うちのボスは、とても馬鹿で間抜けな人。  
騒がしくて、  
やかましくて、  
お調子者で、  
貧弱で、  
品性ゼロで、  
もしファミリーのじゃなきゃ絶対に、絶対に殺してた。  
と思う。  
 
今日も私は本を読む。童話は好き、汚いものやら何やらは一切描写されていないから。  
冬の図書館は満員で、すこし居心地が悪い。  
温かい暖房目当てに来る生徒たちがやかましいのだ。  
私はグリム童話のページをめくるのをやめ、窓の外を眺めた。  
 
「沢田ちゃーん!いいでしょいいでしょ、ねっ、一生のお願い!」  
中庭に、ロンシャンと…ボンゴレファミリーのボス候補がなにやら談話している。  
一階にある図書館の窓際からは結構近くて、私の姿がみえたらどうしようとなぜか一瞬焦った。  
 
アジト以外でロンシャンと話すのは苦手だった。  
アジトでいるときは、ファミリーの一員…家族として打ち解けられたが、  
学校でいるときはなんだか遠くに感じる。  
私はこっそりと中腰で立ち上がり、エンジ色のカーテンを閉めようとした。  
 
「あ!パンテーラーっ!そこにいたのーおいでよおいでよ、沢田ちゃんも一緒だよ!」  
しまった。見つかった。  
私の服装はやはり目立つらしく、隠密には向かない。  
間近に寄ってきたロンシャンとボンゴレのボスが、こっちを見て手を振る。  
「えっと…ファミリーの仲間だよね、どーも…」  
ボンゴレのボスはおどおどとした喋り方が、ロンシャンとは正反対だった。  
特に話すこともなく、私はふたたびカーテンに手を伸ばす。  
「えーーーっ待ってよパンテーラ!なんで閉めんの、ストップストップ!」  
(アジトに着いたら、昨日イタリアから届いたタルトを食べさせてあげるから)  
心の中で返事した。  
 
パンテーラ!  
パンテーラってば!  
 
窓越しに何度か呼ばれたが、本に並んだ文字に目を落とした。  
キライなわけじゃない。いや、むしろ、好き?  
でも、私とロンシャンはあまりにも違いすぎた。  
外で一緒にいると、なぜかみじめな気持ちになった。  
 
しばらくすると声は止み、帰宅したのだろうと予想した。  
(四時か…)  
もう帰ろう。  
帰ってマフィア通販で買った苺タルトを食べよう、そう思って本を戸棚に戻した。  
イタリアのカフェで二人で食べた(その時マングスタたちはアジトの屋根を貼ってた)タルト。  
あの時に食べたタルトは格別で、日本に来てからもたまに極秘ルートで郵送してもらっている。  
十二月の寒空はにごった灰色で、今にも泣き出しそうに見えた。  
これ以上体が冷えぬよう、足早にアジトに向かう。  
今日の夕飯は何だろう?マングスタの奴、また妙な料理を出してきたら殺してやる。  
何組か下校中のカップルを見たが、今日はいらいらしなかった。  
 
ガララ…  
引き戸を開くと、何やら居間のほうが騒がしかった。いつものことだけど。  
また内乱もどきかな、そんなくらいに軽く考えローファーを脱ぐ。  
 
「あーーっパンテーラ!おかえりおかえりー寒かったでしょ!」  
こっくり、頷く。  
「今ねーお客さん来てるんだよね!パンテーラもあとで居間に来なよーじゃね!」  
そう言うと、ロンシャンは両手をぶんぶん振り回しながら居間に戻った。  
お客?  
何だろう…ボンゴレのボス?あのまま遊びに寄ったのかもしれない。  
とにかく先に制服を着替えることにし、自室への渡り廊下に足を運ぶ  
 
「うっまーーー!なにこれなにこれ!」  
嫌な予感が走った。  
「まゆまゆ、これ超!おいしーーーねー」  
まゆまゆ?ボンゴレが来てるんじゃない、の?私は踵を返し、足早に居間に駆けた。  
 
「あっパンテーラ!このお菓子おいしーーーんだよ食べてみ食べてみ!」  
洋菓子の入った白い箱が、テーブルの上に広げられていた。いちごの甘いにおいが充満している。  
ロンシャンの横には、奇妙な…女の子。二人で食べるはずだったそれは、もうひとつしか残っていない。  
別に、取り寄せようと思ったらいつでも取り寄せれるんだけどね  
胃のあたりに苛立ちが込み上げる。  
 
