911 名前:ツナ髑髏3 おまけ 投稿日:2006/09/29(金) 22:20:10 ID:Shrmqrdc
くんくん
「髑髏さんが帰ってきた!」
鼻をヒクヒクさせながら、髑髏を出迎えようと玄関のドアに走る犬。ドアノブに手を
かけようとして、もう一つの匂いに気がつく。
「ゲ…ボンゴレが来てる…」
出迎えるのを諦め、リビングに戻ると犬は髑髏の部屋側の壁に耳をぴったりとくっつけ
隣の様子を伺い始めた。
「くっそーボンゴレめ、髑髏さんに変なことすんじゃねーぞ!!」
そんな犬をあきれたような目で見ている千種。
「もーやめなよ犬…」
「うっへー!!」
「安アパートじゃないんだから、防音壁で声なんか聞こえないよ…
オレ夕飯の買い物行ってくるから留守番よろしくね。」
そう言い残して千種は部屋を出て行く。
どんなに耳をこらしても物音一つ聞こえない。
もどかしくて一人ジタバタする犬だったが、いいことに気がついた。
「そだ!ドッグチャンネル!」
カチ、と牙を差し替えると、見る見る姿を変えていく。爪がのび、耳がピンととがり尻尾が生える。
犬の聴覚は人間の20倍以上、これなら防音壁など紙切れ一枚に等しい。
再度壁に耳をつけると、とぎれとぎれではあるが声が聞こえてくる。
「お、聞こえるびょん」
『よかった…』
『泣かないでよ〜』
(!?髑髏さん泣いてる!?あのヤロー何してやがる!!)
ぎりぎりと歯軋りする。壁にあたっている爪が壁を突き破りそうな勢いだ。
それからしばらく声が聞こえなくなった。
(?何も聞こえねー…)
『は…あァ…』
(!!!?)
それはまぎれもなく髑髏の声。それも喘ぎ声だ。
『んん…』
(どっ、どどど、どくろさ―――――――ん!!!!)
ボフン、と音がするんじゃないかという勢いで顔を真っ赤にする犬。聞いてはいけない。
聞いてはいけないと思いながらも体が固まってしまって動けない。
『ぼ す…アァァ…!』
「ただいま…」
両手にスーパーの買い物袋を抱えた千種が戻ってくる。やけに静かだ。
「犬?うわっ!」
「柿ピ―-――!!」
涙と鼻水と鼻血をたらしたドッグチャンネル状態の犬が千種にとびついてくる。
「がぎび〜!どくろさんがぁぁぁぁ!!」
泣いている犬をなだめ、事情を聞く。
「落ち着いて…髑髏さまが幸せならそれ以上のことはないんだから」
「でも゛ーー!でも゛ーー!!」
「泣き止みなよ、プリン買ってきたからあとで食べよう」
「プリン!?」
あっさり泣き止む犬。単純な男である。
手早く夕飯の支度をすませ、テーブルに並べながら、
「犬、あのお2人今どんな状況?」
と犬に様子を伺わせる千種。
「んー…なんか2人寝てるみたいだびょん、寝息が聞こえる…」
「そう…」
早食いの犬にプリンを出してやった後、千種は電話を手に取り沢田家に電話を入れた。
「あ、もしもし…僕、綱吉君の友達の柿本と申します。…はい、どうも…
綱吉君うちでごはんを食べたあと寝ちゃったんで、そのまま泊めますね。…はい…はい、失礼します」
(次期ボスとその守護者といえど、表向きは中学生の2人だ、こういうことはきちんと
しておかないと未来のお義母様に髑髏さまの印象が悪くなってしまうからね。)
影の功労者・柿本千種。ぬかりのない男である。
END