「いいね?クローム・髑髏」
「はい…」
仄暗い地下室の湿った空気の中、拘束具に身を包まれる一人の少女。
もう一人の自分「六道骸」が犯したS級犯罪はたとえ10回死刑になったとて償える
ものではないが、ボンゴレ幹部から出された条件を満たせばそれは冤罪になるという。
当然NOと言える訳もなく、髑髏はただ頷くしかなかった。
金木犀の香りが並盛町を包みこむ10月。
今日も補習のため日曜だというのに通学路をゆく沢田綱吉ははぁ〜とため息をついた。
「せっかくの日曜だってのにオレだけ補習かよ…」
肩を落としながら重い足取りで学校に向かう途中、
「ため息をつくと幸せが逃げますよ」
と突然背後から透明感のある声が聞こえてきた。
「?」
くるりと後ろを振り向くと、そこには黒曜中の制服を着た少女が立っている。
つややかな黒髪、ぱっちりとしているがどこか焦点のあっていない瞳、右目には眼帯。
ミニスカートとブーツはすらりと伸びた脚をより一層際立たせている。
「こんにちは、ボス」
「君は…?」
「私の名はクローム・髑髏。ボンゴレファミリーの者なの。ボスに折り入ってお話が」
と自己紹介をすると髑髏はツナの左腕を掴み、学校とは逆方向へ歩み出した。
「ちょ、君、どこ行くの!?オレ補習が…」
「ボンゴレの未来に関わる重要なお話」
「だったら尚更オレ関係ないから---!!」
抗議の声もむなしく、髑髏は歩みを止めずツナをある場所まで連れて行ったのだった。
「ここは…」
目の前の重厚かつお洒落な門構えの建物は、この界隈で一番有名な超高級ホテル。
ツナの母・奈々が「あそこのスィート1泊30万近くするのよ〜!!」と言っていた事を思い出す。
「最上階のスィートとってるから」
「なぁ!?」
髑髏は慣れているのか、カードキーをフロントから受け取り、ツナの家以上の広さのホールを抜け
エレベーターで最上階へと向かう。制服を来た中学生2人はやたら目立っていて、
すれ違う上品そうな紳士淑女の視線が痛い。
(ひ〜、オレ場違いだよ〜!)
「ここ」
また慣れた手つきでドアを開け、ツナを招き入れる。
「座ってて、今紅茶入れるから」
「う、うん…」
ツナはドアの前でそわそわと立っていたが、部屋の真ん中にある大きなソファに腰を落ち着けた。
(何なの一体…ボンゴレの未来に関わる話って…は!まさかオレに中学生やめて
今すぐボンゴレ継げっていうんじゃ!?無理無理無理!)
一人で青くなるツナを余所に、髑髏はカップを2つトレーに乗せて戻ってきた。
「お待たせ。ボスはストレート・レモン・ミルク何がいい?」
「あ、ミルクティーで…」「お砂糖いくつ?」
と砂糖まで入れてくれようとする髑髏にツナはあわてる。
「い、いいよ自分で入れるから!」
「そう…」
髑髏は少し残念そうに言うと、自分はストレートのままカップに口をつける。
ツナも紅茶に口をつけた。
髑髏の入れた紅茶は程よい熱さで、ツナが家でよく飲むそれとは香りからして違っていて思わず
「おいしー…」
と声が出てしまうほど美味だった。
「そう?良かった…」
髑髏は両手でカップを持ち、安心したようにつぶやく。
紅茶を飲みながら、ツナはちらりと髑髏に目をやった。無表情なのでイマイチわからなかったが、
改めて見ると整った容姿、抜群のスタイルはモデルと比較してもひけはとらないだろう。
ただ、どこかで見たことのあるパイナッポー的髪形については見て見ぬふりをしたい、いやすることにした。
「あの…それでオレに話って?」
ツナは思い切って聞いてみた。
髑髏はカップを置くと、ツナを見つめながら口を開く。
「ボンゴレ九代目から指令が下ったの。次期ボス沢田綱吉を男にしてやってくれって」
ツナは頭の上に?を浮かべながら、
「いやオレ元々男だよ?」と訳分からないという表情をしている。
そんなツナを真っ直ぐ見つめながら髑髏はさらりと言う。
「そうじゃなくて、私とセックスして童貞を捨てるって意味」
「…え゙え゙え゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙!!??」
「せ、せっ…て、えぇぇ!!?」
ツナはこれ以上ならないというくらい真っ赤に茹で上がってしまった顔でただ動揺していた。
「そう。次期ボスたるもの女の1人や10人や100人知らないでどうするんだって九代目が」