「部下の誰かが買ってきて、置いてたみたいなんですよね、」  
マングスタの声も耳に入ってこなかった。  
 
「あっ、紹介しよーか?しちゃいましょーか??この子ね、新しい彼女のまゆまゆ!超かわいーでしょーーーっかー照れるね!」  
貧弱なロンシャンよりも貧相なその子は、始終パントマイムを披露していた。  
いつも開けっ放しの居間の引き戸を乱暴に閉めたせいで、がしゃん!と乱暴な音が響く。  
あまりの大きな音に自分でびっくりしたが、私は振り返らずに自室へ走った。  
 
・  
・  
・  
 
「パンテーラ!寝た?寝ちゃった?」  
まだ九時よ、寝てるわけないでしょ  
「なんか怒ってんの?」  
ロンシャン自身は小声のつもりだろうが、実際、結構大きい。寝ている人間に話しかけるような声音じゃない。  
「ごめん」  
分かってないくせに。  
「ごめんね」  
うるさいうるさいうるさい  
 
「お邪魔しまーす」  
(!?)  
布団を捲られ、ネグリジェ越しに冷たい空気が私をくすぐった。  
壁際に向かって寝ているせいで、お互いの顔は見えていない…けど  
一体何をしようとしているのか。変な汗がひとつぶ、手の中を伝う。  
(もしも変なことをしてきたら 今日こそ息の根を止めてやるんだから)  
今日も誓った。  
 
何も返事を返さないパンテーラ。寝ているのだろうか?さっきは妙に機嫌が悪かったし。  
普段からめったに、めったに返事を返さない彼女のことだから、ほんとうに寝ているのかどうかは定かではない。  
 
(寝てんのかなーー起きてんのかな)  
パンテーラはよく分からない女の子だった。  
いつもお姫様みたいな格好をしているくせに、何かあれば風車を敵に向かって投げつける。  
おしとやかじゃないなとは思ったが、ロンシャンが女の子に振られたときにパンテーラはいつも慰めてくれた。  
それはいつも、夜中だった。  
人前では絶対に慰めてはくれなかったが、  
夜にファミリー全員が寝静まった頃にパンテーラは必ず俺の部屋に来て 頭を撫でてくれるのを俺は知っていた  
寝たふりをしていたけれど。  
 
(さむいなーーー風邪ひーちゃうよパンテーラ)  
暖房すら付けていない室内は冷え切っている。布団を被っているとはいえ、パンテーラのネグリジェは至極寒そうに見えた。  
(…寒そう)  
暖めてやりたいと思った。  
嘘だった。  
布団の中はあたたかそうだったので、本能的に入りたくなった。  
 
「お邪魔しまーす」  
普段ならこんなことしたら、きっと怒る。風車が無数に飛び、体中穴だらけにされるだろう…  
黙ってるってことは、こりゃー寝てるな!ロンシャンはそう思った。  
 
布団の中は思ったとおり暖かくて、こたつみたいだ。  
風呂あがりなのか、シャンプーかなにかの匂いがふわりと香り、  
ふと、女の子であることを感じた。  
なんでこんな女の子がマフィアとして戦ってるんだろーとも思った。か細い肉付きの肩周り。  
(なんかかわいーな、かわいーパンテーラ)  
無性に目の前の少女がかわいらしく思え、腕を両肩に回した。彼女がいるのにする行為じゃないが、特に悪気はない。  
抱きしめるくらい全然OK、このまえ獄ちゃんに首絞められたのといっしょ、そう思った。  
 
パンテーラの肩は折れそうに細くて、近くに寄れば寄るほどにほのかに微香が舞う。  
ひとつぶの豆電球が、彼女の髪をつやつやと光らせている。そっとてのひらで撫でた。  
いつも彼女が自分を慰めてくれた時のように。手入れの行き届いた髪が、ロンシャンの手を燻る。  
 
「勃っちったかも」  
所為なさげな声が耳元に掛かり、パンテーラは今にも飛び起きそうになった。  
 
(勃った?いま、勃ったって言ったの?)  
耳を疑ったが、先ほどから太股の裏の部分になにか 熱く固いものを感じていた。  
あのパントマイムの『彼女』はどうする気?いや、彼女がいないならしてもいいってわけじゃないけれど!  
寝たふりをやめるべきかどうするべきか、本気で迷った。  
そんな深刻なパンテーラの心情をよそに、ロンシャンはいたってマイペースである。  
 
「パンテーラ!おきて、たいへんたいへん」  
何だと言うんだこの男は。  
でもこれで寝たふり(演技にも限界が来ていた)をしなくてすむ。  
今起きたような表情を見せ、上半身を起こした。  
心臓が悲鳴をあげている。今日にかぎって、こんな薄めの生地のネグリジェを着るんじゃなかったと思った。  
直に伝わるのだ、その滾った肉欲が、太股に!  
 
