※サイドストーリー了イーです。  
エロなしギャグですすみません  
 
 
 
「ぬ!なんだこの煙は!」  
突然もうもうと立ち込めた白煙に驚く了平。  
「以前にもあったな、確か道場破りの一件で…ということは!」  
「あり?」  
「!!」  
パジャマ姿で毛布を抱えた三つ編みの女の子が煙の中から現れた。  
そう、10年バズーカにより召喚された10年後の大人イーピンである。  
「ここどこ?うちで寝てたはずなのに…」  
「捜していたぞでこっぱちの娘――!!」  
了平がそんなイーピンの眼前にせまり、がしっと彼女の両手を掴むと  
「ボクシング部に入れ!!」  
とメラメラ燃える瞳で勧誘し始めたのだった。  
 
「笹川の兄さんがなんでここに?」  
と立ち上がろうとしたイーピンは  
「っつー…!」  
と顔をしかめた。下腹部に鈍い痛みが走ったからだ。そう、イーピンは今  
月に一度くる「女の子の日」なのである。わりと症状が重いらしく、腹を  
抑えてじっと座ったまま動かない。  
 
そんな彼女の様子から事態を察した了平は  
「失礼するぞ」  
といって毛布で彼女を包み、そのままお姫様抱っこで持ち上げる。  
「へ?」  
「とりあえず移動する」  
と了平はすぐ近くにある並盛森林公園にむかって走り出した。  
 
実はランボとハルもこの公園に来ていたのだが、了平達はランボ達とは違う  
入り口から入ったので顔を合わせることはなかった。  
(ちなみにツナと髑髏も以前この公園に来たことがある)  
 
毛布ごとイーピンをベンチに座らせ、  
「しばし待て」  
といってポケットから小銭を取り出し自販機に向かう了平。何か飲み物を買っているようだ。  
戻ってくると了平はイーピンに先ほど購入した缶ジュースを渡す。  
それは程よく温められたホットココアだった。  
「冷やすといけないのだろう、その、流血中…というのは」  
流血中という、なんとも了平らしい不器用でストレートな表現に思わず  
「ぷっ、あははは!」  
と笑ってしまったイーピン。  
「ぬ、何がおかしい」  
目に浮かんだ笑い涙をぬぐいながらイーピンは  
「ありがとうございます、いただきます」  
とココアを口にする。  
 
「さっきの話の続きだが、是非ともわがボクシング部に!お前はボクサーになるべきだ!」  
「いえ、あたしはもう…」  
「何!?もうボクシングを始めているのか!?」  
「そうじゃなくて殺し屋稼業を…」  
「殺し屋!?それはますます頼もしい、是非うちに!!」  
全く会話がかみ合わず、イーピンは  
(相変わらずだな)  
と苦笑する。  
「お前の華麗な身のこなし、あれは本当に美しかったぞ!うっかりお前に恋をするところだった!」  
拳を握り締め、目を閉じて力説する了平。恋をするくらい美しかったと言われ、さすがに  
「もー、そんなこと言っても何も出てきませんよー」  
と手をひらひらさせながら赤くなるイーピン。  
 
「お兄さんは本当に昔からボクシング一筋ですよね。だからこそ世界チャンプに…」  
「ぬ?」  
「っと、何でもないです」  
(危ない危ない、うっかり未来を変えるかもしれないとこだった)  
と焦りながら口をつぐむイーピンの体にしゅーしゅーと煙が立ち込めてきた。  
「あり?」  
「またこの煙か!でこっぱちの娘、はぐれぬようしっかり掴まっておけ!」  
とイーピンの腕を掴もうとする了平にイーピンは  
「お兄さん、これからも邁進してくださいね、きっと夢は叶いますから」  
と言ってちゅっと了平のおでこにキスをした。  
 
 
ボフン!!!  
 
煙とともに大人イーピンの姿は消え、了平の腕の中には子供イーピンが現れた。  
「お前は沢田んちのデコピン!む!?でこっぱちの娘はどこに行った!?」  
ときょろきょろする了平の腕の中で、子供イーピンはにっこり笑い了平に話しかけた。  
「○※◆△;@(お兄さんボクシングで頂点に立ったんだね)」  
「ぬ?何を言っているのかわからんぞ」  
 
 
それはまだまだ先のお話……  
 
 
了イー編END  
 

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