「あり・・・?」
あ、また変な感じだ。
いきなり景色が、変わっちゃうみたいな。
自分ごと、どっかに移動してるみたいな。
さっきまで、留守番してたはずなのに。
目の前にいるのは、黒い制服を着てる男の子。
なんか、ちょっと笑ってる。
誰だろう、この人。
「どちらさまですか?」
「え?」
少し驚いた顔をする男の子。
それにしてもかっこいいなぁ
タイプかも・・・なんちゃって。
「君・・・知らないの?僕のこと」
「え・・・はい」
あり?なんか私を知ってるみたいな感じだなぁ
でもわかんないし。
「イーピンだよね?」
「そうですけど・・・あなたは?」
なんで名前も知ってるんだろう。
もしかして私、すごい失礼?
「僕は・・・」
彼は言いよどんだ。
自嘲的な笑み
やだ そんな顔 しないで
「あの・・・」
私は、彼に何か言おうとした。
「僕は、君が」
彼は、私より先に何かを言おうとしていて、
気がついたら、来々軒の店内。
「・・・あ・・・」
誰もいない、テレビの音だけが聞こえていて
それより、今の・・・
何言おうとしてたんだろう
なんで、こんなに胸が痛いのかな
少年は、再び自分の元に帰って来た子供の頬を撫でていた。
気持ち良さそうに眠っている。
「まさか・・・忘れてるとはね・・・」
ランボから奪ったバズーカを見る。
「・・・呼ばなきゃよかった」
あんな顔、されるくらいなら。
寝ているイーピンの隣に自分も横になって、
右腕でイーピンをゆるく抱いて、
眠くないけど、目を閉じた。