「ごめんパンテーラ」「?」  
珍しく真面目な表情の彼だが、しがみついたままの体からは今だに熱が篭っている。  
「俺、彼女できたとこなのに、」「…?」  
「パンテーラとセックスしたいっておもった」「!!」  
ストレートすぎる言葉にくらくらする。首の血管がちぎれそうだ、恥ずかしさのあまりに。  
 
嫌いじゃない むしろたぶんきっと好き。  
でも、こんなのってどうだろう?今さっき、彼女がいるって言ってたのに。  
「パンテーラ、は?」  
「?」  
「俺のこと、やっぱ、うざいと思う?」  
(思う。すごく。でも嫌いでもないと思う)  
 
しばらくの沈黙。  
黙ったまま私にしがみつく彼を、子供みたいだと思った。  
このまま拒絶したら 彼はどうするんだろう。  
一人で泣くのだろうか?人前では決して泣かない彼だから。  
すこしだけ不憫に思った。  
 
寝返りをうち、ロンシャンの肩に腕を添わせる  
彼に抱きつかれたことは何度かあったが、自分から抱きつくなんてことは初めてだった。  
服越しにも分かるスレンダー、いや貧相な体は、抱きしめるとますます細身であることが分かる。  
このひとはこの先、ほんとうにマフィアとしてやっていけるのだろうかと心配になるくらいに。  
 
「パパパパンテーラ!」  
「…うるさいっ」  
もしこんな所をマングスタに見られたら…マングスタは心臓発作で死ぬだろう。  
軽く、首を絞めるとちいさな呻き声が漏れた。  
 
パンテーラから抱きしめられたことで、ロンシャンのテンションは上がりっぱなしだった。  
まさか!OKしてもらえるなんて!  
声を張り上げたかったが、首を絞められているせいで声帯は閉じきっている。  
豆電球だけが二人を照らす薄暗い室内だが、パンテーラの高潮した頬ははっきりと見えた 気がした。  
 
パンテーラ、  
 
やっとの思いで開放された喉元から小声で呼ぶ。  
返事はなにも返ってこなかったが、黒い前髪のむこうで瞳がちらちらと迂回し、会釈している。  
 
「ん」  
無意識に半開きだったロンシャンの唇を、ちいさめの舌が触れては濡らす  
空気に触れていたロンシャンの舌は、冷たく乾いていた。  
まんべんなく舌周りを舐め、少しずつ熱さを取り戻してゆくそれ。  
キス、というより愛撫に近いそれは至極心地よい…  
普段控えめなほうの彼女からのキスに、再び下半身に血が溜まるのを熱く感じた。  
 
「…甘い」  
「さっき食べたお菓子のあじかも」  
できるだけ小声で話す。  
こんなにも気遣って、繊細な口ぶりで話すロンシャンが珍しいのかパンテーラは目を細めた。  
「…さっきのタルト、二人で食べようと思ってたのよ、」  
拗ねたように外される視線  
「…うソっ」  
裏返った小さな声は首を絞められた鶏みたいだ。  
「…本当」  
 
くっついたままの体を離し、ベッドの上 あたふたと謝罪の言葉を試行錯誤するロンシャン。  
薄ぼんやりとした影のなかで、彼がどんなに純粋な人なのか痛いくらいに分かった。(もっとも前から知っていたけれど)  
ふと目をやると、先ほどまでいきり立っていた自身は僅かながら、膨らみを落としていっているような気がする…  
 
「わっ」  
(覚まさないで、そのまま掻き抱いて)  
再び抱きつかれた衝撃に呻くロンシャン。  
きっと女慣れ・男慣れしている人が見たらきっと『なんて不器用でまぬけな二人だ』、と思うだろう。  
 
ジイイ…  
パンテーラの蝋燭みたいな白くて細いゆびが、ロンシャンの革製のズボンに伸びる。  
ゆっくりと、しかし焦っているように下りてゆく指先。  
(熱が冷めないうちに私を抱いてほしい)などと彼女が焦り思っているとは、毛頭思いつかないだろう…  
皮膚を通しては一切触れ合っていないのに、ふたりの息遣いはもう熱を持っている。  
ロンシャンに至っては既に肩を上下させていた。  
 