そう言うと髑髏はまたツナの腕を掴み、隣の部屋に連れて行く。そこは2人には充分すぎるほどの
広いベッドルーム。キングサイズのベッドが目に入る。
ほぼ魂が抜けた状態のツナは髑髏に促されるままにベッドサイドに腰を下ろした。
ぴったりと真横に座った髑髏がツナの左腕にきゅっとしがみついた感触でツナはようやく我に返る。
「ボス、私も初めてで不慣れだけど一生懸命がんばるから…」
ちゅ、とツナのほっぺたにキスをする。
「んな―――――――――!?ちょっ、タンマ!いいよ、オレできないから!!」
心拍数180越えするんじゃないかというほど真っ赤になったツナはさらに体を密着してきた
髑髏から離れようと必死にもがくが、いかんせん焦っているのか体がうまく動かせない。
「どうして?」
「イヤどうしても何も…好きでもないのにそんなことしちゃいけないだろ!?」
そう否定すると、髑髏は一瞬悲しそうな目をすると、
「じゃあこの姿ならいい?」
瞬間、ツナの目の前には憧れの女の子・笹川京子の姿があった。
「え!?京子ちゃん!?」
何がなんだかわからなくて頭を抱えるツナに向かって京子が口を開く。
「私の得意技は幻術…あなたの目にはあなたの憧れの人物が映っていると思いますが、
私は髑髏です。この姿ならセックスできませんか?」
「……!」
それまで真っ赤になってしどろもどろになっていたツナが、す、と落ち着きを取り戻した。
「…そういう問題じゃないよ。オレはよくても君が傷つくだけだ。姿を変えればいいって
ことじゃないよ…」
「…ッ」
フッと京子の姿が消え、目の前には髑髏の姿が現れる。
「ごめんなさいボス…」
うつむき加減で泣きそうな顔をしている髑髏が少しかわいそうになって、
「や、ごめんオレこそきつい言い方になっちゃって…」
とツナは髑髏の頭をなでなでする。
その感触に顔をあげた髑髏はツナの目をじっと見つめ、
「やさしい…」
とツナの唇に自分のそれを重ねてきた。
「ん…」
ちゅ、ちゅと可愛らしい音をたてて何度もキスを繰り返す。
最初は体がカチンコチンに固まっていたツナも、やわらかいベッドの上でキスを繰り返し
されているうちに緊張が解けてきていた。
それを見計らったかのように髑髏はツナの股間に手をやり、する…となで上げる。
「ふぇっ!?いや、ちょ…」
「ボス…お願い逃げないで…」
そう言いながらも髑髏の手は休むことなくツナの性器に刺激を与え続けていく。
(あ…なんか頭がボーッとしてきた…)
少しずつ息が荒くなっていくツナを尻目に、髑髏はツナの制服のベルトをかちゃりと外し、
下着の中に手を入れ性器を取り出した。
「う ぁ!」
ツナのそれは熱を帯び、硬さを増し、形を変えている。
じ…とツナのそれを見つめ、愛しそうにそれにも口付けると、髑髏は自分の制服のボタンに手をかけ、
ぷち、ぷち…と外してゆく。
最後の一つが外れた瞬間、やや小ぶりの胸とそれを包む黒いブラが露わになった。
髑髏は仰向けになったツナの太もも辺りにまたがった状態になり、
ツナの両手をとり自分の手を重ねるとそのままブラを上にぐっとたくし上げる。
「わわわ!」
ぷるん、と先がおいしそうに実った形のいい胸が現れると、さらにツナの手をその先端に誘導する。
「ここ、触って…」
触り方すら知らないツナが、恐る恐る乳首を人差し指ですべらせるように触れると、
「っん…」
と吐息を漏らして髑髏がピクンと反応する。
(あ…?なんか硬くなってる…?)
初めてのその変化に、恥ずかしさを少し忘れたツナは両手で髑髏の乳首をやわやわと刺激していく。
それに伴い髑髏の体も少しずつ熱を持ち始めていた。
「ボス…」
と髑髏はいったんツナの上体を起こし、ツナの両足の間にちょこんと座る体制をとった。
いわゆる後ろ抱っこの状態である。
「こっち、も触って…」
と自分の太ももの間にツナの右手を持っていく。指先が触れたそこはすでに潤っている。
ツナにとっては未知の領域であるその部分。そうっと指を動かせば、やわらかい突起にあたった。
「ッあ!」
それまではあまり声をあげなかった髑髏が大きく反応する。
「え、い、痛かった!?」
オロオロするツナがそう問うと、髑髏は目だけでツナを振り向きながら、
「ちが…きもちいい、の…」
(今気づいたけど、この子パンツはいてない…!?)
