの無理やりの挿入は止まらない。くち、と根元まで飲みこんだ後で、破瓜の血か、  
白い腿に一筋の赤が伝った。  
「は……う、ぁ……なに、これ」  
初めて味わう膣の感覚に戸惑う綱吉をよそに、クロームはゆっくりと腰を上下させはじめた。  
先ほど口に含まれた時以上に柔らかくて熱い場所に包まれて、何が起きているのかよく理解が追いつかない。  
ただはっきりとわかるのは、これがとても気持ちの良いことで、腰を動かされる度、その中に何かを出してしまいたい  
欲求が高まっていくことだけだった。  
スペードが見ているのもすっかり忘れ、綱吉はただ快感を得ることだけに必死になっていた。  
 
いつしかクロームの口からも、は、は、と荒い呼吸が聞こえ始めていた。  
(クロームも、きもちいい、のかな……)  
ひっきりなしの快感に霞がかった頭で、ぼんやりとそんな事を考える。  
そのうちに繋がった部分から、ぬちくちと卑猥な水音が響くようになった。  
時折、きゅんっと柔らかく締めつける粘膜の動きに息が止まりそうな射精感を覚え、何度も必死で堪えた。  
何の準備も無いままに女の子の中に出してしまったら子供ができてしまうのだと、いつか保健体育の授業で教師が  
言っていた。その記憶がとてつもなく強烈な誘惑を必死で思いとどまらせる。  
だが若い盛りで性経験の浅い綱吉に、そんな我慢比べがいつまでもできるわけもなかった。  
「ああ、でも、もう、むりっ!」  
限界に張り詰めた綱吉の雄は、とにかくクロームの中に全部を出してしまいたがっていた。  
(出したい……イキ、たい)  
その欲求につられ、綱吉も無意識のうちに腰を激しく突きあげ、柔らかなクロームの内奥を蹂躙するのに必死になっていた。  
どこを突いても肉は柔らかくて、熱くて、濡れていて、それでいて綱吉をしっかりと咥えて離さない。  
このまま繋がっていたならば、きっともっと気持ちのいい事が待っているよ、と本能が教えている。  
その期待に後先も考えられず興奮してしまう。  
つ、とクロームの左目から涙が一筋こぼれた。  
それは生理的なものがもたらしたのか、それともスペードに抵抗をしようとするクロームの意識の欠片が流した涙だったのか。  
どちらが正しく、あるいはどちらも正しくないのかは、誰にもわからなかった。  
ぞくぞくっと悪寒にも似た快感の波が背中から脳天へと駆け上がって来る。これを堪えることなど頭には浮かばない。  
限界だった。  
「……で、る、っく……!」  
初めての強烈な射精感に従い、綱吉は体を震わせながらクロームの中へと遠慮もなく夢中で精液を吐き出した。  
クロームの襞もそれにあわせ、自分の中に吐き出される綱吉の精液を最後の一滴まで絞り取ろうと、きつく締めつけた。  
あえかな声が零れたのはどちらのものだったのか。  
自慰の時よりも更に強い射精の快感は、いつまでも味わっていたいくらいにたまらなく綱吉を魅了した。  
頭が真っ白になって、他にもう何もまともに考えられない。  
浅い呼吸を繰り返していると、ゆっくりとクロームが腰を上げ、綱吉から離れる。己を包み込んでいた温かいものが  
去ってしまった後、外気の冷たさにぶるりと震える。  
萎えた自身を晒した間抜けな格好のまま、気づけばいつの間にかクロームの背後にまわったスペードの姿があった。  
「まったく、この娘もここまで役に立つとは思いませんでしたよ。愚かな十代目ではありましたが、この娘を守護者に  
引き入れていた事に関しては褒めてやっても良いでしょうね」  
スペードの血に濡れた手が、クロームの背後からその腹を愛おしげに撫でる。その顔は喜びに満ちていた。  
「安心しなさい、沢田綱吉。お前の子種はこの娘の腹の中で大事に育ててあげましょう」  
彼が求めたのは、次代のボンゴレとなるべき生命を紡ぐ糧――即ち、綱吉の精子だけだ。それさえ手に入れば、  
もはやスペードにとって綱吉の存在など何の価値も持たない。手にした鎌の切っ先が迷うことなく綱吉に向けられる。  
「さあ、これで次代のボンゴレが始まる……!」  
歓喜に沸くスペードの高笑いを遠く聞きながら、綱吉は吐精後の脱力感と共に深い絶望の淵でただ打ちひしがれるしかなかった。  
 
 
 

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