(そんな調子でよくいままで、女の子と付き合えたわね)  
嫉妬。パンテーラは心の中で毒づいた。  
しかし今はそんな彼も自分だけのものだ。  
優越感で体中がいっぱいになる。  
 
「あ…」  
「…パンテーラ」  
 
滾った男性器ごとそぎ下ろすように脱がせた下着からは、  
独特の芳香をたてるその、男性器。  
はじめて目の当たりにするペニス、ずっと欲しかった?好き?かもしれない、彼の…一部。  
自分で脱がせたにも関わらず、パンテーラの頬はますます赤みを増した。  
ロンシャンもロンシャンで高潮している。  
そりゃそうだ、勃起したそれをじろじろと穴の開くほど見つめられているのだから。  
 
「パンテーラ…?」  
「ハッ えっ?」  
意識がすこし飛んでいた  
「嫌だったらいいんだけど、いーんだけど…なな、なめて?」  
 
舐める?これを!  
もういちど睨めっこしたその肉棒の先端からは、シロップみたいな液が滲んでいる。  
見た目は甘そうにも見えたが物理的に考えて しょっぱいか苦いかのどちらかなのだろうな  
そんなことを思いながら二言返事で先端に口付ける。  
彼の主導権を握れる それが嬉しかった。  
(…苦い)  
尿道から漏れ出てくるその粘液は、くちのなかでネットリと粘って心地が悪い。  
しかも苦かった。  
これが好きな人の分泌物でなかったら、二度と、一生口にしないだろう。  
 
離した口内をもういちど、ペニスに被せる。  
ヌチ、  
パンテーラの唾液とロンシャンの粘液を借り、すこしの重みで滑るように入り込んでくるそれ  
愛しかった。自分のされるがままになっている、彼が。  
 
「あー…あったか…ちょうきもひいー」  
両脚を開き、身を任せきっている格好で彼が嗚咽を漏らす。  
「う」  
「…?」  
「でそう」  
飲みたい、飲んでやる。そう思い吸い付く口内から引き抜き様にロンシャンは言う  
「今度はパンテーラの番ね!さーいっちゃいましょー」  
言い終わるや否や、後ろ向きに押し倒されたパンテーラの視界には天井しか映っていなかった。  
 
かわいいパンテーラ!  
やさしくて、やさしくて。温かいパンテーラ。  
 
よく射精せずに持ったものだがロンシャンはいま、彼女を愛撫したくてたまらなかった。  
けして、パンテーラの初めてのフェラチオがいまいちだったとか、そんなんじゃない。絶対。  
 
自らのペニスの根元をぐっと押さえ、自ずと虚勢するように深く息を吐く。  
そしてすぐさま目の前の少女に手をかけた  
ひらひらのレースやリボンで装飾されたネグリジェを乱暴に剥ぐ。  
決して急いでいるわけではなかった。どの紐をひっぱれば脱がせられるのか分からなかったのだ。  
肌を晒す恥ずかしさのあまりに藻掻くパンテーラの頭をぽんぽんと叩きあやす。  
白いネグリジェは高価な生地のようで、ものすごく手触りがいい…  
が、パンテーラの肌は比べ物にならないくらいに柔らかく、温かかった。  
「…すべすべーましゅまろみたい」  
「…」  
ネグリジェの下は薄いピンク色の下着で、それもやはり彼女らしいフリルのついたものだ。  
ふっくらと膨らんだ両房を包むそれを外そうとするも、思うように取れてくれない。  
見かねたようにパンテーラが手を添え、前付きのホックを外す  
前髪のせいで表情こそ見えていないが、当然彼女も緊張しているらしく 手の平は熱っぽくしっとりとと汗を浮かせていた。  
 
日に晒すことのない胸はまっしろで、イタリアのクリスマス、ふたりで作った雪玉の雪みたいだと思った。  
たしかあのときも、俺は彼女にふられてパンテーラに慰めてもらったような気がする…  
ふと思い出すことは、あまくやさしい想い出ばかりである。  
 
さくら色の乳首は寒さのせいなのか、それとも興奮しているせいなのか固く勃ち、ロンシャンの愛撫を急かし待つようにみえた。  
所為なさげに主張するその突起が愛しくて、唇で噛むようにかたほうを口に納めた。  
「…ぅ」  
(あーーー感じてんの?かんじてんのパンテーラ?)  
部下の少女の仕草が、声が、マフィアのボスの性勢を駆り立たせて行く。  
 