ドキドキしながら、先ほど髑髏が大きく反応を示した突起部分にもう一度触れてみる。
「ん…あ」
やはりこの部分は快感が大きいようだ。ツナは以前クラスメイトから見せられたエロ本のことを思い出した。
(確か…クリ…リ…)
状況も忘れ、必死で思い出そうとして動きをとめるツナを髑髏はまた目で振り返る。
「ボス…?」
「あ、ごめんここ何て言ったかなぁって考えてて…」
はは、と焦ったように口ごもるツナ。
「クリトリス、女の子が一番感じるところ」
「あ、そうだクリトリスだ! …って、わぁ!大声で言っちゃったよ!!」
自分が口にしてしまった卑猥な単語に焦るツナがなんとなく可愛らしくて、
髑髏は少し口角を上げる。
「もっと触って欲しい…」
おねだりをするようにそう言うと、ツナは触れるだけではなく指を上下に動かして刺激を与えていく。
クチュ…クチュ…
「あっ、んん…!」
(うわー、中からどんどん溢れてくる…)
髑髏のあそこからは、ぬるぬるとした愛液がとめどなく溢れてきていた。
「あ、あ、はぁ アァァ…!!」
体がふるふると小刻みに震え始めたかと思うと、髑髏の体が大きく跳ねた。
「あ、ダメ、も イク…!!」
ビクン!とのけぞり、一瞬動きを止めた髑髏の体がツナにもたれかかってくる。
「え…?」
ハァハァと息を荒げ、少し涙でうるんだ瞳でツナを見上げると、髑髏は
「ごめんなさい…先にイッちゃった…」
と、ふわりと笑った。
(わー…!)
初めて会った時からずっと無表情だった彼女が笑ったのだ。まるで花がほころぶように。
(か、かわいい…!)
そう思った瞬間ツナは髑髏を後ろからぎゅっと抱きしめていた。
そのまま、耳、首筋にちゅ、と幼いキスを落としていく。
そんなツナの行動は髑髏にとってはたまらなく嬉しいものだった。
くるりと後ろを振り返り、ツナの上体を少し押して仰向けにさせると、その上に馬乗りになる。
「ボス…いれるね」
そうつぶやくと、髑髏は予め用意していたコンドームをツナ自身にかぶせると、
ぬるぬるになった自分のあそこにツナのペニスをあてがい、そうっと腰を落としていく。
髑髏自身、そこで男性を迎え入れるのは初めての事なので中々入らない。
「い…た…」
思わず漏れた声に、ツナは心配そうに
「無理しないでいいよ…女の子って初めての時痛いんでしょ?」
と声をかける。
眉根をよせる髑髏はふるふると頭をふり、
「大丈夫…ボスのだもん…」
と自分の体重をかけて一気にツナを飲み込んでいった。
「ふぁッ…!」
「はぁ…はぁ…」
きゅうぅっと上から包み込まれる感覚はツナにとって初めてのもので、あまりの気持ちよさに
頭がくらくらした。
(ぬるぬるしててあったかくて気持ちいー…)
それだけでも充分達してしまいそうなのに、少し挿入の状態に慣れた髑髏が上下に
動き始めたのだ。
「ちょ、待っ…!!」
「っ…ぼ、すも気持ちよくなって…!」
「…ッ!」
幾度か揺さぶられ、程なくツナも絶頂を迎えた。
どれほどの時間が経ったのか、2人はベッドの上に身を投げ出し先ほどの情事の余韻にひたっていた。
先に口を開いたのは髑髏のほう。
「あのねボス…」
ツナはそこで初めて髑髏が来日した経緯を聞いた。もうひとりの自分が六道骸であること、
その骸が犯した罪を償うためにボンゴレからの条件をのんだこと…
「ごめんなさい、先に伝えようと思ったんだけど…」
「や、そんなことはいいよ、でもボンゴレのそのやり方はオレちょっと許せないよ!」
交換条件にしてはあまりに酷い。髑髏はまだ少女なのに。あんまりだ。
そう憤るツナに、髑髏は頭をふる。
「いいの、もう一人の自分の責任だし…それに、私はボスに従うことができて幸せ」
「え?」
「しばらくは日本に滞在することになったの。これからもよろしくね」
と、キスをする。
io giurare fedelta…
END