ろくな性経験を積んでないロンシャンの愛撫は、あまり高いレベルだとは言えない。  
しかし、それでも感じ喘ぐ少女の姿に彼は魅入っていた。  
溶けそうなほどに柔らかくも張りのある乳房  
愛らしくしどけない乳首  
散々舐め廻し、すっかり息の上がったロンシャンが唇を離すと、  
勃起しきったそれは唾液に濡れ、暗闇で淫猥な光を帯びていた。  
 
「ごめん、しゃぶりすぎちった…ちょっと赤くなってる、ちくび」  
しっとりと上気した肌に覆いかぶさり、その突起を優しく指の腹で撫でる。  
「いたい?」  
「…っ」  
はあはあと息を乱す様子。こんなの、戦いの最中だってなかなかお目にかかれない。  
 
濡れていた。  
はしたないほどに 私のそこは。  
セックスなんて未経験だし、そういうのには疎いほうだと思っていた。思い込んでいた。  
 
(欲しい…挿れてほしい、はやく)  
 
レディ失格 こんなことを思うなんて。  
娼婦もいいところね、そう自分を罵りつつも少年の(不器用な)愛撫によってパンテーラは濡れ欲していた  
ロンシャン自身を。  
 
「…れて」  
腹から搾り出すような声。うめき声に近かったかもしれない。  
今日の私はちょっとしゃべり過ぎ しかもこんな下品な事。  
脳裏には反省の言葉でいっぱい、しかし身体はじくじくと疼き、今か今かと待ちわびている。  
どくんどくんと心臓がチャイムのように高鳴り、挿入の瞬間を急かし続けていた。  
「レテ?」  
「いれて、おねがい、はやく」  
胸を上下させる息で、言葉がとぎれとぎれになった。  
こんな卑猥な部下を、ボスはどう思うだろう?  
レディは待つものだ 自ら欲するなんて在り得ない、そう思っているのに!  
 
「えっでも舐めてないよーパンテーラのおまん」「おねがい!」  
待っていられないの、貴方はいつもいつもマイペースだから。  
彼の言葉を遮ったのははじめてだった。  
惨めな自分に、情けなくて涙が零れる。  
きっと今の私は、みっともなくて無様で、隣に置くのも嫌になるくらい不細工なのだろう。  
さすがに自分が上になって挿入するのは恐くて、ただただ熟れた秘部をロンシャンのそこに当てがった。  
 
彼女がいるのにパンテーラを押し倒してしまった。  
だから、せめていっしょうけんめい愛撫に時間をかけようと思ったのだ、が。  
まさか早くしてと泣かれるとは思っていなかった。  
やっぱり女の子はよく分からんなーーーと思いつつ、嬉しかったりもする。  
さきほど不発だったロンシャンの性器は赤く膨れ上がり、雄欲が込み上げていた。  
 
ヌチ、  
先端を膣口に当てがっただけで、脳みそに刺激が走る。  
「いれるよ、パンテーラ」  
ズ、チッ…  
「い…ぅ…」  
カリを埋めただけで苦しそうに漏れる、彼女の嗚咽。  
小さな小さな秘穴は、亀頭を咥えただけで精一杯のようだ。  
(せっかちだなーパンテーラは、だからもっと舐めてあげるってゆったのに。おまんことか、おまんことか)  
そんな思考を押しのけるように、ロンシャンのそれを熱された快感が飲み込む。  
 
ヌ、プッ  
「んぁ…!!」  
「一気に、いいから…!」  
反動を付けて打ち付けたパンテーラの秘部に、すっかり飲み込まれてしまったそれ。  
もう一擦りもされたらイってしまいそうだ。  
彼女の中は、燃え盛るように熱くてとろけそうに柔らかかった。  
 
ぱちん、ぱちん、  
優しく打つ腰に、二人のそこは衝突するたびに弾ける音を鳴らした。  
 
実際、きもちよくはない。  
はっきり言ってグロテスクな肉棒が、己の割れ目に出たり入ったりしているのが見えている  
…あと、彼の恍惚としていてどこか雄雄しい表情も。  
ロンシャンのそれは決して逞しいほどではないのだが、処女であったパンテーラの膣内は一突きされるだけでいっぱいになった  
くん、とペニスの先端が奥壁を突付くたびに、内部から愛液が零れてはシーツを汚す。  
数回腰を揺すって行為を促すと 彼のほうからも求めるように部位をえぐり始めた。  
 
チュッ、クプッ、  
「うっ、う゛、ふぅっ…」  
猥音と一緒に私から漏れる声は、快感によるものではなかった。  
声をひり出して呼吸でもしないと、身体が裂けてしまうかと思うくらいの痛み  
しかしその擦れた声にすらも欲情するように、ロンシャンは愛動を繰り返す。  
 
互いの愛液を存分に絡めたせいか、次第にペニスは奥へ 奥へと浸入してくる。  
根元まで押し込み、そしてまた根元まで引き抜く…  
飽くことなく続くその動作に、内臓すべてに響いていた痛みも少しずつ麻痺し  
彼の動きにあわせるようにパンテーラもまた、身体を添わせた。  
 
「パンテーラ…いい、すっごい…いっ」  
「あっ、あ、あ、」  
開いたロンシャンの口から、よだれがぽたりと零れて私の胸元に点を付けたのでふと我に返ると、  
自分の口端からも唾液が垂れ、顎まで細い線を残していることに気付いた。  
しかしもうそんな事など気にもならない。  
綺麗にカールしていた髪もすっかり乱れきり、汗で額やら頬に張り付いて鬱陶しかった。  
 
夢中になり互いを欲する中、ふと目があう。  
揺さぶり揺さぶられているために、視線はぐらぐらと動き一点に集中できないのだが。  
 
「いたく、ない?パンテーラ…ねえ、」  
気遣っているつもりなのだろうが、遠慮なく突き続けている彼が少しまぬけだと思った。  
「へい、きっ…」  
できるだけ円滑に言ったつもりが、声色がかくかくと曲がってしまう  
「もっときもちよくなって、ね、パンテーラ…!」  
「!!あっ」  
空いた手でふいにクリトリスを摘まれ、悲鳴に近い声が飛び出た。  
ロンシャンの骨ばった指先が、器用に女芯を扱く。  
「ンっ・んんんっ…」  
腹に力を入れて堪えようにも、二本の指を擦り合わせるように愛撫されるクリトリスから快感が寄せて止まらない。  
「アっは、かわいーーーパンテーラのクリ、まじ、ちっさ…かわいー」  
愛撫しつつも、私の膣内を犯すのはもちろん止めなかった  
ぐりぐりと腰を廻し、内壁をさんざん味わっては喘ぎを上げている。  
彼の汗のにおい  
彼の肌の感触  
彼から伝わる温もり、  
人々がなぜ、好きな人との夜を欲するのか分かった気がした。  
 
「あーーー締まる…これ、いいー…」  
「んっ、あ、あっ、ア゛…」  
「でる、イく、パンテーラっ、パンテーラ…っ!!」  
今まで以上に強く抱きしめられ、彼の身体の体温を直に感じる。  
好きだと、他人を好きだとはじめて実感した瞬間  
少しでも中に入って欲しくて、抱きついたロンシャンに脚を絡ませた。  
 
「う…」  
「!!」  
 
どくっ、どくっ、ドクッ、  
容赦なく注ぎ込まれる子種。  
いちばん奥の所に、熱いものがどんどん叩きつけられている。  
射精している間も、ロンシャンはペニスを内奥に擦り付けては私を求めていた。  
 
・  
・  
・  
身体を離すなり、室内には特有の、あのにおいが充満する。  
後片付けしてね、そう言ったパンテーラの横で、ロンシャンは品のない寝息をたて始めていた。  
あまりに間抜けな顔だったので 深く考えるのも馬鹿らしくなり、パンテーラも横になって布団を被る  
布団もシーツもふたりの愛液のせいで汚れきっていたが、ふしぎと不快ではない。  
 
(そういえば避妊、してなかったな。子供できたらどうしよう)  
軽く思った。  
でもまあいいか、きっとこの人ならなんとかしてくれる。  
そう思いなおし、ながく伸びた前髪の下で、パンテーラも瞼を閉じた。  
 
 
 
そんな二人の部屋の外、  
「ひとつだけ残ったタルトを冷蔵庫に置いておく」と伝えにきたマングスタは一部始終を聴いてしまい、震えていた。  
これからのファミリーがどうなるのか不安だ。平和なボンゴレファミリーをただただ羨ましいと思った。  
 
---------------完結--------------------  
 

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